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三菱マテリアルが続々と新製品を投入!

三菱マテリアル 加工事業カンパニー(カンパニープレジデント=鶴巻二三男氏)が、続々と新製品を市場投入している。汎用超硬ソリッドドリル“WSTARドリルシリーズ” 「MVS」に小径サイズを、また、刃先交換式ドリル「MVX」に太径アイテムをそれぞれ追加した。

汎用超硬ソリッドドリル"WSTARドリルシリーズ“「MVS」に小径サイズを追加

汎用超硬ソリッドドリル“WSTARドリルシリーズ”「MVS」は、多様な被削材、幅広い
切削領域で安定加工を実現する新世代汎用超硬ソリッドドリルとして高い評価を得ているが、このほど内部給油式「MVS」に小径深穴加工仕様のドリル径1.0mm~2.9mmのサイズを追加した。

汎用超硬ソリッドドリル“WSTARドリルシリーズ”「MVS」小径サイズの主な特長は、
以下の通り。

① 切刃強度を重視した新直線刃形を採用し、高い刃先安定性を実現。
② 最適化した新溝形状により、切りくず排出性を向上させ、深穴加工における
トラブルを防止。
③ ガイド性を高めるダブルマージンを採用し、穴精度の向上と切削抵抗のバラ
ンスに優れ、高精度かつ安定した加工を実現。
④ ドリル径1.0mmから2.9mmを0.1mm飛びで規格在庫化。
⑤ 穴深さはガイド穴用のL/D=2をはじめL/D=7,12,20,25,30の6サイズを規格
在庫化し深穴加工にも対応可能。

【追加型番】 内部給油式「MVS」 ドリル径 1.0mm~2.9mm 120型番
【標準価格】 9,270円~26,100円
 (代表型番)    
MVS0100X02S030  9,270円(税込価格 10,012円)
MVS0150X07S030 12,600円(税込価格13,608円)
MVS0200X25S030 23,900円(税込価格 25,812円)
MVS0290X30S030 26,100円(税込価格28,188円)

刃先交換式ドリル「MVX」に太径アイテムを追加

刃先交換式ドリル「MVX」は、完全4コ-ナ仕様により経済性、外刃内刃の最適配置と材種設定によってこれまで以上の切削性と長寿命を実現している。さらに、表面硬度を高めると共に最適設計されたボディにより高剛性を確保し、L/D=6の加工を実現し多くのユーザーから好評を博していることを受け、このほどドリル径42mmから63mmまでの太径サイズに取付け部径40mmのアイテムを追加した。

刃先交換式ドリル「MVX」の主な特長は、以下の通り。

① 完全4コーナ仕様のインサートにより経済的。
② 外刃と内刃の特性にあった材種の選択により長寿命を実現。
③ 外周切れ刃にはワイパー刃を設け、良好な壁面精度を実現。

【品名/追加型番】刃先交換式ドリルMVXボディ46型番
【標準価格】ボディ81,500円~106,000円
 (代表型番)    
MVX4200X6F40   106,000円(税込価格 114,480円
MVX6300X4F40   93,100円(税込価格100,548円)
MVX6300X5F40 101,000円(税込価格109,080円)

三菱日立ツールが「快削Bブレーカ」及び「振動抑制ボデー ASDF形」を追加発売!

三菱日立ツール(社長=増田照彦氏)の『アルファ デュアルフェイス ミル ASDF/H形』は発売以来、その経済性にすぐれた8コーナインサートや加工環境に応じて高送り加工(ASDF形)と高切込み加工(ASDH形)の使い分けが出来ることから、高い評価を得ていたが、このほど、さらなる適用領域の拡大を目指し、切削抵抗低減のための『快削Bブレーカ』とビビリ振動低減のための『振動抑制ボデー』を追加発売した。平面切削を主とする粗・中仕上げ加工(機械部品、自動車部品、金型等)に威力を発揮する。

