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台湾TMTS展が6年ぶり単独開催 7万人が来場、オンライン展には11万人
工作機械の輸出額で世界5位、生産額で世界7位の台湾で台湾国際工作機械展(TMTS2024)が3月27日から31日までの5日間、台北市東部の台北南港展示センター1、2号館で開かれた。6年ぶりの単独でのリアル開催に631社が3,350小間を超える規模で開催され、国内外から7万人が来場し、オンライン展には123カ国から11万人がアクセスした。今回展のテーマは「DX & GX 持続可能な未来」で、各出展者がDX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)の2つを軸に、製品とサービス、自動化や省人化に向けたソリューションを競った。台湾の工作機械業界にとり最大の輸出先の中国が不動産不況を受け、設備投資が急減速して販売を落とすなか、台湾メーカー各社が何を目指しどう取り組むのかを現地で取材した。【台北=是州煩太(文・写真)】
ファンを引き付け知名度も向上
TMTSは2010年に台湾中部の台中市で初開催され、今回で7回目の開催。6回目となるはずだった20年展は新型コロナウイルス感染症の拡大で中止に追い込まれ、2年前の22年展は会場を台北に移し、30回の節目を迎えた台北国際工作機械見本市(TIMTOS)との合同で、「TIMTOS×TMTS2022」として国内向けの開催を強いられた。海外の在住者に対しては、同時開催されたオンライン展での視聴参加の呼びかけを余儀なくされた。
半世紀を超える長い歴史を持つTIMTOSに比べ、台中で開催されるTMTSの知名度はかつては今ひとつ。初期の開催時には日本で開催される日本国際工作機械見本市(JIMTOF)の知名度と集客力を利用し、JIMTOF閉幕の翌日をTMTSの開幕日に当て、各国からのJIMTOF来場者に帰国前の立ち寄り、寄り道での来場を促した時期もあった。主催の台湾区工作機械工業会(TMBA)が編み出した秘策だった。
産業用機械を広範に展示するTIMTOSに対し、切削を中心とした金属加工用の工作機械と周辺機器に絞って展示するTMTSは、初開催から14年を経てより熱心なファンの引き付けに成功し、今や知名度も上げて来場者数を増やしてきた。
開催地の台中は、工作機械や周辺機器の各主要メーカーの本社と工場の集積地でもある。工場の見学も兼ねて、TMTSを目当てに台湾を目指す来場者も増えた。あえて例えるなら、TIMTOSが台湾版JIMTOFなのに対し、TMTSは台湾版メカトロテックジャパンの位置づけだ。今回はかつての台中の会場が取り壊され、新会場の建設計画の遅れも重なり、台北での開催となった。
意欲的な新興国の需要捉える
今回展には7万6776人が来場。台湾各地からはもちろん、68ヵ国・地域から3,319人の外国人が来場した。外国人来場者数の上位10カ国は、インド、日本、中国、マレーシア、フィリピン、米国、インドネシア、タイ、ベトナム、トルコで、多くの国が視察団を組織して会場を訪れた。
大手自動車メーカーが工場を持つポーランドやチェコ、メキシコやアフリカなどからも来場した。既存の工業国はもちろん、設備投資への意欲が高い、新興工業国の需要をしっかり捉えた印象だ。つまり、これらの国々が今後、日本の工作機械業界が挑むべき市場、いわば「お得意さま」へと導く国だ。台湾製の工作機械を導入したら、次は必ずより高性能な日本製の工作機械が欲しくなるはずだからだ。
TMBA理事長でYCMブランドを展開する永進機械工業の陳伯佳総経理は開会式で「今回のTMTSは、従来の台中での開催から台北での開催に変わっただけでなく、多くのユニークな取り組みに挑戦した。最新の機械の展示だけでなくソリューションを提案し、DXとGXを軸に持続可能な未来社会を提案する。ユーザーの経験や体験を基に分析を重ねて機械を改善した。これまでとは違った斬新なものづくりの世界を披露したい」と意気込みを述べた。
日本の首相に相当する陳建仁行政院長や官房長官に相当する林佳龍総統府秘書長らがあいさつし、官民挙げた応援体制もアピールした。蔡英文総統こそ来場しなかったものの、開会2日目には5月に次期総統に就任する頼清徳副総統、5日目の最終日には頼政権下で副総統に就任する蕭美琴前駐米大使も会場を訪れた。
