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三菱日立ツールが高精度リブ溝加工用テーパーボールエンドミル「EB4HR-ATH」を発売

 三菱日立ツール(社長=増田照彦氏)がこのほど高精度リブ溝加工用テーパーボールエンドミル「EB4HR-ATH」を発売した。

 プラスチック製品では、リブを用いて製品の強度を補強し変形を防いでいる。このようなリブを成型するためには、金型に細くて深いリブ溝を製作する必要があり、多くの場合放電加工で製作されている。同社では、「放電加工は加工時間が長いうえに加工面も粗く、次工程の磨き工程に影響を与える。加えて電極の製作にも時間がかかるので、直彫りによるリブ溝加工のニーズがある。一方、直彫り加工ではリブ溝が深くなるにつれて首下長の短いものから長いものへ交換しながら加工しなければならず、首下長の違いにより工具のたわみ量が異なるので工具交換時に加工段差ができる問題がある。」とし、これらの課題を解決するため、等高線加工とテーパエンドミルを組み合わせた新しいリブ溝直彫り加工方法で、工具交換時の加工段差を低減した良好なリブ溝加工を提案している。

■特長
(1)工具交換時の段差を低減
 外周テーパ刃が等高線加工時に何度も作用するので、効果的に工具交換時の加工段差を低減することができる。

(2)高品位な加工面を実現
 2段逃げ面形状+強ねじれ形状の効果でビビリ振動を抑制することで、良好な加工面を得られる。

(3)ATHコーティングを採用
 高硬度鋼の切削加工に良好な性能を発揮する。

■価格
12,800円~17,200円(税抜価格)
φ0.6~1.2まで全108アイテム

 

ヤマザキマザックが高速・省エネ・高品位加工を実現する3次元レーザ加工機「FG-220 DDL」の国内販売を開始

 ヤマザキマザック(社長=山崎智久氏)がこのほど、DDL(ダイレクトダイオードレーザ)を採用した3次元レーザ加工機「FG-220DDL」の日本販売を開始した。

 FABRI GEARシリーズは、建設現場や産業機器の筐体などに使われる長尺鋼材の高効率加工を実現する3次元レーザ加工機。3Dレーザヘッド搭載により、鋼管(パイプ材)以外にもH形鋼・C形鋼など異形材の加工が可能であり、さらにはタッピングユニット(オプション機能)によるネジ穴加工の工程集約を実現するなど、長尺鋼材加工の分野における生産性向上に貢献している。

 「FG-220 DDL」は、レーザ発振器にDDLを新たに採用、薄板・中板の切断速度を向上させるとともに高反射材の容易な切断を可能とした。また、DDLの特長である高いエネルギー変換効率による消費電力の削減など、優れた省エネ性を達成している。さらには、これらDDLのメリットを活かした高速・省エネ加工に加え、鋼材の裏焼けを防止する「パワーコントロール機能」やプログラムの入力時間を削減する「ダイレクトMDI機能」の搭載などにより、高品位かつ段取り時間を短縮した高効率加工を実現した。

 同社は、10月にドイツで行われた国際板金加工見本市EuroBLECH 2018にFG-220 DDLを出展、既に海外での販売を開始している。それに続き、11月29日~12月1日に美濃加茂製作所ワールドテクノロジーセンタで開催した自社展示会「JIMTOF2018アンコールフェア」に同機を出展し、大きな注目を集め日本国内での販売を開始した。

FG-220 DDL の特長

(1)高速性
 DDL は、CO2 レーザやファイバーレーザに比べて波長が短く、様々な材料での熱吸収率が高い(反射率が低い)のが特長。レーザ発振器にDDL を採用したことにより、薄板・中板の高速切断と、高反射材の容易な切断を可能としている。
<例>
 薄板(板厚6mm)の加工速度は、CO2 レーザと比較して軟鋼で約20%向上、ステンレスで約70%向上。

(2)省エネ性
 DDL は、エネルギー変換効率がCO2 レーザと比較して4~5 倍と高いため消費電力量を削減、さらには加工時のアシストガスが不要であるなど、ランニングコストの低減を実現する。

(3)高品位加工
 ①パワーコントロール機能
 軸送りの低速領域で発生する「パイプ内部の溶け込み」や「裏焼け」を、レーザ出力の自動変更により防止し、高品位な加工を実現する。

 ②オートキャリブレーション機能
 レーザヘッドのノズルと素材との距離を自動的に一定に保つことで、レーザ焦点のズレを防止、常に均一な切断面を得ることが可能となる。

(4)段取り時間の削減
 ①ダイレクトMDI機能
 倣い調整などの規定動作プログラムを簡単に設定可能。手動による煩雑なプログラム入力が不要となり、プログラム作成にかかる段取り時間を削減する。
 ②チェーン式コンベア[オプション]
 チェーン式コンベアの選択により、素材の積載本数増加が可能。一回の段取りで長時間の連続運転を実現する。

主な仕様

タンガロイが3商品同時発売! 溝入れ工具シリーズが最大級の大幅拡充! 「TungCut(タング・カット)」、「DuoJust-Cut(デュオ・ジャスト・カット)」、「TetraMini-Cut(テトラ・ミニ・カット)」

 タンガロイ(社長=木下 聡氏)が、このほど溝入れ工具シリーズを最大級に大幅拡充し、「TungCut(タング・カット)」、「DuoJust-Cut(デュオ・ジャスト・カット)」、「TetraMini-Cut(テトラ・ミニ・カット)」の3商品を同時発売した。なお、「TetraMini-Cut」は、今月から始まっている冬期キャンペーン「火の弾プロモーション」の対象製品。

溝入れ加工用工具「TungCut」 軟鋼用新ブレーカ『DGL形』およびCVD、PVD材種を拡充

 多機能溝入れ加工用工具「TungCut」に、このほど、軟鋼用ブレーカ「DGL形」および鋳物加工用CVD材種「T515」と汎用PVD材種「AH7025」を拡充した。この商品は、独自のインサートクランプ方式により、インサートのクランプ剛性が高く、安定した長寿命を提供する。また、小物加工から一般加工まで幅広くカバーし、あらゆる溝入れ加工に対応する。

 2コーナ仕様の新ブレーカ「DGL形」は、特徴的なブレーカ仕様により、低炭素鋼や軟鋼で安定した切りくず処理性が得られ、実加工で起きやすい切りくずトラブルを解消する。また、溝入れや突切り加工で評価を得ている「DTE形」には、鋳物の高速加工でも安定した性能が得られるCVD材種「T515」を、また多様な被削材で安定した高能率加工が得られるPVD材種「AH7025」を拡充する。さらに、溝入れや横送り加工で優れた切りくず処理性が得られる多機能溝入れインート「DTM形」には、市場で多く使用されている3mm幅を追加設定する。TungCutシリーズは、今回の「DGL形」とCVDおよびPVD材種の拡充により、多くの溝入れ加工で高生産性と高能率加工の向上に寄与する。

