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日本ロボット工業会 2024年7~9月期 マニピュレータ ロボット統計 受注・生産・出荷実績まとまる 

 ロボット工業会がこのほどまとめた2024年7~9月期のマニピュレータ ロボット統計 受注・生産・出荷実績は次のとおり。■業況 2024年7~9月期は、受注額が対前年同期比9.4%の増加、生産額が同8.4%の減少となった。受注状況をみると、電子部品実装機は底打ち感が鮮明になりつつあり、垂直多関節ロボットを中心としたマニピュレーティングロボットも回復の兆しがあることで、受注台数、受注額ともに実に8四半期ぶりに増加に転じた。 出荷実績をみると、国内向けは、電気機械製造業向けが主要用途である電子部品実装用で減少、自動車製造業向けが溶接用を中心に増加した。用途別では溶接用が大幅増、半導体用も下げ止まりとなった。輸出はマテハン用やスポット溶接用が大幅に減少したものの、実装用や半導体用が大幅に増加した。アジア向けは底打ちに向かう一方で、欧米では減少が続いている。受注・生産・出荷の各状況は以下の通り。 ■受注 ・受注台数(台) : 41,013(前年同期比+0.2%) 【8四半期ぶりの増加】  ・受注額(億円) : 1,762(同+9.4%) 【8四半期ぶりの増加】■生産 ・生産台数(台) : 41,386(前年同期比▲12.7%) 【7四半期連続の減少】 ・生産額(億円) : 1,763(同▲8.4%) 【6四半期連続の減少】■出荷 ・総出荷台数(台) : 43,283(前年同期比▲10.3%) 【7四半期連続の減少】 ・総出荷額(億円) :  1,810(同▲5.8%) 【6四半期連続の減少】  ―国内出荷台数(台): 10,924(同+11.2%) 【6四半期ぶりの増加】      ―国内出荷額(億円):  502(同+9.7%)  【3四半期ぶりの増加】      ―輸出台数(台) : 32,359(同▲15.8%)  【7四半期連続の減少】  ―輸出額(億円)   : 1,308(同▲10.6%) 【6四半期連続の減少】■国内出荷内訳[業種別]電気機械産業向け ・国内出荷台数(台) : 3,380(前年同期比▲+8.3%) 【5四半期ぶりの増加】 ・国内出荷額(億円) : 150(同▲2.3%) 【5四半期連続の減少】[業種別]自動車産業向け ・国内出荷台数(台) : 3,573(前年同期比+21.2%) 【2四半期連続の増加】 ・国内出荷額(億円) : 163(同+23.8%) 【2四半期連続の増加】■輸出内訳[用途別]電子部品実装用 ・輸出台数(台): 3,331(前年同期比+21.1%) 【2四半期連続の増加】 ・輸出額(億円): 527(同+19.2%) 【2四半期連続の増加】[用途別]溶接用 ・輸出台数(台): 7,779(前年同期比▲19.2%) 【4四半期連続の減少】 ・輸出額(億円): 195(同▲22.7%) 【4四半期連続の減少】 

「JIMTOF2024」~技術のタスキで未来へつなぐ~ 来月11月5日から開催!

あいさつをする柚原日工会専務理事

  日本工作機械工業会(会長=稲葉善治氏)、東京ビッグサイト(社長=前田信弘氏)は、2014年11月5日(火)から10日(日)の6日間、東京ビッグサイトで「JIMTOF2024 第32回日本国際工作機械見本市」を開催するにあたり、10月2日に都内の芝パークホテルで記者発表を開催した。世界最大の国際技術ショーであるこの展示会は、最先端の製品・技術の出展が期待される。

 柚原一夫 日本工作機械工業会専務理事は、「今回で32回目を迎えるJIMTOFの出展規模は、社数、小間数ともに過去最多であった前回展を上回り、国内ビジネスショーにおいて最大級のスケールで開催する運びとなった。JIMTOF2024年のテーマは〝技術のタスキで未来へつなぐ〟。このテーマには最先端の工作機械技術製品をJIMTOFから世界に発信することで、製造業のポテンシャルを最大限に生かし、無限に広がる未来への可能性を切り拓いていこうという強い思いが込められている。日工会においては40社以上の会員企業が世界初披露の新製品を出展予定としている。前回はデジタル技術による稼働監視や予防保全、周辺機器類と融合した工程集約や省人化だったが、こうしたものがさらに進化し、JIMTOF2024においては機械類をつないだ生産システム全体の効率化、最適化に向けたソリューションを展示されることが期待されている。」と説明した。

