独立時計師 浅岡 肇 氏 一流の製造技術を有する日進工具仙台工場を見学
コーティングやプラスチックの射出成形の現場も見学
敷地内にある子会社の日進エンジリアリングも見学。エンドミルの生産を行ったあと、日進エンジニアリングに製品を運び、コーティングを行う。設備によって様々な膜に対応できるのは、日々、様々なコーティング装置を活用しつつ量産処理と研究開発を行っている成果であろう。
また、プラスチックの射出成形も担当している同社では、お馴染みの工具ケースも社内で金型を起こして成形している。模造品対策のアイデアを盛り込みながらオリジナルのケースを製造しているのだ。

ここは、人がケースを並べるという半自動化をしており、10機ほどの半自動機が並んでいる中で1人の担当者が素材の供給と整列をしていた。全て社内でアイデアを出した設備であった。使う人の立場になって考えたケースは、環境に優しいリサイクルを実施している。
顧客から再研磨依頼があったものについて新品同様に研磨をし直す再研磨工程も見学。社内でコーティングもできるため、短納期で顧客に品物を届けることができる。これも強みのひとつだ。

ひととおり工場見学を終えて浅岡氏に感想を尋ねると、「日進さんの即納体制は非常にありがたい。最初は工具のポテンシャルが分からなかったのですが、工具のバラツキが非常に少ないことに気付き、今回の工場見学によりバラツキのない理由がよく理解できました。ATCにセットする前に振れチェックをしますが、すぐ目標の精度でセットできる場合もあるし、1時間もかかる時がある。逆にいうと、バラツキが少ないからこそ、入念に〝振れ取り〟をする意味がある。もし、バラツキが多ければ僕が入念にチャッキングをする努力が徒労に終わってしまう。今回工場見学を通して感じたことは、安心の切削工具メーカーであることです。」と太鼓判を押した。
日進工具の小径エンドミルも浅岡氏がつくる時計も〝一流の製品をつくり出す〟という意識の中には、双方とも創造的な目の付け所があるようだ――――。