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ダイジェット工業が高能率肩削りカッタ「ショルダーエクストリーム」を新発売
ダイジェット工業(生悦住 歩氏)が、このほど高能率肩削りカッタ「ショルダーエクストリーム」(EXSAP/MSX 形)の販売を2019年1月から開始すると発表した。
この商品は、荒加工~中仕上げ加工の領域において生産性の向上を実現するために、高能率・高精度な肩削り加工を可能とした刃先交換式肩削りカッタ。特長は以下の通り。
(1)肩削り軸方向切込み量(Ap)が最大15mmと大きく、平面削り・溝削り・プランジ加工など幅広い用途で使用可能。
(2)インサートは両面4コーナー使用可能で経済的。コーナーRは、R0.8とR1.6の2種類をラインナップ。高精度な外周研磨級で、荒加工だけでなく、中仕上げ加工領域においても適用可能。
(3)インサート刃先形状は低抵抗な三次元ブレーカー形状で強度を有する。カッタ本体セット時強固にクランプできる機構により、荒加工での高能率加工を実現。
(4)インサート材種は、耐欠損性と耐摩耗性のバランスに優れた材種「JC8050」と一般鋼・プリハードン鋼および50HRC程度の焼き入れ鋼が加工可能な、汎用性材種「JC8118」を採用。
炭素鋼、工具鋼、プリハードン鋼、鋳鉄、ステンレス鋼等の肩削り、平面削り、溝削り加工等の荒~中仕上げ加工に威力を発揮する。
■サイズ・価格
・本体モジュラーヘッドタイプ:φ25(2 枚刃)~φ40(4 枚刃)
・本体ボアタイプ :φ50(4 枚刃)~φ80(7 枚刃)
・本体標準価格:φ25 28,500 円~φ80 57,800 円(税抜き)
・インサート形番: ZNGU 形 材種:JC8050、JC8118(PVD コーティング)
・インサート標準価格:1,710 円(税抜き)
ヤマザキマザックが工作機械の設置・据付を効率化する据付部品キットをナベヤと共同開発
ヤマザキマザック(社長=山崎智久氏)はこのほど、工作機械の据付作業を効率化する据付部品キットをナベヤ(社長=岡本知彦氏)と共同開発したと発表した。
ヤマザキマザックは共同開発の背景を、「高精度な工作機械が設計通りの性能を安定して発揮するには、設置される工場のフロアに正確かつ強固に固定されている必要がある。一般的に産業機械を工場に設置する際は、機械レベル(水平)を調整する「レベリングブロック」、機械と基礎を締結する「アンカーボルト」とそのボルトを基礎に固定するためのコンクリートや樹脂「エポキシグラウト」が使用される。機械の設置に使われるこれらの部品や部材については、さまざまな産業機械を対象とする汎用品が多く、1/1000mm単位の精度が求められる工作機械の据付に特化したものは、これまでほとんどなかった。また、工作機械には恒久的な高精度が要求されるが故に、繊細かつ確実な作業が要求され、機械固定やレベル調整などの作業効率には改善の余地が残されていた。」としており、このような中で、マザックとナベヤは工作機械に特化した正確かつ強固な設置を効率的に行うことができる据付部品キットを開発したとしている。
ナベヤは工作機械用の精密治具ユニットや防振・機械要素部品の専門メーカであり、それらを通じて工作機械ユーザの生産性の向上と高品質化に貢献してきた。ナベヤが長年培った要素部品設計のノウハウと鋳造技術を生かし、より高精度化した工作機械の据付ニーズに対応すべく、今回のマザックとの共同開発に至った。
今回開発した据付部品キットは、マザック製工作機械の推奨品として純正採用していく予定。マザックとナベヤは今後も、工作機械ユーザの生産性の向上と高品質化に貢献していく――としている。
オークマが次世代ロボットシステム「STANDROID (スタンドロイド)」を開発 ~革新的ロボット操作系を世界に先駆けて実現。自動化・働き方改革を推進~
「STANDROID」は、システムインテグレータ(システム構築業者)を介さず容易に省スペース自動化システムの立上げを実現し、世界の中小規模の事業所を始めとした幅広い顧客のロボット活用による自動化・省力化の普及を促すに加え、働き方改革を強力にサポートし、スマートファクトリー化を加速させる。
