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台湾TMTS展が6年ぶり単独開催 7万人が来場、オンライン展には11万人

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会場となった台北南港展示センター1号館

 

 工作機械の輸出額で世界5位、生産額で世界7位の台湾で台湾国際工作機械展(TMTS2024)が3月27日から31日までの5日間、台北市東部の台北南港展示センター1、2号館で開かれた。6年ぶりの単独でのリアル開催に631社が3,350小間を超える規模で開催され、国内外から7万人が来場し、オンライン展には123カ国から11万人がアクセスした。今回展のテーマは「DX & GX 持続可能な未来」で、各出展者がDX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)の2つを軸に、製品とサービス、自動化や省人化に向けたソリューションを競った。台湾の工作機械業界にとり最大の輸出先の中国が不動産不況を受け、設備投資が急減速して販売を落とすなか、台湾メーカー各社が何を目指しどう取り組むのかを現地で取材した。【台北=是州煩太(文・写真)】

ファンを引き付け知名度も向上

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台北南港展示センター2号館

 TMTSは2010年に台湾中部の台中市で初開催され、今回で7回目の開催。6回目となるはずだった20年展は新型コロナウイルス感染症の拡大で中止に追い込まれ、2年前の22年展は会場を台北に移し、30回の節目を迎えた台北国際工作機械見本市(TIMTOS)との合同で、「TIMTOS×TMTS2022」として国内向けの開催を強いられた。海外の在住者に対しては、同時開催されたオンライン展での視聴参加の呼びかけを余儀なくされた。

 半世紀を超える長い歴史を持つTIMTOSに比べ、台中で開催されるTMTSの知名度はかつては今ひとつ。初期の開催時には日本で開催される日本国際工作機械見本市(JIMTOF)の知名度と集客力を利用し、JIMTOF閉幕の翌日をTMTSの開幕日に当て、各国からのJIMTOF来場者に帰国前の立ち寄り、寄り道での来場を促した時期もあった。主催の台湾区工作機械工業会(TMBA)が編み出した秘策だった。

 産業用機械を広範に展示するTIMTOSに対し、切削を中心とした金属加工用の工作機械と周辺機器に絞って展示するTMTSは、初開催から14年を経てより熱心なファンの引き付けに成功し、今や知名度も上げて来場者数を増やしてきた。

 開催地の台中は、工作機械や周辺機器の各主要メーカーの本社と工場の集積地でもある。工場の見学も兼ねて、TMTSを目当てに台湾を目指す来場者も増えた。あえて例えるなら、TIMTOSが台湾版JIMTOFなのに対し、TMTSは台湾版メカトロテックジャパンの位置づけだ。今回はかつての台中の会場が取り壊され、新会場の建設計画の遅れも重なり、台北での開催となった。

意欲的な新興国の需要捉える

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「これまでとは違った斬新なものづくりの世界を披露したい」と語る陳伯佳TMBA理事長

 今回展には7万6776人が来場。台湾各地からはもちろん、68ヵ国・地域から3,319人の外国人が来場した。外国人来場者数の上位10カ国は、インド、日本、中国、マレーシア、フィリピン、米国、インドネシア、タイ、ベトナム、トルコで、多くの国が視察団を組織して会場を訪れた。

 大手自動車メーカーが工場を持つポーランドやチェコ、メキシコやアフリカなどからも来場した。既存の工業国はもちろん、設備投資への意欲が高い、新興工業国の需要をしっかり捉えた印象だ。つまり、これらの国々が今後、日本の工作機械業界が挑むべき市場、いわば「お得意さま」へと導く国だ。台湾製の工作機械を導入したら、次は必ずより高性能な日本製の工作機械が欲しくなるはずだからだ。

 TMBA理事長でYCMブランドを展開する永進機械工業の陳伯佳総経理は開会式で「今回のTMTSは、従来の台中での開催から台北での開催に変わっただけでなく、多くのユニークな取り組みに挑戦した。最新の機械の展示だけでなくソリューションを提案し、DXとGXを軸に持続可能な未来社会を提案する。ユーザーの経験や体験を基に分析を重ねて機械を改善した。これまでとは違った斬新なものづくりの世界を披露したい」と意気込みを述べた。

