工具製造技術と研削加工の専門技術展「GTJ2025」をレポート ~今年初開催「SiC,GaN加工技術展2025」も同時開催~
脆性材加工の課題解決に向けて

見どころ満載だった岡本工作機械製作所が展示していたグラインディングセンタ『UGM64GC』はマシニングベースの機械で、トレンドである半導体業界の装置部品の供給サポートとして力を発揮するマシンとして注目を集めた。マシニングセンタと同じようにツール交換を行いながら荒取り仕上げや形状の測定を一連のサイクルの中でできるような仕様になっている。回転テーブルはφ600mm標準搭載したことで、丸物ワークへのアプローチ性が向上している。ATCによるツール自動交換は20本まで対応(BBT-40)。

また、同社で注目したい点は、現在、研究開発の究極の半導体材料ダイヤモンドウェハ加工の課題である加工時間が長く製造コストが高いなどの点を取り上げ、課題解決を提案していたことだ。同社では、この加工手法や工具について想定される、例えば、金属汚染や工具摩耗、形状精度などを一覧にまとめ、各種加工方法を含め様々な手法を提供していた。なお、同社では製品・技術発表会でも、超精密・鏡面加工、機上計測、自動化、脆性材加工をテーマにした製品と技術の紹介や、SiC インゴット研削からウェハ最終仕上げポリッシュまでの生産性向上の提案を行い、聴講者で溢れていた。
ジェイテクトマシンシステムは、研削加工が難しいワークの表面を砥石で効率良く加工する2頭研削機、硬脆材料ウェハ研削盤『DDT832』の本物そっくりの模型を展示し注目を集めた。このマシンの特長は、T型コラムによる新たなスピンドル配置(V字配置)にしたことで機械本体のスリム化を実現したこと。画像処理により搬送の高速化・トレーサビリティーの強化により、ウェハ芯ズレ・位相ズレ補正、加工前後のウェハ割れ確認などもできる。
太陽工機は、『Vertical Mate 85 2nd Generation』を展示。同社はDMG森精機の子会社だが、このマシンの特長にはDMG森精機製のスピンドルspeedMASTER砥石軸を搭載し、最大出力18.5kW、トルク35.3N·m、最高回転数10,000min-1を実現している。操作盤は、大画面のタッチパネルと押しやすいハードボタンが組み合わされ、人間工学に基づいた専用設計に基づき直観的な操作性に優れた〝ERGOLine X sith CELOS X〟を採用することで、視認性が向上し、かいてき勝つ安全な操作を実現している。また、DXへの対応、セキュリティを強化していることで安心性を高めていた。