【レポート】三菱マテリアル×エヌティーツール 「小物高精度加工」に特化したコラボセミナーを開催 

 

自動盤加工による内径加工のポイント

三菱マテリアル 江波室長

 講義2は三菱マテリアル 技術営業部小物高精度コマンド室の江波室長が「自動盤加工における内径加工のポイント」をテーマに深穴加工を見越した穴精度及び後工程の改善について焦点を当てた説明を行った。

 それによると、自動盤による各刃物台での主な工程に、ねじ加工、面取り&内径加工、突っ切り加工を挙げた。

 江波室長は、自動盤による最初の工程である面取り加工を挙げ、「求芯性を高める前加工として、リーディングドリルでの加工を面取りを兼ねて行うが、その際にバリを出さない〝低抵抗の工具を〟使用すること。」を強調した。また、クロス穴加工時のトラブルのドリルの〝抜けバリ〟への対応として〝押し倒し〟でバリ抑制をする方法として次の5つを挙げた。

 (1)切れ味のよい工具
 (2)出口の送りを下げる
 (3)ドリル肩部に面取り
 (4)出口に前もって面取り
 (5)肩から抜く

 ドリル加工で悩ましいのは〝穴曲がり〟だが、江波室長は、「一般的には正面側に工程が多く、加工時間が長い。背面加工では大径穴加工が不得意でチャック掴み代や傷が付いてしまう。穴の繰り広げ加工での切りくず処理も重視しなければならない。」と、重視すべきポイントを述べた。

深穴加工を見越した穴精度及び後工程の改善に役立つ工具を披露

 三菱マテリアルでは、超硬ソリッドドリルTRISTARドリルシリーズ『DVAS』にも採用されている『TRI-Coolingテクノロジー』で切りくず問題を解決している。『TRI-Coolingテクノロジー』は独自のクーラント穴形状でクーラント吐出量を200%以上アップさせたことにより切りくず排出性、切削熱の排熱性も飛躍的に向上したと説明した。また、穴曲がりを回避する方法として、「ショートドリルでは首下部の長さが最小限にすることで工具剛性の向上と切りくず排出性の確保を両立できる。」と述べ、『DVAS』の優位性のひとつである工具デザインを例にとり、「切りくず排出領域をテーパ部に設けており、穴位置精度が向上する。」と述べた。

 ポケット加工の高能率化を図るため、内径荒加工(繰り広げ加工)については、バリの抑制を高める工具選定を提案。強ランピング加工を可能とした高機能エンドミル SMART MIRACLEシリーズ『VQ4MVM』の紹介があった。この工具は、加工の際にガイドの役割を果たすマージン効果を発揮し、不等リードと組み合わせることで制振性を高めバリの発生を抑制する仕組みだ。

 また、内径溝・ねじ加工の問題点を江波室長は、「タップはねじの食付き代が先端部に設定されている。食付き代がある主な理由は、ねじ切り加工時の切削抵抗を下げること。食付き代は下穴形状とねじ加工長の関係により検討する必要がある。」と述べ、「例えば、深さ15mmの止り穴にねじ加工長が10mm必要な場合は、タップの食付き代が5mm以上あると必要なねじ加工長が加工できないことになる。この場合は、食付き代が少ないタップを選定するか、もしくは下穴深さが変更可能な場合は、より深い下穴をあけることで必要なねじ加工長を加工できるようにすること。」と説明した。

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