「日本のものづくりは金型とともに」 MOLDINO 金子社長に聞く
営業マンではなく〝加工改善提案人〟
― もう営業担当者は工具だけを売ればいいという時代ではないのですね。
金子 例えば欧州現地販社ではセールスマンという人は置いていません。現地ではプロセスオプティマイザーと呼びますが、日本的にいうと〝加工改善提案人〟です。モノを売るというよりも、お客様のお悩みをお聞きし、解決するための最適な方法の提案をするスタイルです。お客様のニーズやご要望を引き出して、それをまた新たな新製品開発ネタとして集約し、新製品の開発に繋げています。この提案活動は、専門技術に長けている人材が出張ベースでフォローすることもあります。
― 加工現場も変化し、しかも最近は人材不足が深刻化していますから、〝加工改善提案人〟の存在はありがたいと思います。
金子 昔はお客様の工場内に工具に詳しい職人的な人がいたものですが、最近、そういう方は本当に少なくなり、我々を頼りにされるケースも増えていると感じています。ですから、メーカーからのアプローチや加工改善の提案がより求められるようになっていますから、モノを売るというよりも、お客様のお悩みを聞いて、加工の改善のための提案で価値を認めていただく活動に軸を置いていきたいと思っています。
― 時代は労働人口の減少、デジタル化に自動化ですから加工現場もどんどん変わっていくでしょうね。
金子 どの産業でも、製造工程における課題を抱えていると思います。『PRODUCTION50™』の考え方は単に工具の値段を下げることによって加工費を下げようという考え方ではありません。工具そのものの価格は高くても、それ以外のプロセスに関わる様々なコストを下げようという考え方ですから、経済効果を狙う製造業の皆様には非常にフィットする考え方だと思っています。
― こうした製造インフラを強化することは国際競争力の向上にも繋がります。
金子 製造インフラの鍵を握る工作機械や切削工具、CAD/CAM、三次元測定機もそうですし、これらの技術が進化してきたのは、金型業界の存在があったからだと感じています。われわれの技術の進化は金型とともにあるといっても過言ではありません。私たちは金型業界の信頼できるパートナーとして皆様とともに頑張っていきたい。加工にお悩みがあったら一人で悩まずにぜひ、弊社に相談していただきたいと思います。
―ありがとうございました。