「ものづくりは工具で進化する」 不二越 トレンドを押さえて人気のバリレスシリーズを拡充!

 

 

昨年、市場に登場した不二越の『バリレスシリーズ』は、〝バリの極小化により生産性を飛躍的に向上する〟という画期的な製品としてユーザーの評価も高い。本年10月に発表された「令和6年度日本機械工具工業会賞」では「技術功績賞」を『アクアREVOドリル バリレス』が、「“超“モノづくり部品大賞」では「モノづくり日本会議共同議長賞」を『バリレスシリーズ』が、それぞれ受賞している。同社では、EV車の製造にあたりギガキャストやメガキャストの需要増を受け、このほど非鉄金属用(アルミ)用工具などを新たに開発、バリレスシリーズの拡充を発表した。この新製品は、本年115日(火)~10日(日)までの6日間、東京ビッグサイトで開催する「JIMTOF2024」で初披露する。

 今回は一足早く、被削材や用途に対応したバリレスシリーズの新製品にスポットをあて、同社富山事業所にて工具事業部 技術部に在籍する干場俊洋部長(以下干場部長)に話を聞くとともに加工デモ拝見、徹底取材を行った。

【事例】省人化に成功した『アクアREVOドリル バリレス』

干場部長

 昔はバリ取りといえば人が手動で行っていたが、近年、製造業では慢性的な人手不足により、この工程をいかに短縮するかが課題となっていた。こうした時流を受け、昨年、切削工具を進化させることでバリ取り作業の廃止や軽減に貢献する工具、『バリレスシリーズ』を開発した同社。市場投入したとたんに画期的な製品として大きな注目を浴び、本年10月に発表された「令和6年度日本機械工具工業会賞」では「技術功績賞」を『アクアREVOドリル バリレス』が、「“超“モノづくり部品大賞」では「モノづくり日本会議共同議長賞」を『バリレスシリーズ』が、それぞれ受賞している。

  この工具を使用したユーザーの評価は高い。実際にアウトプットシャフト(被削材SCM420H)の同径クロス穴加工を行ったところ、陣笠除去、手作業のバリ取り、検査工程を廃止・削減が実現し、省人化に成功、大幅な時間短縮とコストダウンを叶えた。

 また、油圧部品であるスリーブ(被削材S45CF)の異形クロス穴を加工する企業では、送り速度15倍でもバリの発生がなかったため、バリ取り工程を廃止しており、工具寿命も10倍を達成したという。この企業は、400名のうちなんと70名がバリ取りをしていたというから、経済効果の高さに驚いたことだろう。

送り速度15倍でもバリ発生がなくバリ取り工程廃止に導き、工具寿命も10倍達成の実力工具

 

 干場部長は、「私たちがバリレスシリーズを開発したのは、2020年にバリで困っているお客様の生声を聞き、それを改善することが工具メーカーであるわれわれの使命だと思い、開発をスタートさせました。切削加工でバリが出るのは当たり前、バリ除去には費用と工数がかかるのも仕方ないという諦めに似た固定観念をくつがえし、加工時に発生するバリを抑制しつつ、加工能率を下げずに工具も長寿命にするという画期的な工具をつくることに挑戦し、バリレスシリーズが誕生したのです。」と話す。

 バリレスの定義について尋ねると、「多くのお客様にヒアリングを重ねて40μm以内をバリレスと定義としました。」と干場部長。開発に苦労した点を「形状開発には苦労しました。ドリルは特に苦労したひとつです。コーナーをRにしただけでは加工穴径が安定せず、切りくずも伸びてドリルに巻き付くのを改善するために、何度も形状を変えて試作を繰り返しました。」と述べた。

 なお、2023年12月に市場投入したバリレスシリーズは、2024年8月までの間、約320社、367案件で採用が確認され、販売実績は12月から7月で約1.9倍に増加しているという。昨年登場したバリレスシリーズを使用したユーザーの主な効果は以下の通り。

 ■ド リ ル:中空形状のワークでの採用が多く、手作業のバリ取り廃止効果を認めた。
 ■タ  ッ  プ:ステンレスやMCナイロン、樹脂系材料の切りくず改善と検査工程縮減で効果を認めた。
 ■エンドミル:部品の上面バリの除去工数の低減。薄肉ワークの加工でビビリ抑制に効果を認めた。

 干場部長は、「幅広い分野でバリレスのニーズがあることが分かりました。バリ取り作業の廃止や低減で、工程集約による加工時間と検査時間の短縮が実現します。」と自信を見せたあと、「現在、地球温暖化対策の観点から、世界的にガソリン車の生産は抑制されるうえ、自動車の技術革新はどんどん進んでいます。また、自動車だけでなく、建設機械も電動化が進んでいるため、アルミ加工の需要は増えると思われます。こうしたニーズを受け、今回は新しくアルミ専門のバリレス工具を開発し、他にもシリーズを拡充しました。一度使ったら止められない、止まらない、そんな工具だと自負しています。」と新製品の市場投入に意気込みを示す。

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