扶桑精工 松山社長×牧野フライス製作所 宮崎社長 ~時流に合致したビジネスとは~

 

現場との対話を通じて一緒にものづくりを良くする

 ― 大手企業の場合は細かい業務に多くの工数をかけるとスケールメリットが働きにくく、コストに見合わない、という側面があります。
 宮崎 実は「生産中止になった機械を新品で買いたい。」とのご要望もありますが、正直、これは非常に大変な作業になります。鋳型などなにもないので生産中止になったものは新しくゼロから生産しなければならず恐ろしく手間がかかってしまう。もちろん価格もそのぶんハネ上がります。それでも、その機械を必要としているお客様の喜ぶ顔が出てくると、「うーん、やりましょうか。」とお客様のお望みの機械を作ってしまうのがマキノなんです(笑)
 松山 難しい案件でもユーザーニーズに真摯に対応する点がお客様から信頼され、頼りがいになっているのかもしれません。
 宮崎 ありがとうございます。最近は次世代モビリティ、インフラ関連投資やコロナ後の航空需要回復に後押しされ、5軸機と大型機械の需要が増加しています。このニーズに応えるため、現在、富士吉田工場の隣接地に工場を新たに建設中であり、生産リードタイムも半減する目標を掲げています。
 松山 技術を売るということは大変なことだと思います。大手工作機械メーカーのトップとして心がけていることはありますか。
 宮崎 営業に〝こうあるべき〟という決めつけがあってはならないとは思っています。求められるものは、時代や環境、お客様によって変わるものです。今の時代は全てにおいて変化するパラメータが大きすぎるのだから、柔軟な発想をもってお客様のご要望に叶ったものを提供するよう注力しています。工作機械は世の中のあらゆる製品を生み出す源泉ですから、私どもは〝お客様のお困りごとに寄り添う〟ことに重点を置いています。単に機械を何台売るか、と目先の数字を追いかけることばかり考えると、目の前にいるお客様の生産性向上や課題解決がおろそかになり、いずれは信頼と長期的な競争力を失います。お客様との対話を通じて一緒にものづくりを良くする姿勢を持つことが大切だと考えています。

MOLDINO

 

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