三菱マテリアル、日本新金属のタングステンリサイクル能力を増強 ~約80億円を投資、APT生産能力を年間2400トンへ倍増~

三菱マテリアルは、連結子会社の日本新金属において、重要鉱物であるタングステンの国内資源循環と安定供給基盤の強化に向け、秋田工場の湿式精錬設備などを増強すると発表した。投資額は約80億円を見込む。
設備導入は2026年度から順次開始し、2029年4月の操業開始を予定している。
今回の投資により、タングステンスクラップからパラタングステン酸アンモニウム(APT)を製造する能力を拡充。秋田工場のAPT生産能力を、現在の約2倍となる年間2400トン(WO₃換算)へ引き上げる。
日本新金属は、国内で唯一、タングステン精鉱からAPT、酸化タングステン、タングステン粉末、タングステンカーバイド粉末までを一貫生産できるメーカー。秋田工場では、回収したタングステンスクラップや中間原料を活用し、超硬工具をはじめ、半導体・電子材料、二次電池関連材料、医療用製品など、幅広い産業向けにタングステン製品を供給している。
タングステンは、日本国内で使用する原料の多くを輸入に依存しており、特定国への依存や輸出管理の強化などを背景に、安定調達を巡る不確実性が高まっている。一方、国内で発生するタングステンスクラップの活用には、既存のリサイクル設備や湿式精錬設備の処理能力が制約となっていた。
今回の能力増強では、タングステンスクラップからAPTまでの内製能力を高め、年間約1200トン(WO₃換算)の輸入中間原料を、国内リサイクル由来の原料に置き換えることを目指す。輸入依存の低減と国内サプライチェーンの強靱化を同時に進める、注目度の高い大型投資となる。
なお、本事業は経済安全保障推進法に基づき、重要鉱物の安定供給確保に資する「供給確保計画」として経済産業省の認定を受けている。
三菱マテリアルグループは、中期経営戦略(2026~2028年度)で「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を基本方針に掲げ、2030年度までにタングステン製品製造拠点におけるリサイクル比率100%を目指している。今後も日本新金属やH.C. Starckをはじめとするグループ各社の技術・事業基盤を生かし、国内外でタングステンリサイクルを推進していく。
ヤマザキマザック、160億円を投じ新研究開発拠点を開設へ ~「Mazak Innovation Hub」で研究・設計・試作を集約、開発スピードを加速~

ヤマザキマザックは、本社のある愛知県大口町に新たな研究開発拠点「Mazak Innovation Hub」を開設する。投資総額は160億円で、2027年8月の開所を予定している。
新拠点には、現在、本社敷地内に分散している研究、設計、試作・評価などの機能を集約する。部門の枠を越えた連携を強化し、次世代技術の研究と革新的な製品開発を効率的に進めることで、開発リードタイムの短縮を図るのが狙い。
自動車のEV・電動化や航空宇宙産業の拡大、AI・ロボット技術の進展など、製造業を取り巻く環境は大きく変化している。同社はこうした市場の変化に迅速に対応するため、機械本体だけでなく、自動化システムやソフトウェアを含めた製品・サービスの開発力を強化し、競争力の高い製品を世界市場へ早期に投入する考えだ。
世界11カ所の生産拠点を支えるグローバル研究開発拠点 ~「人」と「機械」の距離を縮める~
ヤマザキマザックは、世界11カ所に生産拠点を展開している。「Mazak Innovation Hub」は、国内向けの研究開発にとどまらず、海外拠点で生産する工作機械の開発・試作も担うグローバル研究開発拠点となる。
施設の敷地面積は1万4,488㎡、延床面積は1万8,200㎡。地上4階建ての鉄骨造で、研究、設計、試作・評価などの各機能は、合計で現状の約1.5倍に拡大する。
新拠点への機能移管後は、本社・大口製作所内の各部門のレイアウトを再編する。既存の試作・評価エリアの一部を生産スペースへ転用し、増産や生産性向上にもつなげる。