意気込みを示す岩瀬剛強ビッグサイト常務

 今回のJIMTOFの目玉は、南4ホールに新設した出展社と学生をつなぐアカデミックエリア。このエリアは出展社企業による学生向けのPRコーナー、キャリアマッチングスクエアや、学生が日工会会員の出展ブースを巡る学生ツアーなどの就活コンテンツを盛り込んでいる。全国の理工系の学生を招いて開催する恒例の「工作機械トップセミナー」では、未来を担う人材にものづくりの喜びや醍醐味を感じてもらうイベントとして期待が高い。

 また、アカデミックエリアに関しては、旋盤やCAMプログラム体験などを通じて工作機械業界の知見を楽しみながら深めることができる企画展示なども盛り込まれている。

 岩瀬和春 東京ビッグサイト常務は、「今回のJIMTOFは東京ビッグサイト全館を使用し、出展規模は世界19の国・地域から合計1,262社、総小間数5,743と60年以上の歴史を持つJIMTOFの中でも過去最大となった。今回の目標来場者数は前回を上回る13万人で、うち海外からは1万3,000人を目標にしている。ものづくり業界の発展の一助となるよう様々な取り組みを進めている。」と述べた。
 

ナガセインテグレックス 「JIMTOF2024」に向け、新規開発6機種を発表

 

 ナガセインテグレックス(社長=長瀬幸泰氏 本社:岐阜県関市武芸川町跡部)が本年11月5日(火)から10日(日)まで東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2024」に向け、9月26日~27日の2日間、本社にて出展マシンの説明会を開き、新規開発6機種を発表した。今回のJIMTOF2024では、『新たなる「価値」と「市場」の創造 -超越精密-』をテーマに、「超越精密」という新たな概念により、異次元のマシンや加工システムの数々を一挙展示する。

新たなる「価値」と「市場」の創造

説明をする長瀬社長

 長瀬社長は「日本の経済環境は加速度的に変化を遂げている。働き方改革、人材不足、仕事に対する価値感も大きく変わった。その中で人材育成と設備投資、この両輪を高速で回していくことは製造業を強く、前に押し出す原動力になると考えている。日本のなかでイノベーションのマグマが、自動車、半導体、エネルギー分野などに沸いており、新製品が勢いよく出てくるのではないかと確信している。」と期待を込めた。

 設備投資についても触れ、「設備投資は新たな仕事を呼び込み、変化が激しい経済情勢のなかで企業を前に力強く進めるための対応力にもなる。また、節税効果もある。イノベーションを待ち伏せできる機械を今まで提案してきたが、今後もお客様に儲けていただく機械をご提供したいと考えている。JIMTOF2024ではNAGASE渾身の新製品と新しい要素技術を用意している。」と意気込みを示した。

 今回のJIMTOFでは、独自のマシン開発手法である「IGTARP DESIGNⓇ」(イグタープデザイン)を6機種中5機種に採用し、圧倒的な超越精密と生産性を実現するマシンとして、新世代のミドルレンジ超精密/高精度門型平面研削盤「SGX-126」「SGX-168」、大型金型および部品の加工時間を大幅短縮する超精密門型成形平面研削盤「SGD-3012」、他にはない超精密・超能率ロータリー研削盤「RG-700」、刃物を選ばない超精密ナノマシン「N2C-520」、次世代型サブナノマシン「NSL-280」、さらに業界初のAI砥面観察システム「GRIDE EYEⓇ」、AIを搭載した次世代型研削盤など新規開発機及び多彩な周辺機器を一堂に展示する。

新開発の6機種はコレだ!

