【この人に聞く】進化する金型メーカー 七宝金型工業 松岡社長

 

Sラボ事業でスマートなものづくりを推奨

220822top4 単純作業に追われて、想像する力を失ってしまうような製造現場にならないために松岡社長は、「人が輝くものづくりにしていこう!」と考えた。それには、時間の有効活用を視野に入れた効率的なものづくりを構築しなければならない。

 同社では、『スマートラボ事業』を立ち上げ、通称〝S-LABO(エスラボ)〟と呼んでいる。この〝S〟は〝SHIPPO〟のSと〝SMART〟のSの意味があるという。

 焼き嵌め工具は、材料が硬くて削りにくく、さらに高い精度が求められる加工に多く活用されている。松岡社長も「仕上げ加工は焼き嵌めが一番、精度が出る。」と述べているが、その一方で、焼き嵌め式のデメリットは、手動だと時間がかかる点である。工具1本に40~50秒も待っていなければならない。「この時間が勿体ない。」と考えた松岡社長は、「いっぺんに自動的に交換する装置があればいいのに!」と閃いた。

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工場内にあるおびただしいツールの数々

 製造業は熾烈な国際競争が激化しており、金型業界も従来どおり、顧客の注文を待って製造するだけでは生き残りが困難である。そこで、他社との差別化を図り、自社をブランド化していくためには、老舗金型メーカーならではの強みを活かした新製品の研究開発をし、多角的なビジネス展開を推進する方向に舵を切ったのだった。現在、開発商品の販売に注力するかたわら、生産成功率アップのために工場のスマートラボ化を促進している。

 同社が販売している焼き嵌め工具自動交換装置『TOOL MEISTER』は、「1~2回セットすれば、その日はなにもしなくて良いほど。」という。

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自社生産改善のために開発した装置だからこそ〝気が利いている〟設備となった

 最先端の設備を積極的に導入し、他社に追随できないオンリーワンの技術がつまった商品を顧客に提供する同社では、HSK100からBT50など、様々な種類のホルダを活用している。効率を求めた焼き嵌め工具の自動化を考え抜いたところ、『TOOL MEISTER』は、30本のツールスタンドをワゴン式にして、これをドンと突き刺すだけで交換できるよう工夫している。

 あらかじめ工具内容をデータで送ることで自動的に焼き嵌め着脱を行うため、無人で最大60本のホルダを用意することができる。これにより、従業員の手間が省けるので業務の生産性向上につながるのはいうまでもないだろう。つまり、この『TOOL MEISTER』は、自社の生産改善アイテムでもあるのだ。こうした自分たちの改善アイテムを〝S-LABO〟商品として、国内外に向けて販売し、事業の新しい柱にしている。

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