三菱マテリアル 明石製作所を徹底取材! ~新製品『VQ4MVM』の加工デモも拝見~

 

充実した開発環境の凄みを見た!

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充実した開発環境も強みのひとつ

 

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「新製品開発に注力している」と話す髙木課長

 新製品開発について主に形状部分での新規設計をしているエンドミル開発部工具開発課の髙木課長は、「エンドミル開発部は、形状の設計の他、PVDコーティング、CVDコーティング両方のコーティング開発、試作品の評価と技術サポートを実施しています。」と話す。実際に顧客を訪ね、そこで要望を吸いあげてくるという。

 最近のキーポイントは、「通常のものではなかなか売りにくい状況になっているので、製品にどのくらい高付加価値を付けていけるかが重要。様々な分野で多岐に渡る要素を盛り込んで製品化するのが目標です。」とのことで、最近のトレンドとして、「難削材加工の点からみると医療産業や航空機産業をメインとしたチタン合金、耐熱合金を加工するための工具は競合他社も注力していますので、私たちも新製品開発に注力しているところです。」と意気込みを示した。

 明石製作所では開発環境も充実している。開発部の中に試験評価室と試作室が横並びであり、開発製品をつくって速やかに評価ができる利点があった。

 試作室は円筒状の素材があれば段研磨から刃付け研磨まで実行できる場所でもある。円筒研削盤および工具研削盤を保有し試作品を製作している。注目したいのは、それぞれの工具研削盤毎にNCシミュレーターを活用していることだ。そのシミュレーション結果を基に工具研削盤に転送して、そこで刃を付けて新しい工具が出来上がるわけだが、新モノは形状測定が必要不可欠。測定器も試作室にあるので、スライド式に即、測定ができるレイアウトだ。また、シミュレーションを活用して解析をすることで設計した工具が本当に良いものかどうかを検証することを行っている。切削工具の性能を握るコーティングについても開発環境が充実している。開発部で試作用に使用しているコーティング炉もあり、薄膜用の分析装置を保有している。

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多様な顧客のニーズに対応している

 これらの設備を用いてつくった工具を評価する場所もあり、加工評価設備をメーカーは一社に限らず複数保有している。ちなみに使用している切削油剤も複数種使用している。

 髙木課長はこの理由について「多様な顧客の要望に沿った試験ができるようにあえて様々な機種と油種を使用している。」と説明をしてくれた。

 試作の設備には放電加工機もあり、PCDダイヤを研磨するために使用しているという。歯科分野で活用されている最新設備もあった。

 またひときわ目に付くマシンがあった。マシンに桜と十二単の着物をまとった女性が描かれている。その横にいるのは女性の技術者だ。「機械のデザインを好きなようにして良いといってくださったので、見学しに来社した海外の方にも喜んでいただけるようにこのデザインを選定しました。わたしもモチベーションがあがります。」と話してくれた。

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