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台湾TMTS展が6年ぶり単独開催 7万人が来場、オンライン展には11万人

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会場となった台北南港展示センター1号館

 

 工作機械の輸出額で世界5位、生産額で世界7位の台湾で台湾国際工作機械展(TMTS2024)が3月27日から31日までの5日間、台北市東部の台北南港展示センター1、2号館で開かれた。6年ぶりの単独でのリアル開催に631社が3,350小間を超える規模で開催され、国内外から7万人が来場し、オンライン展には123カ国から11万人がアクセスした。今回展のテーマは「DX & GX 持続可能な未来」で、各出展者がDX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)の2つを軸に、製品とサービス、自動化や省人化に向けたソリューションを競った。台湾の工作機械業界にとり最大の輸出先の中国が不動産不況を受け、設備投資が急減速して販売を落とすなか、台湾メーカー各社が何を目指しどう取り組むのかを現地で取材した。【台北=是州煩太(文・写真)】

ファンを引き付け知名度も向上

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台北南港展示センター2号館

 TMTSは2010年に台湾中部の台中市で初開催され、今回で7回目の開催。6回目となるはずだった20年展は新型コロナウイルス感染症の拡大で中止に追い込まれ、2年前の22年展は会場を台北に移し、30回の節目を迎えた台北国際工作機械見本市(TIMTOS)との合同で、「TIMTOS×TMTS2022」として国内向けの開催を強いられた。海外の在住者に対しては、同時開催されたオンライン展での視聴参加の呼びかけを余儀なくされた。

 半世紀を超える長い歴史を持つTIMTOSに比べ、台中で開催されるTMTSの知名度はかつては今ひとつ。初期の開催時には日本で開催される日本国際工作機械見本市(JIMTOF)の知名度と集客力を利用し、JIMTOF閉幕の翌日をTMTSの開幕日に当て、各国からのJIMTOF来場者に帰国前の立ち寄り、寄り道での来場を促した時期もあった。主催の台湾区工作機械工業会(TMBA)が編み出した秘策だった。

 産業用機械を広範に展示するTIMTOSに対し、切削を中心とした金属加工用の工作機械と周辺機器に絞って展示するTMTSは、初開催から14年を経てより熱心なファンの引き付けに成功し、今や知名度も上げて来場者数を増やしてきた。

 開催地の台中は、工作機械や周辺機器の各主要メーカーの本社と工場の集積地でもある。工場の見学も兼ねて、TMTSを目当てに台湾を目指す来場者も増えた。あえて例えるなら、TIMTOSが台湾版JIMTOFなのに対し、TMTSは台湾版メカトロテックジャパンの位置づけだ。今回はかつての台中の会場が取り壊され、新会場の建設計画の遅れも重なり、台北での開催となった。

意欲的な新興国の需要捉える

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「これまでとは違った斬新なものづくりの世界を披露したい」と語る陳伯佳TMBA理事長

 今回展には7万6776人が来場。台湾各地からはもちろん、68ヵ国・地域から3,319人の外国人が来場した。外国人来場者数の上位10カ国は、インド、日本、中国、マレーシア、フィリピン、米国、インドネシア、タイ、ベトナム、トルコで、多くの国が視察団を組織して会場を訪れた。

 大手自動車メーカーが工場を持つポーランドやチェコ、メキシコやアフリカなどからも来場した。既存の工業国はもちろん、設備投資への意欲が高い、新興工業国の需要をしっかり捉えた印象だ。つまり、これらの国々が今後、日本の工作機械業界が挑むべき市場、いわば「お得意さま」へと導く国だ。台湾製の工作機械を導入したら、次は必ずより高性能な日本製の工作機械が欲しくなるはずだからだ。

 TMBA理事長でYCMブランドを展開する永進機械工業の陳伯佳総経理は開会式で「今回のTMTSは、従来の台中での開催から台北での開催に変わっただけでなく、多くのユニークな取り組みに挑戦した。最新の機械の展示だけでなくソリューションを提案し、DXとGXを軸に持続可能な未来社会を提案する。ユーザーの経験や体験を基に分析を重ねて機械を改善した。これまでとは違った斬新なものづくりの世界を披露したい」と意気込みを述べた。

 日本の首相に相当する陳建仁行政院長や官房長官に相当する林佳龍総統府秘書長らがあいさつし、官民挙げた応援体制もアピールした。蔡英文総統こそ来場しなかったものの、開会2日目には5月に次期総統に就任する頼清徳副総統、5日目の最終日には頼政権下で副総統に就任する蕭美琴前駐米大使も会場を訪れた。

