30周年を迎えたイスカルジャパン 岡田代表に聞く
1952年、イスラエルの建国直後に創業し、世界でも急成長を遂げている企業のひとつであるイスカル社。独創的でユニークな工具群で金属加工業界をリードし、高い評価を得ている。その日本法人であるイスカルジャパン(代表=岡田一成氏、本社:大阪府豊中市)が本年創立30周年を迎えた。
イスカル社は常に生産性を向上させる新製品の開発を続けており、あらゆる曲面で活躍する、高い品質と効率的な製造を実現するための最先端切削工具ソリューションを提供している。岡田代表にお話を伺った。
ひとり一人がプロ
― 5年前の25周年のときは代表に就任されました。当時を振り返って変化はありますか。
岡田 会社の組織に関しては、社内の責任と権限の明確化を意識し、マネージャを育成するプロセスを踏み出しました。ひとり一人がプロであり、それぞれが縦割りで自分たちのやるべき業務を実行することで競争力を高めつつ、一方で部門横断的に部門同士が競争していくよう注力したことが、5年前を起点とした変化です。
― イスカル社全体の方針はいかがですか。
岡田 5年前の2019年はイスカル社のCEOにイラン・ゲリが就任し、ここで良い変化が起きました。製品開発方針や適正コストでの製造、営業方針などについては過去から一貫しており、変わっていませんが、お客様へのアプローチに対するマーケティングやセールスのノウハウなどに関しては、近年、さらにアップグレードしました。
― 具体的にはどのようにアップグレードしましたか。
岡田 付加価値の高い製品を、付加価値の高いサービスとともにお客さまにお届けすることです。製品の開発、設計、製造は基本イスカル本社で行っていますが、市場において付加価値の高いサービスの提供を実施するのは、まさしく当社イスカルジャパンの仕事です。付加価値の高いサービスと共に製品を供給するという部分に、これまで以上にフォーカスして、アップグレードしていこうというのがイラン・ゲリの方針です。
― 時代とともに新しい材料が出てきますから、切削工具もそれに対応した提案が必要です。
岡田 イスカルの製品開発方針として「MACHINING INTELLIGENTLY (賢い機械加工)」というスローガンがあります。たとえば、イスカルの最新工具を採用することで、加工時間が短縮できます。時短が叶えばその分、加工ワーク当たりのお客様の収益に資するのですから、ただ工具販売に徹するのではなく、〝ユーザーの生産性と収益性に資する付加価値の高い提案をしよう〟と、イラン・ゲリは強調します。これは、結果としてイスカルジャパンが理念として掲げている、日本の製造業の生産性向上に繋がるのです。
イスカルでは、売上の5%を常に最新工具の研究開発に当てており、5~6年ごとに大々的に新製品シリーズを発表していますが、今年はまさにその年にあたります。来る11月に開催の新製品発表イベントやJIMTOFにてお披露目できることを今から楽しみにしております。