■主な特長
・2コーナ仕様の新ブレーカ「DGL形」により、軟鋼の加工で発生しやすい切りくずトラブルを解消
・鋳物加工用CVD材種「T515」により、高速加工での溝入れ加工が可能
・溝入れの汎用PVD材種「AH7025」により、多様な被削材で安定した長寿命が可能

■主な型番と標準価格(税抜価格)
・DGL3-025 AH7025:2,440円
・DGL4-030 AH7025:2,620円
・DTE6-080 T515:2,690円
アイテム数:11アイテム

突切り加工用工具「DuoJust-Cut」 最大突切り径20mm用インサート「JXPG20形」を拡充

 自動盤対応突切り工具「DuoJust-Cut」に、最大突切り径20mm用インサート「JXPG20R/L形」を拡充した。この商品は、独創的な高剛性クランプ方式によりインサートのクランプ剛性に優れ、安定した突切り加工を実現し、多くのユーザーから高い評価を得ている。すでに発売済みの最大突切り径6mm・12mm・16mm用インサートに加え、今回は最大突切り径20mm用インサートを拡充した。

 「DuoJust-Cut」は、1種類のホルダに突切り径に合わせた4種類のインサートを取り付け可能で、突出し量を最適にすることで、安定加工と高能率加工を実現する。また、サブスピンドル対応突切りホルダも設定しているため、様々な加工形態に対応できる。さらに、ホースレス配管によるダイレクト給油を可能にした「DirectTungJet」システム対応ホルダも設定している。

 「DuoJust-Cut」は、今回の最大突切り径20mm用インサート「JXPG20R/L形」の拡充により、さらに多くの突切り加工において安定した突切り加工とさらなる高能率加工に寄与する。

■主な特長
・独自のクランプシステムにより高剛性なクランプを実現
・最大突切り径20mm用インサートJXPG20形を拡充
・突出し量を最適にすることで、安定加工を実現
・サブスピンドル対応ホルダも設定
・ホースレス配管による内部給油を可能とした「DirectTungJet」システム対応ホルダも設定
・自動盤用新PVDコーティング「SH725」を採用し、長寿命を実現

■主な型番と標準価格(税抜価格)
・JXPG20R15F SH725:3,830円
・JXPG20R20F SH725:3,830円
・JXPG20R15F-15 SH725:3,830円
・JXPG20R20F-15 SH725:3,830円
 アイテム数:8アイテム

4コーナ溝入れ加工用工具「TetraMini-Cut」 高能率加工用ブレーカ「TCS18形」を拡充

 4コーナ溝入れ加工用工具「TetraMini-Cut」に、高能率加工用ブレーカ「TCS18形」を拡充した。「TetraMini-Cut」は、小型かつ4コーナ仕様で経済性に優れる。また、独自の高剛性クランプシステムを採用し、高い刃先位置安定性により優れた加工精度、安定寿命を実現する工具シリーズ。

 「TCS18形」は、特長的なブレーカにより低抵抗で優れた切りくず処理性が得られ、また、高硬度かつ密着性に優れる高Al含有積層被膜のAH7025は、安定した加工および高能率加工を実現する。さらに、好評を得ている研削タイプ「TCG/TCP18形」と合わせ、豊富なインサートのラインナップにより、一般旋削加工から自動旋盤加工まで幅広い切削領域をカバーし、顧客の生産性向上に貢献する。

■主な特長
・切りくず処理性に優れた新ブレーカ「TCS18形」により、安定した高能率加工を実現
・溝入れ専用新材種AH7025は、コーティングに高硬度かつ密着性に優れる高Al含有積層被膜を採用し、耐摩耗性と耐欠損性を高次元で両立
・適用被削材は鋼、合金鋼、ステンレス鋼から耐熱鋼まで幅広くカバー
・溝幅は、「TCG18形」と同じラインナップで幅広い選択肢から選定可能

■主な形番と標準価格(税抜価格)
・TCS18R100-010 AH7025:3,270円
・TCS18R200-020 AH7025:3,270円
・TCS18R300-030 AH7025:3,270円

アマダホールディングスが東京センチュリーとの事業提携によるリース事業の強化 ~アマダリースを合弁会社化し、多様なニーズに即したリースを提案~

 アマダホールディングス(社長=磯部 任氏)が、このほど東京センチュリー(社長=浅田俊一氏)との間で、リース事業の強化を目的とした事業提携に合意した。東京センチュリーが有するリース事業の知見やノウハウと、アマダグループの金属加工ソリューションを融合させて、アマダグループの機械・サービスの販売に際して顧客の多様なニーズに合わせたリースを提案する。 合意に基づき、11月14日、同社は東京センチュリーとの間で、同社の100%子会社であるアマダリース(社長=竹下寛之)の発行済み株式の60%を東京センチュリーへ譲渡する株式譲渡契約を締結した。株式譲渡実行日は、2019年3月末を予定している。 国内の金属加工業は、多品種少量生産や人手不足に対応するために、生産性の向上と加工コストの低減が継続的な課題となっている。その解決策として、生産性の高い最新鋭の加工機の導入や自動化対応が進んでいるが、技術革新が速いため、設備の陳腐化が早まる傾向にあることから、最新設備の迅速な導入や財務面の改善といった多様なニーズに応えるリースサービスが求められていることを受け、同社は、東京センチュリーとの事業提携を機に、機械やソフトウエア、サービスから、ファイナンスまでを網羅したソリューションの提案を推進し、お客さまの事業戦略をより一層支援していくとしている。 アマダリースは新体制のもと、2019年4月より、顧客の幅広いニーズに対応したリースおよびサービスを展開する。さらに、ファイバーレーザ加工機やサーボプレス機といった最新商品に適した迅速なリースの開発や、アマダのIoTソリューション「V-factory」を含む機械の保守・サポートといったソフト面のパッケージ化を進める。また、ファイナンスに関する高い専門性を持つ営業担当者を増員し、顧客の課題やニーズに即したリース提案を行う。 アマダホールディングスは、中期経営計画における成長戦略として、ファイバーレーザ加工機の拡大や、自動化ソリューションビジネスの推進などに取り組んでいる。リース事業の強化を通じて成長戦略を下支えするとともに、資産効率性と収益性の向上を両輪で進め、2021年度までにグループの売上高4,000億円の達成を目指すとしている。

平成30年度「卓越した技能者(現代の名工)」にヤマザキマザックの大内美善氏が選出

工作機械の主軸(スピンドル)の組立・調整作業を行なう大内社員
工作機械の主軸(スピンドル)の組立・調整作業を行なう大内社員
 平成30年度「卓越した技能者(現代の名工)」にヤマザキマザック(社長=山崎智久氏)の社員で現在、美濃加茂第二製作所サイバースピンドルファクトリーに所属し、金属加工工作機械の主軸の組立・調整作業に従事する大内美善氏が、各産業分野の卓越した技能者を表彰する平成30年度「卓越した技能者(現代の名工)」に選出された。「現代の名工」は、きわめてすぐれた技能を有し、他の技能者の模範となる卓越した技能者を厚生大臣が表彰する制度。