新拠点では、工作機械の試作・評価エリアにオフィスを隣接して配置する。室内から実機を一望できる大窓を設け、開発中の機械を身近に感じながら業務に取り組める環境を整える。
開発に携わる各部門の技術者が実機を前に意見を交わし、そこで生まれたアイデアをすぐに形にして検証できる体制を構築。設計から試作、評価、量産までの連携を強化し、市場ニーズへの素早い対応を目指す。
オフィスには、部門間の壁やパーティションを設けない開放的なレイアウトを採用。ソファ席やハイカウンター、複数のオープンミーティングエリアを配置し、部門や職種、世代を越えた自然な交流と情報共有を促すことで、社員の創造性やエンゲージメントを高めるとともに、将来のものづくりを担う人材の確保・育成にもつなげていく。
実機を活用した「フィジカルAI」の共同研究も
社外の研究機関やサプライヤー、スタートアップなどとの共同開発を進めるため、専用のコラボレーションエリアも設置する。実機を活用した共同検証を可能とし、フィジカルAIをはじめとする研究開発やオープンイノベーションを推進する。
コラボレーションエリアでは、会議室と機械設置エリアを隣接させる一方、会議室ごとのセキュリティ確保や機械周辺へのパーティション設置など、機密性にも配慮する。オープンな協創環境と情報管理を両立させ、社外パートナーとの密度の高い技術交流を実現する。
人と人、人と機械、そして社内外の技術をつなぐ新たな「Hub」。ヤマザキマザックは「Mazak Innovation Hub」を起点に、世界のものづくりを支える技術と製品の創出を加速させる。
DMG MORI Precision Boring 高剛性・高速の横中ぐりマシニングセンタ「PBN 200 | 1250」を発売 ~主軸出力80 kW、早送り速度25 m/minで重切削と高効率な連続加工を両立~
DMG森精機のグループ会社であるDMG MORI Precision Boringは、高い重切削能力と高速性を兼ね備えた横中ぐりマシニングセンタ「PBN 200 | 1250」の発売を開始した。
航空・宇宙、半導体、建設機械、金型、精密機械など、高い剛性と精度が求められる幅広い加工分野をターゲットとする。主軸回転速度や送り速度を従来機から大幅に向上させ、重切削と高効率な連続加工の両立を図った。
「PBN 200 | 1250」は、Φ200 mmのクイル主軸に400 V仕様の高速主軸「boringMASTER」を採用。最大出力を従来機比で最大45%向上させ、80 kW(10%ED)とした。標準の最高主軸回転速度は10,000 min⁻¹に達し、高速加工性能を大幅に強化している。
X/Y/Z軸の早送り速度は、従来の16 m/minから25 m/minへ向上。非切削時間を短縮し、サイクルタイムの短縮につなげる。
W軸が最大ストロークに達した状態でも高い切削力を確保できるため、Z軸の移動だけでは加工が難しいワーク深部に対しても、干渉を回避しながらパワフルな加工が可能となる。
機械本体では、ベッド摺動面間隔を100 mm、コラム摺動面間隔を200 mm拡大するとともに、鋳物質量を15%増加。重切削加工時の剛性と安定性を高めた。
切削性能についても、従来機「PBN 20 | 1250」との比較検証において、炭素鋼(S50C)の重切削加工で切削除去量を40%、アルミニウム(A5052)の高速加工で同20%向上させたという。
パレットサイズは、顧客の要望に応じて1,450 mm × 1,450 mm、1,650 mm × 1,650 mmの2サイズを用意する。
重量ワークの自動化にも対応
標準仕様では、2パレットチェンジャを備えたオートパレットチェンジャを採用。4,000 kgクラスの重量ワークも確実かつ安定して交換し、重量物加工の自動化を支援する。
CPP(コンパクトパレットプール)システムを導入することで、生産規模や運用形態に応じて4パレットまたは6パレットへの拡張も可能となる。
また、大径・重量工具を自動で安全に着脱できる「Tool Loading Unit」と、工具段取りに必要な操作をマガジン側で完結できるマガジン操作パネルを標準搭載。複雑な加工の段取りを支援するテクノロジーサイクルも豊富に備え、オペレーターの作業負担を軽減する。
〈「加工3悪」への対策で長時間の安定加工を支援〉
切りくず、クーラント、ミストの「加工3悪」への対策も強化した。