この開発の背景について同社では、「労働力人口の減少に伴い、ものづくりの現場では、人材不足が大きな問題となっている。働き方改革により、労働時間短縮への取り組みが進む中で、大企業だけでなく、中小規模の事業所においても自動化・省力化への導入が急務である。従来、工作機械とロボットは、別々の制御システムで動作しており、ロボットによる自動化システムは、専門技術を有するシステムインテグレータにより構築されていた。」としている。ロボットにおける自動運転の現状については、「狭い加工室内への進入や回避動作時に機械と干渉しないように ロボットの姿勢を保ちながら最短の距離で動作をさせるプログラムが必要のため、数ポイントから数十ポイントの位置と姿勢の設定(ティーチング)が必要で、これには高いスキルが要求され、システムインテグレータなしでの導入は困難となっている。そのため中小規模の事業所は、ロボット採用のハードルが高く、これが普及を妨げている要因だと考えられる。したがって、現在、加工現場では、操作が簡単で、導入が容易な自動化システムが求められている。」と、今回の開発に至った経緯を述べている。
特長と優位性
(1)システムインテグレータ不要。導入が容易ですぐに使える簡単自動化システム
ティーチング作業を最小限とし、機械への接続もロボットとストッカが一体となった「省スペース自動化セル」を設置するだけで完了。システムインテグレータを介さずに簡単に自動化システムを立ち上げることができる。
(2)ティーチングレスを志向。容易に自動化できる革新ロボット操作
ロボット操作の専門知識がなくても工作機械の操作感覚で簡単ロボット操作。ワーク品種の変更に際し、ロボット言語を知らなくても作業者が容易にロボット動作を設定できる。準備・確認期間を大幅に削減し、多品種少量生産へのロボット活用を促進する。
(3) 設置面積半減!省スペース自動化セル
ロボットやストッカ等の装置一式をわずかパレット約2枚分のスペースに極小化。従来、安全柵で囲っていたロボット可動範囲分のスペースが不要になる。
●実演技術
① 簡単システム導入、生産性を革新するロボットパッケージ
・システム構築の装置一式をパッケージ化。出荷時にはロボットの信号確認も実施済。据付け時は、電源とネットワークケーブルをつなぐだけで接続完了。 システムインテグレータ不要で、3日間を要する据付動作確認作業もわずか一日で 終了。
・顧客のニーズを満足する機能拡張パッケージをラインナップ。 顧客の自動化要求に合わせて、加工物の品質チェックやエアブロー洗浄などの周辺装置を選択しやすい機能拡張パッケージとしてあらかじめ準備。仕様検討から 据付までの期間を短縮する。
② ロボット操作の革新。中間ティーチングポイント設定が不要
・専門スキルがなくても使いこなせる新感覚のロボット操作。ティーチングレスの革新。 NCの対話入力画面から、動作の始点と終点の位置等の必要情報を入力するだけで、干渉しない最短動作を自動作成する「干渉レス制御」。時間と経験を要する従来のティーチングから革新的な進化。
・加工物や取付け位置が変更されても、設定変更だけで変更プログラムを作成。
・工作機械のパルスハンドルやJOG送りボタンでの手動操作が可能。微小な位置あわせもらくらく実施。
③ 省スペース自動化セルを実現する「干渉レス制御」
・システム拡張領域 従来比55%減(*同社実績比:従来ロボット+ワークストッカのスペース(2.1m×2.5m = 5.25m2)との比較)。干渉レス制御により、狭い空間でも動作確認なしで干渉しない最短動作を実現。わずか2.4m2(1.2m×2.0m)のスペースに装置一式を収納し、ロボット可動範囲全体を囲う安全柵が不要でワークストッカもコンパクトに最小化した。
・「STANDROID」を機械の側面に設置。作業者の操作を阻害しないレイアウト。作業者が行う加工物の手着脱作業と、自動化対応を自由に切替え可能。
主な仕様
タンガロイが刃先交換式サイドカッタ 「TecTangentialSlot」インサート新材種「AH3135」拡充!