 大内氏は昭和62年の入社以来、約30年間、一貫して金属加工用工作機械の心臓部となる主軸の組立・調整に携わり、特に難易度の高い高速主軸構成部品の高精度化に卓越した技能を有し、高性能主軸量産化のための組立技能の数値化・標準化に努めてきたことが評価され、今回の選出となった。

 現在も現役組立技能者として主軸の組立・調整作業に従事し、さらに新機種開発時には試作組立段階から参画して主軸に関する改善点の指摘なども行なっている。また、若手社員のOJTによる技術指導など後進の育成にも努めている。同社の「現代の名工」は、1997年から昨年までに計5名が選出され、今回で6人目となった。

 同社では、「現代の名工への選出は、本人ならびに会社にとって栄誉であり、今後も当社は高度な技能を有する人材の育成に努め、高性能な工作機械の提供を通して世界のモノづくりの発展に貢献していきます。」としている。

現場技術者がまとめたノウハウがつまった「ミーリングハンドブック」が発刊

 「ミーリングハンドブック」(切削油技術研究会編 日本工業出版発行)の「ミーリングハンドブックがこのほど発刊となった。

 本書ではより大きいテーマを受けて現場が直面したミー リングの課題を解決する方法をQ&A 形式で解説する。工具別ではなく、加工方法別(正面加工,側面加工および肩削り,溝加工,3次元加工)に掲載ページを設けていることが特長で、多様化したミーリングの課題解決に向けてのノウハウがつまっている。最大の特長は、企業の壁を越えた技術者たちが、発行にあたり独自の切削実験をおこなったことである。

▼ミーリングハンドブック購入申込書はこちら▼
http://www.setsugi.jp/books/image/milling_a4.pdf

「メカトロテックジャパン(MECT)2019」が満小間で出展申し込み受付終了 ~最終規模は1930小間前後に~

 「メカトロテックジャパン2019」(以下MECT2019)を主催するニュースダイジェスト社(社長=樋口八郎氏)は、このほど、MECT2019の出展申し込み小間数が会場の収容力を超えたため、2019年2月28日までを予定していた出展募集の受付期間を前倒し、18年11月26日(月)をもって出展募集の受け付けを締め切った。 今回展の最終小間数は2017年10月に開催した前回展(1,933小間)と同等の開催規模となる見込み。(注:小間数の最終確定は2019年6月頃を予定)。 来年10月に名古屋市で開催されるMECT2019は、2年に一度東京で開催される日本国際工作機械見本市(JIMTOF)に次ぐ国内2番目の開催規模の工作機械・技術の専門見本市。通算16回目となった前回のMECT2017では、457社・団体(1,933小間)が出展し、92,305人が来場した。19年展は、18年11月1日に出展募集を開始して以来、過去最速のペースで出展申し込みが進んでいた。 樋口社長は、「半導体や電気自動車など新たな業種の後押しもあり、工作機械の受注は好調に推移している。その中で、展示会を活用してさらなる需要を取り込みたいと機運が高まっているように感じる。地域産業の発展のため、今回も1年後の開催に向けてしっかりと準備を進め、皆さまの期待にお応えしていく」とコメントしている。

【JIMTOF2018まとめ①】「工作機械編」~特別レポート~

 「日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)が、11月1日(火)から11月6日までの6日間、東京ビッグサイトで開催され、JIMTOF史上最大の5,525小間で、先端技術がつまった製品を世界に向けて発信し、入場者数は過去最高の15万3000人を突破した。具体的な商談に結びついた例も多く見られ、会場内では本気の設備投資意欲に溢れていた。通常は混雑のピークをみせる土曜日も、今回は金曜日の来場者が多く、この現象を“働き方改革”の影響と見ている向きも多かった。前回同様、将来性の観点からIoTを視野に入れた展示が目立ち、特にロボットを活用した自動化ソリューションをはじめ省人化、加工工程短縮にみる経済効果へのアプローチや製造現場の課題解決に向けたソリューションを提案していた。各社における“つながる社会”への貢献はますます高まりをみせている。

工作機械編:アマダグループ<アマダ/アマダマシンツール/アマダサンワダイヤ>、オークマ、OKK、岡本工作機械製作所、キタムラ機械、黒田精工、清和鉄工、DMG森精機、ナガセインテグレックス、不二越、牧野フライス製作所、三井精機工業、安田工業、ヤマザキマザック、碌々産業)

MEISTER G3 UP
MEISTER G3 UP
 アマダグループ<アマダ/アマダマシンツール/アマダサンワダイヤ>は、グループの総合力を見せつけた。まず目についたのは、進化を遂げた新商品「ENSIS3015 AJ(9kW)」。なんと鉄板25mmを1秒で穴開け! 「厚板加工の速度・品質・コストを克服した!」と同社も自信が溢れるマシンだった。注目したのは新製品の高精密成形研削盤「MEISTER G3 UP」。これは全自動1チャック5面研削システムで、大径から小径砥石まで用途に応じた自動交換ができるもの。ATC・AWCストッカーを搭載し、多関節ロボットが砥石・ワークの自動交換を行ってくれるので高能率生産が可能になる。他にも斬新だった新製品は、新素材を高品位かつ高能率に切断できるダイヤモンドバンドソーマシン「DBSAW500」。石英ガラスをとても薄く切断していく様は圧巻! 次の展開がとても楽しみだ!

MCR-S
MCR-S
 未来へ向かった取り組みが著しかったオークマでは、大きな5面加工門形マシニングセンタ「MCR-S」に来場者は足を止めていた。この特長は、平均連続送り20m/minの高速送りで加工時間を25%も短縮するという。また、加工データのバラツキを補正し、手仕上げ工程の時間を削減するのも魅力だ。同社で最も画期的だと感じたのはロボットとの“超融合”が見られたこと。工作機械とロボットを完全融合させた「LB3000EXⅡ ARMROID」は、熟練作業者の加工ノウハウをロボットが代行し、位階操作と同じ感覚でロボットを操作するというデモ加工があった。「時間外業務ゼロを支援する」とうたっているだけあって、昼は作業者による多品種少量加工、夜間はロボット自動化セルで量産加工も実現できるという話題性も抜群で、写真撮影が困難だったほど!

