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「人材教育に注力したい」日本産業機械工業会が賀詞交歓会を開く

佃会長
佃会長
 日本産業機械工業会(会長=佃 和夫 三菱重工業相談役)が1月7日、東京港区のホテルオークラで賀詞交歓会を開催した。

 佃会長は、「今年は平穏な幕開けをするかと思ったところ株価が大幅下落し、サウジアラビアとイランとの国交断絶。いいよいよスンニ派とシーア派が正面から両派を代表する大国同士が正面からぶつかるという状況になった。挙げ句の果ては北朝鮮までが不穏な幕開けとなった。経済成長については、個々の製品、ハードの開発に加えて、今話題のロボットやIoT、ビッグデータ、artificial intelligence(AI)などの先端技術を取り入れて製品のオペレーションやメンテナンスまでを取り込んだビジネスモデルを広げて付加価値を上げ、その結果として生産性を上げるというイノベーションに取り組んでいく努力をわれわれは続けていきたいと思う。私自身、今後の日本企業最大の不安要素は人材だと考えている。教育は学校で、といって学校に任せるのではなく、インターシップの充実等々、企業が大学生や高校生により積極的に課業して、実業に関心を持って貰いたい。父や母が働いている姿に関心を持ってもらい、できれば実業の世界での野心を持って貰う、という活動が必要なのではないかと考える。老人から若者へ、という投資の配分を替えることにより将来世代への責任を果たすべきだろう。政府においては、法人実効税率20%への引き下げの前倒し、TPP交渉の大筋合意など、経済最優先の政策を強力に推進していただいている。今後ともさらなるご指導ご支援をお願いしたい」とあいさつした。

「未来への投資をしっかりと進める年に」 

糟谷 経済産業省製造産業局長
糟谷 経済産業省製造産業局長
 来賓を代表して糟谷敏秀 経済産業省 製造産業局長があいさつをした。この中で糟谷局長は、「27年度の産業機械工業会関係の受注総額は昨年度よりは若干下回っているようだが、振り返ってみると26年度は7年ぶりに6兆円を超え、リーマンショック以前の水準に迫る勢いであった。今は国内同じような水準で推移をしている。外需の遅れがあったり、新興国の問題を受け弱含みではあるが、健闘している。これは会員各位の努力の賜であろうと敬意を表する次第である。今年はなんとしても景気の緩やかな回復を確実なものにしなければならない年である。かつて6重苦と言われた問題の解決は着実に前進しており、さらに景気の回復を着実な軌道に乗せるためには賃金賃上げを通じて消費にしっかりと火を点けること、投資をしっかりとしていただくことが大切だと考える。第四次産業革命、IoT、ビッグデータ、人工知能等の言葉がこの1年で浸透してきたがこれらを含めた未来の投資をしていただきたいと思っている。これらは最終目的ではなく、これを利用して何をするか、が非常に大切である」と述べた。

「自らが切り拓いていく努力が必要」日本歯車工業会が賀詞交歓会を開く

澤田 豊 日本歯車工業会会長
澤田 豊 日本歯車工業会会長
 日本歯車工業会(会長=澤田 豊 豊精密工業顧問)が1月8日、都内の東海大学校友会館で賀詞交歓会を開催した。

 澤田会長は、「昨年当工業会は円安の恩恵を受け、収益が改善された企業が多かったのではないか。しかしながら量の拡大までは至っていないという状況である。今年は工業会としてもぜひ成長路線を牽引したい。従来は経済政策に頼っていた面もあるが、今年は自らが切り拓いていく努力が必要であろうと思っている。歯車工業会は小さな団体だが、キラリと光る活動を心がけており、日本の経済成長においても、教育というのはキーになるだろうということでギアカレッジに注力している。また技術開発においても工業会としても取り組み、新しい時代を切り拓いていこうと考えている。今年は魅力ある工業会を目指して活動していく。皆様にもぜひ参画していただき、盛り上げていきたい」とあいさつした。

「日本のものづくりは世界最高水準」、「歯車工業会は日本の歯車そのもの」 

 続いて、宮沢洋一 参議院議員 自由民主党税制調査会長が、あいさつの中で「日本の鋼材にいろいろ懸念されることがあると聞いた。日本のしっかりとした鋼材が使えるような状況をつくることは日本の産業にとって大切なことなの

宮沢洋一 自由民主党税制調査会長
宮沢洋一 自由民主党税制調査会長
で考えたい。私も経済産業大臣を1年近くやらせていただいたが、日本の産業をみていると、産業の7割がサービス業だがサービス業の効率性は世界の標準より低く、これをなんとかしていかなければ、というのが経済産業政策の1番大事なところである。一方、ものづくりというと、まだ日本のものづくりは世界最高水準であることは間違いない。自動車、素材、産業機械、工作機械など世界に競争力がある。これらをどう維持していくのか、というのがわれわれの課題であると考えている。」と述べた。