(1)超精密門型成形平面研削盤 SGX-126SLS2-Zero3
 

 超精密を超える最高の品質と非熟練化を実現する超精密門型成形平面研削盤として開発したもので、驚異の機械運動精度と圧倒的な加工点の剛性を併せ持つSGXシリーズのハイエンドモデルであり、3点支持高剛性ベッドを採用。テーブル案内面と前後のクロスレール案内面に独自の多面拘束油静圧案内面とリニアモータ駆動方式を採用。平面研削加工に加え、2軸・3軸を同期させた形状創成加工や多数個自動加工を圧倒的な精度と品位で実現する。

 省スペースに徹底的にこだわり、従来のシングルコラム機と比較し、設置面積を5割削減した。機械の運動特性を活かし、高精度な機上測定(OP)や多彩な加工システムの搭載が可能。

 

【仕様】
 チャックサイズ:L1200mm×W600mm、砥石径:φ250~510mm×幅38~75mm。
 展示会特別使用:AI研削盤仕様、NPXスピンドル仕様。

(2)高精度門型平面研削盤 SGX-168SL2D-Zero3
 超能率、加工時間短縮、高精度に徹底的にこだわる高精度門型平面研削盤として開発したもので、特長は、中型サイズの平面研削加工を圧倒的な生産性とコストパフォーマンスで実現する超高剛性・コンパクト構成の高精度門型平面研削盤。3点支持高剛性ベッドを採用。

 理想的な本体構造により従来機と比較して加工点の静剛性は2倍、動剛性は1.25倍に向上。砥石軸には15kW高出力モータを採用し、圧倒的な能率加工を実現。処理能力が大幅に向上した独自の強磁式マグネットセパレータにより重研削に対応。省スペースに徹底的にこだわり、従来機と比較し、設置面積を5割削減。

【仕様】
 チャックサイズ:L1600mm×W800mm、砥石径:φ250~510mm×幅38~75mm。
 展示会特別仕様:スマートエフィシェンシー搭載

(3)超精密門型成形平面研削盤 SGD-3012SLS2B-Zero4
 モータコア金型やスロットダイなどの大型金型・長尺超精密ワークの加工に対応する超精密門型成形平面研削盤として開発したもので、史上最高の動剛性を誇る本体構造により、従来の加工能率を飛躍的に向上させる。独自の非接触油静圧案内と高出力リニアモータ駆動の組合せにより大面積の圧倒的な平面精度を実現。超精密な真直運動特性と位置決め再現性、同期運動特性により、機上測定(OP)や多彩な加工システムの搭載が可能。省スペースに徹底的にこだわり、同一加工面積比で業界最小の設置スペースを達成している(NAGASE調べ)。

 超精密バーチカルユニット(OP)の搭載により、セッティングを変えることなく大型ワークの端面や傾斜部の加工が可能。

【仕様】
 チャックサイズ:L3000mm×W1200mm、砥石径:φ310~510mm×幅38~100mm。
 展示会特別仕様:超精密旋回加工軸

(4)超精密ロータリマルチ研削盤 RG-700SLS2-N2
 小物部品の多数個同時研削や中型部品、静電チャックなどのセラミックス材の加工に対応するロータリー研削盤として開発したもので、驚異の平面精度と加工能率を実現する他にはない超精密・超能率ロータリー研削盤。

 独自の非接触油静圧案内面を採用したロータリーテーブルは圧倒的な平面精度を実現。超高剛性な本体構造と独自の極低振動モータ採用の油静圧スピンドルにより超能率加工にも超精密な鏡面加工にも対応。平面のみならず、テーブル送りと上下軸を同期させた形状加工も自由自在。タッチプローブ(OP)による機上計測も可能。バーチカルヘッド(OP)を搭載した内外研削加工やバイトホルダ(OP)を搭載した切削加工にも対応。

【仕様】
 チャクサイズ:φ700mm、砥石径:φ230~355×幅25~38mm。

(5)超精密微細加工機 N2C-520AS3-Zero3
 研削、ミ―リング、シェーパー、レーザー、電子ビーム、イオンビームなど、刃物を選ばない超精密ナノマシンとして開発したもので、刃物を選ばない超精密ナノマシン。驚きのスピードで超精密微細加工を実現する。超精密立軸スピンドルは最高12万回転/毎分の超高速回転仕様。最小切込み量は10nm。静的・動的な変形が極小で外乱振動にも強い本体構造。