VC-X350
VC-X350
 OKKは5軸制御立形マシニング「VC-X350」と自動搬送台車、ロボットアームを掛け合わせた省力化を提案。加工したワークをロボットアームで取り出し、加工が完了したワークを自動搬送台車で運ぶ。多品種対応の煩わしい段取り替えのロスを最小限に抑えるうえ、“投資も最小限”に抑える治具クィック交換システムが嬉しい。また、同社では品質安定化技術にも注力しており、環境熱変位補正に、マシンに実装されたセンサーから得られる温度変化上方をもとにリアルタイムで加工点の変位を補正する「ソフトスケールCube」を提案しているが、今回これに新しく“被削材別補正機能”が付いた! 被削材と加工機械の線膨張係数の違いを補正する。



 
全自動平面研削システムSELF
全自動平面研削システムSELF
 研削加工全体の提案をしていた岡本工作機械製作所。今回は「研削革命~TOTAL SOLUTION OF GRINDING~」をテーマに合計7機種の研削盤を展示した。同社は研削盤メーカーでありながら研削盤だけでなく砥石・研削液・チャック・加工ノウハウ・周辺機器を含めた研削加工全体の提案を行って来場者が持参する課題に解決型の提案を行い大好評! 全自動の提案を2通り分けて展示、「全自動平面研削システムSELF」ではセンシング技術とIoT技術を活用した研削盤の自動化に挑戦。研削加工は0.1μmというサブミクロンの精度を実現するため非常に自動化が難しい分野だが、センサー類を活用して数字の見える化に成功、研削の自動化に結びつけた最新技術を展示した。前回JIMTOFから更に進化して段付き平面加工・振動・熱の見える化に挑戦した同社、近未来の研削盤の提案で見る者を魅了した。

Medcenter 5AX
Medcenter 5AX
 中小企業の味方的なマシンを展示していたキタムラ機械は、独自性という点ではキラリと光っている。遠隔機械稼働管理アプリ「Anywhere-Remote」(商標登録)は、加工完了を予測して知らせるAI機能の他、スマートフォンやPCで世界のどこでも即時に機械の稼働状況を把握できる画期的なシステム。これがあれば心配することなく海外旅行だって行けてしまう。そして注目のマシンは、「Medcenter 5AX」。なんと2mの奥行きしかないコンパクトさでありながら、3万回転の高速主軸回転標準装備! ツールは省スペースでありながら40本も収納できる。機械の後ろに回ってみると、なんと、ツール20本を2段にしている工夫! 省スペースでありながら使い安いマシンの提案は、まさに隙間を突いたマシンだった!

GS-86CVs
GS-86CVs
 見どころが豊富な黒田精工のマシンは2台展示されていた。左右送り機構に同社製高精度ボールねじを採用した同社史上最小サイズの成形研削盤「GS-30Vs」は、省スペース・省エネルギー・エコロジーが特長だ。もうひとつは、豊富なアプリケーションによる操作性向上と自動化に貢献する新シリーズ第一弾の精密平面研削盤「GS-86CVs」。特にこだわり抜いたというのは操作性。作業姿勢が取りやすいハンドルはもちろん、ワークの脱着や覗き込み動作、加工作業時に自然とハンドルやスイッチ、画面に手が届くという人に優しい人間工学に基づいたレイアウトが魅力だった。新技術として、消費電力をダウンさせるために左右送りにACサーボモータを採用し、自社性精密ボールねじダイレクトドライブ機構によりフリクションロスを低減した高効率駆動も実現している。

Artis HB056
Artis HB056
 清和鉄工の注目したいマシンは「Artis HB056」。従来のHBシリーズ機と同様に剛性を最優先させクローズドループ構造を踏襲している。同社が自信をもって自負しているのは“価格以上の価値”。高剛性構造はもちろんのこと、スラントベッド構造による快適な作業性とスムーズな切り屑処理が特長だ。このマシンのビルトインスピンドルは、ホブ軸MAXで6000回転、ワーク軸MAXで1000回転。高速・高精度・高効率を誇っている。また、オプションで熱処理後のワークのブツ切りおよびスカイビング加工もできる。最長500mmのシャフト状ワークの加工も可能だ。

「NTX2500|700」
「NTX2500|700」
 JIMTOF史上初となる東8ホールでの単独展示を行ったDMG森精機。今回、同社のお陰で人の流れが変わった! と言わしめるほどこの展示は大成功との声も多かった。混雑を予想し、前回よりも通路スペースを多く取ったとのことだが、大勢の来場者が押し寄せる人気ぶり。まず目に飛び込んできたのは、「DMU340 Gantry」。日本初披露となる大型の5軸加工機だ。このマシンは同社のデジタルツインの技術を活用し、かなりの部分をシミュレーションで行い開発期間を短縮することに成功している。これで培った技術を顧客に展開していくことも計画しているとのこと。その他、「NTX2500」にも要注目! このマシンは刃物台が回転するものだが、機械の中にセンサーが埋め込まれ、なんと工具の温度センサーを用いてAIを使った熱変位補正がなされている。今後ますますセンサーを活用した熱補正技術は高まりをみせるだろうと感じた。

SGi 520α
SGi 520α
 新規開発5機種を初披露したナガセインテグレックスは、“10年、20年後も価値の変わらない加工システム”をモットーに開発しており、展示しているマシンはS/N比が高く、優れた繰り返し再現性を発揮するのが特長だ。ブースでまず目を奪われたのは、キャリアの中にワークを置くだけでセッティングが完了する「NSF440WS」。6面体の基準となる2面を同時に超精密研削加工ができる未来志向のマシンだ。オプションの多関節ロボットによるワークの自動供給にも対応していた。もうひとつ注目したのは“可能な限りの無駄をそぎ落としてたどり着いた理想的な機械構造”と自信を見せた超精密成形平面「SGi 520α」。独自の非接触油圧案内と高出力リニアモータの組合せでサブミクロンの形状精度、ナノオーダの加工品を実現する。平面・溝・成型・コンタリングまでマルチに対応。従来機の44%の省スペース化を実現していた。

「GMS200」に「バリ取りセル」
「GMS200」に「バリ取りセル」
 不二越は機械も同社ならではの総合力を見せつけてくれた。目に付いたのは工程集約型歯車複合加工機「GMS200」。驚いたのは世界最小!(同社調べ)というそのコンパクトさ。ハードスカイビング加工で焼入れ済み歯車の高精度加工ができ、小規模設備での多工程・多品種に対応している。しかも、同社製ロボットと組み合わせてワーク搬入を自動化もできる。このマシンの横には、これまた同社のロボット「MZ07」を活用した「バリ取りセル」があった。エアフローティングユニット付きスピンドル、バリ取りに必要な機器をパッケージングしている。ツール設定、加工条件出しもセットで提供してくれる。バリ取りも、ファインテクノ製エアフローティングユニットAFを採用し、対象ワークの材質や形状などに合わせてエア圧でツールの押付力の変更ができ、全方向からのバリ取りが可能だ。

LFS300
LFS300
 牧野フライス製作所のブースは女性の意見を取り入れて展開したという。澄みわたる空気が流れていると思わせるエコな雰囲気の中で、かつてない取り組みを見せつけた。コンセプトステージでは、ロボットが考えて障害物を避けながら進み、マシンの窓もロボットが閉めるといった省人化・自動化を視野に入れた取り組みは画期的だった。数多く展示されている機種の中でも、特に目に付いたマシンは、レーザ加工機「LFS300」(参考出品)で、ジルコニウム、ガラス、セラミック系など様々な材料を加工するためのマシンだ。同社では特に医療産業などへの貢献を考えていた。医療機器は体液や血液が付着すると当然だが全てを交換しなければならない。もし、メスの先端に優れた撥水機能があれば、体液も血液も付着しなくなるうえ、刃先へのダメージも少ない。医師も長い時間手術ができる可能性を秘めているのだ。マキノの未来志向のマシンに期待大だ!