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日本工作機械工業会 新会長に坂元繁友氏

会見の席上であいさつをする坂元新会長

 日本工作機械工業会は去る5月30日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町)で開催した第16回定時総会で、新会長に坂元繁友 芝浦機械社長を選出した。前会長の稲葉善治 ファナック会長は相談役に就任した。


 会見の席上で坂元新会長は、「大変変化の激しい、不透明、不確実、不安定な時代に会長職を拝命し、身の引き締まる思いである。伝統ある会長職の責任の重さを痛感するとともに、大きな使命感を感じている。この大任を果たし、業界全体の発展を図るために、粉骨砕身努力いたす所存である。工作機械業界を巡る状況は各国の関税政策の動向や、米国の関税政策の動向や世界各地域における地政学的リスクにより、当業界は難しいかじ取りを迫られる局面にあるかと実感している。製造業ではDX、GXを軸とする方向に変化の進化のスピードを早めており、工作機械は少子高齢化時代に適応した周辺装置類と融合した自動化技術も進展している。日本の工作機械産業は、これからの急速な時代の変化に柔軟に対応して、世界の製造業の発展に貢献していかねばならないと考えている。日工会としては、各議会等の前年度活動結果を元に策定いたしました事業計画に沿って、2025年度の事業を4月から間断なく進めている。前期から取り組んでおります、デジタル・グリーン・レジリエンスを中心とした調査研究事業のほかに、国際交流の推進、広報活動など、幅広い事業につきまして、コンプライアンスを重視しながら展開して考えている。」と意気込みを示した。

相談役に就任した稲葉会長

 前会長の稲葉相談役は、「会長として2期4年の間、DX、GXによる技術革新や、需要構造の進化、通称環境の複雑化など、産業界を取り巻く環境は刻々と変動した。米中覇権争い、突然起こった新型コロナのパンデミック、、ロシアのウクライナ侵攻、トランプ大統領が再選し、矢継ぎ早に関税政策が発されて世界中が不透明、不安定な時期に突入した。日工会としては着実にやるべきことをやるべく足元を固めるためにデジタル・グリーン・レジリエンスなどをはじめ実績を上げることができた。ご無理をお願いし、坂元新会長にこれからの舵取りをお願いするが、現時点で非常に厳しい環境にある中だが、これまでの企業経営での経験を活用され、業界を熟知されているので、しっかりと日工会を牽引されていくと確信している。」と声援を送った。

 

「イノベーションは止まらない」

 総会終了後の懇親会で、あいさつに立った坂元会長は、新会長としての意気込みを示したあと、「わが国工作機械産業を巡る環境は世界情勢を見回すと、米国の関税政策の動向や、世界各地における地政学的リスクの顕在化により、不透明感が漂う状況と認識される。製造業は生産拠点やサプライチェーンの再構築を迫られている可能性がある。当業界においては経済安全保障などに関して細心の注意が必要となり、難しいかじ取りを迫られる局面に差し掛かっていると痛感している。世界情勢は今後も不安定な状況が続くと懸念されているが、このような状況での世界の産業においてイノベーションは止まることなく、人材不足や人件費高騰、熟練従事者の減少に対して、生産工程の省人化、自動化、そのほかAI機能の発展も進展している。私たちは技術革新に対応した世界トップレベルの製品とサービスの提供を通じて、今後も世界のものづくりに貢献していきたい。」と意気込みを示した。

 国内製造業の課題についても触れ、「保有工作機械のビンテージは10年以上の割合が6割を占めている。諸各国の設備に対して生産性や省エネ性の面で大きく劣ってきているという状況だ。本年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画において、古い、旧式の工作機械をはじめとする生産設備等の省エネ性能の相対的なリスクが、わが国産業競争力強化につながる官民一体となった取り組みの必要性が指摘されている。最新設備への設備更新は日本の製造業の国際競争力を維持、強化させると同時に、社会課題の解決に向けた取り組みと位置づけられている。」と述べた。

