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〈年頭所感〉日本工作機械工業会/日本機械工具工業会/日本工作機器工業会
「次世代工作機械の研究開発や国際標準化への戦略的活動を推進」
●日本工作機械工業会 会長 花木義麿
2016年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
世界経済は、中国の経済成長の鈍化や地政学的リスクの高まりなど、一部で景気の先行きに不透明感が見られます。しかし、我が国の経済は異常な円高の是正による企業収益の改善を背景として、総じて緩やかな回復基調にあります。
昨年の工作機械の受注動向を見ますと、省エネルギー設備導入補助金や生産性向上設備投資促進税制等の政策の後押しもあって内需が盛り上がり、外需も自動車産業向けを中心に高い水準で推移しました。この結果、受注総額は1兆5,000億円程度に達したものと見込まれます。本年も引き続き堅調に推移していくことが期待されます。
今、世界各国において、製造業の技術革新が強力に進められています。ドイツのIndustrie 4.0や米国のIndustrial Internetなど、スマートファクトリーの実現に向けた取り組みが推進されています。日本では、ロボット革命を軸に製造技術の革新が進んでおります。
世界の主要工作機械見本市において、IoTを意識した機械や、Additive Manufacturing技術と融合した工作機械も見かけるようになりました。工作機械のイノベーションは日進月歩であります。日本も産学官の英知を結集して技術の高度化を図り、世界のものづくりの発展に貢献していかなければならないと強く感じております。我が国工作機械業界の競争力強化に向け、日工会は昨年設立した「加工システム研究開発機構」を中心に、革新的な次世代工作機械の研究開発や、国際標準化への戦略的活動を推進して参ります。
本年11月17日から東京ビッグサイトにて開催致しますJIMTOF・Tokyo 2016では、永年の懸案であった展示スペースが拡張されます。一段と多くの出展を募り、国際色豊かな充実した展示会とすべく、万全を期して参ります。
来場者の皆様にご満足頂ける、最新の技術、製品を各社から提案して参ります。企画展示やセミナーを通じて、一般の方々に工作機械産業の重要さ、面白さをご紹介致します。また、理工系の学生を対象に恒例の「工作機械トップセミナー」を催します。
世界のものづくり産業の繁栄に貢献すべく、日本の工作機械業界は本年も諸活動に鋭意取り組んで参ります。
関係各位にはご指導、ご鞭撻と更なるご支援を賜りますようお願い申し上げます。
平成28年が皆様にとって大きな飛躍の年になることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。
「世界需要を取込んでいくことが必然的な流れである」
●日本機械工具工業会 会長 本間博夫
平成28年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。平素から、関係各位のご支援、ご協力に対し、心から感謝申し上げます。
昨年は、各会員、経済産業省、事務局のおかげもあり、旧・超硬工具協会と旧・日本工具工業会が67年の歳月を経て統合を果たしました。今回、初めて統合後の新年を迎えましたが、この短い間にも、各員が、試行錯誤しながら運営してきたことについては、非常に頭が下がります。今年も引き続き活発な活動をおねがいしたいと思います。
さて、新年に際し、どのように当工業会のプレゼンスを更に向上させるのか、いくつか課題を挙げたいと思います。
まずは、現状認識として、当工業会の足下の状況について触れますと、今年度の出荷規模は4,760億円と、昨年度の4,553億円から、約4.5%伸長する見込みに対しまして、輸出比率は33%から34%と、1ポイントしか伸びていない、内需頼みの出荷構造になっております。しかしながら、日本国内の中長期的な需要構造の変化を見てみますと、自動車メーカー各社が、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)などのモーターで駆動する環境対応車の開発にしのぎを削っており、航続距離は、エンジン車と遜色のないレベルまで向上してきております。エンジンがモーターに切り替わっていくことで、これまで工具の主戦場でありました、エンジンやトランスミッションの需要が、確実に減退していくものと思われます。
一方、世界の工具需要は、約2兆円規模と推定されるなかで、当工業会のシェアは20%台前半であり、海外には、まだまだ需要があると考えられます。この需要を取込むため、当工業会発足時の大きな目的の一つとして、会員の国際化を掲げ、国際委員会を新設しました。
また、昨年、国産の小型ジェット機MRJが初飛行を果たしました。戦後初の国産飛行機YS11が飛んでから約半世紀が経ち、ものづくりに携わってきた私自身にとっても、非常に感慨深いものがあり、今後ますます、日本の航空機産業は、拡大していくものと思われます。