GSH200A
GSH200A
 三井精機工業のブースで多くの来場者が足を止めたマシンは、精密ねじ研削盤「GSH200A」。このマシンは同社が、「精度、生産能力をそれぞれ倍にする。」という目標を掲げてつくった渾身のマシンなのだ。高精度へのこだわりは、三井らしく、“きさげ”によるV-F摺動面にあるという。ベルト仕様だと振動の原因になるので、砥石軸も主軸もビルトインモータにしていた。ベッドの設計や解析については3次元のCADとCAEをフル活用し、熱解析も行っている。さらに、有効径のばらつきを自動で測定して補正するうえ、ねじの寸法出しも自動化し、段取りの向上も図った。また、難削材加工でも生産性が上がるようにCBN砥石を使えるようになっている。「お客様が育ててくれたマシンです。」というだけあって、使う方の意見をふんだんに取り入れて開発したマシンだった。

YBM Vi40 VerⅡ
YBM Vi40 VerⅡ
 ますます進化を遂げている安田工業。中でも「YBM Vi40 VerⅡ」に注目が集まった。同社製の5軸テーブルユニットを搭載することで円錐加工の真円度で2.32µmという抜群の5軸加工精度を備えたマシンだが、今回は、B・C軸にDDモータ駆動を採用したことが特長(参考出展)。B軸連続運転時の熱変位を75%も大幅低減したという。機械温度制御システムを採用しており、機械のメインコンポーネント内に冷却液を循環させることで熱変位を抑制していることも魅力だ。ワーク積載時の変位も従来機の50%に削減できる。また、旋回中心、回転中心のズレを芯出し装置で測定・補正するソフトウェアを標準搭載しており、5軸加工の精度をより高次元へと引き上げてくれる。まさに高精度加工分野で活躍する来場者にはたまらないマシンとなっていた。

INTEGREX e-1250V/85 AG
INTEGREX e-1250V/85 AG
 サンダーバードとのコラボで来場者を楽しませたヤマザキマザックは計23台の最新鋭マシンをズラリと展示。ロボットティーチング作業を不要とした旋盤の小ロット自動化システムやレーザ加工機用汎用システム、そしてAIを活用し、生産性や加工面品位の向上など効率的な工場運営を実現するソリューションが満載だった。中でも、複合加工機「INTEGREX」にギア加工とギア計測機能を融合させた「INTEGREX e-1250V/85 AG」は、従来の切削加工に加え、1台でギアスカイビング加工、ホブ加工、エンドミル加工の3種類のギア加工を実現する画期的な工程集約が魅力的。他にも世界初のブルーレーザ積層造形技術と切削加工を融合したハイブリッドな同時5軸加工機「VARIAXIS J-600/5X AM」も、従来技術では困難だった純銅の3D積層造形を実現できるマシンとして注目が集まった。

Vision
Vision
 碌々産業は会期中、「AI MachineDr.」を新たに発表し、話題を呼んだ。これはクラウドを利用した微細加工機に特化したIoTアプリケーション。遠隔医療をヒントに構築したものだという。ミクロン台の超精密加工の安定を維持するための加工に焦点を当てているのが最大の特長だ。また、機械とシステムを活用して作り上げた貴重な時計も展示され、来場者も興味津々の様子。マシンは、荒加工から小径の微細加工まであらゆる加工を1台でこなす超高精度高速微細加工機「Vision」に来場者は足を止めた。このマシンは、各軸ともに2基ずつのリニアモータを搭載し、移動物や案内面への偏荷重を抑制していることが特長。熱対策も徹底しており、コイル内部と取り付け部のダブル冷却を行っている。同社では、ユーザーが常に最高のパフォーマンスで加工に取り組むよう、様々な独自の工夫を凝らしていた。

【JIMTOF2018まとめ②】「切削工具・周辺機器編」~特別レポート~

切削工具・周辺機器編:イスカルジャパン、イワタツール、栄工舎、オーエスジー、北川鉄工所、黒田精工、住友電気工業、タンガロイ、大昭和精機、ダイジェット工業、日進工具、不二越、ブルーム-ノボテスト、三菱日立ツール、三菱マテリアル、ユキワ精工)

LOGIQ3CHAM(ロジック3カム)
LOGIQ3CHAM(ロジック3カム)
 イスカルジャパンは“賢い機械加工”をキーワードに最新工具群を展示。モバイル並びにウェブアプリケーションで使いやすい“デジタルワールド”も提案していた。注目の商品は、三枚刃の最新穴あけ加工用工具「LOGIQ3CHAM(ロジック3カム)」。刃振れを最小にし、高い再現性を実現する独自の“ポケットデザイン”を採用している。切削抵抗は3枚刃で均等に分割され、従来の2枚刃設計と比較して生産性を最大50%もアップした工具だ。他にも、人気のスモウカムシリーズに世界最小ヘッド径4.0mmが登場! 各ヘッドは個々のクランプキーにあらかじめセットされているため、簡単に装着できる。セットアップタイム不要で機械稼働率が向上する嬉しい工具だ。また、工具被膜もどんどん新しい材質が登場していた。

GPドリル
GPドリル
 加工における新提案を豊富に展開していたイワタツール。ロボットによる高精度な複合加工システムを使用し、切削加工、穴あけ加工、バリ取り加工、タップ加工、小径穴あけ加工を実演し、来場者を魅了していた。同社を代表するドリルといえば、トグロンハードシリーズだが、中でも注目を集めていたのは、「トグロンⓇハードロングドリル」で、SKD11 HRC60の焼入れ鋼にφ1.2mm深さ60mmの貫通穴加工のデモ加工を行っていた。また、人気の「GPドリル」でもφ1mm深さ4mmの超高速穴加工を行い、来場者の度肝を抜いた。同社ではお馴染みの“秘密の部屋”も大繁盛。この中に足を入れると、同社が非公開にしている撮影禁止の工具群がズラリと並んでいる。その中で、「トグロンハードロングドリル100D」が展示されていたが、ものすごく微細に出来ていた。最近はユーザーの声に応えて設備も増設した同社。その人気ぶりが分かる展示内容だった。

樹脂用高硬度工具「スーパーミニスロットカッター」
樹脂用高硬度工具「スーパーミニスロットカッター」
 毎度マニアックな工具を展示し、ファンを喜ばせている栄工舎の注目したい商品は、近日発売するという樹脂用高硬度工具「スーパーミニスロットカッター」だ。同社の最大の強みは、「ワンランク上の高精度化と高能率化に貢献するための工具」を目指しており、“ありそうで、ない”という、加工現場の痒いところに手が届くニッチな工具を製造していることだろう。また、不動の人気を誇る「タップリムーバー」は、タップが折れてしまった時の絶望感から解放してくれる心強い商品である。来場者の加工の悩みや質問に対して、ひとりひとり親切丁寧に対応している担当者の姿も印象的だった。

