「昨日より今日、今日より明日へ」 和井田製作所 和井田会長兼社長に聞く

グローバル競争の激化、サプライチェーンの変動、さらには人手不足を背景とした自動化・無人化の加速など、製造業を取り巻く環境は、かつてないスピードで変化しているが、創業から93年。時代が大きく揺れ動くなかでも、地道に進化を続けてきた企業がある。岐阜県高山市に本社を構える和井田製作所(会長兼社長=和井田光生氏)だ。開発型企業として難削材料の研削に向き合い、技術を磨き続けてきた。
かつて欧州で味わった悔しさをバネに、いまや海外売上比率は60%を超え、グローバルニッチトップとしての地位を確立。さらにその先にある「グローバルエクセレントカンパニー」への進化を見据えると同時に、次世代へものづくりの火をつなぐ教育活動にも力を注ぎ、人づくりというもう一つの価値創出にも挑んでいる。なぜ和井田製作所は、時代がどれほど変わろうとも価値を失わず、選ばれ続けるのか。原点と戦略、未来への布石について、和井田会長兼社長に話しを伺った。
止まらない進化の原点にあるもの
― 貴社は創業から93年もの長い間、事業を継続してきました。
和井田 『常によりよいものを求め、止まることなく歩み続ける』という創業以来の企業理念は、一度も揺らいでいません。時代の変化に応じて、世の中の役に立ち、お客さまに喜ばれる機械を提供するため、技術を磨き続けてきました。〝昨日より今日、今日より明日へ〟確実に進化し続ける企業でありたい。私たちはBtoBビジネスなので、あくまで産業の裏方ですが、産業の屋台骨を支えているという自負と矜持も持っています。だからこそ重視しているのが、お客さまとの対話です。開発型企業として、表に現れたニーズだけでなく、水面下にある将来の要求をどこまで汲み取れるか。その一歩先を読み取る力こそが、次の価値を生み出すと考えています。
― この持続力の理由をどのように見ていますか。
和井田 一貫して大切にしてきたのは先ほど申し上げたとおり、お客様との対話です。ニーズとシーズの両方を見極めながら、それをどう具体化していくか。その積み重ねが結果として持続に繋がっているのだと思います。
― 機械を顧客に提供するということは〝顧客の儲かる構造〟まで踏み込んで提案できるか、ということも必要になってくると思います。顧客との関係づくりで重視していることを教えてください。
和井田 重ねて申し上げますが当社が最も重視しているのはお客様との直接対話を通じてお客様の真意をしっかりと理解し形にすることです。それにより適切な価値を認めていただくことが将来への糧となっていきます。この様な考えを長年続け今の体制を作って参りました。もちろん機械商社や代理店とも一緒に仕事をしており、その場合もお客様から直接意見をいただけるような形作りをしています。
― 直接対話にこだわる理由はなんでしょうか。
和井田 やはり現場を見なければ本当のことは分かりません。私自身も定期的にお客様のもとへ足を運び、経営トップや製造責任者と直接お話しをするようにしています。営業担当者を通じた情報ももちろん重要ですが、それだけでは〝見えないもの〟があります。自分の目で見て、自分の感覚で捉えることで、素早く本質に近づけることもあります。最終的に重要になるのは、人と人とのつながりです。どれだけ技術があっても信頼関係がなければ次にはつながりません。だからこそ、定期的にお客様と顔を合わせ、対話を重ねていくのです。こうした積み重ねこそが関係性を深め、次の価値を生み出す土台になると考えています。