航空機の機体や部品は、炭素繊維強化プラスチックや、インコネル材を中心とするニッケル基合金など、難削材の塊であり、自動車部品と比較しますと、加工能率はまだまだ低い状況です。言いかえれば、工具における技術革新の可能性が大きく残された分野であるとも言えます。当工業会で、まずはJISへの規格化、更にはISOへの規格化を進めることで、この分野で日本の工具が世界の標準となることを目指していきたいと考えます。
以上のように、世界需要を取込んでいくことが、必然的な流れであると思っておりますし、そのサポートができる工業会でありたいと思っております。
最後になりましたが、当工業会への更なるご指導、ご鞭撻をお願いし、年初のご挨拶とさせていただきます。
「ダイナミックなイノベーションを大胆なスピードで成し遂げることが大事」
●日本工作機器工業会 会長 寺町彰博
あけましておめでとうございます。
年頭に際し、所見を述べさせていただきます。
昨年の世界経済は、前半は先進国がけん引役となり緩やかに回復しましたが、後半には中国経済の減速が世界経済へと波及しました。さらにギリシャを始めとした南欧問題の再燃、イスラム国の活動の活発化といった地政学リスクなど、これまで世界経済にくすぶっていた不安定な要素が具現化し、先行きに不安な影を落とした1年となりました。
日本に目を向けますと、企業収益の回復により堅調に推移していた設備投資が中国経済の不透明感などを背景として慎重化したことなどにより、経済は低調に推移しました。一方で、リニア中央新幹線の本格的な着工、そして国産の小型ジェット旅客機が半世紀ぶりに初飛行を果たすなど、日本の強みである、ものづくりの明るい未来を象徴する出来事もありました。
世界経済の見通しに不透明感が高まっている中、新興メーカーとの競争は激しさを増してきています。さらにインダストリー4.0がもたらす大きな変化に対し、チャンスと捉えるか、遅れをとるかが問われる時代になってきています。一方で、iPhoneの活躍に象徴されるように、より付加価値の高い製品やブランドの価値が再考されてきているのも事実です。そのような中、外部環境に左右されずグローバル競争に打ち勝って成長していくためにも、私たちは「強み」を磨き続けなければなりません。日本の製造業の強みとは、これまで着実に積み上げてきた確かな技術とノウハウによる高付加価値な製品力、そしてそれに裏打ちされたブランド力です。これらの強みを徹底的に磨き、ダイナミックなイノベーションを大胆なスピードで成し遂げることが大事です。併せて低い生産性、脆弱な企画力、スピード感の無さといった弱みは、着実に改善していかなければなりません。これらを成し遂げ、革新的且つ創造的な製品を世に送り出すことができるならば、必ずや日本の部品製造業はさらなる成長を遂げ、グローバル競争の中で打ち勝って行くことができるものと考えております。
従いまして、当工業会といたしましても、会員の皆様とともに強い信念を共有するとともに、これまで以上に連携を深め、日本の製造業の発展に寄与できますよう、積極的な活動を展開してまいる所存です。
最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
〈年頭所感〉日本フルードパワー工業会/日本精密機械工業会/日本工作機械輸入協会/日本歯車工業会
「生産効率の向上、新規市場開拓などの持続的活動が求められる」
●日本フルードパワー工業会 会長 梶本一典
新年明けましておめでとうございます。平成28年の年頭に当たり、一言ご挨拶申し上げます。
今年の干支は、丙申(ひのえさる)です。丙は、形が明らかになってくる頃を意味し、申は果実が成熟し固まって行く状態を意味しています。そう考えると、今年はこれまでの努力や頑張りが実り、成果があらわれる良き年となりそうです。ちなみに、前回の丙申の年であった昭和31年は、戦前の水準を超えるまでに経済が回復し、「もはや戦後ではない」と経済白書に記載された年であり、これも一つの区切りの年だったのかも知れません。
さて、昨年の我が国の経済環境は、一昨年実施された消費増税の影響も、年後半には薄れ、日銀による超金融緩和政策の維持に加え、省エネを前提とした設備投資減税や導入補助金政策等により、景気は緩やかながら回復基調で推移していたと言えます。こうした中で、我々フルードパワー業界をみますと、空気圧機器は、中国における工場自動化の推進を背景にして堅調に推移しましたが、油圧機器は資源価格の低迷や中国市場における建設機械の不振などから、非常に厳しい一年となりました。
このような状況下、今年を展望してみますと、国内では昨年10月に内閣改造を行なった第三次安倍内閣が、「希望を生み出す強い経済」を目指し、これまでの三本の矢を束ね、一層の強化が図られています。2020年頃に名目GDP600兆円を達成するという大きな政策目標を打ち出し、加えていわゆる岩盤規制の見直しなどを含む成長戦略が確実に実行されることによって、経済の先行きには明るさが期待できます。
一方、海外をみますと、米国では政策金利の引き上げによる経済動向には注意する必要がありますが、労働市場の動きや個人消費支出を背景に継続した成長が期待できます。しかしながら、世界第二位の経済大国である中国は、「新常態」と称する安定成長に舵を切り、金融政策等により景気の底上げを図っていますが、行き過ぎた住宅投資や設備投資等から今後も厳しい状況が続くものと思われます。更に、中国経済の減速や石油価格低下等により、周辺諸国の景気が下振れしたり、欧州の難民流入問題、中東情勢のリスクなどが不安定要素と言えます。
