「TIMTOS2025」リポート ~台湾TIMTOSが30回目の節目 最大輸出先・中国から来場なく異例の開催~

 

米国市場にどれだけ食い込めるか
 

台北世界貿易センターに出展したSOCOブランドの和和機械のブースでは加工実演をやめてしまった。

 米国では第2次ドナルド・トランプ政権での、高関税と米国製造業優先主義で、製造業の置かれた状況に変化をもたらしている。大統領選挙を前に、様子見だった設備投資が息を吹き返しつつある。航空宇宙産業では、ストが終息したボーイングを筆頭とした航空分野と防衛分野で設備投資への意欲が戻りつつある。自動車産業では、伝統的な内燃機関からEVなどの新エネルギー車へのシフトに影響をもたらした。内燃機関やハイブリッド車向けの設備投資が一部で始まった。しかし、為替の影響で、一部の特徴のある大型旋盤やMC以外は現地の設備投資意欲に応えらず、台湾メーカーは成果を出せずにいる。
 

 TAMIは2025年の見通しについて、2024年比10%増を見込む。米国の製造業復興やAIサーバー関連の需要増、インド市場開拓などを背景に、台湾製工作機械が反転のタイミングにあることを強調している。業界関係者が最も成長を期待する市場はインドだ。しかし、現状ではインド市場で得られる受注は、失った中国分を補うには程遠い。新型コロナウイルス禍前の2010年代後半は、台湾の工作機械業界は一時トルコを有力市場に挙げていたが、トルコ経済は10年ぶりの景気後退から脱していない。
 

 工作機械メーカー各社への取材でも「米中摩擦と為替には、自分たちでは手の打ちようがない」との意見がほとんど。Femcoブランドの工作機械メーカー遠東機械工業の莊宇龍総経理は、顔を合わすなり日本語で「全然ダメだね。どうしようもない」と苦笑いする。
 

 かつて、台湾の工作機械メーカーが進出した市場は、後に必ず日本メーカーの顧客へと成長してきた。工作機械の需要がひと息つけば、後継機は従来との差別化のため、より高品位の加工が求められ、それを実現できる日本製工作機械の需要が高まるためだ。台湾メーカーが掘り起こした市場は、やがて日本メーカーが深掘りする。台湾メーカーのユーザーはいずれ、日本メーカーのユーザーへと変わるのだ。自動化や省人化への要求が高まれば、より高度な製品やシステムが求められる。今後も台湾メーカーとその製品の動向に注目していく。

 

 

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