鈴木淳司 経済産業副大臣
鈴木淳司 経済産業副大臣
 鈴木淳司 経済産業副大臣が「歯車工業会は日本の歯車そのものだ、と改めて痛感している。丙という字は火に関係し、横に広がっていく、燃えさかる、そんな意味があると聞いた。申というのは、動物の猿ではなくて、申(シン)とも申(モウ)すともいう。にんべんを付ければ伸びるという字になるように、伸びていく、目標に向かって進んでいくという意味だそうなので、ぜひ経済の発展と共にしっかり伸びていく年にしたいと思っている。お陰様で安倍政権は3年が経過した。六重苦と言われたが円安も進み、あるいは税制もずいぶん進歩した。数年かけて法人実効率20%台にしていくという方針が、2年で達成できそうであるし、あるいは中小法人の償却資産課税1/2を3年間、これは非常に画期的なことである。これは経産大臣をやられた宮沢税調会長が英断でもって進められたことである。この追い風にのってしっかりと前に進んでもらいたいと期待している。」と声援を送った。

浅川泰秀副会長(セイサ顧問)の乾杯の発声で開宴した。新規入会企業の紹介があったのち、宴たけなわのころ、猪村美之副会長(ナゴヤギア会長)の中締めで散会した。

「過去最高額を達成」日本工作機械輸入協会が賀詞交歓会を開く

中川会長
中川会長
 日本工作機械輸入協会(会長=中川貴夫 シーケービー社長)が1月12日、都内の第一ホテル東京で賀詞交歓会を開催した。

 あいさつに立った中川会長は、「昨年、当協会も60周年を迎えた。私自身この節目の年に会長職に就任し、今日まで務めてこられたのも皆様方の力添えがあったからと感謝を申し上げる。昨年度の工作機械の輸入通関実績は、1100億円超えを達成し、最高額の達成となった。政府による設備投資優遇策や円安による輸出の恩恵を受けた企業が設備投資をしたことと皆様方の努力の賜だと思っている。今年はいよいよJIMTOFの年。会員企業も多数出展されるが、当協会はJIMTOFの成功に向け邁進していく所存である。9月にはシカゴでIMTS2016が開催されるが当協会では今年も恒例の輸入促進ミッションを派遣する。当協会は61年目の第一歩を輸入工作機械の推進を通して、グローバル時代における日本人のものづくりを支えるため、気持ちも新たに進んでいく所存である。日本の和包丁は世界が認めているが、スイスのアーミーナイフもこれまた素晴らしいものである。われわれの輸入工作機械はスイスのアーミーナイフである。」と述べた。

 新規会員4社の紹介をした。これをもって同工業会は会員数48社、賛助会員8社の計56社となった。

生産性を高めるための投資の動きが出ている

佐脇 経済産業省 産業機械課長
佐脇 経済産業省 産業機械課長
 来賓を代表して佐脇紀代志 経済産業省製造産業局産業機械課長が、「国内投資も少しずつ回っているように感じている。さらに将来に向けた経済の好循環を本格化するうえで、新しい価値を生み出す企業活動を活性化させなければいけない。特に国内においては様々な課題があるが、今のところ、ものづくり関係の投資が人件費の安さを求めた立地選択という状況からより、合理性のある、例えばロボットを活用するなどした生産性を高めた上での国内投資という動きになっているようである。私どもも昨年来、幅広い意味での自動化等ものづくりを支える施策を展開してきたと自負している。ものづくりにおいては従前の垣根を越えた様々なチャレンジが世界各国で始まっており、輸入協会様は海外の工作機械を国内のユーザーにしっかり使って頂いており、いわゆる橋渡しの役割もある。ある意味新しいバリューを生み出すには最強であり、新しい産業構造に関わっていく可能性がある。海外の機械を国内ユーザーに提供することで、新しい環境作りができ、新しいビジネスチャンスになると思っている。」とあいさつした。

乾杯の発声はエリック・キッシュアメリカ大使館 商務部上席商務官が行った。

「現場には宝の山がある」日本工作機械販売協会が賀詞交歓会を開く

あいさつする冨田会長
あいさつする冨田会長
 日本工作機械販売協会(会長=冨田 薫 トミタ社長)が1月13日、都内の第一ホテル東京で新年賀詞交歓会を開催した。

 あいさつに立った冨田会長は、「2015年の工作機械の受注をここ数年みていると、内需は4000億円ほどだった。それが6000億円ほどということは、省エネ減税などの刺激策のお陰があったと思う。来年以降も様々な減税があるようで期待したい。中期的なことだが、5年から10年のスパンでみると工作機械の外需が1兆5000億から2兆円になると思う。内需は2000億円から4000億円の間で落ち着くのではないか。この数字に対して日工販のメンバーはどう対応していくのか、ということで、日工販の経営陣が判断をするに必要な情報提供とまた戦力アップになるようなものを提供していきたいと思っている。IoTの時代というのはどうしても避けて通れないが、工場の現場にはまだ宝の山がたくさんある。お客様が困っている問題を日工販のメンバーの営業マンが解決策を提供すればまだまだ活躍する余地がある。具体的には、営業マンの教育の強化、情報の提供、各メーカーとの情報交換会等を利用して人脈の確保をしていきたい。」とあいさつした。

