工具製造技術と研削加工の専門技術展「GTJ2025」をレポート ~今年初開催「SiC,GaN加工技術展2025」も同時開催~

 

加工サンプルは物語る

SiCへの形状加工

 既存の機械加工では加工が難しい脆性材。牧野フライス製作所は、実機はなかったものの、レーザ加工機『LUMINIZER』(ルミナイザー)シリーズで加工をしたサンプルを展示していた。『LUMINIZER』シリーズのメリットは、水と空気の境界面での全反射減少を利用してウォータージェットでレーザを誘導、これにより切断面がテーパ形状にならないと同時にウォータージェットは熱影響を抑えて加工くず除去の役割を果たすことである。

SiC 傾斜20°の傾斜加工 

 今回は、SiC形状加工のサンプルでは、スリット形状やφ0.5~10mmの丸穴、スリット形状、ハニカム形状が加工されていた。他にもSiCへの傾斜穴加工のサンプルがあった。一瞬、シャープの芯が刺さっているようにも見えたが、穴径φ0.5、厚さ10mm、角度の付いた穴加工でも少ないチッピングを披露しており、加工時間については、15°が11分30秒/1穴、20°が12分30秒/1穴。


 

使い勝手を極めたジグ研削盤『J350G』

 精密金型加工に必要不可欠なものといえばジグ研削盤だが、三井精機工業は、高精度と使い勝手を極めたジグ研削盤『J350G』を展示。このマシンの特長は、砥石自動切込み(U軸)は-3~+50mmという広範囲なストロークを実現していること。同社調べではこのストロークはあらゆるジグ研削盤の中でも最大とされている。遊星回転で穴径の異なる穴を加工する際でも1本の砥石で小さな穴から大きな穴まで連続で自動加工することができる。

ステイオンタブ金型

 今回はさらに、豊富な加工サンプル品を展示していたが、その中で、多くの人々がお世話になっていると思われる缶ジュースや缶コーヒーのタブの金型があった。われわれは、タブに指を入れて引っ張って飲むのだが、鉄板はひとの手で引っ張っても切れないものなので、これに切り込みを入れるのだが、ただ単に切り込みを入れるだけではタブは簡単に開かないので、徐々に鉄板が切れるよう微妙な曲線が作られている。山谷の溝の高さがミクロン台という厳しさなのだ。わたしたちの生活を豊にするためのモノの裏には、こうしたマシンが支えているということが分かる展示だった。

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