牧野フライス精機「GTJ2023」で来場者を魅了 ~最新技術の要を探る~
主力マシンは「AGE30FX」
―貴社の自動化技術「monocam2」を搭載した「AGE30FX」の快進撃に目が離せません。
清水 「AGE30FX」は、弊社のフラッグシップであり、工具製造用途に特化した機械コンセプトでつくられたもので、現在非常に売れ筋となっています。お陰様で「monocam2」の搭載率も上がっているので、お客様に有用性を認めていただき、オプションとして選択いただいています。
―「monocam2」は後付けができるものなのでしょうか。
清水 これは後付けができないので、最初に選択していただきたいと思っています。
―レーザ測定が主流のときに画像認識技術を追求されましたが、結構悩まれたのではないですか。
清水 弊社だけあまのじゃくだった―――のかもしれません(笑)。しかし、将来、画像認識技術が進んでいくだろう、と確信していました。昨年のJIMTOFでも、ヨーロッパの方々が見学しに来られて、「凄いですね!」との言葉を頂きました。この技術は思いついてすぐに出来るようなものでもないので、コツコツと技術を積み上げていったのが功を奏したのだと思っています。
―清水社長が考える儲かる設備とは。
清水 いかに稼働率を高められるかが重要だと考えています。昨今、労働人口の減少から人手不足が懸念されていますが、製造現場ではオペレータの確保が困難な現状で、このままいくと機械が稼働させられなくなる可能性だってあるのです。現在、ワークライフバランスという考え方も浸透し、残業も制限されてしまい、仕事があっても回せないのが実状です。とにかく時間内に数をこなすために、仕事をスピーディに流せばいいというわけではなく、不良率が高いモノをつくってしまったら経済効果は見込めません。自動化をしつつ、かつ、要求された精度を守らなければならないのです。人材不足は、10年後はもっと悪化する問題になると感じていますので、解決策が急務です。
―この製造現場の悩ましい問題の解決策として、貴社は自動化に注力してきた印象がありますが、「AGE30FX」が進化した主な点を教えてください。
清水 砥石交換装置を従来の6セットから8セットに増やしたり、ワークローダの搭載本数を格段に増やしたりと努力をしてきました。連続加工運転時の安定性にこだわりをもって機械の開発に注力し、その一環として先ほど申し上げたとおり、カメラによる画像認識に取り組んできました。
―切削工具は消耗品ですから、どんどんつくらなければなりませんので、スピーディかつ安定的に切削工具ができる貴社の技術は素晴らしいと感心しております。最近は微細工具も増えてきました。
清水 微細工具の需要は高まりをみせています。微細なドリルにオイルホールを開ける技術も進化しています。まさにわれわれの「monocam2」の一番のメリットを生かせるところです。オイルホールの位相は、微細工具だとタッチプローブでは検知できないものです。この位相をカメラで見てピッと合わせて次に行く。これを繰り返すことができれば、非常に便利であり、時間を有効に活用できます。