 テーブル最高速度60m/minの超高速運動を実現。独自の非接触油静圧案内と高推力リニアモータ(左右・前後)、ナノ分解能を持つリニアスケールにより驚異の運動特性を実現。

【仕様】
 チャックサイズ:L500mm×W200mm、超精密立軸スピンドル最高回転数:12万回転/毎分。

(6) 超精密非球面加工機 NSL-280AS3-N4

 究極の繰り返し再現性、ナノメータオーダーの位置決め再現性。前例のない次世代型サブナノマシンを開発したもので、研削加工機能を強化した超精密ナノマシン。SiCや超硬などのレンズ金型からレンズのダイレクト加工まで究極の加工面品位を実現する。本体構造は静的・動的な変形が極小の超高剛性化を実現。前後軸・左右軸の最小設定単位は0.1nm。

 独自の油静圧案内とDDモータ駆動の組み合わせによる超精密インデックスを搭載し、かつてない形状精度を実現。理想的な3点指示の除振台により、振動を徹底的に除去。2.5畳半のスペースに収まる驚きのコンパクトサイズ。従来比1/4の省スペース化を実現。

【仕様】
 最大ワークサイズ:φ280mm(工具、加工形状等により制限あり)

 

日本機械工具工業会が「2024(令和6)年度 日本機械工具工業会賞」を決定

 日本機械工具工業会(会長=松本克洋 不二越 執行役員工具事業部長)が、このほど「2024(令和6)年度 日本機械工具工業会賞」を決定したと発表した。表彰式は10月23日開催の「2024粘度秋季総会」にて行う。■業界功労賞 牛島 望 氏(住友電気工業 /アライドマテリアル)■技術功労賞(社名50音順)(1)技術功績大賞(0件)該当なし(2)技術功績賞 (9件) ●『均粒・高結晶性WC粉の開発』:アライドマテリアル ●『センシングツールおよびKKDX加工サポート』:住友電工ハードメタル ●『鋳鉄旋削用コーテッド材種「AC4125K」の開発』: 住友電工ハードメタル ●『ステンレス鋼旋削用材種AH6200シリーズの開発』:タンガロイ ●『内径溝入れ工具ADDInternalCutの開発』:タンガロイ ●『「アクアREVOドリル バリレス」の開発』:不二越 ●『汎用ミーリング材種「MV1030」の開発』: 三菱マテリアル ●『高硬度鋼加工用高送り小径複合ラジアスエンドミル』:MOLDINO ●『2枚刃ボールエンドミル「CWLB」の開発』:ユニオンツール(3)技術奨励賞 (1件) ●『低抵抗高速加工ヘリカルエンドミル「ドリミル」』イワタツール■環境賞 (社名50音順)1)環境大賞(2社) ●タンガロイ ●マテリアル株式会社(2)環境賞 該当なし(3)環境特別賞(2社) ●ニデックマシンツール ●MOLDINO 

アマダ DXを活用した製造改革により生産能力を増強

 アマダ(社長=山梨貴昭氏)は、このほど、DXを活用した生産方式の改革、間接業務の効率化などにより、板金商品の生産能力を増強したと発表した。

 近年、製造業では少子高齢化に伴う労働人口の減少による人手不足が深刻化しているうえ、地政学的なリスクの拡大による一部の部材供給の不足感、短納期化に伴う生産効率への要求の高まりを受け、主力工場の富士宮事業所では、2020年4月に基幹モジュールの生産能力を増強するため、「モジュール工場」を建設。国内外の製造拠点に基幹モジュールを供給してきた。さらに、制御盤や大型部品の組み立てを行う「アマダサテライトパーク」を近郊に建設。これまで分散していたサプライヤーを同パークに集約し連携することで、生産および物流の効率化と生産コストの低減を進めてきた。

