ミネベアミツミ製の新設計ボールベアリングが大塚ローテック製機械式腕時計「5号改」採用
ミネベアミツミ(会長 CEO=貝沼由久氏)が、このほど新設計極小ベアリングと世界最小ボールベアリングが国産時計ブランドの大塚ローテックの機械式腕時計『5号改』に採用されたと発表した。
大塚ローテックは、時計会のアカデミー賞と呼ばれている「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ2024」のチャレンジ部門でグランプリを受賞した現代の名工である片山次朗氏の国産時計ブランドで、『5号改』は、衛星のように周回する文字盤と固定されたメモリが組み合わさって時間を刻む〝サテライトアワー機構〟を搭載した初の国産腕時計であると同時に、世界で初めて、"時ディスク"自体をピンやボールベアリングに当てて切り替えるサテライトアワー機構(東京時計精密調べ)の機械式腕時計。
世界最小ボールベアリングが活躍
機械式腕時計では、"秒ディスク"で駆動確認および秒表示をおこなう。「5号改」では、"秒ディスク"の中心の5時位置にミネベアミツミの世界最小ボールベアリング(外径1.5mm、内径 0.5mm、幅0.65mm)を使用することで、時計全体の円滑な駆動を支えている。
一方で、時ディスクでは、回転により表示時間の数字切り替えをおこなっている。なお、時ディスクが周回する際のガイドローラーとしてボールベアリングを使用する場合は、時ディスクを円滑かつ瞬時に切り替えるために、腕時計の部品として最適なサイズでありながら高剛性のボールベアリングが不可欠とされている。そこで、今回ミネベアミツミでは、時ディスクのガイドローラーの役割として設計要求を満たす新設計の極小ボールベアリング(外径2.5mm、内径1.0mm、幅 0.8mm)を『5号改』のために、新たに開発、新設計極小ボールベアリングにより、『5号改』は、世界で初めて時ディスク自体を直接ピン等に当てて切り替えるサテライトアワー機構を実現した。
ミネベアミツミの貝沼会長 CEOは、会見の席上で、「日常において皆さま朝起きてから夜寝るまで、われわれの製品に関わらない日はないというほど、世界でも類を見ないほど幅広い分野で皆様の生活を支えていると自負している。特に当社の祖業である外径22ミリ以下のボールベアリングについては、現在、月約3億個つくっており、世界の60%のシェアを持っている。今回はわれわれの幅広い製品の中で、私どもの原点である極小サイズのベアリングを現代の名工である片山先生の最新機械式腕時計『5号改』に採用していただけるということになった。」と述べ、「通常われわれの部品は、いつも陰に隠れて縁の下の力持ち的な存在だが、この『5号改』では、常に見えるところに私どものベアリングが時計の肝であるサテライトアワー機構というムーブメントシステムの中で大きな役割を担う、なくてはならない製品として活用された。今回の採用に関しては、心よりうれしく感じるとともに、当社の超精密技術を世界的にも有名な時計師である片山先生に評価されたことは大変名誉なことである。」と喜びを滲ませた。
また、「腕時計をベアリングに使用する場合は、サイズが非常に小さいことはもちろん、何十年とオーナーの皆さまに愛されて、時を刻んでいくためには、高い強度も必要である。デザイン、技術、情熱、こだわりというものが詰まったオンリーワンの時計には、われわれのオンリーワンの部品が不可欠である。今回採用された当社の2種類のボールベアリングは、いずれも極小サイズでありながら超精密で高耐久性、高品質性を兼ね備えたものである。これは70年以上、ボールベアリングをつくり続け、超精密加工技術を磨き上げ続けてきた当社にしかつくれないオンリーワンの製品である。」と自信をみせた。