経済産業省 田中大臣官房審議官

 来賓を代表して、経済産業省の田中一成大臣官房審議官が、「30年間にわたるデフレ構造から脱却しようとしている。1月には経団連から2030年135兆、2040年に200兆、このような野心的な国内投資の官民目標を表明された。さらに、平均の賃上げ率が2年連続で5%を超えるという高い水準も達成している。この勢いをしっかりと地方の中小企業、小規模事業者の賃上げにもつなげていくため、国内投資を通じて経済成長を実現するとともに、中小企業や賃上げ原資を確保できるよう、価格転嫁、取引適正化に引き続きペースを上げて取り組んでいく。現在アメリカによる関税措置の影響を受け、世界経済の先行き不安定だが、経済産業省では先月対策本部を立ち上げ、全国約1,000カ所以上の特別相談窓口、さらには中小企業向けの資金繰り支援に取り組んでいる。」と声援を送った。

 乾杯の発声は前会長の稲葉善治相談役が行った。宴もたけなわの頃、散会した。

 

 

三菱マテリアル 超硬ソリッドドリル“TRISTARドリルシリーズ”「DVAS」に最大DC20mmまでカバーするドリルを追加発売

 三菱マテリアル 加工事業カンパニーは、このほど超硬ソリッドドリル“TRISTARドリルシリーズ”「DVAS」に工具径3-20mmまでをカバーする合計397アイテムを追加し、うち120アイテムを6月2日より、残る277アイテムを7月1日より発売開始を開始した。

 超硬ソリッドドリル“TRISTARドリルシリーズ”「DVAS」は、穴加工の市場において、3つの星(ベネフィット)『高精度』『省工程』『長寿命』を提供すべく、新世代ドリルを“TRISTARドリルシリーズ”として誕生させた超硬ソリッドドリルで、今回は工具径3-20mmをカバーするサイズを追加した。

特長

 ① 求心性とチゼル強度を高いレベルで兼ね備えた新XRシンニングにより、低抵抗かつ優れた切りくず分断性能を実現。
 ② 新しい直線切れ刃が局所的な損傷を低減。
 ③ 進化した独自クーラント穴形状『TRI-Coolingテクノロジー』により、クーラント吐出量が従来の2倍以上を達成。切りくず排出性、切削熱の排熱性が格段に向上。
 ④ ガイド性に優れたダブルマージン仕様により優れた穴加工壁面と穴径精度を実現。
 ⑤ 工具径3-20mmをカバーするラインアップを追加。

■標準価格(税抜き価格)
 ・DVAS0300X03S040  DP1120:13,300円
 ・DVAS0900X03S090  DP1120:22,300円
 ・DVAS0900X05S090  DP1120:25,000円
 ・DVAS2000X05S200  DP1120:76,600円

 

MOLDINO アルファ高送りラジアスミル「TR4F」にインサートを追加 ~低抵抗「LFブレーカ」と軟鋼用新材種「JS4160」がTR4Fの適用領域を大幅に拡大!

TR4FとLFブレーカインサート ※右側がJS4160コーティング

 

 MOLDINOがこのほど、好評のアルファ高送りラジアスミル「TR4F」にインサートを追加し、発売を開始した。

 同社は、2020年4月より大荒加工用工具の決定版である高送りラジアスミル「TR4F」を販売しているが、高能率加工用に対応できるメリットが顧客から高い評価を博しており、以降数度のラインナップ追加を経て本日に至っている。一方、高能率加工に対応するためにインサートの刃先強度を高めた設計を採用したことから、機械の主軸負荷が高くなりやすい傾向があった。特に軟鋼や炭素鋼、鋳鉄などの比較的被削性が良い鋼種では競合品に対し切削抵抗が高く、本商品の特徴を発揮しきれないという課題が明らかになったことを受け、同社では、従来品よりも低抵抗な形状を持つ「LFブレーカ」付きインサートと、軟鋼や炭素鋼の切削に優れる新インサート材種JS4160を開発した。金型、金属部品の荒切削加工に威力を発揮する。

商品の特長とメリット

〈TR4F〉
 1. 大物金型にも対応する、機械能力を最大限に引き出す高送り工具。
 2. 断続切削でも欠け難く、壁際でも擦り難く、切り粉噛み込みリスクを低減する工具設計。
 3. 高い切削性能と経済性を両立する片面4コーナインサートを採用している。

〈LFブレーカ〉
 1. シャープな刃先とねじれ切れ刃形状を持ち、従来品比で大幅に切削抵抗を低減する。
 2. 高能率条件下でも主軸負荷を低減し、長い突き出し量でもビビり振動を抑制する。
 3. 快削刃形ながら一般的な断続切削にも対応可能である。