フルカバーによって切りくずや粉じん、クーラント、ミストの飛散を防ぐほか、クーラントを攪拌して微細なスラッジを高精度フィルタで回収する「ゼロスラッジクーラントタンク」を標準装備する。
オプションとして、立型クーラントタンクを採用した「zero-sludgeCOOLANT pro」や、加工時に発生するミストを効率的に捕集するビルトインタイプのミストコレクタ「zeroFOG」も搭載できる。長時間にわたる安定した連続加工を実現するとともに、清掃やメンテナンスにかかる時間の短縮を図る。
操作面では、大画面タッチパネルとハードウェアボタンを組み合わせたヒューマンマシンインタフェース「ERGOline X with CELOS X」を搭載。直感的で効率的な操作環境を提供する。
DMG MORI Precision Boring、新潟県長岡市の本社・工場内にあるショールームで「PBN 200 | 1250」を展示している。毎月開催する少人数制オープンハウス「PBテクノロジーデイ」では、実演加工も公開している。
映像 :https://www.dmgmori.co.jp/movie_library/movie/id=9592
カタログ :https://www.dmgmori.co.jp/download/catalog/detail/id=9031
三井精機工業 5軸横形MCに旋削機能を融合 「HU63A-5X Turning」を開発

三井精機工業は、このほど5軸制御横形マシニングセンタ「HU63A-5X」に旋削機能を融合した「HU63A-5X Turning」を開発した。切削と旋削を1台に集約し、1回のチャッキングで大型・複雑部品の完全加工を実現する。航空宇宙やエネルギー分野を中心に、高精度部品の生産性向上を提案する。
航空機のエンジンケースや高精度圧縮機用インペラー、精密バルブなどの製造工程では、切削加工と旋削加工が混在するため、従来は大型ワークを複数の工作機械へ移し、その都度、段取り替えや再チャッキングを行う必要があった。このため、作業時間が増えるだけでなく、ワークを固定し直す際に生じるわずかな取付誤差が、不良品や手直しの原因となっていた。
「HU63A-5X Turning」は、□630mmパレットクラスの高剛性な機械構造を基盤に、トラニオン型A・B軸テーブルへ高速・高トルクの旋削機能を搭載。5軸同時制御による切削加工と、本格的な旋削加工を連続して行うことができる。
荒加工から仕上げ加工、旋削加工までを1台に集約することで、機械間のワーク移動や再チャッキングを削減。取付誤差を抑えながら段取り時間を短縮し、加工精度と生産性の両立、コスト低減や歩留まり向上につなげる。
難削材加工を支える高い機械剛性
X、Y、Z軸の移動量は、それぞれ900mm。ガイド取付け面には、熟練技能者によるキサゲ仕上げを施した。旋削時に生じるアンバランスによる振動や、高負荷な切削加工を高剛性の機械構造で受け止める。
チタンやインコネルなどの難削材加工においても、安定した加工精度と高品位な仕上げ面を追求するとともに、工具寿命の向上に貢献する。
高速回転を伴う旋削加工では、B軸の発熱が熱変位を引き起こし、加工精度に影響を及ぼす可能性がある。そこで同機はB軸の冷却機能を強化し、長時間の連続加工でも安定した精度を維持できる構造とした。B軸テーブルの最高回転速度は400min⁻¹。
〈長時間運転と夜間の無人加工に対応〉
制御装置には「FANUC Series 31i-B5」を搭載。2面パレットチェンジャの2APCと、工具60本を収容するATCを標準装備し、長時間の連続加工や夜間の無人運転にも対応する。
旋削時の最大ワーク寸法はφ500×高さ600mm、最大積載質量は500kg。切削時は最大φ500×高さ900mm、最大積載質量800kgに対応する。旋削用パレットはφ630mm、切削用パレットは630×630mmとなる。
同社は、同機を国内外の航空宇宙、エネルギー産業をはじめ、高精度・高能率加工を求める精密部品メーカーに提案する。2026年9月に米国・シカゴで開催された「IMTS 2026」では実機を披露し、工程集約による生産性向上を訴求した。

DMG森精機の森雅彦社長、「M. Eugene Merchant Manufacturing Medal」を受賞
