黒田精工長野工場にモーターコア量産プロセスを確立した新工場棟「第8工場」が完成
黒田精工(社長=黒田浩史氏)長野工場(所在地:長野県北安曇郡池田町)に建設していた新工場棟(第8工場)及び倉庫棟が昨年12月に完成した。この新工場は、電動自動車の駆動用・発電用モーターコアの量産及びモーターコアに磁石を挿入し樹脂により固着する工程(MAGPREX®)を実施し、300トン大型高速プレスとMAGPREX®ラインを設置しており、需要が急拡大している電動自動車用高効率モーターコアの量産プロセス確立のためのマザー工場という位置づけとなっている。
同社の石井克則専務取締役金型事業部長(以下石井専務)は、「現在レイアウトの大幅見直しや大型高速プレスの増設を検討しています。電動自動車用モーターコア金型の生産能力を2025年には2023年対比2.5倍としていきたい。」と勢いが良い。石井専務に話しを伺うとともに新工場棟「第8工場」を取材した。
戦後に金型からスタート 幅広い年齢層が働く
1925(大正14)年にゲージ専業メーカーとしてスタートした黒田精工。時代の歩みとともに技術の発展を支えてきた。同社の伝統にある、〝必要なものは自らつくる〟という考えのもと、多数の要素技術を開発、それらを多彩な製品群へと展開して産業の高度化をサポートしている。
同社の国内製造拠点は4つ。機工・計測システム製品を生産する富津工場(千葉県富津市)、駆動システム製品を生産するかずさアカデミア工場(千葉県君津市)と旭工場(千葉県旭市)、そして金型事業のマザー工場として精密金型およびモーターコア等の積層コアを製造している長野工場である。
長野工場の歴史は古い。戦時中にこの地に疎開をしたところすぐに終戦を迎えた。長野工場の門の前には酒蔵があるが、石井専務は酒蔵を指し、「混乱の最中に仕事を模索し、酒蔵で金型製造に着手したのが長野工場の前身です。」と話した。この酒蔵は長野工場の歴史を物語っており、現在は倉庫として活用されている。
時は流れて長野工場は、1961年に第1工場の竣工を皮切りに現在、昨年12月に完成した第8工場まで稼働しており、従業員は195名、18才から75才まで幅広い年齢層が働いている。人によっては高い年齢層でも長年の経験に裏打ちされた仕事の質は高く、健康寿命も延びている現代において、製造業には定年になっても務められる土壌があるのだと思うと心強い。