タンガロイ(社長=木下 聡氏)は、このほど刃先交換式サイドカッタ 「TecTangentialSlot(テック・タンジェンシャル・スロット)」インサートAH3135材種を順次発売すると発表した。
優れた性能で発売以来高い評価を博している先交換式サイドカッタ「TecTangentialSlot」は、高い信頼性と加工能率を誇る刃先交換式サイドカッタ。サイドカッタは、発電機用シャフトや、ブレーキ部品の溝・幅決め加工などに多く使用され、切りくずの噛込みによる破損が生じやすいので、優れた切りくず排出性と高い信頼性が求められる。
この商品は、理想的なポケット形状を有し、最大刃数と切りくず排出性の両立で高能率溝加工を可能にしている。また、高強度な縦インサートの採用と、大きなインクリネーションによる加工時の衝撃緩和をすることで驚異的な信頼性を確立。従来のサイドカッタは、幅広の溝形状を形成するために2個以上のインサートを並列させる必要があり、その場合には右勝手専用と左勝手専用の2種類のインサートが必要だったが、「TecTangentialSlot」のインサートは、片面を右勝手、もう片面を左勝手とした左右両勝手タイプで、計4コーナが使用できる。これにより優れた経済性を発揮し、同時にインサートの集約にも大きく貢献する。
今回はインサート材種に高い耐欠損性を誇る新材種AH3135を追加設定した。AH3135材種は、靭性の高い超硬母材と耐欠損性に優れる積層構造を有したコーティング膜を採用している。高い欠損性を持つ母材とコーティングの組み合わせにより、不安定な加工条件でも抜群の安定性を誇り、インサートのチッピングや欠損が起こりやすい加工状況でも安定した長寿命を実現する。
同社では、「高強度なインサート設計および長寿命を実現する新材種の採用で、TecTangentialSlotは極めて信頼性の高い加工を市場に提供し、お客様の加工費低減に大きく貢献します。」としている。主な特長は以下の通り。
(1)高強度な縦インサートにより、高い信頼性を実現
(2)多刃仕様と優れた切りくず排出性を両立し、高能率溝加工が可能
(3)左右両勝手仕様のインサートは、4コーナの使用が可能で経済的が高く、工具管理も容易
(4)独自の切れ刃形状は、さらい刃も備え、優れた壁面品位を提供
(5)耐欠損性に優れた新材種「AH3135」を追加設定
■主な型番と標準価格
LMEU100808ZNEN-MJ AH3135:1,980円
LMEU120808ZNEN-MJ AH3135:2,130円
LMEU150908ZNEN-MJ AH3135:2,280円
(いずれも税抜き価格)
三菱マテリアルが難削材旋削加工用インサート材種“MP9000/MT9000シリーズ”に断続切削加工用材種「MP9025」を追加発売
三菱マテリアル 加工事業カンパニー(カンパニープレジデント=中村伸一氏)は、このほど難削材旋削加工用インサート材種“MP9000/MT9000シリーズ”に断続切削加工用PVDコーテッド材種「MP9025」を追加し、販売を開始した。
顧客から高い評価を得ている難削材旋削加工用インサート材種“MP9000/MT9000シリーズ”は、航空機部品や医療器具などに使用されているチタン合金、耐熱合金、耐食合金などの難削材の加工に適したインサートシリーズ。耐欠損性、耐溶着性を向上させたことで、突発欠損を抑制し、専用ブレーカにより、切りくずトラブルを防止する。人気の同シリーズに、今回、断続切削加工用PVDコーテッド材種「MP9025」を追加することで、使用領域を拡大した。特長は、以下の通り。
(1)刃先安定性重視のローグレード材種。
(2)軽切削領域から荒切削領域までの断続切削加工用。
■標準価格
CNMG120404-LS MP9025:940円
(代表型番) DNMG150408-MS MP9025:1,300円
SNMG120412-RS MP9025:1,100円
(いずれも税抜き価格)
アマダホールディングスがUAEに現地法人を設立 ~直販・直サービス体制を構築し、中東での積極展開を推進~
アマダホールディングス(社長=磯部 任氏)は、このほど中東地域の金属加工機械の拡販と、サービスの強化を図るため、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに、販売・サービス会社アマダ・ミドル・イースト(仮)を設立した。 UAE やサウジアラビアでは、石油依存からの脱却を目指す経済政策を受けて、建設や電機設備といった都市インフラの整備が加速していることを背景に、同社では「地場の金属加工業が発展すると見込まれている。当社はこれまで販売代理店を通じて、中東地域向けに営業活動を行ってきたが、市場拡大を見込み、強みである加工技術力やソリューション提案力を発揮することでさらなる成長が期待できるとの判断から、現地法人を設立することにした。」としている。 