「世界切削工具会議(WCTC)2024」が大阪で開催 ~切削工具業界からみた各国製造業の現状と展望~

 

「インド政府は様々な優遇措置を提供し製造業の拡大を図っている」
●インド代表 Sunil Tanejya IND-SPHINX Precision Ltd(managing director)

 私たちの業界は2012年に結成された。現在70社が会員となっている。インドの切削工具全体の3分の2を代表する存在となっている。さらにインドには数多くのメーカーが存在している。インドは成長の先頭を切っている。

 今年のDGPの伸び率は、IMFにより6.3%から6.7%に修正されている。さらに4兆ドルを超える第4位の経済国になっていきたい。米ドルで10超ドルを10年後には目指している。

 インド政府は様々な優遇措置を提供し、製造業の拡大を図っている。まず、新たな工場についても税率が下げられている。ほとんどの製造に関して許可は不要である。製造については世界の工場になりつつあり、様々な機会を私たちの産業に与えている。インドには6,000万人が非常にデジタルにたけた人間であり、人口の50%の約75,000万人が若者で25才未満である。さらにインドの人口は3分の235才未満であり、これは約10億人に相当する。それだけ若い国である。

 2025年にはスタートアップの数が10億件となることで、レストラン、食品産業、航空産業、医療、国防分野にわたってこれだけのスタートアップが生まれ、さらにまたGDP7割が国内消費、内需によるものであり、これも大きなチャンスと言える。

 政府の見通しではエレクトロニクス、防衛、航空産業、インフラ部門が重要だということとで、製造業はGDP15%でしかないが25%を目指している。様々な製造が必要で切削工具業界においても非常に大きなチャンスである。インドはすでに世界の生産および消費においてはモバイルフォンで第2位、農業機械や装置は世界最大、二輪車の生産においては世界第2位、工作機械の消費量は15%の割合で増加するという見通しになっている。

 重要な成長部門として自動車、EV化が進んでいる。鉄道インフラこうした分野に関しては政府が多大な投資を予測している。過去4年間ではインドは19億ドルをこの分野に投資をしている。さらに様々な製造拠点が諸国からインドに移転している状況である。

 航空機産業は、インドの民間機3社があるが700の受注がある。国防・防衛産業は、防衛の消費、紅梅においても非常に大きな国の一つでファッション、インフラ、バッテリー、エレクトロニクス、医療、エネルギー部門、木工加工も非常に興味深い分野であり、切削工具産業としても重要なセグメントだと言える。

 資本財について製造では2023年に570億ドルとなっており、輸入は600億ドルだが、将来はさらに国内生産が増える。2030年までには1,060億ドルの生産にするのが目標。また、2031年には1,780億ドルの生産高にして生産財の純輸出国になりたい。自動車は重要な分野だが、3C、ディフェンス、航空、医療といった分野もどんどん解放されている。EVについては二輪も含め、2030年までに1,700万台が売れると予見している。

 エレクトロニクスは大きな労働力を吸収してくれる。多くの資金がエレクトロニクスに半導体も含めて投資がされている。軍需はGDPのうち2.1%が国防、防衛に投資がされている。現在のところは大半が輸入であるが、インド国内での生産を増やすことが政府の政策である。

 切削工具は、現在10億ドルベースで非常に小さい。3分の2は国内生産、3分の1は国外からの輸出である。切削工具業界はインドの自立を果たすために重要な貢献をしている。インド経済の成長はそれほど急速である。革新的な技術も必要で、先進的な切削工具を提供することで様々なチャンスをインドの産業は活用できるだろう。インドの切削工具市場は約10億ドル規模だが、10%の伸びで増えている。

 インドは切削工具の価格競争が大変激しいのだが、チャンスも豊富にある。メタルインジェクション、3Dプリンティング、様々な新産業の技術も出てきた。CFRPの使用も増加しており、様々な複合材の使用により、商業においての需要も増える見込み。

インドの切削工具産業の今後は、急速に製造部門全体が増加している。自動車以外の分野も伸びてきている。さらに政府はグリーンエネルギー政策を推進しているうえ、業界全体が輸出を重視している。将来インドは大きな輸出国になっていくと考えている。

課題としては、エコシステムはまだ十分ではなく育っていない。タングステンカーバイト、タングステンコバルトのような材料がないことが現在の課題であるが、これはチャンスでもある。ハイテク機械の製造もインドで遅れており、近代的な計測装置も不十分。今までは自動車依存だったが、これは急速に変わっている。切削工具センサーのエコシステムは、皆様にとっての大きなチャンスではないか。

 また、インフォーマルな日組織的な輸入が近隣国から入ってきているというのも課題である。政府も問題視しており、様々な対策を取っている。このことはインド国内の切削工具業界にとってはプラスのニュースである。私たちの組織は政府と緊密に協力している。そして製造業を拡大させていこうと貢献している。皆様がインドをベースに世界に輸出をしていこうということであれば嬉しい。検査システムがまだない、リサイクルもまだ充分ではないので、大きなチャンスでもある。皆様、ぜひインドにきて、私たちと一緒に成長してください。

 

 

 

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