〈材種JS4160〉
 1. 靭性と耐熱性のバランスに優れた超硬母材、耐熱性と耐溶着性に優れたコーティング膜の採用により高能率加工時において安定した長寿命を発揮する。
 2. SS材、SC材、SCM材など35HRC未満の被削材の不安定加工や高能率加工に適しており、湿式加工にも対応する。

■仕様
 LFブレーカ付きインサート:6アイテム
 材種JS4160:6アイテム(内2アイテムは重複) 計10アイテム

■価格
 ¥1,650~¥2,160(消費税別)
 

サンドビック・コロマント新製品「CoroDrillⓇ DE10」を導入

 

 サンドビック・コロマントがこのほど「CoroDrillⓇ DE10」の発売を開始した。同製品は、ドリルボディの寿命を大幅にアップするとともに、高い送りで安定した穴あけ加工を可能にするヘッド交換式ドリルで、旋盤加工、傾斜面の入り際抜け際、凹凸面、交差穴においても安定した性能を発揮する。

 この製品は、特許取得済みのクランピングインターフェースを採用している。このインターフェースでは、ヘッドとボディとのコンタクト面を傾けることで、加工中に発生する力がヘッドを締め付ける方向にかかり、よりクランプ力が安定して維持され、予測可能な長いボディ寿命が期待できる。これにより、ドリル加工で重要な左右のバランスが取りやすい、スクリュー等のスペア部品が必要ない、迅速で簡単にヘッドの取り付け取り外しが可能、トルク管理が必要ない、といった従来のクランプ方式のメリットを持ちながら、課題となっていたドリルボディの寿命の短さや不安定さを解決する。

 ヘッドは、中心部の食い付き性、コーナ部の強度を考慮した複数の先端角からなるジオメトリを持ち、求心性が格段に向上した。また、ヘッドコーナ部が強化され、高い切削条件により、コーナ部で溶着や逃げ面摩耗が集中しても、チッピングの発生を抑えることができる。さらに、ツイストクーラントチャネルと、切りくず処理と剛性を考慮したフルート形状により、突出しが長い加工でも切りくず詰まりのない安定した加工が可能である。突出し8Dにおいてもパイロット穴は不要で、サイクルタイムを短縮することが可能となった。

 ラインナップは、ドリル径11.00-17.90(0.1mm刻み)、ドリルヘッドM5ジオメトリ、ドリルボディは円筒平取り付きシャンクISO9766準拠 加工深さは3D,5D,8D。2025年秋にドリル径9:00-10.90(0.1mm刻み)のドリルヘッドとドリルボディを導入予定。

 

三菱マテリアル WEBアプリケーション「Tool Assistant」に新機能追加! AIレコメンド機能を新たに搭載

 三菱マテリアル 加工事業カンパニーは、このほどWEBアプリケーション「Tool Assistant(ツールアシスタント)」において、ユーザーの閲覧履歴や選定傾向に基づき、おすすめの工具を自動的に提案するAIレコメンド機能を新たに開発し提供を開始した。 「Tool Assistant 」は、これまで経験や勘に頼ることが多かった工具選定の現場において、誰でもベテランエンジニアのように、実践的かつ最適な工具を選定できるよう支援することを目的に開発されたWebアプリケーション。パソコン・スマートフォンのいずれからでも利用できる利便性に加え、今回のAIレコメンド機能の導入により、さらなる工具選定の効率化と提案品質の向上を実現する。 このAIレコメンド機能は、「加工内容から工具を探す」機能のうち、「ミーリング」加工の一種である「肩削り」に対応している。ユーザーがこれまで選択した工具の特徴をAIが学習し、最適な製品をレコメンドする。これにより、現場担当者はより短時間で、精度の高い工具選定を行うことが可能となる。 サービス開始時は特定の加工形態に限定して提供するが、顧客のニーズに応じて対象を順次拡大し、柔軟にサービスを展開していく方針。↓サイトはコチラ↓https://www.mmc-carbide.com/jp/ta 

アマダプレスシステム 13軸制御 極細線用 2ポイント コイリングマシン「WH-2A」販売開始


 

 アマダプレスシステムは、このほど、極小コイリングの高速・高精度加工を実現する13軸制御 極細線用 2ポイント コイリングマシン「WH-2A」の販売を開始した。コイリングマシンは、押しばねを得意とするばね成形機で、テーパー形状などの変形押しばねの成形も可能。