今後、市場ニーズに即したファイバーレーザ加工機、曲げ加工機などの商品ラインナップを展開するとともに、12 月には新たにテクニカルセンターをオフィスに併設し、直販・直サービス体制を構築する。加工技術、および機械とソフトウエアを組み合わせたネットワーク化の提案に加え、サービス活動の強化により、顧客の加工品質の向上や効率的な生産を積極的に支援していくとしている。 アマダグループは、中期経営計画において、新興国市場の拡大を成長戦略に掲げており、今回の現地法人の設立により中東地域の市場開拓を加速させ、2021 年度までに同地域における売上高を2017 年度比3 倍にすることを目指す。■新会社概要社 名: AMADA MIDDLE EAST FZCO(予定)所 在 地: Jebel Ali, Dubai, UAE事業内容: 金属加工機械の販売および保守サービス代 表 者: 小野寺拓 Managing Director資 本 金: 500 万AED(ディルハム、約150 百万円)社 員 数: 12 名営業開始: 2018 年12 月(予定)
サンドビック・コロマント・ジャパン、新セールス組織で市場拡大を狙う
サンドビック・コロマント・ジャパンは、このほど、既存の組織を見直し、新たなセールス組織体制を構築すると発表した。 それによると、日本の営業組織を2つのクラスター(営業グループ)に分割する。セールスクラスターとグローバルのセールスマネジメントチームやセールスエリアとの距離を縮めるのが狙い。 この組織改編に伴い、サンドビック・コロマント・ジャパン カンパニーバイスプレジデント 西日本セールスクラスターマネージャーに山本雅広氏、カンパニーバイスプレジデント 東日本セールスクラスターマネージャーに松本憲幸氏が就任する。 山本雅広氏は、サンドビックマテリアルテクノロジー(SMT)のPAストリップのアジアパシフィックセールスエリアマネージャー(中国以外)として活躍し、20年以上にわたり国内外のセールスマネジメントに従事してきた。山本氏はコストを抑制しつつ、顧客基盤を拡大にすることにより、責任地域においての利益成長を達成している。 松本憲幸氏はサンドビック・コロマントのセールスエリア・サウスアンドイーストアジア(SASEA)のストラテジックリレーションズマネージャーとして活躍し、その中で、世界市場を支配している日本の工作機械メーカーに対してリーダー的なサプライヤー、またパートナーとしてのポジショニングをさらに強固にする活動を遂行し、成果を上げている。 なお、現在のジャパンセールスクラスターマネージャーの高屋政一氏は、セールスエリアサウス&イーストアジア(SASEA)のEBPプロジェクトリーダーとして、新基幹システムの立ち上げやインフラの整備リーダーとして新たな職務を担当する。
2018年10月分工作機械受注総額は1,396.2億円 日工会
日本工作機械工業会がこのほどまとめた2018年10月分の受注実績は以下の通り。2018年10月分工作機械受注総額は、1,396.2億円(前月比△9.0% 前年同月比△0.7%)となった。14カ月ぶりの1,400億円割れ。10月では昨年に次ぐ過去2番目(17年:1406.6億円)。1,000億円超は24カ月連続。受注額はやや落ち着くも、依然堅調に推移。 内需は576.6億円(前月比△10.5% 前年同月比+1.7%)で、補助金効果の剥奪やJIMTOF開催前の付きながら、10月としてリーマンショック以降の過去最高額を記録(従来17年:567.0億円)。 外需は819.6億円(前月比△7.9% 前年同月比△2.4%)で、2カ月連続の800億円超で、10月では過去3番目(最高額14年:887.9億円)。欧州、北米が外需を牽引。 高水準の受注が継続しており、今後も月毎の変動はあるものの、高水準を持続するものと期待。他方、通商問題、納期の長期化による影響などを注視。
10月分内需
576.6億円億円(前月比△10.5% 前年同月比+1.7%)。・8カ月連続の600億円割れ。10月ではリーマンショック以降の最高額(従来17年10月:567.0億円)。・前月比2カ月ぶり減少。前年同月比21カ月連続増加。・国内需要は自動車、幅広い業種で堅調持続。① 一般機械 217.2億円(前月比△12.4% 前年同月比△12.8%) うち金型 24.0億円(前月比△0.3% 前年同月比△6.0%)② 自動車 204.5億円(前月比+4.2% 前年同月比+15.6%) うち部品 133.9億円(前月比+4.9% 前年同月比+9.5%)③ 電気・精密 62.0億円(前月比+0.5% 前年同月比+9.6%)④ 航空機・造船・搬送用機械 23.4億円(前月比+12.3% 前年同月比+74.6%)
10月分外需
