【小杉取締役に聞く】成長市場を加工技術の足元から支えるユキワ精工

 

 

 AI・半導体、航空宇宙をはじめ、今後さらなる成長が期待される市場では、部品の高精度化や小型化、難削材への対応など、加工現場に求められる技術も一段と高度化している。こうした成長市場を支えるのは、最先端の工作機械だけではない。工具を確実に保持し、狙った精度を安定して引き出すツーリングや、複雑・高精度加工を支える周辺機器もまた、ものづくりの競争力を左右する重要な存在だ。

 ユキワ精工(社長=酒巻弘和氏)は、精密加工用ツーリングシステムやCNC円テーブルなど、自社が培ってきた技術を生かし、こうした高度な加工ニーズに応えている。成長市場を加工技術によっていかに足元からいかに支えていくのか。同社が提案する製品と技術について、同社取締役営業推進部の小杉部長に話を聞いた。

工作機械の能力を引き出し、顧客の課題に応える

工場内の一部

 

 ユキワ精工が手掛けるのは、ツーリングシステムやCNC円テーブルをはじめ、工作機械による加工を支える周辺機器だ。工作機械単体では完結しない加工工程において、こうした機器を組み合わせることで、高精度化や生産性向上、自動化といったユーザーの要求に応えている。

 同社が重視しているのは、製品を単に提供するのではなく、ユーザーに寄り添い、加工現場が抱える課題やニーズをくみ取ったうえで、それぞれの用途に適した製品を提案することだ。

 その土台となっているのが、長年にわたり蓄積してきた技術である。製品群の中には、60~70年にわたって技術を磨き続けてきたものもあり、そこで培ったノウハウを基盤に、高精度・高剛性・高信頼性を追求してきた。こうした技術蓄積と、それを新たな加工ニーズへ展開する製品開発力が同社の強みとなっている。

 その技術力を生かしながら、同社が営業活動の軸に据えているのは、ユーザーの加工における課題を的確に捉え、最適な加工ソリューションにつなげる『課題解決型営業』である。

 AIの普及を背景に半導体関連への投資が活発化するほか、航空宇宙、造船、医療関連などの分野でも、加工技術に対する要求は高まっている。部品の高精度化や複雑形状への対応、高精度な位置決め、長時間にわたる安定した連続加工などが求められるなか、工作機械や切削工具だけでなく、その能力を実際の加工で十分に引き出すツーリングやワーク保持・位置決め技術の役割も大きくなっている。

 小杉取締役は、「営業方針として、お客様のものづくりにおける課題を的確に捉え、最適な加工ソリューションを提案する『課題解決型営業』を推進しています。当社の強みは、長年培ってきたチャッキング技術を基盤とする〝高精度〟〝高剛性〟〝高信頼性〟の製品開発力です。ツールホルダやコレットチャックといった加工の基盤を支える製品から、ワークハンドリングホルダ、CNC円テーブルまで幅広くラインアップし、加工工程全体をトータルでサポートできることも強みです」と説明する。

 なかでも、小杉取締役が加工現場で改めて目を向けてほしいと強調するのが、工作機械と切削工具をつなぐツールホルダの存在だ。

 工作機械の高精度化、高速化が進み、切削工具の性能も向上するなか、工具を保持するホルダの性能も加工結果を左右する重要な要素となる。とりわけ高精度加工では、工具をいかに高精度かつ安定して保持できるかが、加工精度や加工面品位だけでなく、工具寿命や生産性にも影響する。

円テーブル

 

 さらに、原材料やエネルギー、物流費などさまざまなコストが上昇するなか、加工現場にとって加工コストの低減は避けて通れない課題だ。切削工具を長く安定して使用できるかどうかも、トータルコストを考えるうえで重要になる。

「お客様は工作機械や切削工具には目を向けますが、その中間にある工具を把持するホルダには、なかなか着目していただけないのが現状です。しかし、振れ精度が高く、剛性の高いホルダを使用することで、切削工具の長寿命化にもつながります。ここはぜひエンドユーザーの皆さんに知っていただきたいところです」と小杉取締役。

 工具の振れが大きくなれば、複数の刃先にかかる負荷にばらつきが生じやすくなり、工具摩耗や加工面品位にも影響する。一方、高い振れ精度と剛性を備えたホルダで工具を安定して保持することは、切削工具が本来持つ性能を引き出し、工具寿命の安定化や高精度加工につながる。

 工作機械と切削工具の間に位置するツールホルダは、決して主役として語られることの多い存在ではない。しかし、工作機械と切削工具、それぞれが持つ性能を実際の加工で十分に引き出す重要な役割を担う。まさに、ものづくりを〝加工技術の足元〟から支える存在といえるだろう。

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