「ファクトリーオートメーションで生産性向上に寄与」 牧野フライス製作所 宮崎社長に聞く

 

24時間工場内を稼働するために

5軸制御立形マシニングセンタ「DA300」とエディションのツールプリセッターとの間を製造支援モバイルロボット「iAssist」が行き来し、ツールやワークの交換を実演した

 

厚木事業所内で「iAssist」が実際に働いているところをじっくり見学。センサーは下についている

 昨今、労働人口の減少による人手不足の解消を目的に自動化・省人化・省力化への対応が急務だが、それを解決するための大きな提案の一つにロボットの活用がある。

 本年7月に、Aichi Sky Expoで開催されたロボットテクノロジージャパン(主催=ニュースダイジェスト社、共催=愛知県機械工具商業協同組合)でも、同社のブースでは、5軸制御立形マシニングセンタ『DA300』とエディションのツールプリセッターとの間を製造支援モバイルロボット『iAssist』が行き来し、ツールやワークの交換を実演して注目を集めた。

 この時、ロボットシステムをもっと身近に感じて貰うために、体験コーナーも用意していた。来場者は、前後左右で簡単に動くゲームコントローラーのような操作性の高さや、ある場所まで動かし、そこをポイントとして元の位置に戻るプログラムを簡単に組めるという簡易性に魅了された。

 この展示会ではデモとしては実施しなかったが、ユーザーから自動化の要望で一番多いのは、〝工具データをどうするか〟だという。同社の『iAssist』は、工具プリセッターに『iAssist』自身が工具を交換すれば、そこでデータも取れるのだ。ツール管理も複数システムで情報が多いと管理者の負担は増大するのだが、『iAssist』を活用すれば、活用しているツールプリセッターと同じものを活用しても工具測定ができるという。

 今回の取材で筆者も厚木事業所内で『iAssist』が実際に働いているところをじっくり見学した。

 『iAssist』はAMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボットなので自動的に人や障害物を自ら判断し、回避して移動できる特性を持っている。

 日本は海外と比較し、土地が狭いので、コンパクトにできているのも魅力だ。『iAssist』の幅は約700~800ミリ。1メーターほどの通路があったら自由に動けるという小回りの良さも魅力だ。なお、『iAssist』は、4時間ほど働けば、自ら充電に向かう。

 製造現場では、優秀で専門性の高い人の時間をどうやって生み出していくのか――も課題である。人でしかできない発想力が求められるクリエイティブな仕事は価値を生むにもかかわらず、そういった人材を育てるにも人手不足で人材教育の時間もままならないのが現状だ。データの混乱が起きれば、結局解決するのは人である。こうしたことから自動化できる単純作業は機械やロボットに任せて人間でしかできない仕事を十分に確保することを必要とする企業も多い。

 同社では、オンラインセミナーも充実しており人気を博している。2023年度は140回を実施し、約2万人が参加した。また、SNSでの情報発信も活発で、マキノファンは要注目だ。

 今年はJIMTOF開催年にあたることもあり、先述のトラックキャラバンもこの秋からは半導体製造装置のプロセスチャンバーの加工サンプルを展示することを視野に入れており、バーチャルでは訴求することが難しい加工の隅々までをリアルで見せるという取り組みに注力するとのこと

 宮崎社長は取材の最後に、「弊社にご依頼いただければお客様のご期待にお応えできることをJIMTOF2024にてご提案いたします。皆さまと弊社ブースでお目にかかれることを楽しみにしております。」と笑顔を見せた。

 
 

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JIMTOF2024