DMG森精機はこのほど、取締役社長の森雅彦氏が、米国機械学会(ASME)と米国製造技術者協会(SME)が共同で授与する「M. Eugene Merchant Manufacturing Medal」を受賞したと発表した。 同賞は、製造工学分野の先駆者であるM. Eugene Merchant博士の功績をたたえ、ASMEとSMEが1986年に創設したもの。製造業の生産性向上や効率化に顕著な影響を与えた個人に授与される。 森氏は、工作機械および製造技術の発展に向けた研究活動を長年にわたり推進するとともに、産学連携によるオープンイノベーションにも取り組んできた。加工、自動化、デジタルの各技術の発展に加え、研究成果の社会実装や次世代技術者の育成にも尽力している。 また、DMG森精機では「マシニング・トランスフォーメーション(MX)」を掲げ、工程集約、自動化、デジタル技術を融合した製造現場の変革を推進。生産性向上や技能継承、人手不足への対応、持続可能な製造の実現に向けた取り組みをグローバルに展開している。 今回の受賞では、工作機械および製造技術の発展への貢献をはじめ、産業界におけるイノベーションの実装、次世代技術者の育成、生産性・品質・効率性・持続可能性の向上に向けた継続的な取り組みが評価された。 同社は今後も、工作機械および製造技術の発展に貢献するとともにMXを推進し、顧客の生産性向上と持続可能な製造の実現を支援していく方針。
三菱マテリアルとMOLDINO JIMTOF2026で「共創」と「資源循環」を発信! ~新製品・新技術約30点を展示、約10製品をJIMTOFで初披露~
三菱マテリアルとグループ会社のMOLDINOが10月26日から31日まで東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2026(第33回日本国際工作機械見本市)」に共同出展する。
今回のテーマは「共創」と「資源循環」。両社の技術と知見を組み合わせた加工課題解決ソリューションに加え、超硬工具に欠かせないタングステンのリサイクルを通じ、ものづくりの安定供給と持続可能性を支える取り組みを力強く発信する。
会場では、両社合わせて新製品・新技術約30点を展示。このうち約10製品をJIMTOFで初披露する。
両社の力を結集する「Mスクエア」 使用済み超硬工具を再び資源へ!
三菱マテリアルとMOLDINOは、両社の頭文字「M」を冠した共創コンセプト「Mスクエア」のもと、隣接するブースを活用した一体感のある展示を展開する。
MOLDINOは、金型加工をはじめとする高精度加工分野で培ってきた切削工具の開発力と、高度な加工提案力を強みとする。両社が持つ工具、加工技術、アプリケーション提案などの知見を組み合わせ、顧客が直面する加工課題を起点に、生産性の向上や品質の安定化につながる幅広いソリューションを提案する。
単に工具を並べるだけではなく、現場の課題に両社の総合力で応える――。グループのシナジーを具体的な価値として示す展示となる。
もう一つの大きな柱が、タングステンの資源循環だ。
超硬工具の主要原料の一つであるタングステンは、近年、安定調達への関心が一段と高まっている。三菱マテリアルは、中期経営戦略(2026~2028年度)で「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を基本方針に掲げ、タングステンリサイクル率100%を目指している。
JIMTOF2026では、使用済み超硬工具の回収からタングステンの再資源化、新たな超硬工具としての供給に至るまでの資源循環の仕組みを紹介し、使い終えた工具を廃棄物ではなく、次のものづくりを支える貴重な資源として循環させる取り組みを訴求し、限りある資源の有効活用に加え、タングステンの安定供給にもつながる重要な取り組みを披露する。
また、会期中の10月29日には、「工具が“還る”時代へ ― 超硬資源の循環が支える、止まらないものづくり ―」と題したワークショップも開催。超硬工具のリサイクルを取り巻く環境や、資源循環がものづくりの持続性と安定供給に果たす役割を紹介する。
〈「RS0112」など最新ソリューションを披露〉