 日本の首相に相当する陳建仁行政院長や官房長官に相当する林佳龍総統府秘書長らがあいさつし、官民挙げた応援体制もアピールした。蔡英文総統こそ来場しなかったものの、開会2日目には5月に次期総統に就任する頼清徳副総統、5日目の最終日には頼政権下で副総統に就任する蕭美琴前駐米大使も会場を訪れた。

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「メカトロテックジャパン(MECT)2025」過去最高の524社が出展 ~10月22日からポートメッセ名古屋で開催~

「製造業の集積地である中部地区への期待の大きさが数字として表れた」と話すニュースダイジェスト社 八角社長

 ニュースダイジェスト社(社長=八角 秀氏)と愛知県機械工具商業協同組合(理事長=水谷隆彦氏)は、10月22日(木)~25日(土)の4日間、名古屋市港区のポートメッセなごやで工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2025」(以下MECT2025)を開催するにあたり、9月18日、愛知県産業労働センター ウインクあいち(名古屋市中村区名駅)で会見を行った。

 今回のテーマは「この発見、激アツ!!!!」。出展社数は加工最高の524社・団体で、そのうち84社が初出展となる。展示規模は過去2番目の2,092小間で、世界27カ国・地域から製品が一堂に会する。

 今年国内で開催される工作機械見本市としては最大規模となる。会場内に展示される工作機械および鍛圧・板金機械は大小含めて281台の見込み。また、554点の新製品(1年以内に発表されたもの)が展示される予定。

 毎回、世界最先端の技術実演展示に挑戦するコンセプトゾーン(主催者企画展示)では、「医療を支える加工技術-異業種に学ぶ成功のヒント」をテーマに高度な加工技術を培ってきた3社による加工実演を披露する。驚きのスゴ技を持つ企業の加工実演を通じて、技術ニーズに応えるためのヒントを提示するとともに、これからの加工の可能性に迫る。

▼コンセプトゾーン 関連記事はこちら▼
https://seizougenba.com/node/14156

 また主催者の企画セミナーではトヨタ自動車やマツダ、ボーイング、インターテスラテクノロジーズ、日立製作所、HILLTOPと各分野に精通した6人の講師が「自動車」、「航空機」「先生の工場」をテーマにものづくりの最先端事例と将来像について講演する。

▼主催者セミナー概要 関連記事はこちら▼
https://seizougenba.com/node/14183

共催の愛知県機械工具商協同組合 水谷理事長

 会見の席で主催者のニュースダイジェスト社 八角社長は、「お陰様で過去最多となる524社・団体に出展頂ける運びとなった。これは有数の製造業の集積地である中部地区における期待の大きさが数字として表れたと考えている。工作機械の国内市場は厳しい状況が続いている。関税の問題等を含め、様々な問題があり国内の設備投資が少々停滞している状況ではあるものの、明るい兆しがそろそろ見えるタイミングで今回のメカトロテックジャパンが開催できる。起爆剤となる良い展示会になるよう入念に準備を進めている。」と意気込みを示した。

 共催者の愛知県機械工具商業協同組合の水谷理事長は、「前回展が過去最高の出展社数だったが、今回はそれを上回って最高を更新するということで、多くのお客様に来場頂ける期待が持てる展示会になると感じている。ぜひ、皆様には会場に足を運んで頂き、この展示会を楽しんで頂ければと思っている。」と期待を込めた。

新たな取り組みを説明する 平野MECT事務局長

 MECT事務局長を務める平野清嗣ニュースダイジェスト社取締役は、「今回は新しい取り組みとして〝中小スタートアップゾーン〟コーナーを新設した。また、業界が抱える問題のひとつに人手不足があるが、省人化、自動化に貢献する商品や、環境に配慮したエコ、省エネ商品等も出展者から積極的に提案があると思っている。テーマにあるように、来場者がこの展示会へ来て熱いもの、ヒントになるものを見つけて会場で体感していただければ嬉しい。」と思いを述べた。