 従来からの取り組みにくわえて、今回のDXを活用した製造改革により、さらなる生産性の向上、工場全体の効率化、サプライヤーとの連携強化が可能となった。これにより主力ファイバーレーザマシンの生産能力は従来と比較し約30%増強、受注から納入までのリードタイムは20%短縮される見込み。

生産方式の改革

 アマダの生産方式は、ブース内で組み立てを行う「屋台ブース生産方式」を基本としている。集中配管が施され、治工具が配置された屋台ブースはその一つひとつがミニファクトリーになっており、組み立てに必要な部品類はキットの形でJIT供給されブース内に配膳される。

 屋台ブース生産方式では、組み立て、調整、出荷準備の各チームが順番でブースに入り、10~20日程度のリードタイムでマシンを組み立て出荷する、ブースチーム方式を採用している。この方式は作業習熟度のバラツキをチームとしてカバーし、多能工化が進めやすいメリットがある。一方で、近年マシンの多機能化がより一層進み、仕様、リードタイムの異なる機種の混流生産により、手待ちが発生しやすいという課題があった。また、チームの編成、ブースの割り当てにも多くの管理工数を要していた。

 そこで新たな生産方式として、ブースライン方式を主力ファイバーレーザマシンの生産に採用した。これは組立工程を平準化することで工程を1日単位に細分化し、各工程を専門の作業者に任せる生産方式。標準化された作業工程を繰り返すことで、作業習熟度が向上しやすいため、リードタイムが約20%短縮された。

 一方で、組み立てに専門的なスキルを多く要する商品や、ブースライン方式の生産計画を超えた商品は、従来のブースチーム方式を併用して生産しているため、フレキシブルな生産体制を維持している。さらに配膳量が多い工程が隣接しないようにブースを割付けることで、配膳エリアを共有し、ブース面積を縮小した。これにより、ファイバーレーザマシンのブース数を1.2倍に増やすことが可能となり、面積生産性は約30%向上した。


間接業務の効率化

 アマダは独自の統合生産情報システムとして「AM-HIT’s」を構築してきた。生産座席表を基軸とするこのシステムは、工場の生産能力枠が座席として示されており、受注のあったマシンが登録されシリアルナンバーで管理される。生産座席表から日々の組立日程、加工日程が自動生成され、生産管理システムの「ATS」は生成された日程に基づき、MRPによる生産計画の立案、BOMを参照し部品手配表の作成、発注、在庫管理を行う。

 近年、顧客ニーズの高度化により、商品仕様の多様化が進展、生産管理ではマシンの仕様情報や生産計画の確認、修正に多くの管理工数を要していた。調達においても、サプライヤーへの手配情報の修正や納期確認など、双方に大きな負担が生じていた。製造現場でも製造進捗、帳票類の管理が煩雑化していた。

 新たな生産管理システム「APEX(AMADA Production Environment Transformation)」は従来のシステムを進化させ、高い生産負荷や多様化する仕様による間接業務の増大に対し、DXを活用することで大幅な効率化を実現した。さらにエンジニアリングチェーンの再構築に向けて、設計BOMに製造BOM、サービスBOMを連携した「統合BOM」を新たに構築した。これにより同一プラットフォームによる技術情報の一元管理と見える化が可能となった。

 生産管理では設計情報に基づいた確実な製造手配が可能になった。顧客の要求仕様である確定仕様書の情報から設計仕様情報を経由し、マシンの生産準備に必要な手配情報が生産座席表に自動登録される。さらに実際に製造で使用したシリアルごとのBOMから、顧客のマシンごとに保守用の3Dパーツリストを自動生成することも可能となり、直販・直サービスの同社ならではのSCM、ECMのさらなる連携強化を実現した。

 調達においてはサプライヤーとの連携を強化するため、「アマダサプライヤーポータルサイト」を新たに構築した。アマダの生産管理システムから生産計画や発注情報、在庫情報などを、リアルタイムでサプライヤーに共有することができる。さらに技術情報、品質情報、価格情報といった重要な情報も、より一層セキュアな環境での共有が可能となる。サプライヤーが導入している同社製の生産管理ソフトや製造DXソリューションとの連携も予定しており、双方向で生産計画や進捗状況をリアルタイムに共有することで、大幅な間接業務の効率化を見込んでいる。