「国内は好環境が続いている」

佐脇 経済産業省 産業機械課長
佐脇 経済産業省 産業機械課長
 佐脇紀代志 経済産業省製造産業局産業機械課長があいさつをした。この中で佐脇課長は、「安倍政権になって3年が経過した。マクロの数字からみても着実な歩みを進めていると感じている。昨年の大きな動きでいうと、TPPの大筋合意のほか、法人税減税についても少し前倒しで20%台という決断をしていただき、新しい動きとしては固定資産税が新たな設備投資を促すよう、来年に向けて進めている。昨年の工作機械受注額も非常に力強い数字を出してもらっているが、皆様のご努力で今年も大きく出るのではないかと期待したい。私どももこの良い勢いをしっかりサポートしなければならないと思っている。日工販の皆様方がおられる立ち位置がますます重要になり、商社の機能が期待され、さらには大きなイノベーションのチャンスになると思っている。新しい息吹を積極的に取り上げて具体的なアクションを起こすことが重要である」と期待を込めた。

花木 日本工作機械工業会会長
花木 日本工作機械工業会会長
 花木義麿 日本工作機械工業会会長は、あいさつの中で、「昨年の日工会の受注状況だが、昨年の3月に単月あたりで史上最高となる1474億円を記録し、年前半は大変好調だったが、それ以降、中国のチャイナショック等、省エネ補助金の反動等があり若干一服感がでた状況である。しかしながら昨年11月まで27カ月連続して1000億円台を維持しており、高い水準が続いている。昨年の受注だが、まだ12月の速報値が出ていない状況だが(注:1月13日現在)、残念ながら1兆5500億円には届かずおそらく1兆5000億円弱といったところだろう。しかしながら2007年、2014年に次ぐ史上3番目に高いものだった。これもひとえに日工販の皆様方のご支援のお陰だと感謝申し上げる。今年はこの業界の最大イベントであるJIMTOFの開催年にあたる。今回はビッグサイトが拡張され、これまで以上に盛大な会になると思う。工作機械業界では複合技術、知能化技術、スマートマニュファクチュア技術、これらに磨きをかけ、より魅力的な新製品、新技術をユーザーの皆様に提供していきたい。本年の工作機械需要の見通しだが、海外情勢は米国の利上げや原油価格の下落、新興国の経済の減速等いくつかの懸念材料がある。一方、国内は設備投資を後押しする好環境が続いている」と述べた。

新規入会企業の紹介のあと、中川貴夫 日本工作機械輸入協会会長が乾杯の発声を行い開宴した。

「中小零細まで好況感が行き渡る年になることを期待」NaITOが賀詞交歓会を開く

 NaITO(社長=坂井俊司氏)が1月6日、東京・京王プラザホテルで新春賀詞交歓会を開催した。

 新年のあいさつに立った坂井社長は、「昨年はギリシャ危機、難民問題、VW問題、パリの同時多発テロといった欧州を取り巻く問題、また、中国経済の減速と東南アジアでの景気の停滞という逆風があったものの、米国の経済が好調であったことやわが国においても円安並びに原油安や政府の諸施策もあって、国内の景気はゆるやかに成長していたと感じている。但し、地方というファクターからでは強弱はあるものの比較的好況感が行き渡ってきたという感触はあるものの、中小零細のファクターでは、NaITOの最も多くを占めるお客様の層である中小零細はまだまだ景気回復の実感は薄いように感じている。今年はぜひ、中小零細まで好況感が行き渡るような年になって欲しいと願っている」とあいさつし、2015年度の第三四半期までの実績と活動状況と来年に向けたビジネススタンスについてスライドを見せながら説明をした。

 それによると第三四半期の損益状況は、売上高は前年同期比7.9%増の327億2700万円、営業利益は13.0%増の4億4300万円、経常利益は10.0%増の6億600万円となった。通期業績予想は420億円、経常利益7億1000万円、当期純利益を4億2000万円とした。

 2015年度の活動報告の中で、坂井社長は、「引き続き対面営業を大切にしたい。得意先様とものづくり補助金に関するユーザー様情報の共有を物件受注に注力してきた。また、拠点づくりとして4月に山形事務所、郡山事務所、1月に北九州に事務所を開設した」と述べた後、商品PR冊子『A to Z』の発刊について触れ、第五弾は『バリ取りA to Z』、今春予定の第六弾『切削・空気圧A to Z』を充実させるとした。また、同社では対面営業・専門力発揮の場としてユーザー及び得意先にて商品セミナーを積極展開しており、引き続き“NESSセミナーの”推進に注力するとした。

 また、「3月より全国で約280回開催し、集客数はユーザー様販売店様を合わせ約4300名となっている。切削や産業機器分野のほか、計測開発部による計測分野での実施回数が増えている。専門力の強化策として、①専門販売員研修、商品知識研修の実施、②MECT2015出展、③計測開発部、商品開発室、工作機械販売推進担当等の営業支援部門によるPR及び営業活動を実施してきた」と説明し、海外展開については、「海外岡谷鋼機メカトロ部との協業を挙げ、岡谷鋼機広州との協業(設備はメカトロ部が、消耗品はNaITO が受注)、海外拠点(インドネシア)への社員出向、ベトナムではメカトロ部からの情報を活かし、設備から消耗品までをNaITOが一括受注することを行った」と述べた。

 2016年度方針については、①専門力強化、②地域密着・対面営業、③情報発信機能の強化、④積極的な海外展開を行うとした。

 乾杯の発声は増田照彦三菱日立ツール社長が行った。この中で増田社長は、「新年は、時の悪魔である惰性に陥りがちな日常をリセットしてくれる仕掛けである。年度替わりや上期下期の期替わり、誕生日、結婚記念日などいろいろあるが、新年はリセットいう意味において格別な仕掛けであると思う。周りはなにも変わっていないのに、新年というだけで心持ちを切り替えるだけで見える景色が変わる。人間が創り出したリセットするための仕組みとしては素晴らしいものであると感じる」とあいさつをした。