ADO-TRS
ADO-TRS
 オーエスジーは会期中にかねてから一般公募していた同社のAブランドに加わる新商品のニックネームを発表するなど、企画力にも注目が集まった。最も注目された3枚刃油穴付き超硬ドリル「ADO-TRS」は、他社3枚刃ドリルに対してスラスト抵抗を30%以上低減し、自信の工具。通常はトラブルの元になる長い切り屑や繋がった切り屑が混在しているが、この商品は、抜群の切り屑分断製と形状安定性が魅力だ。また、耐摩耗性・靱性の高い「EgiAs(イージアス)コーティング」が工具の長寿命と寿命安定化を実現してくれる。他にも超硬防振型エンドミル「AE-VMSシリーズ」にロング刃長「AE-VML」が加わり新登場! さらに、来春販売予定のアディティブ・マニュファクチャリングエンドミル「AM-EBT/AM-CRE」が目に止まった。

クィックチェンジジョー
クィックチェンジジョー
 トレンドに見事にマッチした展示を行っていたのは北川鉄工所だ。本年同社はカンパニー制を導入し、工機事業部はグローバルハンドカンパニーへと生まれ変わり新たな飛躍を見せたが、展示内容も豊富だった。同社のテーマは、「開発・品質・グローバル」。特に時流に乗っていると感じたのはグリッパ「Promano」シリーズの「クィックチェンジジョー」。なんと1種のジョーで複数種の把握面の設定ができるのだ。驚くほど簡単な仕組みでジョー交換時間の短縮が実現している。これがあれば、多品種少量生産でのロボット活用に多大な貢献をもたらすだろうと確信した。このように自由度の高い設計で安定した作業を実演していたが、軽量化と高剛性の相反する特性を両立できたのは高張力アルミニウム合金の採用によるもの。したがって重量ワークにも対応できるのだ。他にも注目したいのは段取り替え時のジョーの再成形が不要な次世代の標準チャック「BRシリーズ」。これまでの標準チャックの常識を覆す把握精度で“仕上げ加工にも使える”とのこと。今後のグローバルハンドの活躍に期待が膨らむ!

商品写真はNGのためご勘弁を! 油圧拡張式のハイドロリックツール
商品写真はNGのためご勘弁を! 油圧拡張式のハイドロリックツール
 展示会では、目立たぬところにひっそりと革新的な商品を展示している場合がある。黒田精工もそうだった。マシンと加工サンプル品がズラリと並ぶ中、奥のほうに油圧拡張式の「ハイドロリックツール」があった。精度は1µm。大きな把握力を持ちながら、誰でも簡単に高精度クランプを実現できるという商品で、肉の薄いワークでも均一に高精度クランプができるものだが、実はこの商品、ありそうで無いという、見る人が見れば飛びつくような商品なのだ。ポイントは、“丸を丸のままに広がる”ところ。さすがはクロダ! 目の付け所が違う! と感心してしまった。用途に合わせた仕様と形状で製作してくれるオーダーメイドだ。軽く回すだけでクランプできるので、高精度化、段取り時間の大幅な短縮、作業効率の改善、自動化などに貢献する。

ALNEX(アルネックス)
ALNEX(アルネックス)
 住友電気工業のブース内で最も来場者の興味を引いたのは、アルミニウム合金加工用高性能カッタ「ALNEX(アルネックス)」。振れ調節時間を大幅短縮するという。この仕組みは、ねじ止めシンプル構造と容易な微調整機構。ボディの高剛性化も一役買っている。また、刃先のクーラント供給を確実にして切り屑を分断。これが高品位な加工面を生み出してくれるというわけだ。また、再研磨量を大幅に増量してランニングコストを低減していることも見逃せない。1回の再研磨量を0.2mmで計算すると、初回使用時と合わせ、なんと5回までの仕様が可能だというから経済効果は高い! さらに今回、難削材旋削用コーティング材種「AC5015S/AC5025S」も新登場。新PVD被膜技術「AbsotechⓇBronze」の対摩耗性に優れるAlTiSiN系の超多層薄膜構造により優れた耐クレータ摩耗、耐逃げ面摩耗性能を実現している。

T9200シリーズ
T9200シリーズ
 ブース内ではVRアーティストのせきぐちあいみさんのLIVEパフォーマンスもあり、大きな盛り上がりを見せたタンガロイ。今回の目玉となったのは、次世代鋼旋削加工用CVD材種「T9200シリーズ」だ。最外層にTiN被膜、その下にはTi系セラミクス被膜、Al₂0₃被膜、Ti系加工物被膜、そして専用母材と、新被膜処理技術の採用が高い靱性を備えた工具を構築している。この高硬度な外層は、耐逃げ面摩耗性を大幅に向上させた新開発の高硬度被膜。高熱とクレータ摩耗に強く、特に高速加工において威力を発揮する。この効果はAl₂O₃被膜の厚膜化によるもの。これらの技術が工具の長寿命と高速・高送りでも安定加工を実現する。機械停止時間の削減や生産性が向上するので、経済効果が抜群の工具なのだ。

 Cカッターミニ
Cカッターミニ
 BIGの愛称で親しまれている大昭和精機は、今回も大賑わい! 今回、新商品として特に目に付いたのは、超高送り面取りカッタ「Cカッターミニシリーズ」。ユニバーサルタイプは、スリムボディで面取り角度が自由自在、干渉回避が実現できる。アングルアジャスタを手動で回し、本体の目盛り線と合マークを合わせることで、面取の角度を5°~85°の範囲で調節することができるのが特長。座ぐり穴用タイプは、チップセットのオフセット量を大きくし、座ぐり穴の面取を実現する工具で、幅広い穴サイズに対応している。他にも「スイス型自動旋盤用ハイドロチャック」に注目が集まっていた。CNC自動旋盤における高精度ドリル・リーマ加工を実現するとして、狭い機内でもレンチ1本で確実に刃具の着脱がスピーディーかつ安全に行えるうえ、繰り返し振れ精度3μm以下を実現している。

SKS-Ⅱ チタン加工インサート
SKS-Ⅱ チタン加工インサート
 カフェを想像させる洗練されたブース展開を見せたダイジェット工業。同社の若い社員がプロデュースしたとのこと。新製品工具を目立つようにスッキリと展示し、希望のカタログを取りやすいように工夫があった。目当てのカタログがスッと取れる点もセールスポイントが高い! 今回、最も来場者が興味を引いた商品は、「SKS-GⅡ」。これは、金型材の掘り込み加工や航空機部品等に使用されるチタン合金・ステンレス鋼などの難削材の高能率加工に優れた威力を発揮する工具。4コーナ仕様の四角ポジインサートを採用し、安定した高送り加工を実現している。同社でも「驚異の切り屑排出量を実現する革新的高送りカッタ。」として自信の一品だ。PVDコーティング材種「JC8118」、「JC8050」、「JC7550」の3材種が幅広い被削材に対応している。長寿命なのも嬉しい。他にも新製品「ヘプタミル」が注目されていた。