819.6億円(前月比△7.9% 前年同月比△2.4%)・2カ月連続の800億円超。10月では過去3番目(①14年:887.9億円、②17年:839.6億円)。・前月比2カ月ぶり減少。前年同月比2カ月ぶり減少。・アジアは落ち着くも、欧州・北米は高水準の受注が継続。①ア ジ ア:313.5億円(前月比△10.2% 前年同月比△17.9%)・東アジア:215.2億円(前月比△8.7% 前年同月比△29.3%)〈韓 国〉 31.6億円(前月比+49.7% 前年同月比△14.3%)〈中 国〉151.3億円(前月比△20.0% 前年同月比△36.5%)・その他アジア:98.3億円(前月比△13.5% 前年同月比+27.5%)〈インド〉36.2億円(前月比△26.8% 前年同月比+21.6%) ②欧 州:226.5億円(前月比+12.3% 前年同月比+8.0%)〈ド イ ツ〉60.9億円(前月比+2.5% 前年同月比+39.6%)〈イタリア〉37.7億円(前月比+5.9% 前年同月比△2.3%) ③北 米:265.6億円(前月比△19.1% 前年同月比+16.0%)〈アメリカ〉230.9億円(前月比△22.4% 前年同月比+17.1%)〈メキシコ〉 17.9億円(前月比△8.3% 前年同月比+14.7%)
不二越が超硬素材を内製化 ~全てを一新した新超硬ドリル「アクアREVOドリル」とは!?~
同社は、1928年、切削工具の国産化を目指し創業。その後、切削工具の素材となる特殊鋼の内製化を開始して以来、材料から製品に至る切削工具の一貫生産体制を構築してきた。
特殊鋼から一貫生産をする工具メーカーは世界でも数が少ないが、今回は超硬素材から超硬ドリルを一貫生産するとのことで、全てを一新した新超硬ドリル「アクアREVOドリル」は、“力の入った新商品”だという。
近年、切削加工条件の多様化から、超硬工具の需要が拡大する中で、同社では2015年に超硬材料開発プロジェクトを立ち上げ、材料開発、製造技術開発に取り組み、独自のノウハウを確立している。今後は、新しい高性能・高品位な超硬素材を安定供給することで、超硬ドリルの性能向上に貢献し、ユーザーの生産性向上とコストダウンに寄与する方針。
超硬工具は生産性向上のニーズに対応するため、高速・高送り加工が要求され、それに伴い素材・材料にも高靱性、耐摩耗性が要求されているが、今回の内製化により、工具部門と協働し、切削試験での性能確認を適宜進め、最適性能を実現している。同社独自の成分設計と、金属炭化物の粒度、均一性を厳しくコントロールした焼結技術と、硬さと靱性を兼ね備えた新素材の開発で、製造条件の最適化も図り、製品品質も向上した。また、シンターHIP炉をはじめとした最新鋭の設備による生産ラインを構築し、高品質な超硬素材を製造する一方で、同社独自のロボットシステムによる自動化ラインを導入し、品質の安定化、大幅な生産性向上を実現している。
今回の投資では、新専用工場の建設、押出成形機・シンターHIP炉をはじめとした最新の製造・検査設備の導入などで、投資金額は約20億円。
開発に至った経緯と工具を取り巻く環境変化への対応
同社は、2008年と比較して2016年までに売上は5倍伸長(売上5倍・シェア4倍)している一方、汎用ドリルの伸びは2016年以降、鈍化している。そのため、「新汎用ドリルの開発が私どものテーマとなった。現在加工の要求は高まってきており、加工にさらなる革命を起こす必要があると考えた。それには圧倒的な加工性能を追求しなければならない。工具の3大要素は材料、形状、コーティング。材料はこれまで材料メーカーから購入していたが、高度化する市場からの要求に応えるには材料の開発が不可欠と考えた。弊社の長い歴史にもあるとおり、不二越の強みは素材部門を持っていること。REVOブランドのコンセプトに基づき超硬素材を自社で新開発、製造し、今回のREVOドリルの発売に結びついた。」(北山工具事業部長)
硬さと靱性を両立した新超硬素材はロボットを使った自動化ラインで安定品質!
工具の革命につながる材料をつくっていくことがマテリアル事業のミッション。コンセプトは超硬工具が要求する生産性の向上だ。
越濱マテリアル事業部長は、「高硬度、高送り加工ということに耐えうる材料というと、硬くて靱性があることになる。硬いとタフネスは反比例する性能なのでこれらを兼ね備えた材料を造って欲しいという要望を受けて開発を進め、今回のREVOドリルに相応しい材料が出来た。工具部門と共同で開発をしているので、工具に要求される切削性能を何度も何度も繰り返し評価をし、独自の設計と、金属炭化物の粒度、均一性を緊密に厳しくコントロールする焼結技術を開発したことによって、相反する特性をもった材料を開発することができた。また、製造条件も品質もより厳しく管理することで品質の安定化を図っている。」と材料研究について述べ、一方、生産技術面では、「不二越はロボットを核とする総合機械メーカー。製造ライン各所にロボットシステムを導入しており、自動化ラインを構築している。品質の安定化と少ない人数で製造できるメリットを生かして生産性の向上を達成している。」と優位性を示した。
これが「アクアREVOドリル」だ!
