一足早くフランクフルトで開催された『EMO ハノーバー2025』プレビューイベントを徹底レポート!

今年で50周年を迎えるEMOハノーバー(EMO Hannover:主催=ドイツ工作機械工業会/ドイツメッセ)が本年9月22日(月)から26日の5日間、ハノーバー国際見本市会場で開催されるにあたり、一足早く『EMO ハノーバー2025』プレビューイベントが7月10日~11日の2日間、ドイツ・フランクフルトで開かれた。2日目はダルムシュタット大学・ETAファクトリー(エネルギー技術と生産応用のコンピテンスセンター)にて研究プロジェクトを取材した。この様子をレポートする。
EMOプレビューイベントとは

EMOハノーバーは、世界最大級の工作機械見本市であり、工作機械や、切削工具、周辺機器だけでなく、ソフトウェアやデジタル化・自動化など製造業のグローバルな技術トレンドを発信するものとして国際的にも高い評価を博している。また、次世代製造業の方向性を示す貴重な場としての役割はもちろん、出展企業にとっては世界を相手に商談する絶好のチャンスでもある。
プレビューイベントの初日、フランクフルト市内のNiederrad(ニーダラート)地区にあるドイツ工作機械工業会(以下VDW)の入っている建物に向かった。青空のもとてくてく歩く。強烈な暑さの日本と違い、さらっとしたそよ風が心地よい。目的地前にEMOのロゴが入った〝のぼり旗〟がヒラヒラとなびいており、敷かれている赤絨毯が「ここだよ!」といわんばかりに入り口を示してくれた。国際的な業界専門メディア関係者や製造業界に携わる有力企業の方々が続々と建物内に入っていく。
イベント会場に到着すると受付を済ませ、それぞれ席に着く。日本人は私を含め4人のみ。通訳がないので、心細いものの、今はスマホ1つで言語の壁をそれなりに越えられるので、この時代に生まれたことに感謝しなければなるまい。
今回のプレビューイベントに参加した出展企業は26社。各社が登壇し、それぞれプレゼンをするのだが、そのスピードに驚いた。なんと1社90秒しか持ち時間がないので、駆け足で訴求していく。多くの企業がタイムオーバーとなり、ピコピコピーンとベルが鳴らされ、次の登壇者が登場する。90秒で説明をまとめた企業もあり、会場からは大きな拍手が送られていた。この中で気になった企業については、後ほど説明する。

VDW専務理事のマルクス・ヘーリング博士が、業界の主要トレンドや話題について、展示会準備の最新情報とともに講演した。パネルディスカッションでは、ミュンヘン工科大学のミヒャエル・ツァー教授と、スタトワーク社のゼバスティアン・ハインツ氏が、製造業における人工知能の未来について活発な討論を繰り広げ、最後に、ジェイソン・マイヤーズ氏が「Alliance country Canada@EMO 2025」の新しいコンセプトを紹介した。
ところでEMOの〝アライアンスカントリー〟をご存じだろうか。ざっくり言うと、その国の製造業や技術力にスポットを当てて紹介するもので、今回選出されたカナダは、航空宇宙やグリーンエネルギー、医療機器などでも高度な技術を持っており、特に注目したいのは再生可能エネルギーと持続可能な開発を強烈に推進していることだ。EMOハノーバーでは「環境と連動する製造業」の視点から、技術紹介が行われるので、注目したい。