【小杉取締役に聞く】成長市場を加工技術の足元から支えるユキワ精工

 

自社工場を“実験場”に

 

 顧客ニーズの変化に対し、ユキワ精工が強みとするのが、自社の生産現場をいわば「実験場」として活用し、そこで得た成果をユーザーへの提案につなげる開発姿勢だ。

 同社ではこれまでも、人手不足や自動化といった自らが抱える生産課題に対し、ワークハンドリングホルダやCNC円テーブル、ツーリングシステムなどの自社製品を組み合わせ、既存設備を生かした自動化に取り組んできた。大掛かりな専用設備を新たに導入するだけでなく、自社が得意とする「掴む・回す・運ぶ」の技術を組み合わせることで、生産性向上や長時間の自動運転を実現している。

 重要なのは、こうした取り組みを自社工場だけの改善にとどめていないことだ。自らの生産現場で課題を見つけ、自社製品を使って解決策を試し、そこで蓄積したノウハウをユーザーへ横展開する。自社工場での実証を経た提案だからこそ、設備投資や人手不足に悩む加工現場にとって、より現実的な選択肢となる。

「課題解決型営業」を掲げるユキワ精工にとって、自社工場は製品を生産する場所であると同時に、次の加工ソリューションを生み出す実証の場でもあるのだ。

「黒のベール」で錆から守る――ツールホルダに防錆仕様

ホルダ表面に黒色酸化皮膜を形成

 顧客の課題を捉え、自社の技術を生かして解決策につなげる。同社のこうした開発姿勢は、加工性能の向上だけでなく、製品を良好な状態で長く使用するための工夫にも表れている。

 その一つが、新たに発売したツールホルダの「防錆仕様」だ。キャッチフレーズは『黒のベールで錆から守る』。ホルダ表面に黒色酸化皮膜を形成することで、赤錆の発生を抑制する。

 ツールホルダにとって、錆は単なる外観上の問題ではない。工作機械と切削工具をつなぎ、工具を高精度に保持する役割を担うだけに、腐食が進めばワークの面品位を損ない、発生箇所によっては着脱や精度維持などに悪影響を及ぼすおそれがある。特に、長期間保管するホルダでは防錆管理も重要になる。

 防錆仕様では、ホルダ表面に膜厚数μmの黒色酸化皮膜を形成する。薄膜のため、ホルダ本体の寸法精度や加工性能への影響はほとんどなく、赤錆の発生を抑制できるという。長期保管時の防錆対策としても有効だ。

 加工精度や剛性といった〝削る性能〟だけでなく、ユーザーが製品を良好な状態で長く使用するための課題にも目を向ける。現場に寄り添う同社の開発姿勢を示す製品の一つだ。

MOLDINO