銅電極加工用ロングネックエンドミル
銅電極加工用ロングネックエンドミル
 微細・精密切削加工に強い日進工具。今回大きな注目を浴びたのは、隙間を突いた新製品「銅電極加工用ロングネックエンドミル」だ。「銅電極加工に圧倒的な長寿命と高品位を実現する。」と同社も自信の商品。銅電極加工に特化しているこの商品の出現を待ち望んでいたユーザーも多く、加工の救世主的な役目を果たす。この工具、微小なギャッシュランドの採用で、切れ味を保ちつつもコーナ部の強度がアップするという考え抜いた工具設計に優位性がある。銅の加工に最適な刃先形状の開発で、バリの発生を最小限にしているのだ。切り屑のスムーズな排出も魅力。切れ味と良好な加工面品位を保つために刃先形状とDLCコーティングの相乗効果が高品位な電極加工を可能にしている。難削材でも安定加工ができるのは嬉しい。

アクアREVOドリル
アクアREVOドリル
 会期中、超硬材料の内製化を発表し、大きな注目を浴びた不二越。工具の目玉となったのは、超硬素材から超硬ドリルを一貫生産し、全てを一新した新超硬ドリル「アクアREVOドリル」だ。硬さと靱性を両立した超硬母材を新開発し、耐摩耗性と耐チッピング性を向上し、直線刃形で応力を分散。これにより、コーナーの欠損強度を向上している。被膜も新たに開発しており、耐酸化性と耐摩耗性に優れた「REVO-Dコート」でさらに超平滑化処理によるスムーズな切り屑排出を実現した。今回、いかにこの工具が滑らかなのかを手に取って触れられるように展示してあったが、触ると驚くほどツルツル! これには来場者も驚きを隠せない様子。「工具に革命を起こす!」という同社の意気込みを知ることができた。今後、工具部門のニーズに対応したオリジナル高性能材種の開発とともにラウンドツール以外の超硬合金素材の開発も進めるとしており、目が離せない!

 LC50-DIGILOG
LC50-DIGILOG
 ブルーム-ノボテストの注目の新製品は「LC50-DIGILOG」。最先端を行く次世代工具測定レーザだ。最大のメリットは、①自動計測による大幅な生産時間、②不良最小化に貢献、③連続したプロセスチェーンの実現、④省人化・自動オペレーション、⑤あらゆるタイプ、形状、材質の工具測定とモニタリング、⑥主軸熱変位と工具刃先の振れ補正など。同社はこの商品の目的について、「生産現場が良品をつくるスピードを上げること。そして時間をかけずに誰もが簡単に不良率をゼロにできること。」とコメント。この商品は、1秒あたり何千もの測定値を提供するデータベースを基に生産イノベーションを実現する技術を搭載している。機械メーカーや加工現場がこのデータを使用することにより、さらにデータを活用できるという。これらのメリットは生産現場に多くの可能性を与えてくれる。自動化や省人化が進む中で加工の測定信頼性の確保は絶対に欠かすことができないのだから。

EBB4HR-ATH
EBB4HR-ATH
 “MOLDINO”ブランドが定着してきた三菱日立ツールは、「金型業界にさらなる加工イノベーションを!」と意気込みを見せているだけあって、金型加工時間の短縮による生産性改善やコスト削減へのニーズに対応した商品が数多く見られた。その中でも特に注目を浴びたのは、高精度リブ溝加工用テーパボールエンドミル「EBB4HR-ATH」。等高線加工+テーパエンドミルの新しいリブ加工法を提案していた。優位性は、直彫り加工で磨き工数を削減することだ。この工具、外周刃をテーパ刃形状とすることで、工具交換時に発生する嫌な段差を低減してくれるというから、頼もしい。しかも荒加工から使うと、削り残り量も低減し、高精度な仕上げ加工を実現する。工具交換による段差を抑えるうえ、次工程の磨き時間の削減ができるというのは、トータル加工時間を削減できるということ。生産性向上にはもってこいの工具だ。

WJXシリーズ
WJXシリーズ
 加工現場が求める“高能率加工でも経済的な工具”を展示していたのは三菱マテリアル。目玉となったのは高送り加工用両面インサート式ラジアスカッタ「WJXシリーズ」だ。高送り両面インサートなのに食い付きの抵抗上昇が少なく、連続切削や高切り込みでも安定した“静かな加工”を実現。この工具の特長は切れ刃設計にある。急角度のランピングでも切れ刃が直線なので安定した切り屑を出す副切れ刃、また、さらい刃により、荒加工領域での良好な仕上げ面を実現している。驚いたのはインサートの厚みが従来品より増していること。これで欠損および本体の破損を防止するという。独自切れ刃稜線により、切り屑はコンパクトなカール状になるため、工具本体やチップコンベアの切り屑詰まりを抑制することも嬉しい。

グリーンG1チャック
グリーンG1チャック
 ユキワ精工は、コスト低減に直結するツールホルダとして人気を博している「スーパーG1チャック」を展示し、来場者の足を止めていたが、緑色が美しい「グリーンG1チャック」にも要注目だ。この商品のキーワードは“速くキレイに削れるecoなホルダ”。ホルダ内部に振動減衰構造を設け、重切削の振動を抑えるので加工送り速度を上げられる。重切削でも工具が倒れにくいのは、ホルダ部の肉厚を厚くしたことと、二面拘束により高い剛性を確保したことによる。1/10テーパとダブルテーパ式による高把握力で定評のSGコレットを使用しているので、抜けにも強い! 「工具の刃持ちが良くなります!」と同社も自信の一品だ。嬉しいことに、ホルダにコレットをセットした状態での総合芯振れ精度5µmを保証してくれるのは、ユキワならでは! 

大澤科学技術振興財団が「平成30年助成費贈呈式」を開く

 大澤科学技術振興財団(理事長=大澤伸朗 オーエスジー常務)が、11月7日、オーエスジー ゲストハウス(愛知県豊川市)で「平成30年度助成費贈呈式」を開催した。本年、オーエスジーは創立80周年を迎え、平成33年には財団も30周年を迎えることを記念し、今年から平成33年までの4年間で総額1億円を助成するとした。この日は30周年記念事業の第1回目となる。なお、30年度は次の2課題を指定して募集を行った。

 課題1:金型の切削加工技術に関する研究
 課題2:航空機部材の切削加工技術に関する研究

 大澤科学技術振興財団は、平成3年7月18日に設立され、日本のものづくりを支える科学技術の振興に寄与したいという趣旨から、国内の大学・研究所など、非営利の研究機関に所属する研究者に助成を行っている。今年度は23件の研究開発助成および、10件の国際交流助成を行い、助成金の合計は7,296万2,000円となった。なお、設立来28年間の研究開発助成は368課題、国際交流助成も268件となり、助成累計額は7億5,679万8,000円に達している。

