“精密”が原点! 測定技術と加工技術を融合させ、新しいソリューションを生み出す黒田精工

黒田精工(社長=黒田浩史氏)は1925年に祖父である黒田三郎氏が日本初のゲージメーカーとして創業して以来、精密計測技術・精密加工技術を基礎に、各種ゲージ、電気油圧式パルスモータ、モーター用精密プレス金型、精密研削盤やレンズ金型用研磨機、精密加工用ツーリングシステム、精密位置決め用ボールねじ駆動システム、空気圧機器、高効率モーターコア、超精密形状測定装置等を次々に開発、いつの時代も幅広い産業から高い評価を博してきた。精密にモノを測る技術を核としている同社の鍵となるのはもちろん“精密”―――。精密を土台に独自の測定技術と加工技術を融合させ、さらに新しい技術を生み出すという強烈な底力を秘めているたくましい企業でもあるのだ。

黒田社長はいう。
「移ろいゆく時代の中で、多様化するニーズに合わせて様々な製品をつくってきましたが、時代がどう変わろうと世界の産業を支えていくサポートインダストリーでありたい――」。


零戦から世界初の450mmのシリコンウェーハを測る『ナノメトロ』まで! 脈々と継がれる“精密に測るコア技術”

幅広い産業界から高い評価を得ているクロダの製品群。最初につくった製品はゲージである。ゲージは昔から測るモノより一桁上の精度が求められるというが、長い歴史の中で、零戦の部品は全てクロダのゲージが使用されていたという時代もあった。今では培われた計測技術を用いて非常に高度なハイテクシステムを製造するようになり、超精密ウェーハ平坦度検査装置『ナノメトロ』が現在、半導体産業で大活躍している。

「主流は300mmの基板ですが、次世代は450mm。この規格はすでに決まっており、450mmのシリコンウェーハを測れる装置は弊社が世界で初めて開発し、販売を開始しています」とのことで、最先端の技術開発に注力する一方、昔ながらのゲージもつくっているというから面白い。

「本当に信頼のおける“ものづくり”はゲージにあります」とハッキリという黒田社長。それもそのはず、同社は長さの基準であるブロックゲージの校正認定事業者だ。つまり、クロダのゲージが1mmを指せば、それは間違いなく誰がなんといっても1mmなのだ。これはクロダのゲージで測ったモノは正確だというお墨付きをもらうことでもあり、精密なモノづくりの基準は同社が持っていることを意味する。工作機械の主軸テーパを保証するテーパーゲージ、これも同社はマスター原器を頂点とする原器管理方式の採用でテーパの均一性を保ち、極めて高い互換性を確保している。国内のテーパゲージの多くはクロダの原器から生まれている。

このようにモノを測る技術の核が今でも脈々と継がれているクロダだが、裏を返せば工作物よりも一桁上の精度が求められるということである。
このような厳しい生産現場の中で必要とされるものは何か。

「機械加工よりも高い精度を出すためには職人技が必要です。どうしても最後は手仕上げでしか出来ない加工領域がある。究極の職人技でものづくりをしているのが弊社の特長でしょう」(黒田社長)

機械加工よりも先ゆく世界は“感覚” ベテランから新人への技能伝承に注力

ちなみに先述の『ナノメトロ』も構造部の主要部品は人間が手で仕上げている。
黒田社長いわく、「機械加工よりも先ゆく精度の世界は“感覚の世界”。ラップの最後は、1度、スーッと撫でるだけで仕上げるんですが、このスーッという圧力が少しでも違うと失敗した! というほど微妙なものなんです。修正も効かないので、ラップ職人は集中して作業しなければなりませんが、せいぜい集中できるのは30分が限度。それを超えると感覚が狂ってしまう。機械の調節を超えた世界というのは極度の集中力が必要なんですよ」とのこと。たしかに金属は長い間触っていると体温が伝わり変化(膨張)する。瞬時にしてスーッと舐めるように作業をしなければならない厳しい世界だ。余談だが、空調管理が整っていなかった時代には、体温の上昇を避けるために肉を食べない職人もいたという。

さて、ここで気になるのはこれら職人技の技能伝承である。
黒田社長は、「技能伝承プログラムといって、絶対に引き継いで発展させなければならないコアな技能をリストアップしています」という。基本的にはマンツーマン指導のもと、一子相伝に近い状態でベテランから新人へと指導する仕組みである。