フルードパワー業界が今後とも成長、発展していくためには、このようなグローバル化した社会・経済の様々な動きに対応していかななければなりません。その意味でも、新技術への挑戦、どこにも負けない生産効率の向上、新規市場開拓などの持続的活動が求められます。そのためには、産学連携の研究開発の推進、工場の革新、女性やシニアの方々の働きやすい環境づくりなどが大切であり、工業会としても、これらをサポートする活動をしていきたいと考えております。
あの東日本大震災から早5年が経とうとしています。交通網などのインフラは計画通りに復旧しているようですが、被災された方々が一日も早く安心して暮らせる街になって欲しいと願う次第です。そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックまで後4年半となり、急ピッチに工事が本格化してくると思われます。また、2027年開業に向けてのリニア新幹線の工事も始まっています。復旧と工事両方の努力が大きな実を結ぶよう、新しい日本に向けて政府に頑張っていただくとともに、我々フルードパワー業界も世界の動きを見つつ、一歩先を見据えて大局的に判断し、競争と協調の精神の下、一層努力していきたいと考えております。日本フルードパワー工業会が、日本のそして世界の発展のためにさらにお役にたてるよう、皆様方の温かいご協力をお願いいたしまして、新年の挨拶とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
「“日本のモノづくり”、“日本製”を世界の市場で強調していきたい」
●日本精密機械工業会 会長 稲葉弘幸
平成28年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
旧年中は当工業会の活動に格別のご支援、ご協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。
さて、2015年は「国内回帰」が紙面を賑わして始まり、経済産業省が実施した国内回帰に関する調査では、国内製造業者の約13%が海外から国内拠点へ生産を移管した事が判明しております。
その要因として上げられるのが、「海外生産拠点で製品の品質維持に課題が生じた」ことや、「為替の円安基調も国内への生産移転を後押し」したようでございます。昨年の10月に開催されましたメカトロテックジャパン2015では、過去最高だったリーマン・ショック直前の2007年展に次ぐ2番目の規模となり、来場者数は過去最高の9万4千人を数えたそうです。当工業会としましては、日本の「モノづくり復活」に向けて貢献出来るよう努めてまいる所存でございます。
更に、昨年11月末にまとまったTPP政策大綱では「新・輸出大国」を掲げ、中小企業の海外展開支援を後押しする。中小の「稼ぐ力」の底上げが安倍政権が目指す「強い経済」「地方創生」実現のカギを握る、としております。このことは、独自技術を発揮している当工業会会員企業にとって追い風になると期待出来ます。
一昨年スタートさせた「JAPAN MADE」認証制度を更に充実させ、「日本のモノづくり」「日本製」を世界の市場で強調していきたいと存じます。また、昨年11月には当工業会の次代を担う若手技術者の育成と交流を目的とした発表の場で2回目となる「技術研修会」を開催しております。この研修会では若手技術者が互いに刺激を受ける良い機会になっております。このような研修会を企画することによって、若手の育成にも更に力を注ぎたいと存じます。
当工業会は「超精密へのあくなき挑戦」を共通のテーマに掲げ、精度、効率、スペースなどを具体的に追求している企業の集まりでございます。
今 後も「日本のモノづくり」に貢献出来るよう努めてまいりますので、引き続きお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。
最後に、関係各位のご支援、ご協力をお願い申し上げますと共に、皆様にとって最良の年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。
「輸入工作機械は日本の近代化や工業化の基盤を成すもの」
●日本工作機械輸入協会 会長 中川貴夫
2016 年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。旧年中は当協会の事業活動にご支援ご協力を賜りまして、誠にありがとうございました。
昨年、当協会はおかげさまで60 周年を迎えました。輸入工作機械は日本の近代化や工業化の基盤を成すものであり、当協会はその発展と推進において貢献いたしてきました。グローバル時代における「日本人のものづくり」を支えるため、61 年目という第一歩を気持ちも新たに歩んで参ります。