今まで多機能・工程集約、高効率、新しい加工法といった3つの観点で開発を進めてきた不二越。その結果、「超モノづくり部品大賞」(主催:モノづくり日本会議・日刊工業新聞社)では、「アクアドリルEX フラットシリーズ」が2013年超モノづくり部品大賞機械部品賞、同じくその2年後に、「アクアドリルEXオイルホールロング」(2015年超モノづくり部品大賞奨励賞)、直近では2017年、「HyperZタップシリーズ」(2017年超モノづくり部品大賞機械部品賞)を受賞したことでも分かるとおり、多彩なシリーズを拡充し、超硬ドリルのマーケットシェアを拡大してきた。
先述の通り、材料部門を社内に有する不二越独自の技術を結集し、従来は両立が難しかった硬さと靱性を兼ね備え、耐摩耗性に優れた新素材を開発したことにより、これまでにない高品位な素材の社内一貫生産を開始した「アクアREVOドリル」の革新性は、次の通り。
●新形状
一般的に超硬ドリルで採用されているフック形の切れ刃形状ではなく、直線切れ刃形状を採用することで、切削時の応用力を分散。あらゆる加工条件で切り屑形状が安定化し、これまでにない高い生産性を実現した。
●新コーティング
耐酸化性と耐摩耗性に優れた2種類の膜種(AlTi系膜・AlCr系膜)をナノレベルで積層し、強靱な膜を成膜する“REVO-Dコーティング”を新開発。低摩擦性を向上させる超平滑化処理とともに、これまでにないスムーズな加工を持続する。
同社では、今後の取り組みとして、工具部門のニーズに対応したオリジナル高性能材種の開発を継続するとともに、スカイビングカッターなど、ラウンドツール以外の超硬合金素材の開発も進める。あわせて、超硬素材の外部販売も検討していくとしている。
中国機床工具工業協会が「中国工作機械消費市場と産業の状況」並びに「CIMT2019」について会見を開く
毛常務副理事長は、「近年、経済の回復と新たな発展駆動力を伴い、中国の工作機械消費市場は回復傾向を示している。市場回復の恩恵を受け、中国の工作機械産業動向及び関連商品の輸入も明らかな成長傾向を示している。全体として、工作機械の消費市場及び産業は、2015年までの“総需要の減少”、“急速な構造改善”といった特長から、“総需要の安定”、“急速な構造改善”といった特長に徐々に変化している。」と述べ、この新たな特徴については、「しばらく継続する見込みである。市場情報及び産業運営データをまとめ、現在の状況と発展予測を包括的に分析した。」と説明した。説明の内容は以下の通り。
中国の工作機械消費市場状況
(1)直近の中国マクロ経済状況
中国の四半期GDP成長率の統計データからみると、2017年の各四半期GDP成長率は、「前高後低(前半に高い伸びを示し、後半に減速傾向を辿ること)」になり、これは金融リスクの防止と管理、デレバレッジ・資産圧縮、経済の構造調整などの政策方針と関連している。2017年下半期の投資成長率原則の影響を受け、2018年上半期のGDP成長率は小幅に原則しており、そのうち、今年第二四半期の減速が顕著で、2017年第2四半期の6.9%に比べ、0.2ポイント減少した。7月23日、中国政府は今年下半期の経済活動に対し、財政金融政策の作用をさらに発揮する配置を行い、実体経済の発展を促進する内需拡大の構造調整を支援し、脆弱分野を補強し、民政を豊かに氏、有効な投資を後押しする方針を打ち出した。積極的な財政政策をさらに積極的に行い穏健な金融政策は緩和引き締めを適度に行い、中小企業への融資担保規模を拡大させるなどの積極的な政策をとりつつ、「ゾンビ企業」の生産を断固として行い、社会活力の活性化を促し、有効な投資を促し成長を安定させる。有効的な投資の拡大に伴い、中国のGDP成長率は今年下半期に回復し、安定した成長をみせると予測している。
今年上半期のGDPを産業別にみると、第三次産業は依然として先導的で拡大しており、第二次産業がその後に続き、拡大が際立っている。業種別にみると、工業及び製造業がGDPに最も貢献し、次にサービス業が寄与し、不動産業の貢献度は低下している。情報ソフトウェア産業の成長は非常に速いが、その割合はやや低い。このような状況をふまえ、今年下半期の経済成長は安定を実現し、工業・製造業への投資が増え、工作機械の消費需要も引き続き増加するだろう。
固定資産投資の成長率からみると、2017年3月以降、前年同期比の成長率は引き続き減速した。設備の購入に関する市場成長率は減速が顕著で、2017年2月の10.5%から2018年2月の2.3%(8.2ポイント減)に減速した。この影響を受け、2018年上半期の中国の工作機械消費市場の需要も減少した。2018年3月以降、社会全体の固定資産投資の伸び率は依然として減速傾向にあるが、第2次産業と製造業の投資は、それぞれ回復が見えた。7月から8月、設備投資の伸び率は再び減速したが、主に投資停滞による影響と推測され、今年下半期の工作機械関連産業への投資は引き続き増加すると予測している。