職人にも当然ながら適正がある。後継者を誰にするか、と相当議論すると聞いた。優秀であっても向かない性質もある。
「職人仕事は飽きっぽい性質だとまず向きません。粘り強い性格が好ましい」(黒田社長)

富津工場
富津工場
一方、一般的な技能については、千葉県にある富津工場に計測実習室を設けている。この場では一般的なプログラムも整備しており、ベースにある“しっかりモノを測る技能”を伝承するため、社員にゲージを使ったモノの計り方などの技能を教えているという。

さて、どんな現代的な工場でもゲージを使ったものづくりがあるが、「最近、ゲージの正しい使い方をきちんと習ったことがない、というオペレータが増えつつある」という。そこで原則有償だが、同社ではゲージの使い方や原理原則を学びたい社外の人を対象に、富津工場にてゲージ教室を開いている。

時代に必要とされた幅広い製品群と世界戦略

黒田社長が、「弊社は規模の割には事業の幅が広く、製品群が多いユニークな会社。精密技術を使ってお客様をサポートするという使命もあり、時代の要求に合わせるうちに多くの製品が生まれた」というだけあって、クロダ製品は多岐にわたり、加工分野でも独自の優位性を誇る。

戦後間もなく、精密加工が必要な金型づくりにはゲージの技能が活かせる、という理由から金型製作に取りかかったクロダ。今度は良い金型をつくるためには良い研削盤が必要と考えたが、終戦間もない頃の高品質な研削盤というと、大層な資金を出してヨーロッパから購入しなければならず、だったら自分たちでつくってしまえ、と平面研削盤をつくり始めたところ、これが良い機械だと評判になり、売って欲しいという人が現れた。そこで機械をつくって売り始めたというのが工作機事業の始まりである。

NCが市場に登場した時期にはボールねじとツーリングを始めた。
「工作機械は売れるだろう、という期待が膨らむ中、弊社の精密技術が活かせて工作機械で使用されるものはなんだろう、と考え、着目したのはボールねじやツーリングだった。ねじゲージをつくれる技能があればボールねじをつくれる。こうして部品ビジネスにも着手する流れとなった」(黒田社長)

そうこうしているうちにゲージを用いたものづくりの技能の延長で、先述のシリコンウェーハを測る精密な計測システムにも手を広げた。1995年あたりからは金型を使って打ち抜いたモーターコアそのものをビジネス展開し、携帯電話の振動モーターコアやハイブリッド自動車のモーターコアも部品としてつくり始めている。



独カールツァイス社との不思議な縁とグローバル展開

ところで1925年に創業した黒田精工の歴史は長い。それだけドラマチックな出来事もあったようだ。

創業者の三郎氏は、世界最高のゲージをつくるには世界最高の測定機がいると考え、会社の売上げの何倍にもなるカールツァイス社の測定機を何十台も輸入して揃えた。その中には1943年に購入したものがある。

1943年といえば世界大戦の真っ最中。ドイツから日本に輸入するルートが途絶えてしまった。カールツァイス社にとって当時のクロダといえば東洋最大の顧客でもある。なんとかして品物を届けたい。そこで一役買ったのはドイツの海軍だった。Uボートにカールツァイス社の測定機を乗せ、インド洋まで乗せて運んでくれたのだ。一方、日本からは、日本帝国海軍の潜水艦でこれを迎えに行ったという。日・独の両海軍の協力のもと、機械を収めた歴史がクロダにはあった。

2012年、クロダはヨーロッパの精密部品メーカーであるイエナテックを買収した。この会社の歴史を辿ると、カールツァイス社の精密部品部門が切り出されて出来た会社である。長い時を経てカールツァイス社とクロダの縁がまた繋がった―――。


写真左は「KURODA JENA TEC」統一ロゴ。右は中国用

さて、多様な要素技術をもつクロダの強みは計測と加工を融合させたソリューションを提供できることだろう。営業展開についての考えを黒田社長に尋ねると、「営業展開の鍵はグローバル展開。市場の伸びからすると海外成長が中心になるのは避けられない。従来から国内中心の営業体制であり、国内中心の発想で製品を売ってきましたが、今後は世界を相手にした商売を展開しなければならないと感じている」とし、「イエナテックの買収に続いて、ユーログループと提携し、北米に合弁会社を設立したことは海外展開の布石の一貫です」と応えた。