ダイジェット工業が「アルミ用Sヘッド」の販売を開始

 ダイジェット工業(社長=生悦住 歩氏)は、このほど、オール超硬シャンク「頑固一徹」にセット可能なソリッドモジュラーヘッドで、アルミ用ソリッドエンドミルの刃先諸元をモジュラーヘッドにも採用できる「アルミ用Sヘッド SMAL形」の販売を開始した。

 この製品は、超硬シャンクとの組合せによりソリッドに匹敵する性能を備え、ヘッド交換式による大径ソリッドエンドミルのコスト削減を実現。また「頑固一徹」の寸法バリエーションにより、多様な突出し長さに対応が可能になる。アルミ合金、銅合金の肩削り、溝削り、ポケット加工、突込み加工などに威力を発揮する。
特長は以下の通り。

 ●アルミ用ソリッドエンドミルAL-SEE形で定評の有るアルミ合金加工に最適な刃先諸元を採用。ねじれ角45゚、すくい角20°のポジ刃形で切れ味に優れるため加工面粗さが良好かつ高精度な加工が可能。
 ●3枚刃の採用により、良好な切り屑排出性と高能率加工を両立。
 ●各刃へのクーラント穴が付いているため、確実に刃先を冷却し被削材の溶着を防止するとともに、切り屑排出性も向上。
 ●オーバーサイズ(工具径>シャンク径)も取り揃え、壁際の加工にも対応。

 サイズは、φ18、Φ20、Φ22、Φ25、Φ28の5型番 刃長は1D(工具径=刃長)。
 標準価格は、φ18:25,500円 ~ φ28:40,900円 (税抜き)。

