【レポート】DMG森精機 工程集約で工作機械の価値を最大化 伊賀事業所でMX戦略を公開!
予兆保全サービス開始、NEDO事業も採択

デジタル・自動化ソリューションについて、Blumenstengel健太郎 執行役員兼テクニウム社長、高橋雅史 DMG MORI Digital コネクティビティー部 部長、桜井 努 WALK社長が説明した。
同社では、自動化設備やAI,デジタルサービスを融合したMXを軸に、製造現場全体の自動化ソリューションの拡充を加速しているが、その一環として、工作機械の保全や生産性向上を支援するデジタルサービス「CELOS Club」の新機能として、予兆保全サービス「Condition Agent」の提供を開始した。ERGOline X with CELOS X搭載機には標準搭載し、2026年4月受注分から適用している。
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近年、自動化や工程集約の進展に伴い、設備停止による影響が拡大するなか、同サービスは主軸や送り軸に加え、ツールチェンジャやパレットチェンジャなど幅広いコンポーネントを診断。専用NCプログラムで取得したデータをクラウド上でAI解析し、異常の兆候を検知する。診断結果はカスタマーポータル「my DMG MORI」で確認できる。
特別な測定機器は不要で、数分程度で診断が可能。設備状態の見える化や計画保全を支援し、保全業務の効率化や突発的なトラブルによるダウンタイムの削減につなげる。
また、対象機種であれば他社機を含む既設機にも専用キットで追加搭載でき、保有設備の予兆保全を一元管理できる。今後は2027年までにERGOline X with CELOS X搭載の全機種へ標準展開する予定だ。
また、この日、経済産業省NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(GENIAC事業)」において、同社を含む共同提案が採択されたと発表した。
同事業は、産業技術総合研究所(産総研)が推進する「製造AX(AIトランスフォーメーション)」と連携し、製造現場に分散する設備・品質データを統合し、AI開発と製造現場への活用を循環的に進めるデータ基盤の構築を目指すもの。
同社は、産総研、グループ会社のWALC、DMG MORI Digitalと連携し、高精度・高信頼加工を支える生産設備データエコシステムの構築と、製造フィジカルAIの基盤モデル開発に取り組む。
「航空・宇宙や医療、半導体分野では高精度・高信頼加工への要求が高まる一方、製造データは企業ごとに分散し、AI基盤の整備が課題となっている。海外では実運用データを研究開発や製品戦略に生かす動きが進んでおり、日本でも同様の基盤構築が求められている」と同社。
同事業では、同社の製造業プラットフォーム「CELOS Xchange」を活用し、約100社・約1,000台の生産設備から設備状態や加工工程、品質、周辺設備などのデータを収集。約100TB規模の実運用データを匿名化・構造化した上で、AI開発などに活用する。
さらに、設備異常検知に加え、品質予測や加工条件の最適化などに対応するAI基盤を構築。市場投入後の設備から継続的にデータを収集・学習・還元する仕組みを確立し、生産設備データエコシステムの実現を目指す。
社会実装は段階的に進める計画で、まず設備・加工の異常検知AIやAIチャットボットを開発・実装。その後、品質予測や消費電力予測への展開を図るほか、AMR(自律走行搬送ロボット)や計測機を含む生産セル全体へのフィジカルAIの適用も検証し、製造現場全体の最適化につなげる。
加工3悪対策やサステナビリティの取り組みも説明
また、切りくず、クーラント、ミストを加工品質や設備稼働率、作業環境に悪影響を及ぼす「加工三悪」と位置付ける同社は、自動化・高効率化が進む製造現場に向け、加工中の切りくずを自動除去する「AI Chip removal」や、スラッジや混入油を効率的に分離・回収する「zero-sludgeCOOLANT Pro」、工作機械と一体化した「ビルトインミストコレクタ」などを紹介した。
さらに、健康管理増進センターの車谷典男センター長が健康経営やワークライフバランスの取り組みを、賀御代新堂地区プロジェクト室の西山満室長が地域との共生に向けた活動を説明。記者見学会では、工作機械の高性能化にとどまらず、自動化、デジタル化、環境対応、さらには地域社会との共生まで見据えた同社の取り組みが披露され、ものづくりの未来を支える総合ソリューション企業としての姿勢を強く印象付けた。