特長は、以下のとおり。

(1) 快削Bブレーカによる切削抵抗低減


・切れ刃形状をポジティブ設定にすることで、切削抵抗を従来形状に比べ10%低減している。
・切削抵抗低減により、剛性が低い加工環境下においても、良好な切削を実現する。

(2)振動抑制ボデーによるビビリ振動対策(ASDF形)
・インサートを不等分割ピッチで配列することで、ビビリ振動の主要因である自励振動を抑制できる。
・従来品に比べ、ビビリ振動を抑制することで、加工能率を改善することが可能。

価格は、ホルダ:ボアタイプ(φ63~160): \71,496~\178,200(消費税込み)、インサート:SNMU1607EN-B: \1,814(消費税込み)。

メカトロテックジャパン(MECT)2015主催者企画展示 “燃えない”“割れない”最新Mg加工に決定

KUMADAIマグネシウム合金
KUMADAIマグネシウム合金
国内最大級の工作機械見本市メカトロテックジャパン2015(以下:MECT2015)を主催するニュースダイジェスト社(社長=樋口八郎氏)は、MECT2015の主催者企画展示コーナー「コンセプトゾーン」(※1)で新たな研究で進化したマグネシウム(Mg)2種を加工実演する。Mgは実用金属の中で最も軽く、最も埋蔵量の多い材料ですが、「発火温度が低く発火しやすい」、「成形加工時に割れやすい」という欠点を持っている。

こういった背景を受け、熊本大学は“燃えない”Mg「KUMADAIマグネシウム合金」(※2)を開発した。この材料は、Mgの沸点である1091℃を超えても燃えずに沸騰する性質を持っている。会場ではこの「KUMADAIマグネシウム合金」を使い、切削加工の実演をする。また、独自の金属組織制御技術により塑性加工を可能にした住友電気工業が開発した「AZ91」(※3)のプレス成形加工も披露する。会場内の特設ステージでは「Mgの安全な取り扱い方」についてのセミナーも開催する。

【コンセプトゾーン概要】
◇テーマ:軽量化革命!Mg“燃えない”“割れない”が世界を変える
◇開催場所:ポートメッセなごや1号館内特設会場
◇実施期間:10月21日(水)~24日(土)

●展示内容

Aゾーン“燃えない”が世界を変える
バナーであぶって1000℃以上に加熱しても発火せず沸騰する、熊本大学の河村能人教授が開発したKUMADAIマグネシウム合金を使い、自動車、航空機、鉄道車両に関するオリジナルの切削技術を披露する。

Bゾーン“割れない”が世界を変える
塑性加工にまったく向かなかったMg合金AZ91が、住友電気工業の独自の急冷凝固技術で“割れない”素材に変身。会場では常識を覆す100mmの深絞り技術を披露する。

(※1)コンセプトゾーン
工作機械にまつわる最新加工技術を1号館特設会場で実演展示することで、来場者に少しでも仕事のヒントをつかんでもらい、国内製造業を活性化することが狙い。前回展では「日本の技術を医療で活かせ」と題し、最新医療部品の加工を会場内で実演した。

(※2)KUMADAIマグネシウム合金
KUMADAIマグネシウム合金には「耐熱合金」と「不燃合金」という2種類の合金があり、さらに製造法によって「鋳造合金」と「超急冷合金」の2種類に分類される。米連邦航空局(FAA)が策定したMg燃焼試験に合格し、2014年10月には米ボーイング社と次世代航空機への実装化を目指した共同研究を開始している。

(※3)AZ91
AZ91はマグネシウムにアルミニウムを9質量%、亜鉛を1質量%添加したもの。耐食性に優れているものの加工の難しさから板材は実現されておらず、鋳造材が限定的に利用されていた。住友電気工業が開発したAZ91板材はAZ91鋳造材と比べて強度は1.5倍
以上の380MPa、伸びは数倍となる10%以上を達成。独自の鋳造・圧延加工により板材の開発・量産化に世界で初めて成功した。