工業付加価値データによると、2017年第4四半期から工業付加価値は大幅に増加し、2018年上半期、毎月の変動幅は少しずつ縮小している。これは投資データの変動と一致している。中国国家統計局と財新マークイットが公表した中国製造業購買担当者景気指数(PMI)からみると、今年上半期の成長率減速は構造的な問題であることが分かる。2017年第3四半期から2018年第1四半期にかけて、国家統計局のPMI指数の拡大は大幅に縮小し、財新PMI指数は小さな拡大幅で変動しており、投資成長率の減速と関連している。2018年第1四半期末から第2四半期にかけて、国家統計局のPMI指数は大幅に回復したが、財新PMI指数は依然として弱い拡大状態にある。財新PMI指数は主に中小企業の景気動向を反映しているため、上記2つのPMI指数の差異がこれまでの投資の実体経済に対する支援が不十分であることを反映している。そのため、中国政府は経済成長を安定させる政策方針や措置を打ち出した。
マネーサプライデータによると、家計消費や実体経済に関する厳禁(MO)の伸び率は基本的に安定しているが、金融リスクの防止と管理、デレバレッジ・資産圧縮の駅用を受け、M2とM1の伸び率は引き続き減速し、社会負債の過剰な成長は抑制されている。また、2018年第1四半期以降、Mo、M2の伸び率は安定しているが、7月から8月のM1の伸び率が著しく減速しており、資金面で相対的に不足したため、国務院は穏健で中立的な金融政策を打ち出し、適度に緩和した。マネーサプライの伸び率の穏やかな回復は、消費促進や投資安定化に寄与している。
中国国家統計局が公表した一定規模以上工業企業のデータによると、2017年、企業の資産負債率は年初の56.2%から年末の55.5%に減少した。また、企業の利益率は低下後に上昇し、工業企業のデレバレッジ・資産圧縮が着実に進歩した。2018年上半期、一定規模以上の工業企業資産負債率はやや回復し、売上利益率も上昇した。企業の投資と運営動向は拡大傾向を示している。
以上を総合すると、2018年下半期、中国のマクロ経済活動は安定した動きをみせ、中国の工作機械消費市場の需要拡大に良い影響を与えるだろう。
(2)工作機械市場の最新変化
中国の工作機械消費市場の観点から、2018年下半期の動向を分析する。工作機械の市場需要に対する基本的な推進力は、製造業の拡大である。関連産業の製品量産の変化や製造技術の進歩は、金属加工工作機械、切削工具及び研磨材に対する市場需要に間接的に影響している。中国国家統計局が公表した腫瘍工業製品生産量から工作機械の消費量を相関的に分析、モデリングし、2000年のデータ基準に中国工作機械及びツール消費指数を作成した。1次指数は金属切削工作機械、金属成形工作機械、切削ツール、研磨材の4つで、2次指数はマシニングセンタ、旋盤、研削盤、大型工作機械、プレス機械、パンチングせん断マシンなどの製品インデックスに細分した。2018年6月の更新データをみると、以下のような最近の市場変化を反映している。
金属切削工作機械市場は、需要構造の改善や過剰生産能力の調整などにより、近年では市場指数が低下し続けている。おそらく2018年は、近年における消費需要の最低点となるだろう。稼働中の工作機械の更新サイクルの到来や新たな発展駆動力の出現にともない、2019年から市場は徐々に回復すると予測している。また、需要構造のアップグレードが顕著になったことで、過去10年で金属切削工作機械の平均価格が大幅に上昇し、需要量の減少が消費に与える影響を補うことができ、中国の金属切削工作機械消費額は穏やかな成長となるだろう。
金属成形工作機械は、金属切削工作機械とは異なり、安定成長傾向がより明らかである。これは、金属成形工作機械のユーザー市場と消費が密接に関係しているためで、中国の経済成長に対する消費寄与率の継続的な上昇は間接的に金属成形工作機械の消費を増加させている。金属切削工作機械と同様に、工作機械の価値が高まるにつれ、金属成形工作機械の消費額の成長は一層早くなるだろう。
切削ツール市場は2018年から概ね安定している。これは金属切削工作機械市場が安定していることと、切削性能の向上や加工量の安定成長が相殺され、切削ツールの将来市場は「総量の安定化と産業構造の改善」の傾向を示し、市場競争はますます激しくなるだろう。
