工具製造技術と研削加工の専門技術展「GTJ2025」をレポート ~今年初開催「SiC,GaN加工技術展2025」も同時開催~

3月5日(水)~3月7日(金)までの3日間、幕張メッセ8ホールで開催されたGrinding Technology Japan2025」(略称GTJ2025)(主催=日本工業出版、産経新聞社)が開催され、研削加工技術、工具製造技術に関する最新情報を発信した。研削加工分野でも自動化、無人化の動きは加速するに伴い、技能、ノウハウに関する情報も豊富に展開していた。併催した本年初開催となる「SiC,GaN加工技術展2025」も、先進パワー半導体ウエハの量産化ニーズの高まりをうけ、高額な加工コストのの低減が課題とされているが、これらの課題解決に向けた提案がなされていた。
専門性の強い展示会
この展示会は〝現場の答えが見つかる展示会〟として専門性の高さが魅力であり、来場者も真剣に機械設備などを見学している様子が分かった。
アマダマシナリーは、昨今の人手不足や技能人材不足の対応に向け、研削のノウハウをデジタル化し、高度な加工を支援する同社最新のソリューションを展開。今回注目したのは、高精密成型研削盤『MEISTER-52 UP』。このマシンは同社MEISTERシリーズの最新モデルで、テーブル左右ボールネジ駆動により、ハイレシプロ、クリープ研削から高精度な位置決めなど幅広い加工と自動化が可能様々なアタッチメントを搭載可能なハイコラム仕様で、汎用操作にも自動化にも対応できるオールラウンドマシン。今回このマシンの自動化ソリューション「外周研削仕様」では、①外周研削を可能にする2軸搭載マルチワーク旋回装置(チップの場合、外周研削及び逃げ角の加工が可能)、②複数連続加工を可能にするワーク搬送機能(搬送ハンド・ストッカーロボによる連続自動運転機能を搭載)、③自動化システム対応8ワークの自動計測・補正加工機能、及びスケジュールソフト)を搭載していた。
他にも脱炭素社会に向け、鉄を錆びさせない・環境を汚さない『SAIW』の効果を展示。これは水でありながら錆を起こす要因を持たないもので、高いアルカリ性を塩素を含まずに生成することで「錆びない水」を作り出すことができるもの。この製品による洗浄・完走後のワークは一定期間アルカリの影響を受けていることで、防錆び状態が続くものである。

タングステン・モリブデンなど高融点金属材料の精製・素材製造・加工技術に加え、ダイヤモンド精密工具の製造や精密加工技術を有するアライドマテリアルは豊富な商品群を展示していたが、中でもドリル/エンドミル 溝研削ホイール『フルートマスター®』は、油性研削液を使用したクリープフィード研削で威力を発揮するものとして披露されていた。特長は、耐摩耗性に優れているのでドレッシングインターバルが長くなるうえ切れ味も良好なことから高能率加工が実現し、工具コストが低減されること。この工具は、牧野フライス精機が展示していた高精度CNC工具研削盤にも搭載されていた。
スペースの有効活用を考慮したコンパクト設計の工具研削盤を展示していた宇都宮製作所。展示していた『TGR-016α』は、同社016シリーズの中でも一番小さいもので、ドリルの刃先研磨に特化したマシンだ。また、今回はインサートチップ各種も加工できるようにした新機能を搭載したのに加え、従来はドレス装置が無かったが、このマシンは加工している最中もドレスをしながら加工できる機能もあった。