三菱マテリアル 明石製作所を徹底取材! ~新製品『VQ4MVM』の加工デモも拝見~

 

小さなものから大きなものまで自前の設備で熱処理ができる強み

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撮影が許されたマシン群

 

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展示されていた新製品

 これらの製造工程だが、いずれの製品もまずは円筒状の素材から研削もしくは切削をして大まかな形をつくる。ハイス製品はその後、硬さと靱性を向上させるための熱処理を行う。明石製作所は直径0.5mm程度の小さなハイスドリルから全長2.5mにわたる巨大なヘリカルブローチまで自前の設備で熱処理ができるのが強みだ。

 次に切削工具の性能を決定する切れ刃と溝の研削を行う。これは現場のプロフェッショナルたちがミクロンレベルで高品質な切れ刃をつくっている。

 性能を飛躍的に向上させる表面処理も切削工具には重要だ。ここでは主にチタンやアルミ、クロムなどの窒化物や人工ダイヤモンドを薄いもので厚み1,000分の1mm、厚いものでも100分の2mmの厚みで制御しており、工具の用途に合わせて様々な種類のコーティングに対応している。

 同社は製造拠点として国内3カ所のほかに、海外にも7カ所の拠点を設けており、グローバルに安定供給できる体制を構築している。地産地消も行っているほか、テクニカルセンターを日本に2カ所、海外各地に7カ所設けており、切削試験やセミナーのほか、顧客立ち会いのもとでテスト加工を実施し、世界中の顧客のニーズに応えられるテクニカルソリューションを提供している。

 エンドミルの製造工程だが、超硬素材を所定の外形径まで研削し、エンドミルの先端部分を製品に合った形状に仕上げる段研削加工を行う。次にエンドミルの実際に加工に使用する切れ刃や溝をすべて一台の研削盤で加工。そしてコーティングという流れだ。その後、製品検査の上包装、出荷する。

 まずは外周の研削工程を見学。設備を大切に使っているのがよく分かるラインだ。非常に重要な溝刃の研削工程は、設備が何種類かあり、多台持ちで段取りしていた。年数の経ったマシンから最新マシンまでズラリと並んでいる様は圧巻。自社製設備も設置されていた。

 受注生産品ラインも見学。こちらは顧客の要望に応えた製品をつくるラインだが、一般に流通していない特殊な仕様を希望しているユーザーにとっては、カスタマイズ性の高さと品質の安定性が魅力。明石製作所には顧客の細かい要求にも応えてくれる土壌があるのだ。

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