求められる精度に応える安田工業 国内営業部 高橋部長に話を聞く
YASDAの機械に徹底した熱対策アリ!
― 自動車もEV化が加速し、加工トレンドが変化しつつあります。
高橋 EVになったがゆえに高精度になるものがあります。内燃機関が消える一方、電子部品は増加します。高精度の部品がないと騒音や振動が発生したり、電力が異常に使われたりする恐れがあるので、時代に合致したものづくりに貢献する工作機械を提供するよう、われわれも注力していく所存です。
― ユーザーニーズをマシンに反映するための取り組みを教えてください。
高橋 高度な加工を行っているお客様は加工に敏感です。弊社の営業担当者は日頃からお客様と深く関わっており、加工技術的な要望も声を拾い社内に展開しています。
― 現在、YASDAユーザーも多忙だと思います。ユーザーの加工トレンドをどう感じますか。
高橋 地域によって違いがあります。クルマ関係でも、エンジン系以外にセンサーやレンズ、その他では半導体製造装置絡みの部品が増加しています。
― 今後の展開を教えてください。
高橋 現在、金型向けの機械が7割を占めています。引き続き、金型加工の高精度化に貢献する機械を提供する一方、この先は高精度部品加工も狙っていきたい。弊社は横型マシニングセンタを基本製品としていますが、これを5軸化、省力化したうえで、高い精度のものづくりができるよう進めていく所存です。横型マシニングは、競合他社も精度のレベルは上がってきており、かなり競争が激しくなっています。厳しい精度のものでも弊社独自技術を盛り込んだ5軸の機械で省力化ができれば、さらなるメリットが生み出せます。
― 5軸のメリットについて教えてください。
高橋 5軸加工は切削工具の最適な箇所でワークを削ることができますから、工具の寿命は長くなるメリットがあり、加工の高速化が実現するので、経済効果も高いといえます。ただ、3軸加工と比較し、精度に問題が出やすいといった声もききます。弊社の機械は熱変位対策が万全です。室温変化の影響を受けにくい機械をつくり込むことは、われわれの得意分野になります。きさげ加工で実現した真直度、直角度、平面度に加え、機械の中に液体を流して熱変位をさせない〝機体温度制御装置〟がYASDAの機械の変わらぬ特長です。
― 熱変位対策についてもう少々詳しく教えてください。
高橋 鉄は1℃上がれば約11μm膨張します。室温は上部ほど高い傾向となります。
そうすると、機械は姿勢変化を起こします。上下の温度差がある中でも、機械が直角、平面、真直を保てる〝機体温度制御システム〟は、売れ筋の『YMC650』を例にとると、ヘッド、コラム、ベッド部分も温度制御された専用の熱交換液を巡回させています。このため、機械の姿勢変化を防ぐ事ができ、長時間でも安定した精度で加工を実現することができるのです。
― やはり高価なマシンにはそれだけの理由があるのですね!
高橋 高価なだけの機械に目の肥えたお客様は見向きもしません(笑)。この機体温度制御装置も進化しています。すでに30年以上も前からある機能ですが、こうした技術の積み重ねがYASDAの機械を支えています。