あいさつする大澤理事長
あいさつする大澤理事長
 あいさつに立った大澤理事長は、「昨年は台風に見舞われ、昨年の贈呈式は中止となったが、今年は台風の時期を若干ずらして開催した。お陰様で当財団は2021年に30周年を迎える。それと併せて今年はオーエスジーも80周年を迎え、なにか記念事業を興そうと今年から4年間、重点研究開発という企画を設け、従来の一般研究開発と国際交流助成を含めて助成枠を拡げた。4年間に亘って行う重点研究に対する助成は総額で1億円と決定している。お陰様で、今年度は重点研究開発助成で2件、一般研究開発助成で21件、国際交流助成で10件、合計33件に対して助成を行った。引き続き、皆様に対して精力的に助成をしていく。」と力強く述べたあと、「先日、JIMTOFが開催された。今年のテーマは未来につなぐ 技術の大樹。昨今、つなぐ、というワードが様々な分野で使われており、ここ数年でわれわれを取り巻く生産現場が大きく様変わりをしていることを実感している。今回の展示会もIoTを軸とした、より実用的な提案が目立っていた。今後は自動化、省力化に進んでいくと思われるが、あくまでもこれらは手段であって、ものづくりの一番の根底にある技術的・科学的な重要性は今後ますます高まるだろう。」との認識を示した。

説明する帯川選考委員会委員長
説明する帯川選考委員会委員長
 帯川利之選考委員会委員長(東京大学名誉教授)が選考過程について説明をしたあと、「ある町工場の話だが、60歳代の熟練が多い会社だった。経営陣はなんとか生産性を上げたいがなかなか実現できずにいた。そんな折りに、昨年高圧クーラントの工作機械を導入し、高能率加工を実現した。この設備を導入したときに、週休二日を達成したとのことだった。技術でないと得られない部分を目指して皆様には精進していただければ非常にありがたいと思っている。」と期待を込めた。

 大澤理事長から助成決定書の交付が行われた。

 来賓を代表して浅野勝人顧問(元内閣官房副長官)が、あいさつをしたあと、糸魚川文広 名古屋工業大学・大学院工学研究科 教授が謝辞を述べた。

 場所を移して懇親会が開かれた。乾杯の発声は大澤二朗オーエスジー常務が行った。宴もたけなわの頃、散会した。

平成30年度助成課題

●重点研究開発助成
1.「難削性金型材料の次世代超精密・微細形状創製技術の研究開発」
名古屋大学・大学院工学研究科 助教 鄭 弘鎭

2.「超短パルスレーザを用いたCVDダイヤモンドコーティング工具の高性能化」
名古屋工業大学・大学院工学研究科 教授 糸魚川文広

●一般研究開発助成
3.「モード変換型マイクロ波プラズマCVDによる窒化ホウ素の合成」
千葉工業大学・工学部 教授 坂本幸弘

4.「ファブリ・ペロー方式婦ロープを用いた微細3次元加工形状測定システムの開発」
北九州市立大学・国際環境工学部 准教授 村上 洋

5.「畳み込みニューラルネットワークを用いた研削性能低下要因の抽出」
佐世保工業高等専門学校・電子制御工学科 准教授 坂口彰浩

6.「へら絞り法によるテラヘルツ通信アンテナの開発(Ⅱ)」
国立天文台・電波研究部 助教 三好 真

7.「マイクロ波励起高密度基材近傍プラズマを用いたナノダイヤモンドの合成」
兵庫県立大学・工学研究科 助教 田中一平

8.「歪速度に茶宇目した局所的塑性加工による工具用表面力学設計の構築」
東北大学・大学院工学研究科 教授 祖山 均

9.「エンドミル加工の工具変形および振動を考慮したボクセルモデルによる切削現象の予測」
神戸大学・大学院工学研究科 助教 西田 勇

10.「PCD/BL-PCD工具のフェムト秒レーザ成形と超硬合金加工における微視的摩耗挙動に関する研究」
理化学研究所・大森素形材光学研究室 専任研究員 片平和俊

11.「ダイクエンチ鋼板、超高張力鋼板の穴縁の遅れ破壊を抑制する穴抜き加工の開発」
豊橋技術科学大学・工学部 准教授 阿部洋平

12.「グラフェンを活用した擬音低減及び放熱型切削工具の開発」
東京大学・生産技術研究所 教授 臼杵 年

13.「ダイヤモンドCVD膜の超高速成長技術の開発」
金沢大学・理工研究域 准教授 徳田規夫

14.「ホットカソード法による切削加工用酸化物・窒化物被膜の高速スパッタ成膜技術の開発」
東北大学・大学院工学研究科 教授 斉藤 伸

15.「連続繊維強化樹脂加工用 有気孔メタルボンド砥石の開発」
山形県工業技術センター・化学材料表面技術部 専門研究員 村岡潤一

16.「超ナノ微結晶ダイヤモンド膜の切削工具への適応」
九州大学・大学院総合理工学研究院 准教授 古武 剛

17.「膜厚分布に対応できる一品処理型・超高速・工具除膜技術の開発」
岐阜大学・工学部 教授 上坂裕之

18.「レーザークリーニング援用ドレッシング法による超精密研削加工技術の開発」
富山県立大学・工学部 准教授 岩井 学

19.「複合砥粒砥石を用いた高速固定砥粒研磨によるダイヤモンドの鏡面仕上げ」
京都工芸繊維大学・機械工学系 教授 太田 稔

20.「バインダレスナノ多結晶ダイヤモンドを材料とする極微小切削工具および極微小金型の製作加工技術の開発」
慶應技術大学・理工学部 教授 青山英樹

21.「表面波の伝播速度による超砥粒ホイール砥粒層の弾性係数導出に関する研究」
芝浦工業大学・デザイン工学部 准教授 澤 武一

22.「対向型デュアル電極放電プロセスによる恒温潤滑窒化バナジウム含有コーティング膜の開発」
金沢大学・理工研究域 教授 細川 晃

23.「光ファイバ型二色温度計によるワイヤ放電加工中のワイヤ電極温度計測の高精度化」
金沢大学・理工研究域 助教 小谷野智広

●国際交流助成
K-1.「第2回建築材料と材料工学に関する国際会議(ポルトガル)」
奈良工業高等専門学校・機械工学科 教授 和田任弘

K-2.「国際材料研究協会―電子材料国際会議(韓国)」
豊橋技術科学大学・電気・電子情報工学系 助教 谷本 壮

K-3.「第13回先進材料の超塑性に関する国際会議(ロシア)」
富山県立大学・工学部 准教授 伊藤 勉

K-4.「第21回先進材料・加工技術に関する国際会議(アイルランド)」
岐阜大学・地域連携スマート金型技術研究センター 特任教授 土屋能成

K-5.「第21回国際先端砥粒加工シンポジウム(カナダ)」
一関工業高等専門学校・未来創造工学科 准教授 原 圭祐

K-6.「第21回国際先端砥粒加工シンポジウム(カナダ)」
京都工芸繊維大学・機械工学系 准教授 江頭 快

K-7.「第21回国際先端砥粒加工シンポジウム(カナダ)」
山梨大学・工学部 准教授 孕石泰丈

K-8.「第21回国際先端砥粒加工シンポジウム(カナダ)」
岐阜大学・地域連携スマート金型技術研究センター 特任教授 深川 仁

K-9.「第21回国際先端砥粒加工シンポジウム(カナダ)」
日本工業大学・基幹工学部 教授 二ノ宮進一

K-10.「第21回国際先端砥粒加工シンポジウム(カナダ)」
秋田県立大学・機械工学科 准教授 野村光由