【この人に聞く】「日本企業にチャンス到来!」ドイツメッセ日本代表部 代表 竹生学史氏
世界を代表する工作機械の国際展示会のひとつである『EMOハノーバー』(主催:ドイツ工作機械工業会)が、本年9月18日から23日の6日間、ドイツ・ハノーバーで開催される。この展示会は工業生産の中核を担う最新の金属加工技術をあらゆる分野にわたって広く展示することで来場者に新技術への投資を呼びかけ、新たなビジネスチャンスにスポットを当てるもので業界の注目度も高い。
また、製造から物流までサプライチェーン全体を網羅する産業技術の専門展示会である、『ハノーバーメッセ2023』(主催:ドイツメッセ)が本年4月に開催されたが、ドイツメッセ日本代表部の竹生学史代表は、「13万人が来場し、出展社と来場者の満足度も非常に高いものになった。2024年は質・量ともにさらなる拡充が期待できる。」と意気込みをみせる。グローバル化が加速する現在、展示会を通して販路拡大のチャンスを提供する竹生代表にお話しを伺った。
日本企業の存在感が強いEMO
―もうすぐEMOが開催されます。コロナ明けもあり、出展する各企業は気合いが入っているのではないでしょうか。
竹生 EMOは2年に1度、開催しますが、ハノーバーでは4年ぶりの開催となります。2021年のミラノに関してはコロナ禍でもあり入出国の制限がありました。コロナ禍の4年間は世界が分断されたこともあり、没交渉に近かったようですが、現在、日本企業は活況があり、非常に期待したいところです。
―他国の動向はいかがでしょうか。
竹生 コロナ禍後は、台湾、韓国、中国の立ち直りが早いように感じましたが、EMOに関しては、日本のプレゼンスが非常に高いと感じています。
―工作機械は生産財ですが、一般消費財についても世界の動向が気になります。
竹生 全体的に最近ドイツで開催される多くの展示会では、アジア地域では台湾、韓国のプレゼンスが非常に高く、残念ながら日本の存在感が低下していると感じています。
―ちょっと残念ですね。その要因についてのお考えは?
竹生 一般消費財の場合、全世界というより、国内や北米など決まった市場に対して提供をしているように思います。以前、「日本企業は今まで世界にはないものを作ってきたけど、今では世界の流れから遅れを取るようになってしまったね。」とドイツ人に言われたことがあり、ハッとしました。日本の携帯電話を例にとりますが、独自の進化を遂げて発展したものの熾烈な国際競争の波にさらされ、携帯電話はスマホに変わりました。携帯電話が日本市場のみで進化したため、国際競争力が弱まってしまったのだと感じています。展示会によっては、台湾、韓国の後塵に拝して気持ち的に羨ましく感じたことも正直ありますが、その一方で、工作機械の専門展示会であるEMOでは日本企業が非常に強い。中国は展示面積が大きいのでほぼ互角と言っていいのかもしれませんが、ブランド力に関しては断然日本が強く、展示会場内では大きな存在感を示しており、日本代表部としても鼻が高いのです。