工具製造技術と研削加工の専門技術展「GTJ2025」をレポート ~今年初開催「SiC,GaN加工技術展2025」も同時開催~

 

難加工も自動化で能率アップ

AI予測を披露!

 砥石軸内にセンサーを内蔵した『NPXスピンドル』を披露したナガセインテグレックス。従来は、研削抵抗を見られるシステムは動力計だったり、テーブルの上に置いて測定するなどの手法があったが、スピンドルに内蔵することによって得られるメリットは、ユーザーの実際の加工製品に研削抵抗を取得できることにより、実製品で加工条件出しができることである。これらのデータをリアルタイムで来場者に見せており、活用法を提案していた。その一例として、〝AI予測〟という画期的なテクノロジーを披露! 先ほどの研削抵抗を取得して加工したワークの精度を測ったデータ(加工結果)を結びつけて学習させることによりデータも蓄積される。

GRAIDE EYE®

 これらの出来上がったモデルに、削った状態の研削抵抗を与えると、どのワークの精度の時の研削抵抗に近しいか、ということをAIが判定するという。これにより予めワークの精度を予測することができるので、大型ワークであればワークの上げ下ろしの時間も短縮される。まだこの技術は販売には至っていないが、近い将来、加工現場に役立つ技術として登場することになるので、今から期待が膨らむ。他にも砥石回転中に砥面を高速撮影し、AI解析により不具合の予測やドレス時間を示唆する『GRAIDE EYE®』も展示していた。

 

 

 

 

AGE30FX

 高精密CNC工具研削盤を展示していた牧野フライス精機。『AGE30FX』の機械本体は熱変位による姿勢変形の影響を最小限に抑えた左右対称構造が特長。連続加工時の加工安定性を長時間維持し、高精度工具を安定して生産可能にしている。また、近年は労働人口の減少から自動化ニーズが高まっているが、このマシンにはワークを最大780本収納可能な自動ワーク交換装置〝LVBローダ〟が装備されている。また、自動ティーチング機能により、大幅な作業時間短縮が実現した。

Tool Creator®で簡単に加工プログラムが作成できる

 他にも高精密CNC極小径工具研削盤『DB1』も展示していた。いずれのマシンも自動化を支えるためにはソフトウェアが重要になるが、同社の『Tool Creator®』は、標準工具から特殊工具まで対応する同社の第3世代ソフトウェア。画面に従い工具パラメータを入力していくだけで簡単に加工プログラムが作成できるスグレモノである。しかも作成したプログラムを実加工前に形状や干渉チエックを素早く行うことができるうえ、図面データから加工プログラムを自動で作成することが可能だ。オプションとして、各種測定器で測定した値をTool Creator®へ反映させたり、機械本体や工場内温度、加工時間、補正値などを表示可能になるなど、自動化を想定し様々な外部機器との連携やデータの読み込みなど、高度な拡張性能を披露していた。

 

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