主戦場は準ハイエンドへ ~「TMTS2026」に見る日台の競争軸~
台湾国際工作機械展(TMTS2026)が3月25日から28日までの4日間、台湾・台中市の台中国際展覧館(TIEC:Taichung International Exhibition Center)で開催された。750社が4300小間を出展し、80カ国から7万人超が来場した。工作機械産業の競争軸の変化を浮き彫りにする場となり、会場では機械単体の性能よりも、生産ライン全体での効率や柔軟性を訴求する展示が目立った。日本と台湾の工作機械業界の力関係も、新たな局面に入りつつある。
【台中=是州煩太(文・写真)】
8年ぶりの地元開催
TMTSが発祥の地でもある台中で開催されたのは8年ぶり。新型コロナウイルス感染症の拡大での開催中止や、台北国際工作機械見本市(TIMTOS)との合同開催、新たな会場となったTIECの建設の遅れなどから、二度の台北での開催を経て台中に戻った。展示棟と会議棟を併設した、TIECのこけら落としの開催となった。
8年ぶりの地元開催には混乱もあった。台湾の工作機械メーカーで、売上高で上位3社に入る「Victor」ブランドの台中精機が出展を取りやめた。年始に自社で開催する展示会の優先度を高めた、というのが公式見解だがそれは建前。TIECが思いのほか狭く、主催者が各出展社に対し小間数に制限を設けたため、自社製品やサービスの魅力をアピールし切れないと判断したためだ。台中精機はTMTSの開幕に合わせ、自社の交流サイト(SNS)と日刊経済紙の別刷り特集面で不出展の理由を発信した。
台中精機のほかにも、日本のオークマとの合弁メーカー大同大隈のほか、プレス機やベンディングマシンメーカー、自動化の要となるロボットメーカーの出展は一社もなかった。まとまった小間数を確保しようと、製品ラインアップで重複しないメーカー同士が共同で出展する例も複数見られた。
高度化局面を示す統計
グラフは、台湾の工作機械輸出額と日本工作機械工業会(日工会)の外需の推移を示したものだ(単位:億米ドル)。統計に入れる機械の種類などが違い、単純比較はできないが、おおむね同様の動きを見せる。
2024年末から2025年前半にかけて、台湾の輸出は1.9〜2.0億米ドル前後で推移した後、夏場にかけてやや弱含み、2026年初には1.3億米ドル前後まで低下した。
一方、日工会外需は2025年夏場にかけて一時低下したものの、その後は持ち直し、2025年末には7億米ドル台後半まで回復している。ここから読み取れるのは、単純な需要減ではない。台湾側の輸出がやや弱含むなかでも、日本の外需は回復しており、市場全体が縮小しているわけではない点だ。夏季の弱含みは、米国の関税政策への対応で、台湾と日本の対応が割れたためだ。
むしろ、台湾機械工業同業公会(TAMI)の別の統計では、2025年は輸出が減少する一方で輸入が約4割増と大きく伸びている。台湾メーカー各社の工場の稼働率の低さは否めないが、閑散期に高性能機の導入を進めながら、自国産業の高度化を図る局面に入ったとみられる。



