黒田精工長野工場にモーターコア量産プロセスを確立した新工場棟「第8工場」が完成
大型化する金型 拡張を視野に入れた第8工場
現在、世界規模で「カーボンニュートラル」の流れが加速し、自動車の電動化が進んでいる。石井専務は駆動モーター用金型について、「出荷型数は増大傾向にあり、形状の複雑化に伴い金型が大型化しています。」と話す。
新しく建てられた倉庫棟を含む第8工場は300トン3.7メートルのプレス機と後工程の設備が入っている。2025年にはもう1ライン入る予定だが、現在でもプレス機が足りない状態だという。
黒田精工は2014年に世界的ラミネーションメーカーのユーログループと接着積層のライセンスを結んでいる。同社がユーログループに対して金型の提供および同社独自の型内接着積層技術を供与する一方で、同社およびユーログループの世界的製造・販売ネットワークを活用してグローバルにモーターコア等のラミネーション製品を販売しつつ、世界的にも成長が期待されるハイブリッド自動車等のエコカー向けモーターコアを始めとする関連技術のさらなる高度化を実現している。
金型供給能力の向上と国内外の提携戦略により、拡大するモーターコア需要に対応するためには大型プレス装置の増設が必要であり、一層の体制強化を実現するため、第8工場は拡張を視野に入れたレイアウトとなっていた。
石井専務は、「ユーログループとは定期的に中・短期の戦略を共有しています。ユーログループがプレスの台数を倍にすれば弊社もそれに見合った投資を行います。」と説明してくれた。
「われわれは提携先にどれだけ金型が供給できるかが重要。」と話す石井専務は、金型における過去5年間の変化点を、①欧米の急激なEV化(接着積層工法の浸透)、②金型の大型化、③金型の2列化、④プレスの大型化、④加工機の大型化――を挙げた。
大型化する金型で設備も大型化し、列を増やせばレイアウトも複雑化する。これを解決するためには資金力とフロアスペースが必要だ。同社では、顧客のニーズを満たすため、投資を行い、「電動自動車用モーターコア金型の生産能力を2025年には2023年対比2.5倍とする。」としているが、その一方で、パイロットラインも機能させている。金型に関しては「既存の工場でレイアウトを変えていく。」と話した。
工場内を歩きながら、「立て続けに注文が入って急かされているんです。」と笑う石井専務の表情から多忙ぶりが理解できる。