 製造現場ではRFIDタグと組み合わせた電子ペーパーにより、フレームや基幹モジュールなどの内作加工品は、素材の受入れからマシンとして組み立て、出荷されるまで一貫して、所在地、着完情報をリアルタイムに管理している。さらに、マシンのシリアルごとに販売情報、製造情報、品質情報を集約した「シリアルポータル」を構築した。現場作業者はタブレットからアクセスすることで、リアルタイムな生産仕様情報の確認と、管理部門への製造、品質情報の共有が可能となった。

 同社では中期経営計画2025における長期成長戦略に向けた活動として、グローバル製造改革による海外への供給体制の強化と、日本、欧州、北米の製造拠点の強化を進めている。

 今後も継続的なDXの推進と国内外の工場への水平展開を予定しており、長期ビジョン2030の達成に向け、盤石な製造体制の構築とサプライチェーンのさらなる連携の強化を進めるとともに、人と環境にやさしい次世代のモノづくりを目指していく方針。
 

DMG MORI 「技能五輪国際大会2024を支援」

メダルを授与するイレーネ・バーダー取締役

 

 DMG MORIが、2024年9月10日~15日にフランス・リヨンで開催された「第47回技能五輪 国際大会」への支援を行った。同社は、ターニングセンタ「CTX 350」を14台、5軸加工機「DMU 40 Plus」を15台の合計29台を提供した。大会には、世界中から1,400人の若き技能者が集まり、技術を競い合いあった。

 この大会は参加各国における職業訓練の振興と青年技能者の国際交流、親善を図ることを目的としており、同社は、大会への機械提供や現場での技術サポート、競技者のための訓練コースの実施などを通して継続的に支援している。

 同社のイレーネ・バーダー取締役は、「若き技能者の素晴らしい成績を称えることができ、 大変光栄です。若手人材は、製造業の未来を形作る重要な役割を担っています。当社は長年にわたるパートナーであり、新進気鋭の技術の振興に携われることを嬉しく思います。技能五輪は情熱と技能に重きを置かれており、当社にとっても大きなチャンスです。共に技術の未来を切り開き、次世代の人材に刺激を与え続けたいです。」と話し、CNCフライス盤職種の勝者へメダルを授与した。

 同社は2007年に技能五輪国際大会への支援を開始し、当初はメインスポンサーを務めていたが、2016年からは主催団体であるWorldSkills Internationalのグローバル・インダストリー・パートナーとして支援を行っている。DMG MORI ACADMYのヤン・メレンホフ マネージング・ディレクターは、「工作機械業界のイノベーションリーダーとして、当社はCNC旋盤、CNCフライス盤、アディティブ・マニュファクチャリングの分野において、技能五輪を支援するために必要な経験と技術があります。」と話す。

 同社は、技能五輪国際大会への積極的な取り組みを通して、マシニング・トランスフォーメーション(MX)に 必要な高度な人材育成に大きく貢献しており、特に若手技能者にとって、MXの柱である工程集約、自動化、デジタル・トランスフォーメーション(DX)において、専門家のサポートは重要な役割を果たす。

 同社は、2026年に開催される中国大会、2028年の日本大会へも機械提供を行う予定。
 

天田財団 2024年度前期 研究開発・国際交流・技能検定受検手数料助成先を決定

 天田財団(理事長=伊藤克英氏)が、このほど、2024年度前期の助成先を決定したと発表した。

1.研究開発助成・国際交流助成

 助成先総数は108件、助成金総額は2億9,211万円となった。内訳は、研究開発助成87件、2億7,590万円、国際交流助成21件、1,621万円。

 1987年(昭和62年)の創立以来、37年間で累計助成件数は2,342件、助成金総額は42億8,018万円となった。なお、今回決定した助成先研究者に対して、11月30日(土)にAMADA FORUM(神奈川県伊勢原市)において、助成金目録を贈呈する「天田財団助成式典」を開催する。また、10月1日より国際交流助成を後期助成先として追加募集をしている。

 

2.資格取得助成(技能検定受検手数料助成)