 初年度の販売目標は2,000万円としている。

2015 年(暦年)工作機械受注実績の概要

日本工作機械工業会がまとめた2015年(暦年)工作機械受注実績は以下のとおり。

1.受注額

・概 況 2015 年の工作機械受注額は、前年比▲1.9%の1 兆4,806 億円となった。5 年連続で1 兆円を超え、2007 年(1 兆5,900 億円)、2014 年(1 兆5,094 億円)に次ぐ、史上3 番目の受注額となった。このうち、NC 工作機械は、1 兆4,500 億円(同▲1.6%)で、受注額全体に占めるNC 工作機械の比重は97.9%(同+0.2pt)で、2 年連続で過去最高比率を更新した。受注総額の内訳をみると、内需は5,862 億円(同+18.1%)、外需は8,944億円(同▲11.7%)で、外需比率は▲6.7pt の60.4%に低下した。・内需の動向 2015 年の内需は、3 年連続の増加となる5,862 億円(前年比+18.1%)で、リーマンショック以降では初めて5,000 億円を上回った。年間を通じて為替水準が安定したことで、企業収益が継続的に改善し、老朽設備の更新が捗った他、一部に円安を受けての国内生産回帰の動きも窺えた。また、生産性向上設備投資促進税制、ものづくり補助金及び省エネ補助金等、各種政策効果が中小製造業を中心に設備投資を下支えした。 業種別では、「一般機械」同+10.9%(2,218 億円)、「自動車」同+21.6%(2,039 億円)、「精密機械」同+23.2%(211 億円)、「航空機・造船・その他輸送用機械」同+51.5%(312 億円)等、全11 業種中9 業種で前年実績を上回り、減少は「電気機械」同▲1.7%(269 億円)及び「官公需・学校」同▲17.6%(34 億円)の2 業種となった。また、「電気機械」、「精密機械」、「官公需・学校」を除く8 業種でリーマンショック以降の最高額を更新した。例年通り「一般機械」の受注額が最多となったが、「自動車」等伸び率で「一般機械」を上回った業種が多く、結果として、「一般機械」が内需全体に占める比重(37.8%)は、2004年(39.3%)以来11 年ぶりに4 割を下回った。・外需の動向 2015 年の外需は、中国経済の不振が世界各国の設備投資の重しとなったほか、昨年の外需をけん引した、アジアのEMS(電子機器受託製造サービス)関連特需の剥落、大幅な原油安による米国でのエネルギー関連需要の減少等が影響し、前年比▲11.7%の8,944億円と、2 年ぶりに減少した。但し、2014 年(1 兆130 億円)、2011 年(9,046 億円)に次ぐ史上3 番目の受注額であり、高水準の受注が継続している。アジアは同▲14.5%の4,435 億円で、2 年ぶりに減少した。  このうち、東アジアは同▲13.5%(3,268 億円)、その他のアジアは▲17.1%(1,167 億円)となった。主要国別にみると、円安により、日本製工作機械の割安感が向上したことから台湾は同+20.2%(282億円)、韓国は同▲2.3%(428 億円)と健闘したが、最大需要国である中国は、設備過剰が改善されない状況下で、四半期実質GDP 成長率の7%割れ、株価の急落、通貨人民元の切り下げ等、取り巻く経済状況は厳しく、更にEMS 関連特需が剥落したことで、同▲17.7%(2,552 億円)に留まった。但し、自動車及び航空機関連需要等は前年実績を上回っており、不安定な状況下でも一定の成長需要が見受けられた。東南アジアは最大輸出先である中国経済の低迷が大きく響いた。欧州は、同▲4.5%の1,810 億円で、3 年ぶりに減少した。緩やかな景気回復が持続したものの、ギリシャ債務危機の再燃、独フォルクスワーゲンのディーゼル車違法ソフト問題、テロ事件の頻発等厳しい社会経済情勢下にあって、自動車や航空機向け受注が下支えする形となった。 主要国別では、航空機の大口スポット受注が見られたフランス同+42.7%(228 億円)を除き、ドイツが同▲12.2%(496 億円)、イギリスが同▲18.9%(224億円)、イタリアが同▲12.9%(213 億円)と概ね減少した。北米は、同▲10.4%の2,562 億円で、6 年ぶりに減少したものの、5 年連続で2,000 億円を上回り、史上3 番目の受注となった。中核の米国は同▲8.8%(2,271 億円)で、自動車や航空機関連は堅調が続いたものの、原油安によりエネルギー関連の商談が先送りとなったほか、中国経済の 低迷及びドル高による輸出が低迷し、一般機械向けが減少した。またメキシコは同国への自動車向け投資が一巡したこともあり、同▲30.6%の156 億円に留まった。各地域別の受注シェアは、アジアが49.6%(同▲1.6pt)、欧州が20.2%(同+1.5pt)、北米が28.6%(同+0.4pt)となった。受注額自体は3 極とも前年比マイナスであったが、とりわけアジアの減少幅が大きかったことから、相対的に欧州と北米のシェアが増加した。国別シェアでは、1 位が中国の28.5%(同▲2.1pt)、2 位が米国の25.4%(同+0.8pt)、3 位は年央までEMS 向け特需が発現したベトナムで5.8%(前年の国別公表なし)の順となった。なお、2015 年より国・地域別統計を細分化し、アジアの「その他アジア」にフィリピン、インドネシア、ベトナムを、また、欧州の「その他の西欧」に、トルコ、スイスの内訳を加えた。また、その他の地域を「オセアニア」、「中近東」、「アフリカ」に分けて掲載している。・機種別の動向 受注額を機種別(含むNC 機)でみると、全11 機種中6 機種が前年比減少となった。 主な機種別の受注額は、旋盤計が前年比▲6.4%(4,348 億円)となり、マシニングセンタは、「うちその他」同+17.5%(612 億円)が過去最高額を記録したものの、EMS関連特需剥落により、「うち立て形」が同▲9.0%(4,075 億円)と減少し、マシニングセンタ計も同▲3.9%(6,670 億円)と減少した。その他の機種では、研削盤 同+12.9%(1,036 億円)や、歯車機械 同+28.7%(334 億円)、専用機 同+15.4%(348 億円)など機種が、内外需とも堅調に推移した自動車関連需要の影響もあり、前年を上回った。その結果、機種別構成比では、受注総額に占める割合が最も高いマシニングセンタが前年比▲0.9Pt の45.1%、旋盤が同▲1.4Pt の29.4%となった。機種別のNC 比率については、全11 機種のうち8 機種で上昇し、全体では前年比+0.2Pt の97.9%となった。なお、2015 年より機種別の内訳を細分化し、旋盤計の内訳に「横形」、「立て・倒立形」を追加し、それぞれの項目に更に「うち複合加工機」の内数を併載したほか、研削盤に「うち円筒研削盤」と「うち平面研削盤」を、マシニングセンタには「立て形」、「横形」、「その他」の項目に「うち5 軸以上」の内数を追加した。その結果、旋盤計(4,348 億円)のうち、旋盤(横形)が3,996 億円(機種内構成比91.9%)、旋盤(立て形)は352億円(同8.1%)となった。なお、旋盤計における『うち複合加工機』は1,311 億円(同30.2%)となった。マシニングセンタ計(6,670 億円)における『うち5 軸以上』は1,084億円となった。

2.販売額

 販売額は前年比+7.8%の1 兆5,326 億円で、2007 年(1 兆5,226 億円)を上回り、過去最高額を更新した。うちNC 機は同+8.3%の1 兆5,031 億円となり、総額・うちNC 機共に2 年連続で増加した。機種別(含むNC 機)にみると、全11 機種中、8 機種が前年比増加となった。主な機種別販売額は、旋盤計が前年比+6.2%(4,633 億円)、マシニングセンタ計は同+7.9%(6,872 億円)となった。

3.受注残高

 2015 年末の受注残高は、前年比▲6.9%の6,075 億円となり、4 年ぶりに減少した。当該年末の受注残高を直近3 カ月(15 年10~12 月期)の販売平均で除した「受注残持ち月数」は5.0 カ月で前年末と比べ0.5 カ月減少した。また、NC 工作機械の受注残高は同▲7.3%の5,790 億円となった。