タンガロイが鋳物旋削加工用 新CVD コーティング材種 『T515』発売

タンガロイ(社長=木下聡)がこのほど鋳物旋削加工用新CVD コーティング材種『T515』の発売を開始した。

T515 は、専用の新母材及び新コーティングを採用した鋳物加工に最適な高汎用性材種。母材コーティング界面の密着性を向上させたことで、耐チッピング性及び耐剥離性を改善し、安定した加工が可能になった。

アルミナ(Al2O3)被膜を弊社従来品よりも1.7 倍厚膜化したことにより、高速加工での耐摩耗性を大幅に向上させることに成功、圧倒的な長寿命を実現するとしている。

また、弊社独自の特殊表面処理技術であるPremiumTec を採用し表面平滑性を向上させたことで抜群の耐チッピング性及び耐溶着性を発揮する。

同社では、「簡単にインサートを選択して頂けるよう、全周タイプとフラットトップタイプを主に標準在庫に設定しました。鋳物旋削加工用新CVD コーティング材種T515 は、一般的な加工領域から高速加工領域において抜群の信頼性で安定した加工を実現することで、鋳物加工用弊社既存材種T5100 シリーズと併せて、あらゆる鋳物加工に対応し、お客様の生産性向上に貢献します」としている。

主な特長は以下のとおり。

●母材コーティング界面の密着性を向上させ耐チッピング性及び耐剥離性を大幅に向上
●アルミナ膜厚を従来よりも厚膜化し、高速加工領域での耐摩耗性を向上
●PremiumTec の表面平滑性の向上により耐チッピング性及び耐溶着性を大幅に改善

■主な形番と標準価格
●インサート
・CNMG120408 T515 850 円 (税込み 918 円)
・DNMG150612 T515 1,460 円 (税込み 1,577 円)
・WNMA080412 T515 1,320 円 (税込み 1,426 円)
・VNMG160404 T515 1,300 円 (税込み 1,404 円)
全アイテム:インサート 32 形番

セコ・ツールズが仕上げを滑らかにする Turbo 10 PCD フライス加工用チップを発表

セコ・ツールズがこのほど広く普及している Turbo 10 カッタ対応の PCD フライス加工用チップ材種 2 製品を新たに発表した。

PCD05 と PCD20 は定評ある PCD 材種で、主にアルミニウム、チタン合金の仕上げ加工において比類のない表面品質をつくりだす。これらの被削材は、主に航空宇宙産業や自動車業界で使用される。新しい材種は、ポリマーや繊維強化複合材の切削でも高い効果を発揮する。

PCD05 および PCD20 フライス加工用チップは単独でも、Turbo 10 カッタ本体に超硬チップと一緒に取り付けても使用できる。超硬チップと一緒に使用すると、PCD チップ材種は固定ポケットでワイパーチップの役割をする。その一方、PCD05 および PCD20 を単独で Turbo 10 カッタ本体で使うと、その潜在力が最適化され、切削パラメータを最大限に引き出せる。

超硬ソリッド体チップの PCD05 および PCD20 は X010 チップサイズで提供しており、コーナ R 0.4 mm(0.16 インチ)、ワイパー長 1.08 mm(0.43 インチ)。

PCD05 および PCD20 を収容する Turbo 10 カッタボディは精密加工されたポケット部を備えており、工具本体とチップ間の接触を最適に保つことで、振れ、安定性、工具寿命を改善する。クーラント スルー供給口が統合されて生産性が向上し、切り屑排出性がさらに向上する。

「風向きが良い方向へと変わった」日本金型工業会東部支部が総会を開く

あいさつする加藤 東部支部長
あいさつする加藤 東部支部長
日本金型工業会東部支部(支部長=加藤忠郎 日進精機相談役)が5月22日、東京都内の上野精養軒で第3回定時総会を開催した。