 助成対象の資格として、職業能力開発促進法施行令で指定され都道府県職業能力開発協会が実施する国家検定である「工場板金」「金属プレス加工」および「非接触除去加工(レーザー加工作業)」の技能検定受検手数料に助成した。

 助成先人数は93 名(34団体)、助成金総額は171万円。内訳は、金属プレス加工が助成先人数49名(17団体)、助成金額は100万円、レーザー加工作業が助成先人数44名(17 団体)、助成金額は71万円。

 2019年(令和元年)以来、5年間で累計助成先数は1,948名(641団体:1,945名、個人:3名)、助成金総額は3,275万円となった。なお、2024 年度後期の助成先募集は10月1日より開始している。


 

DMG森精機が社員の制服をリニューアル ~安全性、耐久性、機能性、デザイン性を備えたブルゾン、パンツを採用~

 

 DMG森精機が、このほど事業所社員の制服を大幅にリニューアルした。同社では、「お客様に高品質な製品・サービスを提供し、企業として持続可能な成長を実現するための最も重要な基盤の一つは、社員のモチベーションを常に高く保ち、イノベーティブな集団であり続けること。」と考えており、社員にとって、毎日着用する制服が果たす役割は大きく、従来からの作業着としての安全性や動きやすさは継承しながらも、耐久性と機能性を向上させてデザイン性を追加することにより、社員が安全に、そして生き生きと働くための制服へと生まれ変わらせることを目指している。

 今回の新制服は、主に同社の伊賀事業所、奈良事業所に勤務する製造、アプリケーションエンジニア、開発と、全国各地の顧客の修理復旧を行うサービス担当者などの実際に機械に触れる業務を行う社員を中心に、合計約2,200名を対象に配布している。

 デザインと製作は、同社が2018年に発足したプロセーリングチーム「DMG MORI SAILING TEAM」にて、白石康次郎選手をはじめとするチーム着用の完全オリジナル競技用ウェアを提供するゴールドウインのセーリングブランドであるヘリーハンセンが担当した。チームウェアの荒波や嵐の中でも耐え得る耐久性と機能性、先の見えない厳しいレース状況下でも前向きに着実に進み続ける力強さを感じるデザインを新制服に展開している。

 ブルゾンには、同社の主力製品である5軸加工機から着想を得た、黒と、白に近いライトグレーを用いた鋭角な切り返しのあるデザイン、ヘリーハンセンが得意とするスポーツウェアとしての動きやすさや着心地の良さ、制服として必要な機能を全て兼ね備えるデザイン。

 特にこだわったのは、袖のリブに3パターンの編み方を織り交ぜることで、複雑で緻密な機械加工のイメージを表現している点だ。また、襟は折り曲げても、立てたままでもおさまりの良いサイズとし、ファスナーを襟下までとすることで、社員がそれぞれ好みのスタイルで着用できる仕様にした。

 背面には、DMG MORI SAILING TEAMのウェアではなくてはならない視認性を確保するためのリフレクト素材を配置し、蒸れにくいベンチレーション仕様を施し、動きやすく、動いても音が出にくいストレッチ素材を採用している。

 新制服の完成度を上げるために、複数部署の社員に試作品を配布し、実際に1週間着用して通常勤務をし、自宅で洗濯をしてもらい、着心地や動きやすさ、扱いやすさ等を検証することで、改良を重ねた。

 同社では、「よく遊び、よく学び、よく働く」の経営理念のもと、決められた総労働時間の中で高いアウトプットを発揮し、全社を挙げてTQMを推進し品質を徹底的に向上させ、持続的な成長を実現しいく方針。
 

DMG MORISAILING TEAM 白石康次郎選手 過酷な単独無寄港世界一周ヨットレース 「Vendée Globe(ヴァンデ・グローブ)2024」に向け壮行会

 

あいさつするオーナーの森 DMG森精機社長

 DMG MORI SAILING TEAM 白石康次郎選手が世界で最も過酷な条件のもとで行われるといわれている「Vendée Globe2024」に参戦するにあたり、10月3日、パレスホテル東京(東京都千代田区丸の内)で『DMG MORISAILING TEAM「Vendée Globe」壮行会』が開かれた。白石選手が出場するVendée Globeは、4年に1度開催され、単独無寄港で世界一周を目指すヨットレースであり、性別、年齢、身体の自由や不自由は一切関係ない。白石選手は、本年11月10日にフランス・レ サーブル ドロンヌをスタートする。

