【レポート】DMG森精機 工程集約で工作機械の価値を最大化 伊賀事業所でMX戦略を公開!

 

 

 DMG森精機(社長=森雅彦氏)は7月3日、同社世界最大の生産・開発拠点である伊賀事業所(三重県伊賀市御代)で、記者向けに最新の工作機械や自動化システム、デジタルソリューションを披露した。環境負荷低減に向けたサステナビリティの取り組みも紹介し、次世代の製造現場を見据えた同社の戦略を示した。

 この日は、森社長と製造業コンサルタントのPeter Hill氏による特別対談も行われ、製造業の競争力強化や今後のものづくりの方向性について意見を交わした。


MXで工程集約を加速! ~目標は2050年に1台あたりの年間稼働率を約6,000台に引き上げ~

最新の取り組みについて説明する下川副社長

 伊賀事業所は総敷地面積58万㎡、東京ドーム12個分の広大な敷地面積で、生産能力は年間約2500台。

 下川勝久副社長が、同社が推進するMX(Machining Transformation)の考え方や生産体制、伊賀事業所の最新の取り組みについて説明した。

 下川副社長は、「工作機械は設備を導入する前の工程設計やエンジニアリングが極めて重要」と強調。「設備導入前の工程設計から、導入後の保守・サービスまでを一貫して支援する体制を構築するとともに、自社開発ソフトウェアの継続的なアップデートを通じて加工プロセス全体を最適化し、高精度・高剛性・高耐久な工作機械を提供している」と説明した。

 同社が掲げるMXは、工作機械単体の性能向上ではなく、工程集約や自動化、デジタル技術の活用によって生産システム全体の効率を高める取り組みだ。現在、世界では約500万台の工作機械が稼働しているが、1台当たりの年間稼働時間は約1,500時間にとどまっているという。

 同社は、工程集約を進めることで2050年には約100万台規模で、1台当たりの年間稼働時間を約6,000時間まで引き上げ、設備の生産性と資源利用効率の向上を目指す。

 

 下川副社長は、「工場は24時間稼働できるにもかかわらず、工作機械の稼働時間は約1,500時間にとどまっている。MXによって機械の稼働率を高めることで資源を有効活用し、人手不足にも対応できる生産システムを実現したい」と語った。

 また、「設備導入前の工程設計で成果の7~8割が決まる」と述べ、工作機械はユーザーにもよるが20年以上使用されることから、長期間にわたり高い稼働率を維持できるエンジニアリングが重要との考えを示した。

 こうした取り組みを支えるため、同社は約300台のテストカット機を保有。約1,700人の開発エンジニアに加え、顧客に最適な加工条件を提案する約1,100人のアプリケーションエンジニア、設備の保守・保全を担う約2,200人のMROエンジニアを世界各地に配置し、導入前から導入後まで一貫した支援体制を構築している。

 さらに、顧客向けポータルサイト「my DMG MORI」を通じて、スペアパーツのほか、切削工具など設備運用に必要な製品を提供。設備のライフサイクル全体を支えるサービスを展開している。

 下川副社長は、「これまでは代理店を通じて画一的な設備を販売する時代だったが、現在は顧客一社一社に最適な設備を提案し、導入後のMROまで一貫して支援することが重要になっている」と説明した。

 また、顧客構成にも変化が生じているとし、「従来は自動車産業が中心だったが、現在は航空宇宙や半導体など成長産業にも事業領域を広げている」と述べ、航空機分野では複雑形状・高強度部品の加工に対応する同時5軸加工機を、AIの普及を背景に需要が拡大する半導体分野ではセラミックスなど硬脆材料の加工に適した超音波加工機「ULTRASONIC」を展開。さらに宇宙分野では、AM(アディティブ・マニュファクチャリング)を活用し、顧客ニーズに応じた高付加価値部品の製造を支援している。

 同社はグループを含め世界18カ所に生産拠点を展開し、主軸や刃物台、ツールチェンジャなど工作機械の性能を左右する主要部品を内製化しているに伴い、2026年4月工場出荷分より、内製キーコンポーネンツを5年間保証するという。(対象:ターニング主軸「turnMASTER」、刃物台「turretMASTER」、ヒューマンマシンインターフェース「EGROline X」)。また、同社では、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への貢献として、老朽設備を改修・解体・分別することで得られた再生材や、切りくずを同社製品の基幹部品で使用する鋳物原材料の一部として再資源化に取り組んでいる。

 こうした生産体制を強みに、高品質と安定供給を両立しながら、MXを軸としたものづくりの高度化を推進していく考えだ。

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