(*ユーログループと提携・北米に合弁会社設立の詳細はコチラの記事へ↓)
http://seizougenba.com/node/3968

他にも営業展開について黒田社長は、「新分野の市場開拓」も重要テーマに掲げている。
「例えば医療・分析などライフサイエンス分野は今後伸びていくと思われます。健康ブームや高齢化もあいまって創薬市場も拡大する傾向にあり、負荷の軽いウエットな環境でも使用できるボールねじや駆動システムなどが必要になると考えている。われわれが長年培ってきた技術をいかに提案するかが課題となるが、新市場の開拓に向けた製品開発に注力していきたい」(黒田社長)

これがKURODAの最新技術がつまった製品だ! 平面研削盤は税制の「先端設備」該当機種に登録!

それではKURODAの最新技術がつまった製品を紹介しよう。

●ボールねじの常識を変えた『レジンナットボールねじ』

この製品は、ボールねじのナットを従来の鋼鉄製から機械的特性に優れたスーパーエンプラ(PPS樹脂)に変更し、納期・価格面のパフォーマンスを高める事で、その用途やシーンを広めた。
医療機器や計測機器などの卓上装置に使用される駆動機構は、軽負荷で使用されることが多く、廉価な「すべりねじ」が多用されている。 しかしながら摩擦の大きな「すべりねじ」はその伝達効率の悪さから、駆動用モータの大型化や摩耗による精度低下を招くばかりでなく、初期封入した潤滑剤の減少・劣化などから通称“鳴き”と呼ばれる異音を発生させてしまう。
同社が開発した『レジンナットボールねじ』は、ステンレスボールが、樹脂製ナットとステンレス製ねじ軸の間に介在し、ボールベアリング同様「転がり接触」を行う為、「すべりねじ」に比べ圧倒的に伝達効率が高く、長期にわたり摩耗が少なく、安定した作動を行なうことが出来る。この為、今まで「すべりねじ」では限界があった、医療機器や計測装置などの軽負荷用途の装置の高精度化や、作動の安定化・長寿命化などのソリューションとして最適と言える。

●ロングセラーの『ハイドロリックツール』は誰が締めても同じチャッキングができる!

この製品の魅力は、誰でも何時でも簡単に寸分違わぬチャッキングが行なえるという、いわば職人いらずのワーククランパーである。随時の打合せによる完全オーダーメイド品で、ユーザーの用途と使用状況に適したカスタマイズが可能な点も魅力のひとつ。大きな把持力に加え、究極とも言える1µmレベルのフレ精度と繰返し精度(再現性)が特長だ。その操作はいたってシンプル、六角レンチで作動ねじを回すだけ。内部に封入された作動油が加圧され、シェルと呼ばれる薄肉の金属筒を弾性変形させる事で膨張や収縮を生み出す。パスカルの原理により、均等に膨らんだ(縮んだ)シェルが均一した保持力をワークに伝達し、極めて高いクランプ精度を創り上げる。切削・研削などの加工、測定・計測などの検査、芯出しを必要とする組立、精度が求められる場面においてその用途は多岐に亘る。また、多量のワーククランプに対応する各種自動タイプのクランプ方式も選択が可能である点も見逃せない。

●生産性向上設備投資促進税制 先端設備の対象に!

生産性向上設備投資促進税制は先端設備、生産ラインやオペレーションの刷新・改善のための設備投資を即時償却または5%税額控除という優遇措置で国が支援するもの。製造業のみならず、物流・流通サービス業をはじめとする非製造業も活用可能だ。しかも法律上の計画認定を要しない簡便な手続きが嬉しい。

対象機種は、『GS-45シリーズ』、『GS-PFシリーズ』、『GS-BMシリーズ』である。
税制の優遇措置が受けるには該当を証明する書類が必要になるが、黒田精工では責任を持って発行業務を代行してくれる。


左からGS-45、GS-64PFⅡ、GS-BMHFL

黒田社長は最後に「今後も伝統ある技術・技能の伝承を図り、最高水準の品質を追求するとともに、常に次代を見据えた研究開発に挑戦し、産業の高度化をグローバルに支えていく所存です」と述べ、それがKURODAの哲学であるとした。