 

 今回の走行距離4万5,000km、参加選手は11カ国から40人(男性34人、女性6人)が参加する。8位以内を目標に、白石選手が操作するDMG MORI Global One 号は、今回、バウを5m切って付け替え、直線的だった羽も湾曲させてよりスピードをあげるために改造している。

 DMG MORI SAILING TEAMのオーナーである森 雅彦 DMG森精機社長は、あいさつのなかで、「2018年にセーリングチームを立ち上げた。2020年に新艇をつくり、途中で課題もあったが完走した。その一方で、改善・改良が必要になった。去年、一昨年と多くのレースに参加し、船も白石選手も良い状態に仕上がっている。白石選手が気持ち良く来月出港できるように、また、安全に戻って来られるよう祈念したい。」と述べた。

 

白石選手

 続いて白石選手が日頃の感謝の意を表したあと、「皆様の顔を見て、また行くんだな、という気持ちになった。前回はパンデミックの影響でクルーとの接触も禁じられ、苦しいスタートだった。前回は心臓の手術をしたあとだったので、よくあの状況でやってこられたな、と思っている。今回は全力で皆さん頑張っており、船の状態も非常に良い。DMG MORI Global One 号はずいぶん走っているが、現在20名がひとつの目標に向かって頑張っている。若い時に、どうしてもVendée Globeに出たかった。前回、皆に支えられ、夢の新艇を持てて、夢のフィニッシュができて、こんなに幸せなことはなかった。皆様に感謝とお礼を言わせて頂きたい。」と述べた。 

 

 鏡開きのあと、同チームと親交のあるTUBUの前田亘輝氏が応援に駆けつけ、応援ソングを熱唱し、会場内は大いに盛り上がった。

 

鏡開き

 
 

東京大学とシンコーホールディングスが社会連携講座「地下環境の持続可能な開発のための工学」を共同開設

 東京大学大学院工学系研究科(研究科長:加藤泰浩氏)とシンコーホールディングス(社長:吉田香太郎氏)は、このほど、社会連携講座「地下環境の持続可能な開発のための工学」を共同で開設したと発表した。この講座では、地下の環境汚染の除去、拡散防止、動態の理解、およびモニタリングについて、以下のようなバイオ・環境・土木などの分野融合的な工学研究を行っていく。(1)地下環境の原位置除染技術の開発 バイオ電気化学的システムなどを用いた難分解化合物の分解や金属イオンの低毒化・不働態化を原位置で促進する技術の開発を行う。(2)地下環境の汚染拡散防止技術の開発 バイオセメントを利用した土壌固化、汚染物質封入と拡散遮蔽技術、および高付加価値セメントの開発を行う。(3)地下環境の汚染動態の理解 ミクロ(汚染物質と微生物の反応、難分解化合物の代謝など)、メソ(汚染物質の流動挙動の解析)、マクロ(実環境のモニタリング、流動シミュレーションによる汚染物質の動態)の各スケールで地下環境の汚染物質の動態の理解に取り組む。(4)地下環境の汚染検出技術の開発とDX化 地下の環境汚染の高感度・簡便なモニタリング・検出技術、及び統計やAIを利用した評価手法の開発とDX化を行う。この講座の活動を通じて、地下の環境汚染の検知・理解・対策のための分野融合的な研究・技術開発を実施し、地下の環境問題対策の拠点創成に取り組み、さまざまな環境対応に関わる技術習得と教育の充実を通し、環境問題に対応できる専門人材の育成に努めるとしている。 〈社会連携講座の概要〉講 座 名:地下環境の持続可能な開発のための工学(Engineering for Sustainable Development of Subsurface Environments)設置期間:2024年10月1日~2027年9月30日(3年)代表教員:小林 肇 東京大学大学院工学系研究科附属エネルギー・資源フロンティアセンター 准教授