 

 

MECT2025概要

●会場:ポートメッセなごや
●開催期間:2025年10月22日(水)~10月25日(土)
●開場時間:10:00~17:00(最終日25日(土)は16:00まで)
●主催:ニュースダイジェスト社
●共催:愛知県機械工具商業協同組合
●入場料:大人1,000円、10人以上の団体は1人500円
(事前来場登録車、海外来場者、学生は無料)
●出展対象製品:工作機械、鍛圧・板金加工機、射出成形機、3Dプリンター、機械工具、のこ刃、切削工具、工作機器、測定機器、試験機器、研削砥石、研磨材、油圧・空圧・水圧機器、歯車・歯車装置、環境・安全対策機器装置、CAD/CAM/CAE、制御装置・関連ソフトウエア、産業用ロボット、搬送装置、洗浄機械装置、品質管理・安全・試験認証機関、新素材、マイクロマシン、ナノテクノロジー関連など
 

芝浦機械 LWB Steinl GmbHの子会社化 基本合意書締結

 芝浦機械は、2025年9月26日開催の取締役会において、同社の100%子会社であるSHIBAURA MACHINE EMEA GmbHを通じてLWB Steinl GmbHを子会社化することに向け、株主との間で「基本合意書」を締結することを決議したと発表した。 同社グループは、2026年度を最終年度とする中期経営計画「中計2026」に基づき、事業ポートフォリオの変革を中心とした各種施策を遂行しており、その施策の1つとして掲げている欧州市場開拓の取り組みとして、既存のイタリアの子会社に加え、2025年5月にドイツの子会社を設立して射出成形機を中心に拡販を図るとともにM&Aについても欧州事業の拡大に寄与する案件の検討を進めてきた。 ドイツに本社を置くLWB Steinl GmbHは、主にゴム加工用の効率的かつ精密なモジュラー式射出成形機の専門技術を有しており、ゴム・樹脂向け竪型射出成形機の欧州の主要メーカーの一角として、1962年の創業から今日に至るまでの実績とノウハウ、高いブランド力を保有しているが、芝浦機械グループに取り込むことで、欧州における同社の射出成形機事業の生産拠点と販売・サービス力を強化するとともに、同社のブランド力を活かしながら、欧州市場参入の強力な足掛かりとしていく。また、同社のインド工場等のリソースを活用することで、製品コストの削減や、アジア市場向けの拡販にも取り組んでいく。 このようなシナジー効果の創出を通じて、射出成形機を中心に同社グループの欧州における事業拡大が見込めることから、基本合意書を締結のうえ、子会社化に向けた検討を開始することに至った。なお、子会社化の完了後は“SHIBAURA MACHINE LWB GmbH”に社名を変更する予定。 

DMG森精機 次世代の自動化システム「MATRIS WPH」を新開発

DMU 50 3rd Generation + MATRIS WPH 70 外観

 

 DMG 森精機がこのほど、ワークとパレットを自在にハンドリングし、柔軟な生産を実現する 次世代の自動化システム「MATRIS WPH」を新たに開発したと発表した。

 近年、多品種少量生産の増加により、工程集約や自動化に取り組む方が増えており、多品種少量生産は、ワーク1種あたりの生産数が少なく頻繁に治具交換作業が発生するため、ワークハンドリングの自動化のみでは長時間の無人生産や複数種ワークの無人生産の実現が困難である。また、パレットハンドリングの自動化のみではパレット数に合わせた治具を購入する必要があり経費が増加するなど、効率的な自動化システムの構築にはさまざまな課題があった。

 今回新たに開発した「MATRIS WPH」は、これらの課題を解決する新しい自動化パッケージシステム。「MATRIS WPH」は、ワークハンドリングとパレットハンドリングを1つのシステムに集約し、さまざまなワークの変種変量生産に対応することが可能になる。

