【トップインタビュー】三井精機工業 川上博之社長に聞く ~無駄のない仕組みをつくる~

 

Vertexシリーズの需要が増加 ~自動化もトレンド~

231113top6
「MECT2023」のブース内にて

 

231113top7
MECTでも大勢の来場者がブースを訪れた

 ―近年、デジタル化や新たな通信技術に伴うインフラ整備により半導体分野を取り巻く環境は大きく変化しておりますが、新マシン開発へのお考えは。
 川上
 半導体だけでなく部品や材料に対して機械でなにができるか、ということが重要になります。もちろん開発を進めていますが、工作機械屋が「こういう機械をつくりたい。」と自己満足で機械をつくるのはよせ、と言っています。あくまでもお客様の要望に添った機械を開発するということが主体になります。お客様と一緒に共同開発のような手法でやらなければ技術屋の独りよがりになってしまう可能性もあるのです。過去にもそれで失敗して、売れない機械をつくり、始末に苦労したことがあります。「良かったね、楽しかったよね、作った人は。」といわれないようにしなくてはなりません。製造する機械はあくまでもお客様がご活用するものですから、製造現場ではロスを発生させず、細かいことまでお客様のニーズにきちんとお応えした機械を提供することが重要です。

 ―最近、「Vertexシリーズ」の需要が増加していると聞きました。名古屋で開催された「MECT2023」でも、注目されていました。
 川上
 「Vertex」はバリエーションが豊富です。Additiveも研削もあり、ブレードやブリスクなど、それぞれの加工に合った専用機としても活用でき、様々な能力を秘めている機械です。
 ―特殊対応が得意な貴社らしさが前面に出ている機械だと思います。お客様のご相談はいつでも受け付けているのですか。
 川上
 こんな機械をつくって欲しい、機械をこういう仕様に変えて欲しい、こんな機械があればいいな、など、ご相談いただければやれることは全て対応いたします。

21113top8
MECTで注目を集めた「Vertex55XⅢ」

 ―心強いですね。お客様求めるトレンドとしてははやり自動化でしょうか。
 川上
 やはり自動化です。弊社が推奨している自動化はワーク搬送などではなく、従来職人が実行していた仕事を機械化することです。具体的にはジググラインダーの自動化、ねじ研削盤の自動化など、従来、職人しかできなかった仕事が機械側で補正をしながら実行することができるものを開発しています。そこで重要なことは、機械の繰り返し精度がばっちり出ているということ。計測器もリピータビリティーがしっかり出ていることも重要です。世の中には様々な計測器がありますが、それぞれ癖がありますから、その誤差まで測った上で補正し自動化ができれば非常に効率良く精度の良い加工ができることになります。 
 ―三井ファンに一言お願いします。
 川上
 お客様を裏切らないよう愚直に良いモノを使って良い製品をつくります。「よその機械は精度が変わるけれど、お宅の機械は25年経っても精度が出るから捨てられない。」という嬉しいお言葉を頂きますが、きちんとした材料を使い、機械のキモであるキサゲも含め、愚直な仕事をやり続けますので安心してください。決して手を抜くことはなく、三井精機の品質を高めてお客様にメリットを生み出す機械を作り続けていきます。
 ―ありがとうございました。
 

3 / 3 ページ
moldino_banner

 

JIMTOF2024