製品展示では、幅広い加工に対応し、優れた強度と加工性を両立する多機能肩削りカッタ「RS0112」をはじめ、加工現場における高能率化、加工精度の向上、長寿命化、自動化・省人化などのニーズに応える最新の工具・加工ソリューションを紹介する。
「RS0112」は2026年4月に三菱マテリアルが発売した製品で、今回のJIMTOFでも展示される。

■ワークショップ:10月29日(木)11:00~12:00
【会場】東京ビッグサイト 会議棟6F 607会議室
日立建機 油圧ショベルの操作を学習するフィジカルAIを開発へ

日立建機は、油圧ショベルのオペレータ操作を学習するフィジカルAIの研究開発を2026年10月から開始する。経済産業省とNEDOが推進する生成AIプロジェクト「GENIAC」に採択されたもので、Jizai、奈良先端科学技術大学院大学と連携して開発を進める。
今回の研究では、カメラで撮影した作業映像や操作履歴、作業指示などをAIに学習させる。AIが周辺環境を認識し、状況に応じた適切なレバー操作を自律的に判断・実行する技術の確立を目指す。
通常の作業だけでなく、操作ミスから立て直すリカバリーの過程や、天候、周辺環境、機械の状態、対象物の位置など、さまざまな条件下で取得したデータを学習させ、実際の施工現場に対応できる精度を追求する。
将来的には、災害現場でのがれき除去をはじめ、建設・鉱山現場での掘削・積込作業などへの活用を想定。さらに、マテリアルハンドリングや林業、解体、土木など幅広い分野へ展開し、労働力不足への対応と安全性・生産性の向上につなげる。
経産省・2026年7月度機械統計 機械工具生産動態調査
経済産業省の2026年7月度 機械工具生産動態調査(機械統計)は以下のとおり。

*機械工具(機械統計)との差はダイヤモンド工具のダイヤモンドドレッサー、グライディングホイール、カッティングソー、セグメント工具、その他ダイヤモンド工具。
*耐摩工具の一部はその他超硬工具に含まれる。
(表出所:日本機械工具工業会)
DMG森精機「INHシリーズ」を拡充 ~旋削対応の「INH 63 FD」とSIEMENS製制御装置仕様を追加~
DMG森精機はこのほど、5軸制御横形マシニングセンタ「INHシリーズ」のラインアップを拡充すると発表した。「INH 63」に旋削加工が可能なミルターンテーブル仕様「INH 63 FD」を追加したほか、従来のFANUC製制御装置に加え、SIEMENS製制御装置にも対応する。
INHシリーズは、同社が2023年に販売を開始した5軸制御横形マシニングセンタで、「INH 63」と「INH 80」を展開している。航空機や宇宙、半導体、産業機器、金型、自動車などの分野を対象に、複雑形状部品や高精度部品の加工、多品種少量生産、長時間の安定した連続稼働などのニーズに応える。
■ミーリングと旋削を1台に集約
新たに追加したINH 63 FDは、INHシリーズの基本構造をベースに、最高回転速度900min⁻¹、最大トルク3,000N・mのミルターンテーブルを搭載する。ミーリングと旋削を1台に集約し、ワンチャッキングによる高精度加工を可能にした。
従来は別工程で行っていた旋削加工を集約することで、ワークの載せ替えや心出しなどの段取り作業を減らし、加工精度の向上とリードタイムの短縮につなげる。旋削工具ホルダは「HSK-T 100」に対応し、安定した旋削加工を実現する。
テーブル内部には振動センサを搭載した。テーブルを高速で回転させた際に生じやすいワークのアンバランスを加工開始前に検知し、安全性の確保とワーク位置の確認を支援する。
また、高精度な段取りステーションを標準装備し、パレット交換後に必要となる機内での心出し作業を短縮する。ワーク中心を自動補正する「easycenterSET」もオプションで用意し、段取り作業の効率化と自動化を図る。
なお、INH 63 FDはSIEMENS製制御装置を搭載した製品に限られる。「INH 80」のミルターンテーブル仕様については、今後対応する予定としている。
■SIEMENS製制御装置にも対応
制御装置については、従来のFANUC製に加え、SIEMENS製にも対応した。SIEMENS製仕様には、デジタルツインを実現する「SINUMERIK ONE」を採用。加工プログラムの事前検証や生産準備の効率化を支援する。