 ロボットの最大可搬質量が70 kgの「MATRIS WPH 70」と、210 kgの「MATRIS WPH 210」の2種類がある。MATRIS WPHの操作は、引き出しストッカ横に設置しているDMG MORI Automation Controllerに集約し、直感的な操作を可能にするユーザーインタフェースにより、ノーコードでロボットの操作や稼働状況の確認などを行うことができる。

 その他、多様な種類の治具を収納できる可動棚や作業性の良い段取りステーション、大容量の引き出しストッカなどを備えている。また、迅速なシステム構築を可能にする設計や、タッチプローブを用いた自動ティーチングを採用したことで、システムの立ち上げ日数を既存機のMATRISと比べ50%短縮し、垂直立ち上げも可能になった。

主な特長
 

DMC 65 monoBLOCK + MATRIS WPH 210 外観と構成図

 

(1)顧客の生産に合わせて柔軟にオーダー可能な構造
 ・1台のロボットでワークとパレットを自在にハンドリング可能
 ・ロボットの最大可搬質量は70 kgと210 kgを選択可能。多種多様なワークに対応可能
 ・MATRIS WPH 210ではパレットサイズの組み合わせにより最大38パレット収納可能
 ・素材や完成品を収納する大容量の引き出しストッカを搭載
 

(2)長時間の無人生産の実現
 ・システム内に滴下したクーラントをシステム中央のオイルパンで回収。オイルパンのメンテナンスは工具不要で作業可能
 ・長時間の無人生産を実現するための、加工三悪(切りくず、クーラント、ミストによるトラブル)の対策ソリューションを搭載
  -オペレーターに代わり加工中の切りくずを清掃するAIチップリムーバル
  -タンク内に溜まったスラッジを効率的に攪拌・回収するクーラントタンク zero-sludgeCOOLANT
  -加工時に発生するミストを効率的に捕集する zeroFOG

(3)幅広い工作機械に連結可能
 ・5軸加工機DMU / DMCシリーズ、monoBLOCKシリーズ、eVoシリーズやCMXシリーズ、NVXシリーズなど、さまざまな工作機械と連結可能
 ・工作機械2台との連結したシステム構築も可能
 ・既存機と比べ、システムの立ち上げ日数を50%短縮、垂直立ち上げが可能
 

(4)作業性
 ・MATRIS WPHの操作は引き出しストッカ横に設置しているDMG MORI Automation Controllerに集約。分かりやすい画面構成でジョブの設定や稼働状況の確認が可能
 ・加工機の正面近くに段取りステーションを設置。段取りステーション内にバキュームユニットを取り付けることで、清掃における作業性が向上
 

ティアフォー・コマツ・EARTHBRAIN 建設機械の自動運転技術の実用化に向けて協業開始

自動運転試験中のアーティキュレートダンプトラック(HM400)の走行の様子

 

 コマツ(社長=今吉琢也氏)およびコマツの子会社であるEARTHBRAIN(社長=小野寺 昭則氏)は、このほどオープンソースの自動運転ソフトウェアを先導するティアフォー(代表取締役CEO=加藤真平氏)と、建設機械の自動運転技術の実用化にむけた協業を開始したと発表した。 
3社は、日本の土木・採石現場向けに当社のアーティキュレートダンプトラックとリジッドダンプトラックの自動運転化を進め、2027年度までに自動運転システムの実用化を目指す。

 コマツとEARTHBRAINは、顧客のソリューションパートナーとして、建設現場の無人化施工の実現を目指し、建設機械の自動化・遠隔操作化の技術開発に取り組んでいる。その中で、自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」の開発を主導するティアフォーのオンロード車両の自動運転技術の実績に着目し、今回の協業に至った。

 この協業では、ティアフォーの自動運転技術、コマツの建設機械の車両技術、そしてEARTHBRAINのデジタル技術を活用した建設現場の施工管理という3社の強みを融合し、建設機械向けの自動運転システムと管制システムを開発することで、自動運転技術の実用化を目指す。ティアフォーは、コマツと自動運転システムを開発し、現場オペレーションとの連携や実装を担う。EARTHBRAINは管制システムの開発を担当する。
 