平成26年度事業報告、同決算報告並びに監査報告、平成27度事業計画案、同収支予算案を承認した。

遠山 毅 経済産業省製造産業局素形材産業室 室長が「素形材産業を取り巻く環境と最近の素形材産業室の取組」をテーマに講演したあと、引き続き懇親会を開いた。

あいさつに立った加藤支部長は、日頃の感謝を述べたあと、「インターモールド2015では小間数も相当増加した。来場者も4日間で4万7000人とのことで、2年前の東京開催と比較すると1000人ほど増加している。金型工業会のブースも2年前は57社だったが、今回は71社と小間数も増えた。金型工業会の小間には大勢来場者が足を運び活況に溢れていた。また、初日から具体的な商談もあったと聞いた。円安の進行もあって、海外の金型と国内の価格の差が少なくなってきたこともあり、品質のいい日本の金型が求められるようなったようだと聞いた。まだ手放しで喜べる状態ではないが、風向きが良い方向へ変わってきている」と述べた。

来賓を代表して遠山 毅 経済産業省製造産業局素形材産業室 室長が、「最近は、品質・為替・人件費の風向きが変わってきて、日本に戻ってきたと伺っている。世界に比べても日本の技術は素晴らしいので、これを維持しつつ、各国とも戦っていけるということを期待したい。インターモールドでは活況があり、今は冷やかしで来られる方が少なくなり、商談の場として足を運ぶ方が多いと伺っている。数字も良くなっており、景気の良さを実感できる環境になってきているのではないかと思っていると感じている」とあいさつした。

牧野俊清 日本金型工業会 会長があいさつに立った。この中で牧野会長は、「リーマンショック後に厳しい状態が続いていたが、円安の効果もあり景気も良くなってきた感じがある。3月の機械統計をみると素形材全体でも金型が突出して伸びを見せていた。まだまだ増やせる余地はあると思っている。われわれの業界は今年、良い環境であればいいな、と願っている」と期待を込めた。

新入会員の紹介のあと、牧野二郎 牧野フライス製作所 社長が乾杯の発声を行った。

「国内外の受注拡大続く」日本工作機械工業会が総会を開く

写真右から中村健一副会長、稲葉善治副会長、牧野二郎副会長、花木義麿会長、森雅彦副会長、山岡靖幸副会長、石丸雍二日工会専務理事
写真右から中村健一副会長、稲葉善治副会長、牧野二郎副会長、花木義麿会長、森雅彦副会長、山岡靖幸副会長、石丸雍二日工会専務理事
本工作機械工業会(会長=花木義麿 オークマ社長)が5月21日、都内のホテルニューオータニで第4回通常総会を開催した。

総会後に記者会見が開かれた。花木会長は、日頃の感謝を述べたあと、「伝統ある日工会会長職の責任の重さを身に沁みて感じているところである。昨今、話題のインダストリー4.0やロボット革命等、国内外で新しいものづくりのあり方が模索されている。この新時代の中、わが国工作機械産業のさらなる飛躍を期して新たな礎を築くことが会長である私の重要な責務である」とした。



あいさつする花木会長
あいさつする花木会長
記者会見後、場所を移して懇親会が開かれた。
あいさつに立った花木会長は、「一昨年に私が日本工作機械工業会のバトンを引き継いで二年が経過した。この間、政策による支援の効果もあり工作機械産業の市場環境は大きく好転をした。日工会の工作機械受注額の動きをみると、2014年は前年比35.1%増の1兆5094億円となり、4年連続して1兆円を超えることができた。本年においては、1月から4月までの日工会受注累計は5346億円となった。本年の1/3が経過した現時点で年初の受注見通しの1兆5500億円を上回る勢いで推移している。工作機械需要は内外需総じて堅調に推移、内需においては為替の安定を背景に企業収益が大きく改善し、設備の更新・合理化投資のマインドが向上しているに伴い、工作機械需要が拡大してきた。また、生産性向上設備投資促進税制や省エネ補助金、即ち地域向上、中小企業等の省エネルギー設備導入補助金が工作機械需要の拡大を強く後押ししている。国内外の堅調な市場環境の中、日工会会員各所の努力により、国内外の受注拡大が続いている。次に平成26年度の日工会活動を振り返ると、産学官の連携による叡智を結集して先端技術の研究開発と標準化を推進する加工システム研究開発機構の立ち上げに向け、準備作業を進め大きく前進している。次に昨年開催されたJIMTOFでは活発な商談、先端技術のアピールなど充実した展示会となった。平成27年度の日工会活動については、この2年に取り組んできた4つの重点課題である、産学官連携の強化、標準化戦略の強化、JIMTOFの求心力の強化、人材の確保等々をはじめとする中長期的な課題への対応をさらに深化発展させていく」と述べた。

