強固なBCPと世界供給網で挑む! 切削工具の安定供給がイスカルの強み イスカルジャパン 代表 岡田一成氏に聞く

 

イスカル本社は3シフト、IT部門も急拡大! その強さの秘密

イスカル本社

 

イスカル本社の庭に佇む卵形のオブジェ。イスラエルを代表する彫刻家、メナシェ・カディシュマンの作品『Birth(誕生)』(1989年)。

 ― イスラエルを取り巻く情勢は、日本から見ると非常に厳しい状況にあるように映ります。一方で、テフェンにあるイスカル本社は改修・増設をはじめ、工場やロジスティクスセンターの拡充も進め、事業基盤をさらに強化しています。外から見ると意外にも感じるこの動きの背景には、どのような考えや将来への見通しがあるのでしょうか。
 岡田 皆さん、意外だと驚かれると思います。実際、この2年ほどで、イスカルはかなり積極的に事業基盤の拡充を進めています。本社の改修・増設に加え、工場やロジスティクスセンターも以前とは様変わりしています。ソリッド工具の工場では機械設備が大幅に増設され、生産能力の強化が進んでいます。ロジスティクスの面でも拡充が進み、将来の事業成長を見据えた投資を継続しています。
 ― 厳しい情勢が続くなかでも、実際の本社や生産拠点では事業が力強く動いているということですね。本社の状況について、もう少し詳しく教えていただけますか。
 岡田 イスカル本社は現在も非常に忙しく、3シフトでフル稼働しています。そして本社で進んでいるのは、製造設備の増強だけではありません。IT部門も大きく拡充しており、現在では切削工具の営業やマーケティング部門と同程度の規模にまで成長しています。ITによる情報処理やアプリケーション開発、さらには工具管理システムの開発など、デジタル領域への投資も積極的に進めています。また、近年ますます重要性が高まるサイバーセキュリティ対策についても継続的に強化を進めています。今日の製造業においては、サイバー攻撃によってシステムが停止すれば、それは工場が止まることと同じです。そのため、イスカルでは生産設備への投資と同じレベルで、サイバーセキュリティへの投資もBCPの重要な柱として位置付けています。社内システムについても、基幹部分にはシステム企業のERPを採用していますが、その中身はイスカルの事業に合わせて徹底的にカスタマイズされています。私はよく、これを人間の「血管」に例えます。世界中のイスカル拠点をつなぐ基幹システムのなかを情報が絶えず流れ、それをエンジニアが支えている。世界各地でM&Aが進んだ場合でも、グループに加わった企業を同じシステムのもとで統合・管理できるため、言葉や文化の違いを越えて、一つの企業として事業を動かすことができます。これもイスカルの大きな強みの一つだと思います。また、イスラエルと日本を結ぶビジネスの往来も続いていることにも注目していただきたいのですが、現在、イスラエルと日本を結ぶ直行便は週3便運航されています。今後これらの直行便の増便が既に決定されていると聞いています。日本とイスラエルを結ぶ航空路が拡充されれば、両国のビジネスパーソンが、より頻繁に行き来できる環境が整うことになります。これは、両国の間に一定のビジネス需要が存在していることの表れでもあります。厳しい環境にあっても、ビジネスの往来や経済的なつながりは確かに続いている。そうした現実も、ぜひ知っていただきたいと思います。イスカルは、イスラエルに本社を置きながら、世界各地に事業を展開するグローバル企業です。目の前の情勢だけに目を奪われるのではなく、その先にある5年、10年、15年後を見据え、設備、人材、IT、そしてグローバルな事業基盤への投資を続けています。外部環境が変化しても、未来に向けた歩みを止めない。むしろ、先を見据えて自らの基盤を強くしていく。その姿勢こそが、イスカルという企業の大きな強さなのだと思います。

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