FANUC製とSIEMENS製の両方に対応することで、ユーザーが工場内の既存設備や生産環境に合わせて制御装置を選択しやすくする。既存設備との操作性を統一することにより、オペレーター教育や保守管理の効率化にもつなげる。
■高精度と高剛性を追求した機械構造
機械構造には、全軸ツインボールねじとスラントコラム構造を採用し、高速加工時の振動抑制と機械剛性の向上を図った。3点支持構造により、地盤の形状や経年変化による影響も抑える。
全軸には、マグネスケール製の高精度エンコーダ「SmartSCALE」を標準搭載し、フルクローズドループ制御を行う。ボールねじを含む熱源を冷却することで、長時間にわたり高い位置決め精度と安定した加工精度を維持する。
主軸には、400V仕様の高剛性主軸「powerMASTER」を搭載する。標準仕様で最大トルク808N・m、主軸出力85/40kWを備え、重切削から高速加工まで幅広く対応する。主軸側に旋回軸を持たないスリムな構造とし、長尺工具を使った深部加工やラインボーリング加工にも対応。工具の突出し量を抑えながらワークへ接近できる。
■切りくず、クーラント、ミストへの対策を強化
長時間の連続・無人稼働に向け、同社が「加工3悪」と呼ぶ切りくず、クーラント、ミストへの対策も盛り込んだ。
A軸を使ってテーブルを傾斜させることで、ワークやテーブル上にたまった切りくずとクーラントを機内下部へ落下させる。立型大容量クーラントタンク「zero-sludgeCOOLANT pro」は、立型タンクの構造を生かし、スラッジと混入油を効率的に回収する。
機内には大流量の洗浄クーラントを流すとともに、モータ駆動ノズルによって切りくずが堆積しやすい場所を集中的に洗浄する。オプションの「AIチップリムーバル」は、AIが機内の切りくずの堆積状況を認識し、効率的な除去を支援する。
加工内容に応じてクーラントの流量と圧力を自動で最適化する「Adaptive Coolant Flow」もオプションで用意する。必要な場面で作動させることにより、加工品質を安定させるとともに、エネルギー消費の削減につなげる。機内で発生したミストを捕集するビルトイン型ミストコレクタ「zeroFOG」もオプションで搭載できる。
■CAMから工作機械までのデジタル工程を支援
複雑形状ワークの5軸加工では、CAMによる加工プログラムの作成が欠かせない。DMG森精機は、CAMと工作機械をつなぐPCソフトウェア「CELOS DYNAMICpost」をオプションで用意する。
同ソフトウェアは、ポストプロセッサ、切削加工シミュレーション、切削力最適化の各機能を一つに統合。CAMで作成した加工データを工作機械へ正確かつ効率的につなぎ、加工前の確認や段取り作業を支援する。
操作画面には、直感的な操作を可能にするヒューマンマシンインタフェース「ERGOline X with CELOS X」を採用した。複雑な加工をガイダンスに沿った入力によって短時間で設定できるテクノロジーサイクルをはじめ、CELOS Xの各種アプリケーションによって生産プロセス全体を支援する。
■パレット、ロボット、工具搬送による自動化に対応
自動化では、横形マシニングセンタで一般的なパレット搬送システムに加え、ロボットシステム「MATRIS」を接続したワーク搬送に対応する。最大4,000本の工具を収納できる工具搬送システム「CTS(セントラルツールストレージ)」や、自律走行ロボット(AMR)を活用したチップバケットの搬送にも対応する。
既存の4軸制御横形マシニングセンタ「NHXシリーズ」「NH DCGシリーズ」とパレットを共用でき、4軸機とINHシリーズを組み合わせた自動化システムも構築できる。ただし、旋削加工には専用の円形パレットが必要となる。
同社は今回のラインアップ拡充により、工程集約や自動化、デジタル技術を組み合わせた「MX(マシニング・トランスフォーメーション)」への対応を強化し、生産性の向上とサステナブルな生産現場づくりに貢献する。
INH 63 FDは、10月26~31日に東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2026」のDMG森精機ブースで実機を披露する。