あいさつする黒田篤郎経産省製造産業局長
あいさつする黒田篤郎経産省製造産業局長
来賓を代表して、黒田篤郎 経済産業省製造産業局長が、「経済は好循環に動き始めている。この景気回復の実感を全国津々浦々中小企業も含め広めるのはわれわれの仕事だと思っている。特にアベノミクス三本目の矢は成長戦略を実現させる正念場でもある。三年前は六重苦に加えデフレで七重苦とも言われたが、円高も一服し、法人税改革も方向が定まるなど、ずいぶん課題が良い方向に向かっている。工作機械の世界はまさにマザーマシンといわれ、産業の根幹な部分である。貿易収支は大赤字だが、この厳しい中で、黒字を保っている二つの産業がある。それは自動車と工作機械であり、この二つが黒字の稼ぎ頭でもあるといえる。また、このほどロボット革命イニシアティブ協議会を立ち上げたが、この中核になるのがまさに工作機械メーカーの皆様である。IOTの時代がやって来たが、ドイツのインダストリー4.0、アメリカのインダストリアル・インターネットに対し、日本はどうやって対応していくのか、と問われているが、われわれは得意分野であるロボットや工作機械をいかにデジタル化するかを世界に向けて発信していきたい」とあいさつした。

日本工具工業会が第68回通常総会並びに春季合同部会を開く ~超硬工具協会との統合へ~

総括する堀理事長
総括する堀理事長
日本工具工業会(理事長=堀 功 不二越常務)が4月24日、東京都内の銀行倶楽部で平成27年度(第68回)通常総会並びに春季合同部会を開催し、超硬工具協会との統合を決議した。6月3日に解散総会を開いたあと、同日に新組織となる「日本機械工具工業会」の設立総会が開催される。

総会が終了したあと、春季合同部会が開催され、平成26年度生産実績および平成27年度生産額見通しと国内生産や輸出入について説明があった。また、技術委員会並びに環境委員会の委員長からそれぞれ報告があった。

最後に堀理事長が総括した。
この中で堀理事長は、「平成26年度は1120億円近くの生産出荷が達成できた。われわれの産業機構が大きくなっていることを示せたのではないか。常に前進を目指して高い目標を持ってわれわれは取り組まなければならないと感じている。日本の工業規格についても邁進していけるようにと思っている。われわれの技術を世界に発信していく意味においても企画戦略は非常に大切なので、推進していきたい。環境については、コバルトリスクの低減措置を進めていかないと、私企業の負担が大きくなる。これは超硬工具協会と一緒になって業界全体で緩和措置を進めていかなければ、と思っている。われわれの培ってきた経験と知見を生かして活動を強化していきたいと思っている」と述べた。

挨拶する石川副理事長
挨拶する石川副理事長
懇親会で、石川則男副理事長(オーエスジー社長)が、「超硬工具協会と正式な統合の承認をいただいた。日本工具工業会は1948年に創立され、67年もの間、活動してきた。それぞれの会員企業は熱い思い入れがあって、多少淋しいような気持ちがあるのだが、この新しい統合に向けて次の世代を担う方達が良かったな、と心から思えるようにと祈念している」と期待を込めた。