2025年8月分工作機械受注総額は1,201.7億円

 日本工作機械工業会がこのほどまとめた2025年8月分の受注実績は以下の通り。

 2025年8月分工作機械受注総額は、6カ月連続の1,200億円超。1100億円超えは54カ月連続。前年同月比では2カ月連続増加。

 内需は319.0億円(前月比△10.0% 前年同月比△0.9%)で3カ月ぶりの350億円割れ。航空・造船・輸送用機械以外が鈍く、基調は横ばい圏内の動きとなっている。

 外需は882.8億円(前月比△5.0% 前年同月比+12.3%)で前月比5カ月連続で減少、6カ月ぶり900億円割れも、前年同月比では11カ月連続増加となっている。

 工作機械受注の先行きは世界経済の不透明感や、米国関税措置の影響が和らぐなか、内外需の緩やかな動きと下振れリスクへ留意しつつ、年後半に期待したい。

受注額の月別推移

(出所:日本工作機械工業会)

8月分内需 319.0億円(前月比△10.0% 前年同月比△0.9%)
 

 内需総額は、319.0億円(前月比△10.0% 前年同月比△0.9%となった。

 3カ月ぶりの350億円割れ。前月比、前年比ともに弱含んでいる。主な需要業種の一般機械、自動車での減少、結果的に内需総額が伸び悩むひとつの要因とみられる。

・⼀般機械は前⽉⽐、前年同月比で2カ⽉連続減少で、2カ月連続140億円割れ。
・建設機械は前月比で5カ⽉ぶりの増加も10億円には届かず、金型とともに堅調な推移。
・特筆すべき懸念事項はないものの、総じて堅調な推移。
・⾃動⾞向けはその内訳で前月比、前年同月比ともに減少している。
自動車関連は、米国の関税措置や電動化対応の方向性が定まらないなか、設備投資は踊り場の状況となっている。


(出所:日本工作機械工業会)

8月分外需(882.8億円 前月比△5.0% 前年同月比+12.3%)

 外需総額は、882.3億円(前⽉⽐△5.0% 前年同⽉⽐+12.3.3%)となった。
 

 ・前⽉⽐は5カ⽉連続減少も、前年同⽉⽐では11カ⽉連続増加し、12カ⽉連続の800億円超え。
 ・世界経済の不透明感はあるも、外需総額としては前年平均を超えており堅調な推移。
 
① アジア
 アジア計は、6カ月ぶりの450億円割れ。
 ・東アジアはここ数ヶ月350~400億円で推移をしていたが、3カ月ぶりの350億円割れ。
 ・中国は6カ月ぶりの300億割れ。
 ・その他アジアは4カ月連続の100億円越え。
 ・インドは3カ月ぶりの50億円割れ。

② 欧州
 欧州計は4カ月ぶりの150億円割れ。
 ・ドイツは前月比、前年同月比で20%近く減少し、8カ月ぶりの30億円割れ。
 ・イタリアは先月の反動減が、6カ月ぶりの20億円割れ。

③ 北米
 北米計は前月比、前年同月比で増加し、7カ月連続の250億円超え。
 ・アメリカは前月比、前年同月比増加し、今年の平均並みの240億円超え。
 ・メキシコは前月比、前年同月比ともに減少し、2カ月連続の20億円割れ。


(出所:日本工作機械工業会)

(出所:日本工作機械工業会)

 

今後の見通し
 

 7月29日にIMF(国際通貨基金)が発表した、2025 年の世界経済全体の成長見通しは3.0%で、4月の前回発表時から0.2pt上方修正された。

 一方、日工会が9月上旬に会員企業を対象に実施した、本年10~12月期の受注見通し調査のDI値は+5.8ptと、13四半期ぶりに「増加」超となった。世界経済の先行きについては予断を許さないものの、今後大きな波乱が生じなければ、これまで抑制されてきた設備投資が進み、受注額を押し上げると期待される。