 新商品の「WH-2A」は、一般的な極小押しばねだけでなく、2ポイントコイリング機構の4軸と初張力機構の2軸により、コイル外径や初張力を精密に制御できるため、精度が求められる医療用のガイドワイヤ成形にも適している。また、ガイドワイヤ成形に必要な周辺装置もオプションで用意している。

 近年、モノづくりの現場では品質や生産性向上の要求のみならず、少子高齢化や熟練技能者の引退などの人手不足を背景に、自動化や段取りの簡易化に対するニーズも高まってることを受け、このような課題に対し同社の「WH-2A」は、独自のばね成形専用プログラム「MNO2」によるプログラム作成の簡易化や情報の見える化、高い再現性による段取り時間の短縮や作業軽減など、高効率生産 をサポートする。

主な特長

(1)高速・高精度加工の実現 
 2連フィードローラーユニットの採用により、ワイヤにかかるフィード圧の負荷を軽減し、安定したワイヤ送りが可能となった。また、高い分解能のサーボモーター制御により、精密な動作が 可能になり、高精度加工を実現する。さらに、標準搭載の画像計測システム「ZN-1」はカメラセンサーにより、自由長、コイル外径を瞬時に計測し分別する。ばねの加工状態は表やグラフで表示され、各軸の修正が可能である。

(2)段取り時間の短縮による生産性の向上
 ロータリーカットとストレートカット、ウェッジピッチは偏心移動のみで、右・左巻きはプログラムのみで切り替えが可能。これにより、スライドの着脱など時間のかかる作業を削減でき、生産性が向上する。

(3)独自開発のプログラムによる作業効率の向上
 ばね成形機専用プログラム「MNO2」は、プログラムの流れや各軸の動作状況、入出力、ジャンプ項目などが一目で把握できる。ナビシステム機能とタッチパネル仕様により、操作性が大幅に向上した。簡単にプログラムを作成でき、段取り時間を短縮する。また、IoTの活用により、マシンの稼働状況をスマートフォン・PCなどで監視でき、予防保全機能による定期的なメンテナンスで生産効率の向上に貢献する。

(4)省スペース化
 オプションの小型自動線台「MK-1」をマシン後部に搭載可能で、設置面積の省スペース化に貢献する。13軸搭載でありながら、5軸制御極細線用1ポイント コイリングマシン「SF-1A」と同等のマシンサイズを実現した。


 

DMG MORI Digitalが工学女性プロジェクト「We are Engine.」ゴールドパートナーに協賛

 DMG MORI Digitalは、このほど、北海道大学工学部、北海道新聞社、電通北海道が発足する“工学を目指す女性”を増やすプロジェクト「We are Engine.」の趣旨に賛同し、ゴールドパートナーとして協賛すると発表した。 内閣府の「男女共同参画白書(令和6年度版)」によると、日本の大学における工学部の女子学生比率は約16%にとどまっており、理学部(約28%)や農学部(約46%)など、他の理系分野と比較しても依然と低い水準にある。その背景には、女性ロールモデルとの出会いの機会が限られていることから、進路選択の段階で工学の具体的な魅力や将来の活躍イメージを持ちにくいという課題もあると考えらる。同社では、こうした状況に対応するため、「女性工学人材のロールモデルの可視化」に重点を置く本プロジェクトにおいて、同社からもITエンジニア女性のロールモデル社員が参加し、工学の魅力や可能性をより多くの女子生徒に届ける活動を支援していく。 

アマダマシナリー 形鋼ドリル・バンドソー複合機「WS-700VP」販売開始

 

 アマダマシナリーは、このほどWSシリーズの新たなラインナップとして、形鋼ドリル・バンドソー複合機「WS-700VP」の販売を開始した。

 「WS-700VP」は、穴あけと切断の工程集約による省スペース化・省力化を、ニーズの多 い700サイズでも実現している。H形鋼やチャンネル、アングル、コラムなどの様々な形状のワークに対応し、連続加工と角度切断が可能だ。また、3軸ATC(自動工具交換装置の搭載により、段取り時間を削減する。さらに、従来とは反対のかきあげる方向に切断する、 逆仰角(ぎゃくぎょうかく)切断方式を採用した。バリの発生を大幅に抑制するとともに、切断面精度も向上する。

 昨今、建設業界や鋼材業界においても、人手不足という社会課題の影響が顕著に現れ、自動化・システム化のニーズが高まっていることを受け、同社はこのような課題に向けて、穴あけ・切断の工程集約を推進することで、鉄骨一次加工における省力化・省スペース化に貢献する。