あいさつする佐脇経産省産業機械課長
あいさつする佐脇経産省産業機械課長
来賓を代表して、佐脇紀代志 経済産業省産業機械課長が、「将来に向けた大きな判断をされて、新しく大きな基盤をつくるために歩まれたと承知している。工具はものをつくるために欠くことのできない基本であるが、業界の皆様が一致団結して共通の課題を解決するための基盤をつくられることを心強く思っている」とあいさつをした。

不二越 藤井孝宏氏 春の黄綬褒章を授章 ~手の感覚や研削音など五感をフル活用し、ミクロンレベルの仕上げ加工を施す~

藤井孝宏氏
藤井孝宏氏
不二越 工具事業部 工具製造所 EXTブローチ課に所属する藤井孝宏氏(59歳)が、春の黄綬褒章を授章した。

手動の工作機械を使い、クリスマスブローチの最重要部位である歯形を研削。手の感覚や研削音など五感をフルに活かし、機械では出来ない数ミクロンレベルの仕上げ加工を施している。その卓越した技能を活かし、クリスマスブローチの品質・精度の向上と、量産化・標準化をすすめ、今日の大型発電機のタービン製造やエネルギー産業の発展に寄与してきたことが、高く評価された。

クリスマスブローチは、航空機のジェットエンジンや発電機のタービンディスクを加工する精密工具で、断面がクリスマスツリー型の形状であることから、クリスマスブローチと呼ばれている。高温・高圧・高速で回転するタービンの安全な運転を実現するため、ミクロン単位の高精度が要求される工具である。同社は国内外の主要なジェットエンジン・発電機メーカーへ納入しており、世界トップシェアを有している。

ものづくりへの思い「何ごとも追究・探求する気持ちで向上心を持ち続ける」

作業する藤井氏
作業する藤井氏
藤井氏は、「このたびの受章の栄に浴し、身に余る光栄に存じます。長年携ってきた仕事が評価されたことを、大変嬉しく思っております。このような栄誉ある褒章は、私のような者がいただくものではないとも思いましたが、これまで一緒に仕事にとり組んできた職場の仲間の代表として、また同じ仕事をしている方々への励みになればと考え、お受けさせて頂きました。このような業務に就かせてくれた会社、ならびに工具製造所の皆様に、大変感謝いたしております」コメント。これまでの職歴とものづくりへの思いを次のように語った。



「1974 年の入社以来、41 年間ブローチの手動歯形研削作業一筋に携わってきました。現職場に配属され、先輩方から作業を教わり仕事を覚えてきましたが、厳しい反面、ものづくりの楽しさも感じるようになりました。ある時、製品を修正する仕事を任され、その修正した製品の精度が非常に良いと、お客様から高い評価をいただいたことがありました。その時、実際に自分の作業が評価されたことがとてもうれしく、また自分でここまでできるという自信もついて、やる気が増すと同時に、ものづくりへの興味が一層湧いてきました。ブローチは歯の精度が命です。そのため、お客様の加工精度の要求は大変厳しく、自分の中で、何度も限界を感じたことがあります。たとえば、刃先の研削を行なうなかで、数ミクロン位置ズレするという問題が発生することがありました。位置ズレの方向と量を数値化して把握することができず、実際に加工したブローチでの切削テストと、歯形の細かな微調整を繰り返し行ないながら、修正していきました。複雑で微細な加工を行なうには、熟練した成形技能が不可欠で、自分自身、さらなる技能の修練が必要だと感じた瞬間でもありました。この職場に配属された当初は、失敗もたくさんあり、多くの方にご迷惑を掛けました。同じミスは絶対にしないぞ、と自分自身に言い聞かせながら、今日まで頑張ってきました。ミスをしようとして仕事する人はいませんが、ミスをしたあとの気持ち、反省が大事だと思います。この気持ちがあれば、加工精度や品質の向上も、加工時間の短縮も、まだまだできるはずです。何事も追究・探求する気持ちで、自己満足せず向上心を持ち続ければ、仕事への意欲は増し、張り合いも出てくると思います」(藤井氏)