 各地域別に展望すると、まず北米は、上期にストックを積み増す動きがあった反動が生じる可能性があるものの、上述したように、相互関税の新税率確定を受けた投資の広がりが期待され、米国での利下げも追い風に働くと見られる。欧州については、最悪期を脱し徐々に改善に向けた動きが見られる中、9月下旬に開催されるEMOハノーファー展での商談が、当面の動向を予測する上で注目される。中国については、自動車関連で有力完成車メーカ系列を中心に続いてきた活発な設備投資がピークアウトし、エレクトロニクス分野での大型受注も若干トーンダウンする可能性があるが、政策支援もあって、市場全体として堅調に推移するとの見方も根強い。インドでは通信機器関連の特需が一旦収束した様子だが、自動車や自動二輪、農業機械等で引き続き高水準での受注が見込まれる。内需(日本)については、自動車関連で老朽化設備の更新投資が広がりつつある他、半導体製造装置でも商談が進み始めた気配があり、秋以降の本格的な改善が期待される。

 一方で、世界経済は急減速する可能性こそ和らいだとはいえ、前年との比較では、若干の減速は避けがたく、先行きを過度に楽観できない。外乱によって設備投資が影響を受ける可能性があることに注意が必要である。最新の動向や発表内容を油断なく注視し、世界各国での需要に対応していく。

 

日本機械工具工業会 2025年8月分 会員統計生産額まとまる 

 日本機械工具工業会がこのほどまとめた2025年8月分の機械工具生産額は次のとおり。〈( )内は対前年比〉。■生産額 切削工具 316.5億円(98%)、耐摩耗工具 26.5億円(91%)、総合計 350.6億円(97%)。■ドリル生産額 特殊鋼工具 10.9億円(103%)、超硬工具 37.4億円(106%)、ダイヤ・CBN 0.7億円(94%)、総合計 49億円(105%)。■エンドミル生産額 特殊鋼工具 4.3億円(109%)、超硬工具 31.3億円(90%)、ダイヤ・CBN 1.3億円(95%)、総合計 36.9億円(92%)。■カッタ生産額 特殊鋼工具 0.9億円(80%)、超硬工具 4.4億円(99%)、ダイヤ・CBN 0.4億円(131%)、総合計 5.7億円(97%)。■ギヤカッタ生産額 総合計 5.3億円(89%)。■ブローチ生産額 総合計 7.7億円(101%)。■ねじ加工工具生産額 特殊鋼工具 24.9億円(101%)、超硬工具 3.3億円(104%)、総合計 28.1億円(102%)。■バイト生産額 特殊鋼工具 0.1億円(121%)、超硬工具 7.5億円(97%)、総合計 7.6億円(97%)。■リーマ生産額 特殊鋼工具 0.8億円(82%)、超硬工具 2.2億円(116%)、総合計 3.1億円(104%)。■鋸刃カッタ生産額 特殊鋼工具 1.3億円(108%)、超硬工具 0.4億円(89%)、総合計 1.7億円(103%)。■インサート生産額 超硬工具 126億円(97%)、ダイヤ・CBN 19.7億円(98%)、総合計 145.8億円(97%)。■ボディ関係生産額 総合計 14.5億円(95%)。■超硬合金生産額 切削用 108.7億円(104%)、耐摩耐触用 12.8億円(88%)、総合計 122.9億円(102%)。  

経産省・2025年7月度機械統計 機械工具生産動態調査

経済産業省の2025年7月度 機械工具生産動態調査(機械統計)は以下のとおり。


 *機械工具(機械統計)との差はダイヤモンド工具のダイヤモンドドレッサー、グライディングホイール、カッティングソー、セグメント工具、その他ダイヤモンド工具。

 *耐摩工具の一部はその他超硬工具に含まれる。
(表出所:日本機械工具工業会)
 

オーエスジーダイヤモンドツールがキャンペーンを実施中! 