12月分工作機械受注総額は1,071.8億円 日工会 

 日本工作機械工業会がこのほどまとめた12月分の受注実績は以下の通り。2015年12月分工作機械受注総額は、1,071.8億円(前月比△6.3% 前年同月比Δ25.7%)となった。2カ月ぶりの1,100億円割れ。1,000億円超えは28カ月連続。 内需は425.7億円(前月比△6.4% 前年同月比△11.6%)で、2カ月ぶりの450億円割れも11カ月連続の400億円超。4カ月連続の前年同月比減少ながら国内需要は堅調持続。外需は646.1億円(前月比△6.3% 前年同月比△32.8%)で、前月のスポット受注の反動もあり、アジア、北米で前月比減少。2カ月ぶりの650億円割れ。前年同月比は7カ月連続減少。 内需は堅調ながら引き続き様子見感有り。外需では世界経済やEMS特需について今後の動向を注視。

12月分内需

425.7億円(前月比△6.4% 前年同月比△11.6%)。・11カ月連続の400円超。・前月比2カ月ぶり減少。前年同月比は4カ月連続減少。・補助金等の政策待ちもあって足元減少するも、堅調持続。① 一般機械  150.0億円(前月比△11.5% 前年同月比△14.5%)   うち金型   19.5億円(前月比△26.1% 前年同月比△1.2%)② 自動車   150.8億円(前月比△5.3% 前年同月比△12.7%)   うち部品   106.7億円(前月比△2.4% 前年同月比△13.5%)③ 電気・精密 35.7億円(前月比+11.9% 前年同月比Δ22.1%)④ 航空機・造船・搬送用機械 22.6億円(前月比△15.9% 前年同月比△4.8%) 

12月分外需

646.1億円(前月比△6.3% 前年同月比△32.8%)・2カ月ぶりの600億円超。・前月比は2カ月ぶり増加。前年同月比は6カ月連続減少。・北米でのスポット受注、アジアでのEMS特需により前月から増加。①ア ジ ア:263.9億円(前月比△8.1% 前年同月比△46.4%)・東アジア:216.7億円(前月比△9.9% 前年同月比△16.6%)〈中 国〉162.9億円(前月比△13.9% 前年同月比21.0%)・その他アジア47.2億円(前月比+1.0% 前年同月比△79.7%)〈タ  イ〉9.9億円(前月比△31.4% 前年同月比△37.4%)〈ベトナム〉5.4億円(前月比△34.9% 前年同月比-)〈イ ン ド〉23.5億円(前月比+50.3% 前年同月比+24.4%)②欧 州:145.9億円(前月比+3.0% 前年同月比△16.8%)〈ド イ ツ〉36.2億円(前月比△0.5% 前年同月比△20.4%)③北   米:222.4億円(前月比△9.9% 前年同月比△20.0%)〈アメリカ〉196.1億円(前月比△12.4% 前年同月比△18.3%)〈メキシコ〉 15.1億円(前月比+60.8% 前年同月比△22.0%)

11月分超硬工具主要統計及び機械工具生産動態調査

日本機械工具工業会がまとめた2015年11月分超硬工具主要統計及び機械工具生産動態調査は以下の通り。

超硬工具主要統計

【超硬合金重量】477トン(前年比99.2)。

【超硬工具生産額】切削工具199億900万円(前年比97.3)、耐摩工具30億5600万円(同91.9)、鉱山土木工具7億7900万円(同95.0)、その他工具15億200万円(同323.0)、焼結体・工具19億2300万円(同94.3)、合計271億7000万円(同100.2)。
【輸出入】輸出97億9100万円(前年比98.4)、輸入63億4900万円(同113.2)。

【超硬工具出荷額】切削工具206億200万円(前年比94.8)、耐摩工具30億4700万円(同93.6)、鉱山土木工具8億3900万円(同92.9)、その他工具14億3600万円(同366.3)、焼結体・工具22億4600万円(同95.3)、合計281億7100万円(同98.4)。

【刃先交換チップ】生産2763万8000個(前年比100.9)、出荷2814万9000個(同97.9)。

機械工具生産動態調査表

〈年頭所感〉 経済産業省製造産業局産業機械課/日本機械工業連合会/日本産業機械工業会

「製造業の競争力強化に向け、これまで以上に支援」
●経済産業省製造産業局 産業機械課長 佐脇 紀代志

 平成28年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 安倍政権が発足してから3年が経過しました。この間、デフレ脱却と経済再生を最重要課題とし機動的に積み重ねてきた経済政策の結果、雇用・企業収益は改善し、それが消費・投資に結びつくという経済の「好循環」が生まれつつあります。

 また、国際的な事業環境の面でも、行きすぎた円高の是正に続き、TPP協定の大筋合意がなされ、大きな弾みとなることが期待されます。TPP協定に参加する11か国に向けた工業製品輸出総額(約19兆円)の99.9%について関税が撤廃されるほか、ルール整備等の面で改善される項目も多々あり、国内で質の高いものづくりを行う我が国企業の海外への一層の飛躍に向け大きく貢献することが期待されます。

 さらに、税制においては、昨年度に着手した成長志向の改革をさらに大胆に推進し、法人税率を29.97%にまで引き下げ、併せて、地域の中小企業による設備投資を支えるべく、史上初の固定資産税での設備投資減税も決定されました。

 雇用・企業業績の着実な回復など、事業環境が改善しつつある今こそ、我が国製造業においては、設備、人材、イノベーションを含め、「未来への投資」をしっかりと行うことが重要です。経済産業省としても、昨秋、総理が表明された「希望を生み出す強い経済」の実現、とりわけ、我が国産業の稼ぎ頭である製造業の競争力強化に向け、これまで以上に支援してまいります。