また、今後の豊富について、「先輩から“ハンドルの目盛りでは、砥石の最終移動量は測れない。目と音、指先の感覚など五感をフルに使って研削するしかない”と教わりました。この技能を、後輩達に実践を通して教え伝えていくのはもちろんのこと、つねに自分の技能に満足せず、自ら努力・改善を続けていく気持ちが大事だと伝えていきたい。また、何時かは私の仕事を機械化、自動化できるよう、全力でサポートしていきたいと思います」と語っている。

オーエスジー 新城工場内のオーエスジーコーティングサービス竣工並びにモニュメントが完成

オーエスジー(社長=石川則男氏)の新城工場内にあるオーエスジーコーティングサービス(社長=彦坂光義氏)の新社屋竣工並びに鎖のモニュメントが完成し、5月15日に見学会が開催された。

新城工場について説明をする今泉部長
新城工場について説明をする今泉部長
新城工場は、特殊工具対応へ変化を遂げたハイス製品の専門工場。同社第2製造部 今泉英明部長は、「世の中では超硬化が進んでいるが、なぜ、この工場はハイスに力を入れているかというと、超硬合金は工具としては特性バランスに優れ非常に魅力的な材料であるが、ハイスというのは、他の工具材質では得られない高い靱性があり、世の中には、靱性を必要とする加工も多く存在する。したがって超硬化が進む中においてもハイスの需要はある。例えばタップの下穴などは超硬ドリルで強行にあけていくと、表面が硬化してしまう。耐熱合金もいきなり超硬でバリバリ削ると表層に加工硬化層、変質層などができる。これが飛行機などに使われる製品にしたときに問題が起きるケースもあるので、ハイスで優しく削るのが望ましい」とハイス工具の必要性を説明した。

新城工場を見学したあと、オーエスジーコーティングサービスの竣工記念セレモニーが開かれ、オーエスジー 大沢会長、オーエスジーコーティングサービス 彦坂社長、モニュメントを製作した芸術家の三澤憲司氏、関係者を囲んで懇談した。

2001年にオーエスジーから分社したオーエスジーコーティングサービスは、コーティングの受託生産をしている。現在では、切削工具のみならず、金型、機械部品などへのコーティングを通して様々な産業で幅広く利用されている。

オーエスジーコーティングサービス 彦坂社長
オーエスジーコーティングサービス 彦坂社長
オーエスジーコーティングサービスの彦坂社長は、「われわれは4つの使命がある。ひとつは、オーエスジーが2020年に1500億円の売上げを達成すること。それに向けて生産能力のアップ、受注力の増大を目的としている。二つ目はグローバルコーティングのマザー工場の位置付けとして工場内の機能アップを図っていく。すでにオーエスジーグループは世界中にコーティング事業を展開しているが、そこへの技術支援を行っていく。三つ目はオーエスジーが掲げている航空機産業への受注拡大。われわれが独自に持っている超結晶ダイヤモンドコーティングは、炭素系樹脂の加工に強く世界出も非常に強い競争力を持っている。また耐熱合金用の新しいコーティングの生産能力も上げていきたい。四つ目はアフターマーケットといわれる市場を拡大したい。お客様がお使いしたものをリユース、つまり再研磨と再コーティングをして再びお客様のところにお戻しする、ということを拡大していきたい」と抱負を語った。

オーエスジー 大沢会長
オーエスジー 大沢会長
この中で大沢会長は、「コーティング会社の社長を社内で公募したところ、手をあげてくれたのが彦坂だった。彼は営業畑だった。私は内心、営業を担当する者が社長になってくれればいいな、と思っていたので嬉しかったことを覚えている」とオーエスジーコーティングサービスの設立秘話に触れた。

続いて大沢会長から三澤憲司氏をはじめ、関係社に記念品が授与された。



写真左は芸術家の三澤憲司氏

その後、オーエスジーアカデミー(豊川市一宮町)内にある靑山製作所再研磨工場を見学したあと、感謝の集いが開かれ、宴もたけなわのころ、散会した。