三菱マテリアル 明石製作所を徹底取材! ~新製品『VQ4MVM』の加工デモも拝見~

 切削工具の主力製品に位置付けている「DIAEDGE」ブランドを有する三菱マテリアル 加工事業カンパニーは国内に主要な3箇所の製造拠点を持つ。筑波製作所では主にインサートを、岐阜製作所は超硬ドリルや超高圧焼結体工具を、明石製作所は超硬エンドミルやハイスドリル、歯車加工工具などを製造している。

 今回、同社の原動力のひとつである明石製作所(兵庫県明石市魚住町)を取材した。

明石製作所で生産される工具は世界中の製造現場に貢献

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三菱マテリアルが保有する技術の数々を説明する近藤部長

 明石製作所の歴史は長い。切削工具事業は1911年、日本で初めてハイスドリルの本格生産に始まり、1913年には国産第1号となるアングランドホブの生産を開始した。その後、生産品目を拡大していき、1991年には切削工具業界に衝撃を与えた「ミラクルエンドミル」を発売。この商品は同社の切削工具事業を飛躍的に発展させる原動力になった。

 工具製造部の近藤部長は「ミラクルエンドミル」について、「世界で初めてアルミ含有量の多いアルミチタンナイトライドコーティングを切削工具に施し、当時の常識では考えられなかった焼き入れ後の金型材料加工を可能にした画期的なエンドミルです。1995年には日本機械学会技術賞を受賞していますが、この時、同時に新幹線のぞみも同賞に選ばれており、切削工具と新幹線が肩を並べる快挙を成し遂げているんですよ。」と説明してくれた。

 明石製作所で生産されている主力製品の超硬エンドミルは、炭化タングステンを主原料とした耐熱性、耐摩耗性に優れた超硬材料でできており、様々な形状加工に活用されている。

「幅広い用途に対応するため多数の標準品を常時在庫しつつ、オーダーメードにもフレキシブルに対応していています。中でも航空機エンジン部品に多用される耐熱合金や、医療産業におけるインプラントなどに使用されるチタン合金など難削材をターゲットとした製品を得意としています。」と近藤部長。

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明石製作所では巨大ヘリカルブローチも製造している。この工具は最大で直径180mm、全長2,500mm、重量400Kg、総刃数は1万刃を超えるシロモノも!

 また、1911年より生産している幅広い業種の顧客に愛用されているハイスドリルについても説明があった。近藤部長は、「ハイス材料は超硬材料に比べて耐熱性、耐摩耗性には劣るものの、〝非常に欠けにくく折れにくい〟という特長があるため、超硬ドリルが普及している現在も廃れることなく活用されるロングセラーです。」とのことで、同社の切削工具が航空機部品を加工する超硬エンドミルから長年使用されているハイスドリルまで幅広く取り揃えているのが理解できた。

 自動車のトランスミッションを構成する多数の歯車の内、遊星機構の内歯車を加工するヘリカルブローチも明石製作所で製造している。この工具は最大で直径180mm、全長2,500mm、重量400Kgのものもあり、総刃数は1万刃を超えるシロモノで、同社はこの巨大なハイス工具の熱処理、研磨、表面処理ができる世界有数のサプライヤーでもあるのだ。

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