 企業の皆様には、政府の各種施策も活用しつつ、設備・技術・人材に対する未来に向けた投資に挑戦いただくことを期待します。また、活力ある企業のエネルギーを駆動力として、裾野広く日本経済全体の活性化へと着実に繋げていくことができるよう、賃上げや、取引先企業に対する仕入れ価格の上昇などを含め、社会と向き合うスマートな経営の実践に努めていただくことを改めてお願いします。

 我が国は、少子高齢化の進展と、これに伴う人手不足に直面しており、特にものづくりの現場では生産性向上が強く求められております。こうした課題の解決策として、デジタルとリアルを融合させた新たな技術革新が大いに期待されており、とりわけ、その中核として、デジタル技術、メカトロ技術、人工知能等の総合力を詰め込んだロボットが注目されます。昨年は、安倍総理の下に設置した「ロボット革命実現会議」で「ロボット新戦略」を取りまとめ、2月には、日本経済再生本部において、これを政府方針として決定しました。また、5月にはこのロボット新戦略の推進母体として「ロボット革命イニシアティブ協議会」が設立されました。産業分野のみならず、農林水産、食品、医療・福祉、建設、社会インフラなどの様々な分野から産学官の意欲あるメンバーが参画し、地に足のついた多様な活動が展開されています。政府としては、この協議会と協働し、2020年までの5年間を「ロボット革命集中実行期間」と位置づけ、ロボットの市場規模を2.4兆円に拡大することを目標に、我が国を世界のロボットイノーベーション拠点とするロボット創出力の抜本強化、多様な分野でのロボットの利活用の促進、そして、ロボットを自律的に活用することを前提としたルールや国際標準の獲得・展開の3つを政策の柱として推進してまいります。

 また、ドイツのインダストリー4.0や米国のインダストリアル・インターネットなどに代表されるIoT等を活用した新たなものづくりへの動きが起きています。こうした動きを我が国でもチャンスととらえ、日本のものづくり力の飛躍につなげるべく、IoT等の新しい技術を活用し、生産性を高め、新たな収益源を創出する意欲的な取組を支援します。生産現場や経営の状態の見える化により、カイゼンが容易になるだけでなく、データを起点とした新たな製品やサービスの創出により、稼ぐ力の向上に貢献します。

 産業機械課は、これからも皆さんの生の声を聞き、それを産業政策に反映させていきたいと思いますので、良いアイディアやお困り事があったら、気軽にお声を掛けてください。

 最後になりましたが本年が皆様方にとって更なる飛躍の年となりますよう祈念いたしまして、新年の挨拶と代えさせていただきます。

「『機電再融合』の流れは、注目しなければならない環境変化と認識」
●日本機械工業連合会 会長 岡村 正

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 年頭に当たりまして、平素より日本機械工業連合会にお寄せ頂いております皆様方の温かいご協力とご支援に対し、心から御礼を申し上げます。 

 2012年12月に安倍内閣が発足して3年間が経過しましたが、我が国経済は、アベノミクス効果の下で、着実な回復を続けてまいりました。リーマンショック後6,000円台にまで落ち込んだ株価も大幅な上昇を示し、企業体力の回復と雇用・所得の増加、研究開発やM&Aを含む企業の着実な投資拡大の「好循環」が生まれつつあります。

 かつて六重苦といわれた超円高、自由貿易協定締結の遅れ、世界一高い法人税率などの課題に関して、円安への反転、TPPの大筋合意、そして「税収中立」という考え方が随伴した措置とはいえ、法人実効税率のドイツ並みの29%台への引き下げ、地球温暖化にかかるCOP(コップ)21における米国や中国等の参加した形でのプレッジ・アンド・レビュー方式への転換の実現と、これに先行してのエネルギー・ミックスをしっかり踏まえた約束草案の提出など、総理のリーダーシップと担当大臣をはじめとする関係省庁の交渉力や見識の発揮によって、ビジネス環境の改善が大きく図られつつあります。

 目を今後に転じますと、消費税の再引き上げが来年4月に控えるなかで、今年こそ、我が国経済を中長期の成長軌道にしっかりと乗せていく年としなければならない、との思いを新たにするものであります。

 政府は、アベノミクスの第二ステージとして、新・三本の矢をかかげ、人口減少社会という現実に向き合った成長戦略として社会政策的とも言うべき経済政策を第二、第三の矢をしてかかげるとともに、名目GDP600兆円の2020年頃の達成を目指し「希望を生み出す強い経済」を第一の矢として位置づけ、グローバル・バリューチェーンの構築、イノベーション・ナショナルシステムの構築、IoT・ビッグデータ・ロボット・人工知能による変革等を重視し、こうした課題について継続的な取組みを進めようとされております。

 これらのいずれの課題をとってみても、政府の政策展開とともに産業サイドの積極的な取組みが、前進を図るうえで不可欠と考えます。機械産業に横串をいれた組織体である日機連と致しましても、こうした時代の動向を見据え、クオリティの高い活動に心がけて参りたいと考えております。

