台湾TMTS展が6年ぶり単独開催 7万人が来場、オンライン展には11万人
急成長するインド市場に注視
会場に展示された工作機械は、昨年台北で開催されたTIMTOS2023に出展された製品が多い。主要メーカー各社の小間では、5軸マシニングセンタ(MC)や旋盤ベースの複合加工機をロボットでつなぎ、自動化による省人化を意識した出展が目立つ。さらに、デジタル化による省人・省力化と、二酸化炭素(CO₂)の排出量や電力消費量を抑え、総使用量やコスト、削減量までを管理するDXとGXを意識した出展が目立つ。ただし、DXもGXもいわば概念でしかなく、各出展者が自社の取り組みに胸を張るものの目新しさはない。日本のFA各社の取り組みと同様に、リアルタイムでの各情報の把握と管理以上の出展は見当たらなかった。
台湾メーカーの工作機械は、ファナックや三菱電機などの日本メーカー製のNCが搭載されるのが大半だが、ハイエンド機に搭載されるNCは例外。日本の輸出貿易管理令上、台湾は非グループA(旧ホワイト国)の扱いで、最新の日本製NCは輸入できない。最新のハイエンド機として出展された5軸MCや複合加工機のNCは、ハイデンハインやヘキサゴンなどの欧州製が多い。
台湾メーカーが主力市場と据えるのは、輸出額全体の約6割を占めるアジア、特にそのアジアの半分を占める中国市場(香港含む)と、中国に次ぐ米国、そして市場として急成長を続けるインドだ。TMBAの集計では、インドへの輸出は23年の輸出額で3位に付け、8.4%だった22年の構成比は23年には11.2%へと伸びた。インド一国で、オランダ(3.2%)やドイツ(3.0%)、イタリア(2.8%)の合計よりも多い。
展示を見ても、これまでの5軸MCや複合加工機で加工した曲面を強調したワークサンプルの展示や加工デモから、自動化や工程集約、省力化や省人化へと展示の目玉が変わり、新興工業国での、ユーザーの関心の移り変わりが見て取れる。工作機械メーカー各社がデモで使うロボットは、かつてはファナックや三菱電機などの日本勢一色で占められたが、今回は日本勢に加えてユニバーサルロボットやテックマンロボットなどを含めた、日本メーカー以外の協働ロボットの出展も目立った。
YCM、台中精機は今年70周年
1954年の創業の永進機械は、今年で設立70周年を迎えた。フルラインアップをそろえる同社は今回、DXとGXへの取り組みをアピールした。「グリーン・スマート・マシン・アライアンス」として、加工機に搭載されるボールねじやオイルクーラー、オイル循環装置、チップコンベヤー、ポンプ、ミストコレクターに至る全ての機器をコントロールシステムで一元管理する。周辺機器メーカー各社との協力が必要で、永進機械がシステムとしてまとめ上げた。台湾貿易センター(TAITRA)が優れた製品を表彰する「第32回年台湾エクセレンス2024」の金賞を受賞し、TMBAの「工作機械エネルギー節約レベル」で金賞を受賞した。
永進機械と同じ1954年創業で、同じく自社で鋳物工場を持つ「ビクター」ブランドの台中精機は「Green Goal」「Green Factory」「Green Machine」 の3つの「GS」に取り組み、ゼロカーボンへの変換とスマート製造とを組み合わせたとアピールする。展示したMCに協働ロボットを組み合わせ、加工後の部品測定を想定した自動化を提案した。狙うのは、同社が強みを見せる自動車業界へのアピールだ。