「現場変革の担い手へと進化」 北川鉄工所 キタガワ グローバルハンド カンパニー 松葉社長に聞く
自動化、精度、現場への展開力! 工場内には特長的な研究エリアも!
「工場のコンセプトは『自動化を極め、品質を極める』です」。そう語るのは営業推進室の宮野さんだ。自動化の徹底は、単なる効率化ではない。身体的・精神的な負担を減らし、人にもロボットにも優しい環境をつくること。その考えのもと、工場内は段差を極力排したバリアフリー設計となっている。
昨年1月に稼働した『FACTORY Ⅰ』では、『BRチャック』『スクロールチャック』『グリッパ』といった主力製品を生産。設備の稼働状況や工程進捗を可視化するなど、DXの推進も進んでいる。
工場内に足を踏み入れると、まず驚かされるのは“人の少なさ”だ。最初に見学したのは、BRチャックの部品自動加工ライン。目の前には黄色いロボットが並び、1つのセルで5工程を自動処理していく。成形後のワークは焼き入れ工程へと送られ、その後はAGV(無人搬送車)によって仕上げ工程へとスムーズに搬送される。
このBRチャックの部品自動加工ラインには、同社の自動化技術『BR-AJC』(旋盤用チャックのジョー自動交換システム)が組み込まれている。ロボットがジョーの交換まで担い、無人で多品種少量生産を実現する仕組みだ。さまざまなインチサイズのBRチャックに対応し、サイクルタイムは15分。月産1500台という高い生産能力を誇る。
さらに印象的だった自動加工ラインでは、カメラによるワーク認識を活用し、向きを自動判別。最適な姿勢に補正したうえで工作機械へ投入する。この工程では、自社製の円テーブルと特殊チャックが重要な役割を果たしている。サイクルタイムは1個あたり10分、月産750台の能力を持つ。
こうした生産設備技術は、自社製品の製造にとどまらない。顧客の現場にも展開できる点こそが、同社の大きな強みなのだ。
続いて案内されたのは、詳細非公開の仕上げ加工エリア。ここでは徹底した温度管理が行われており、高精度加工を支えている。扉が開くとAGVが現れ、ワークを研削機へと運び込む。
組立工程では、自動倉庫と連動した効率的な仕組みが構築されている。必要な部品を選択すると、自動で集荷され、そのまま組立・出荷準備までが一貫して進む。
研究開発エリアでは画期的な取り組みが行われる。カスタマーサポートセンターが顧客向けの保全教育を実施する場にもなっていたのだ。チャックのグリスアップや切りくず除去など、実践的なメンテナンスを学べるスクールを開催したり、さらに社員の家族を招いてパパママの仕事を知ってもらう『KGhファミリーデイ』イベントも行われており、こちらも好評を博している。
ここでは昨年登場した測長測定システムも展示されていた。ワークを掴み、寸法を測定し、設定通りに仕分けまで行う一体型システムだ。アプリケーションも自社開発で、Windowsが入っているPCがあれば簡単にデータ出力が可能となっている。
製造現場では現在、自動化や無人化の流れが加速しているが、重要なのは機械を高度化することだけでなく、工程そのものをいかに安定させるかどうかである。北川鉄工所 グローバルハンドカンパニーは〝掴む〟という基盤技術を通じて、加工と自動化の両立を支える存在としてその価値を一段と高めている。