 昨年の年頭所感において私は、世界的な製造業再評価の動きについて、機械と電気・電子の「機電再融合」とでも言うべき潮流として捉え、「機」「電」を横断する組織である日機連としてもこうした流れに対して積極的に取組んで行きたいという趣旨のご挨拶を申し上げました。その後、政府のイニシアティブの下で「ロボット新戦略」が取り纏められ、5月にはこれを受けて日機連が事務局を引き受け、IoT時代に即応したロボット新戦略の推進役として「ロボット革命イニシアティブ協議会」の発足を見ました。

 その後の進展をご報告申し上げますと、226の会員の賛同を得て立ち上がった協議会は、現在では360を超えるところまで増加し、更に拡大中であります。各ワーキンググループも、毎回多数の企業等の参加のもと、回を重ねる毎に議論も活発化し、多くの前向きの提案が会員からなされるなど、組織的なプラットフォームの形成の段階から、次の発展のステージに移行する段階を迎えつつあるように感じております。これも会員の皆様並びに政府のご支援の御蔭であり、深く感謝申し上げる次第であります。

 先に申し上げた『機電再融合』の流れは、機械産業の人材育成や確保の面においても注目しなければならない環境変化と認識しており、今後は日機連本体とロボット革命イニシアティブ協議会事務局が連携して政府のサポートもいただきながら、機電再融合時代の人材育成・確保のあり方について、検討を深めてまいりたいと考えております。

 また、今年は日機連本体で経産省と共にこれまで進めてまいりました「ロボット大賞」事業の拡充を図る年であります。産業用ロボット以外の分野を含めた開発・普及の促進に向けて、積極的に取組んでまいります。

 足元の景気動向は、中国を始め新興諸国の景気減速など世界経済の下振れリスクが高まるなか、一進一退ともいわれておりますが、私共が47の機械工業団体のご協力を得て、去る11月にまとめました機械工業生産額見通しの改訂調査では、平成27年度の国内機械生産額は、当初見通しの前年度比2.6%増から0.7%上方修正の前年度比プラス3.3%という結果が出ました。これは一部業種の下期を中心とした上方修正が背景となっておりますが、私どもとしては、この見通しが是非とも現実のものとなり、我が国経済全体としても今下期に着実な回復の動きを示すことを強く期待しているところであります。

 皆様の一層のご健勝とご活躍を心から祈念申し上げ、新春のご挨拶とさせていただきます。 

「わが国経済の新たな成長へ」
●日本産業機械工業会 会長 佃 和夫

 平成28年を迎えるにあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 皆様には、気持ちも新たに新年を迎えられたことと思います。
 
 昨年を振り返りますと、TPP交渉の大筋合意やCOP21パリ協定の採択など、世界に新たな風が吹きはじめました。日本経済については、7~9月期のGDP成長率(二次速報)が年率1%増と2四半期ぶりにプラスへ転じるなど、一部に持ち直しの動きがみられましたが、力強さを感じるまでには至りませんでした。

 私ども産業機械の昨年の受注は、一昨年にロシア・東欧で超大型案件があった反動に加え、主力のアジア向けの落ち込みなどで外需が減少し、前年を下回る結果となりました。なお、内需については、製造業・非製造業ともに前年比プラスを維持いたしました。

 本年につきましては、アジア新興諸国等の海外経済の先行き不安が続いており、わが国輸出の本格的な回復には今しばらく時間がかかるかと思われますが、平成28年度税制改正大綱には法人実効税率を20%台へ一年前倒しで引き下げることが盛り込まれ、減税効果が企業の設備投資をどのように押し上げていくのか期待されます。
 
 こうした中、日本全体の成長力と活力を高め、今年をわが国経済の新たな成長への出発点とするためには、企業間・産業間の連携を一層強化し、生産性を向上させ付加価値を高めていく必要があります。その源泉のひとつとして、技術革新等のイノベーションが今まで以上に重要な役割を担っていくものと思われます。イノベーションの担い手としてベンチャー企業や中小企業の育成に取り組むとともに、オープン・イノベーションを推進し、革新的な技術の芽を企業の事業創造に迅速に結びつけていくなど、あらゆる産業が競争力強化に努め、市場拡大を実現していくことが求められます。

 また、様々な分野において、ロボットやIoT、ビッグデータ、人工知能などの先端技術を取り入れ、生産性を向上させていくことが、我々製造業ばかりではなく社会全体の大きな課題であると考えます。併せて、わが国産業が高度なバリューチェーンを構築していくために、中小企業や地域経済がTPPを積極的に活用し、新たな成長へ繋げていくための取り組みを一層強化していくことが重要になると思われます。

 我々産業機械業界も、成長力をさらに高めていくために、自らの構造改革にもう一段の努力を積み重ねていく必要があります。また、世界最高水準のエネルギー・環境保全分野に関する技術やサービスにさらに磨きをかけ、関連産業と連携しながら新たな市場を創造し、地球環境保全と力強い日本経済の実現に向け、引き続き貢献して参ります。

 政府におかれましては、景気への一時的なカンフル剤にとどまらない成長戦略の強化策を打ち出し、中長期的な成長基盤の強化を図るとともに、わが国企業の高度な技術力でアジアの成長に貢献しつつ、日本経済の早期再生に弾みをつけていくため、新興諸国を中心に急拡大する社会インフラ市場の開拓や中小製造業の海外ビジネス活動の支援等、国際展開戦略を着実に実施していただくことを期待しております。

 年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。