主な特長

1. 工程集約による省力化・省スペース化
 同マシンは穴あけ・切断の工程を1台のマシンに集約し、作業効率や生産性を大幅に改善した。従来のストレートラインでは、穴あけ・切断それぞれ2台のマシンにオペレーターを配置する必要があったが、同マシンでは複合加工により作業の効率化を実現した。また、設置スペースは従来のストレートラインと比べて約30%減少した。

2. 自動ドリル交換による作業性向上
 同マシンでは、V、R、Lの3軸にATC装置を搭載し、これまで手動だったドリル交換を自動化することで段取り時間を削減し作業効率を改善した。穴あけ加工中に待機軸のドリル自動交換も可能となり、加工時間も短縮できる。また3軸のATC装置には、異径ドリル、マーキングツール、タップツール、バリ取りツールなど各8本の工具が格納可能。工具冷却方式は水溶性切削油をミスト状にしてオイルホールより給油するセミドライ加工を採用し、環境面にも配慮している。

3. 切断面精度・品質の向上
 逆仰角切断方式を採用し、かき上げる方向に切断することで、製品下面バリの発生を大幅に抑制する。さらに、切粉の巻き込みも抑制され、切断面精度が向上する。また、0°~最大45°の角度切断を自動旋回により行うことが可能である。

4. 送材装置、自動搬入・搬出装置
 送材装置は位置決め可能な自走式キャレッジを採用。標準仕様で12000mmストロークをつかみ換えなく送材できるため、加工精度が向上する。また、尾端をクランプするグリップ部は、ワークに合わせ自動で位置決めと旋回が可能である。これにより、様々な種類とサイズのワーク送材に対応できる。さらにオプションの自動搬入・搬出装置により、ワーク搬入から製品仕分けまでを自動化し、稼働率の向上と作業者負担の軽減を実現する。


 

日本ダイカストマシン工業会 「第24回 技術セミナー」 7月25日に機械振興会館で開催

 日本ダイカストマシン工業会は、ダイカスト製造と設備に関する最新技術を紹介する「第24回 技術セミナー」を、7月25日に機械振興会館(東京都港区)で開催する。自動車業界を中心としたEV化の加速や軽量化ニーズに応える先進技術が一堂に会し、現場の課題解決や今後の技術戦略に資する場となる。 同セミナーは同工業会の主催によって毎年開催されており、今回は日本ダイカスト協会、日本ダイカスト工業協同組合、日本自動車部品工業会、日本鋳造協会、日本鋳造工学会、日本マグネシウム協会、素形材センターの7団体が協賛に名を連ねる。参加対象は会員・非会員問わず幅広く、定員は70名。参加費は会員1万7千円、非会員2万2千円(いずれも税込、テキスト・昼食付き)。 冒頭では、経済産業省製造産業局による支援施策の紹介に続き、需要動向の分析を踏まえた基調講演が行われる。メインの技術講演では、EV部品やギガキャストへの対応を視野に入れた「ハイサイクル鋳造による省エネ性、生産性の向上について」(UBEマシナリー)、ひけ巣低減を目的とした「ダイカストマシンの増圧電動駆動を利用した鋳造技術のご紹介」(TOYOイノベックス)、大型製品への対応とコスト削減を目指す「低圧化鋳造における品質改善の取組み」(芝浦機械)が発表される。 さらに、リサイクルを重視した材料技術として、山田製作所による「最近時の自動車用アルミダイカスト技術と材料技術動向」が報告される。また、中央発明研究所は「ダイカストにおける真空装置と高速遮断弁」を紹介し、EV市場における高精度・多品種対応の鋳造ニーズに応える。 セミナー終盤では、日産自動車が長年にわたる車体用アルミ鋳物の開発成果を披露するとともに、ギガキャストに向けた新たな挑戦として「車体用アルミニウム鋳物の市場動向と日産自動車における歴史およびギガキャスト開発について」を語る。閉会後には講師と参加者による交流の時間も設けられ、実務レベルでの疑問や情報交換が期待される。 参加申し込みは7月7日まで。申し込み後に請求書が送付され、支払いは7月14日までに行う。定員に達し次第締切となるため、関心のある企業・技術者には早めの申込が推奨される。EV時代のダイカスト技術の展望を掴む機会として、業界関係者の注目が集まっている。  申し込みは日本ダイカストマシン工業会のホームページ(https://www.sokeizai.or.jp/pages/22/)から。(提供=機械振興会館記者クラブ)