「日本のものづくりは金型とともに」 MOLDINO 金子社長に聞く

 

 

  工具メーカーとして独創的な切削工具を提供しているMOLDINO(社長=金子善昭氏)は、素材から開発・生産・検査まで自社完結し、加工全体を見据えた加工イノベーションで顧客の様々なニーズに応えている。特に金型製造の短納期化やコスト削減を狙った『PRODUCTION50™ ~加工半減~』は、製造費(時間的コスト)に着目し、高性能工具を活用することで加工能率を高めて金型加工におけるトータルコストの削減を実現し、ユーザーの利益拡大に貢献しているとして評価も高い。

 本年4月1日付けで社長に就任し、半年が経過した金子社長に現在の心境や今後の目標などについてお話しを伺った。

モノの価値を正しく訴求していく

 ― 金子社長は三菱マテリアルで一貫して国内外の営業活動に携わってきました。MOLDINOの社長に就任して心境の変化はありましたか。
 金子 経済変動や地政学リスクの高まりを受け、先が不透明になっているうえ、この先も予測がつかない状況にあります。お客様の価値やニーズは時代とともに常に変化するものです。決断を迷っている間にどんどん状況が変化してしまうことがあるので、早い決断と実行する行動力が重要だと考えています。
 ― 金子社長は前職でも国内販売組織の改革や再編という大きな仕事に取り組み、海外でも活躍されました。その中で思い出に残っている仕事はありますか。
 金子 当時の神鋼コベルコツール社との国内営業組織の統合と、流通販売網再編に携わる事が出来た事は大きな経験となりました。アメリカでは、日本で行っていた切削工具の営業手法が必ずしも通用しない場面もあり、文化の違いを思い知らされました。
 ― どのような違いを感じましたか。
 金子 日本と決定的に違う点は、価値を主張して価値を認めて頂くことに重点を置くことです。日本はどちらかというと、良品をつくっているのに価値を主張しきれないような気がします。海外では自信を持って品物の良さを主張し、理解してくれない人には認めてくれなくても構わない、くらいの意思表示をします。私がアメリカに駐在している5年間では、競合他社と比較されたとき、性能に基づかないような、単なる価格競争で値下げさせられた経験はほとんどありませんでした。
 ― やっぱりモノの価値を正しく訴求することは大切だと感じます。
 金子 自社の技術とその価値をしっかり説明して認めて頂くことで、お客様はその価値に相当する対価をお支払いするのですから、価値に対する対等な対価を求めるのであれば、価格競争に巻き込まれないようにしなければなりません。本来、そうあるべきなのです。

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