 

 オーエスジーダイヤモンドツールが日頃の感謝を込めて9月8日から特殊品及び標準品(新品のみを対象)の期間限定キャンペーンを実施中だ。

■対象製品特殊品及び標準品(新品のみを対象)
 ・割 引 率:標準品 最大5点まで15%割引/特殊品 現行価格より5%割引
 ・受注期間:標準品 2025年9月8日~11月28日/特殊品 2025年9月8日~10月31日
 (※特殊品のキャンペーンは一部対象外もある)

 

 

DMG森精機 複合加工機NTXシリーズの第3世代が登場

 
NTX 3rd Generation 外観(左写真はNTX 3000 | 3000、右写真は上から順にNTX 1000 | 1500, NTX 2500 | 1500)

 

 DMG森精機が、このほど航空、医療、エネルギー、EV、金型、半導体、精密機械などの市場に向け、複合加工機NTXシリーズの第3世代となるNTX 1000 / 2000 / 2500 / 3000 3rd Generation(以下、NTX 3rd Generation)の4機種の販売を開始した。設計改善や新技術の搭載に加え、これまでオプションであった機能を標準搭載することにより、さらなる高精度と高生産性を実現し、顧客の生産現場のMX(マシニング・トランスフォーメーション)を加速させる複合加工機へと進化した。

 NTXシリーズは、ターニングセンタとマシニングセンタで行っていた加工を1台に工程集約でき、高い加工能力により幅広いワークサイズや生産量に対応可能な複合加工機。2010年の販売開始以来、航空、宇宙、医療、エネルギー、EV、金型、半導体、精密機械などさまざまな業界の方々が活用しており、評価も高い。

 年々、複合加工機を導入している顧客は増加していることを受け、同社では生産現場の人手不足やワークの高精度化・複雑形状化といった課題を解決し、サステナブルな生産を実現するMXを推進している。今回開発した最新の複合加工機NTX 3rd Generationは、MXを加速する複合加工機へと生まれ変わった。

NTX 1000 3rd Generation + MATRISイメージ

 

 具体的には、400V化しパワーアップした高剛性主軸turnMASTERやターンミル主軸compactMASTER、高いミーリング切削能力のturretMASTERに加え、全軸フルクローズドループ制御(スケールフィードバック)と機体冷却水 循環による徹底した熱変位抑制を標準装備し、切削能力と精度が大幅に向上した。また、タッチパネル式 画面とキーボード入力を融合したユーザーインタフェース「ERGOline X with CELOS X」により直感的な操作で簡単にセッティングができる。シンプルな入力画面の「セットアップアシスタント」で段取り作業時間の短縮が可能である。

 また、テクノロジーサイクルを活用することで、従来は専用機を使用していたギヤ加工や研削加工といった加工工程や、三次元測定機を使用していた計測工程についてもNTX 3rd Generationの1台に集約することが可能だ。

NTX 1000 3rd Generation 機内の様子

 ロボットシステムMATRISやガントリローダ、バーフィーダなどの自動化システムも多数用意しており、長時間連続稼働で機械停止の原因となる加工3悪(切りくず、クーラント、ミスト)についても徹底的に対応している。加工機内に切りくずが溜まりづらく耐久性に優れたステンレスカバー、スラッジと混入油の両方を効率的に回収する立型大容量クーラントタンクzero-sludgeCOOLANT pro、加工時に発生するミストを効率的に捕集する zeroFOGなどのソリューションを標準搭載している。これにより長時間の安定した連続稼働を実現し自動化システム導入による生産性向上に貢献する。

 さらに、徹底したクーラント管理と切りくず処理により、使用中のクーラントの寿命を延長でき、クーラント廃液の焼却処理に伴うCO2の削減にもつながる。その他、自社開発の高効率トランスやGREENmode、 クーラントポンプの集約等により、不要な電力を抑え、エネルギー消費量を12%削減した。

このように「ミーリング」「ターニング」「ギヤ加工」「研削」「計測」などの複数工程を1台に集約できるだけでなく、長時間の連続稼働による利益の拡大やサステナブルな生産に貢献することができる。

▼映像 NTX 2000 / 2500 / 3000 3rd Generation▼
https://www.dmgmori.co.jp/movie_library/movie/id=8284

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