研磨材市場は生産レベルの向上や精密加工の需要増加、特に研削盤消費量の増加に伴い、2018年から徐々に増加している。消費需要構造の改善により、研磨材の供給構造もアップグレードされるだろう。
一方、ユーザーの投資動向は国内工作機械のこれからの消費ニーズの変化やホットスポットを見極めるうえで最も直接的な参照ポイントとなる。以下は、上海・深セン証券取引所に上場する自動車、航空宇宙および防衛、船舶および海洋工学、エネルギー設備、鉄道および鉄道輸送、建設設備、鉄工、自動車部品、工作機械などの業界の主要ユーザー系282社の2018年上半期データを分析したもので、主要ユーザーの投資変化の最新動向を判断するための参考のもの。
中国の工作機械産業動向
(1)工作機械産業の全体動向
国家統計局の関連データによると、2018年上半期の金属加工工作機械の生産高は約135億ドルで、前年同期比11.5%増だった。そのうち、金属切削工作機械の生産高は前年同期比13.6%増の約60ドルで、金属成形工作機械の生産高は前年同期比8.9%増の約60億ドルであった。上記データからみると、2018年上半期、中国の工作機械消費市場は成長が顕著である。
(2)産業発展の新特長
中国の工作機械産業はかつてない構造改善の変化期を経て、国内外の様々な要因の影響を受け、中国工作機械産業の発展は新たな特長をみせている。
●相安定、構造改善。将来適には、中国の工作機械産業は規模より品質や効率を重視する開発モデルに移行するだろう。業界全体の安定維持を前提とし、社会資源は運用効率の向上、運営品質の強化、製品技術の高度化、発展潜在力の大きい企業集団へと向かう。市場的なメカニズムは、その資源を分配する主要な手段となる。
●イノベーションが産業構造調整とアップグレードの原動力となる。要素駆動が徐々に後退し、革新主導型のメカニズムが産業発展の主な推進力となるだろう。「科学技術は第一の生産力である」ということは、新たな意味を提示し、新たな歴史的役割を再確立する。
●改革開放を深化し、新たな競争モデルをつくる。新たな情勢下において、国内改革、対外開放政策を強化する政策は、工作機械産業の発展にとって積極的な意義がある。国有企業改革、イノベーション体制構築、投資と資金調達支援、課税と分配制度の深化改革は、異なる体制の企業の共同発展を促進し、知的財産権保護を強化し、国際間協力を加速し、平等な市場参入に基づく貿易や平等投資を促進する各政策は、国内外の産業間の良質な相互作用を形成する。
将来予測
産業動向、輸出入貿易、人民元の為替レート変動などの各要因の影響を考慮すると、2018年、中国の工作機械消費市場は大幅に拡大することが予測される。なかでも、工作機械の生産量は小幅の伸びを維持しており、産業の構造改善はさらに顕著となり、工作機械の輸入は大きな成長傾向を示している。
「CIMT2019」と「CCMT2020」
中国機床工具工業協会が主催する「CIMT2019」と「CCMT2020」展示会の準備については、中国の工作機械消費市場は引き続き改善され、中国機床工具工業協会が主催する両展示会の影響力はますます高まっている。この展示会は効果、規模、専門性、国際化レベルや市場メリットなどの面で、中国の工作機械業界ひいては国際的にも著名な展示会となっている。2019年4月15日から20日まで北京の中国国際展覧センター(新館)において第16回中国国際工作機械展(CIMT2019)を開催する。相展示面積は14万㎡に達する見込みで、そのうち、海外16カ国・地区の出展ブース面積が7万㎡となる。今回の展覧会テーマは「融合共贏、智造未来 win the smart future together(一緒にスマートな未来を勝ち取る)」で、中国市場、産業および国際的な発展コンセプトや動向を合致させ、現在の市場状況にマッチさせ、産業発展のホットスポットに呼応する。中国機床工具工業協会は引き続き出展者や来場者に高品質なサービスを提供するため国内外の交流商談プラットフォームを構築する。業界内外の関係者の支援により、CIMT2019は間違いなく工作機械産業にとって盛大なイベントになると確信している。
中国機床工具工業協会は、2020年4月7日から11日まで上海新国際博覧センターで「第11回中国CNC工作機械展覧会(CCMT2020)」を開催する。この展示会は同じく中国機床工具工業協会が主催で、CIMTの姉妹展である。中国の工作機械消費市場開放の拡大に伴い、上海は地理的な特長から利益を得て、CCMT展の国際化の度合いや国際的な影響力も引き続き改善されている。CCMT2020は中国工作機械産業にとって、もう一つのグローバルな展示窓口になると我々は確信している。
