「限りない技術革新への挑戦!」 イスラエルのイスカル本社でファーストクラスディーラーと関係ユーザーを対象にセミナーを開催(前編)
工場内は最新製造技術が詰まっていた!
切削加工は機械や素材、ワーク、環境により提案が異なる。メイール氏はこの点について、「例えば新幹線の車両に対する加工のノウハウを提供することで有益性を生む。大きな市場を占める自動車産業は世界的にEV化が進んでいるが、来年の自動車の動きを予測すると、ハイブリッドエンジンの動向も確かに存在する。」と今後の動きについて言及、大きな変革期を迎えた金属加工業界の加工トレンドについては、「切削工具はより効率的により高い切削速度で使用されることが求められている。われわれは常に生産性を向上させる新製品の開発を続けており、あらゆる曲面において生産性の高い優れた品質と効率的な製造を実現する最先端の切削工具ソリューションを提供している。われわれの革新的な高能率加工工具により世界の先進的な工作機械自体も試されている。」と述べ、これらの実現について、「イスカル最新工具『NEOLOGIQシリーズ』を活用することで切削時間と工具交換時間を短縮することができ、スマートファクトリーの最大効力が得られる。」とした。
イスカル社は工具を生み出す製造技術にも積極的に投資を行っている。それによると、「積層製造形技術を積極的に採用している。ここまで高度な製造技術を有している切削工具メーカーは少ないだろう。」と自負しており、積層造形による製造のメリットについて、「工具の設計に制限がなくフレキシブルかつ効率的に製造できる。」という優位性を示した。
加工ユーザーのメリットについても触れ、「これらの製造技術を活用することで、クーラントをピンポイントに供給できる工具の開発・製造が可能となる。特にヘッド交換式穴あけ工具やミーリング工具において、従来は実現不可能だったクーラント流路が適切に製造され、クーラント圧だけでなく、流量を適切に刃先に送り込む加工が実現できる。」と強調した。
この原理はこうだ――――。
3Dプリンタの活用で、急激な圧力損失を抑制する滑らかなクーラント流路の製造が実現。さらに数値流体力学によりクーラント経路の最適化を行うことで圧力損失を最小にし、流量を最大化するという。分析はクーラント圧のかかり方を色分けすることで実施、積層造形技術によって圧力損失を最小限に抑えつつ、流量を最大化するクーラント流路の生成が可能になるという仕組みである。
切削工具製造技術はこれだけではない。次のフェーズとして、刃先へのピンポイント高速噴流を発生させている。流量を最大化し刃先に沿ってクーラントを広げるために、クーラントアウトレットを2カ所に設置。刃先に効率的なクーラント供給ができるため、寿命と切削排出性を向上したのだ。