「限りない技術革新への挑戦!」 イスラエルのイスカル本社でファーストクラスディーラーと関係ユーザーを対象にセミナーを開催(後編)

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あいさつをするイラン・ゲリCEO

 

 前回は、IMC(International Metalworking Companies)グループ(会長=ジェイコブ・ハルパス氏)の中核を担うISCAR LTD.(以下イスカル社、CEO=イラン・ゲリ氏)を訪ねた日本の販売上位特約店と認定されたファーストクラスディーラー(略称:FCD)および関係ユーザーについて前編を掲載した。(前編:https://seizougenba.com/node/13501

 後編は、セミナー2日目の内容と、ゲリCEOのインタビューを掲載する。

「Where Innovation never stops!」(限りない技術革新への挑戦)

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最新技術がつまった製品群がズラリと並ぶ

 セミナー2日目は、いくつもの業界基準を作り上げてきたイスカル社が、どのように製品開発力を育んできたのかを知ることができた。

 同社のヘッド交換式ドリル『LOGIQ3CHAM(ロジック3カム)』を例にとると、注目すべきは、従来2枚刃が主流だったところに、イスカル社が業界初となる3枚刃のヘッド交換式ドリルを開発し、市場にいち早くリリースしたことだ。3枚刃は2枚刃よりも効率が上がるが、いくら素早く加工ができてもビビリが起きたり、切りくずの排出が悪ければワークの品質が落ちるため、良い工具とはいえない。3枚刃を製品化するまでには解決しなければならない課題も多くあった。

231016top製品1 開発チームは、先端の角度が鋭角になれば加工面にスムーズに食いつくことができ、安定した加工、ワーク面への切り込みが可能であること、刃先の先端角を鋭くすればブレが防げることを承知していた。3枚刃によるメリットを活かしたいが、その一方で、幅の広い切りくずが排出されれば、これはこれで工具寿命や面品位に問題が生じるし、排出スペースを増やすとボディーの剛性が低下してしまうというデメリットも発生する。課題が次から次へと出てくるなか、開発チームは、多くの課題点を解決する新ヘッド形状の製造に成功した。

 拝見した加工動画では、ワークへの進入も、先端角度が鋭角であるため、かなりスムーズに入っていくことを示していた。理想的で適切な切りくずの生成も確認できた。新製品の3枚刃ヘッド交換式ドリルの誕生は、数多くのイスカル社独自の特許技術により成し得たものだ。また、クランプ構造についても説明があった。ねじを使わない自己拘束式のクランプ機構は、機上での迅速なヘッド交換が可能で、セットアップタイムを不要とし、さらなる有益性を生み出すのだ。

 ヨーロッパにおいて、自動車メーカーの製造現場を借りて実用性を高めるための開発も行ってきたというイスカル社。現在、Φ12ミリほどのスローアウェイのミーリングカッターにおいて超硬ソリッドエンドミルからの置き換えを推進する動きがあるが、さらに小さなΦ8ミリのスローアウェイエンドミルを同社は開発している。

231016top製品2 チップが小さくなればなるほどスクリューによる取付けではチップの強度や剛性が失われるが、同社は開発を諦めなかった。顧客の〝生産性を限りなく高める〟というミッションのもと、スクリューを伴わない形でのチップクランプ構造を独自開発したのだ。スクリューの頭の部分でチップを押さえ込むことで、この小さなチップをΦ8ミリの小径エンドミルに2枚取付けることを可能とした。現在、『NANMILL(ナンミル)』の名称で販売されているが、この工具は市場で最も小径のチップ交換式エンドミルである。ボディーの芯厚を最大化することで高い安全性を確保しており、浅い切り込みで高速加工が求められる状況で優位性を発揮している。

 これらの斬新で画期的な工具の数々は一例に過ぎないが、同社では、常に自社製品を上回る工具の開発を行っており、これらが多くの業界基準を作ってきたと自信を見せている。今後も革新的な製品を開発するための研究開発投資を行い、加工ユーザーの生産性アップのために成長していく方針だ。

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