2015 年の工作機械の輸入通関実績は、1,000 億円超(予想)を達成し、2002 年以来の統計で最高額となりました。政府による設備投資優遇策や円安による輸出の恩恵を受けた企業が設備投資に動いたことも好調な要因と考えられます。また、イタリア・ミラノにて開催された「EMO MILANO 2015」は、120 ヵ国から155,362 名の来場があり、日本からも大勢の方が視察され、大盛況に終わりました。このEMO をきっかけとし、更なる業界の活性化につながることを期待したいと思います。
今年は、11 月17 日(木)から22 日(火)までの6 日間、東京ビックサイトにて「JIMTOF2016」が開催され、当協会の会員企業も多数出展いたします。また、9 月12 日から17 日まで、米国シカゴにて「IMTS2016」が開催され、当協会では今年も恒例の輸入促進ミッションを派遣いたします。
国内外の展示会では、新しい工作機械の需要分野とされるエネルギー・医療・環境対応・航空宇宙関連産業における加工方式に対応した、優秀な工作機械が多数展示されております。皆様のご参加・ご来場をお待ちしております。
さて、今年は、昨年来の中国経済の失速や、独フォルクスワーゲンの問題による影響が懸念されるところではありますが、本年が活気あふれた一年になりますことを心より願うばかりです。
最後に、皆様にとりまして、今年が最良の年となりますよう祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
「各社の成長戦略を具体化していく年」
●日本歯車工業会 会長 澤田 豊
平成28年の新春を迎え、謹んでお喜びを申し上げます。
本年はアベノミクス4年目を迎え、正に成長路線に乗せる正念場の年と言えます。
昨年は当工業会も円安の恩恵を受け、収益は改善されたものの、量の拡大にまでは至っておりません。これを、ダイナミックな成長路線に乗せるには、経済政策に頼るのではなく、自ら切り開いていく必要があると思います。つまり、各社の成長戦略を具体化していく年であります。
その着眼は2つあると考えます。1つは技術開発力。2つ目はグローバルな展開力。
まず、グローバルな展開力では、米国市場の重要性に変りはありませんが、中国市場の重要性が一段と増してくるものと思われます。これは、中国自体が、世界の工場から内需での成長に変質しつつあるからで、当工業界としても、8月に開催した中国歯車工業会との交流などを活用し、情報交換をより密にしていく場を提供していきます。
そして最も重要な着眼である技術開発力について。
歯車は技術的に成熟しているかのように思われていますが、全くそうではありません。歯車装置の高信頼性、小型化、低騒音化の新たなニーズに対し、近年、新たなシーズである加工法が提案され、グローバルな開発競争に入っています。
当工業会は、産学連携をベースに、パワーの集中を図るためのコーディネイト機能を果たしていきます。
これら、成長戦略を具体化していく上で、人材の育成が重要なことは言うまでもありません。当工業会は、ギヤカレッジと言うトップレベルの講師陣と豊富な実習を有する他に類を見ない教育システムを九州大学より受け継いでおります。これを永続させ発展させることが、将来に渡り競争力を高める根幹と考え、力を注いでまいります。
機械工業の要素部品である歯車は、今後も、商品の信頼性と出来栄えを制する重要部品でありつづけると思います。当工業会はグローバルに競争力のある歯車を提供していく、と同時に、会員企業にとって魅力を実感できる工業会にしていきたい。関係各位のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。おわりに、皆様にとって良い年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。
〈年頭所感〉日本建設機械工業会/日本工作機械販売協会/日本金型工業会
「市場が求める新たな価値を提供し続けたい」
●日本建設機械工業会 会長 藤岡 純
新年明けましておめでとうございます。
年初に当たり、謹んでご挨拶申し上げます。
昨年の世界の建設機械市場は、建機メニューにより様相が少し異なりますが、新常態への移行を進める中国市場の大幅な需要減退、同国と関係の深いASEAN諸国の低迷に加え、日米欧といった先進国においても力強さに欠ける水準となり、総じて低調に推移致しました。
グローバル経済における中国経済のウェイトは、名目GDPで14%にまで高まる見込み(IMF2015年推定)で、本年の世界の建設機械市場の動向も中国が鍵を握っているといって良い訳ですが、中国の「旧常態」から「新常態」への構造改革が、どのタイミングでどのレベルにランディングするのかは読みづらく、建設機械を取り巻く事業環境は、極めて不透明といわざるを得ません。
また他エリアにおいても、成熟市場といわれる先進国では老朽化インフラのメンテナンス、リニューアル等で安定的な需要が見込まれるものの、資源に依存する新興国諸国では当分低迷が続くと予想され、世界全体で捉えると本格的な需要回復には、今しばらく時間を要するものと思われ、本年も厳しい事業環境が続くと見ざるを得ません。
このように、足元のグローバル市場の活性は低下していますが、景気循環の新たな局面に向け、IoT、BD、AIといった新たな技術が、経済・社会・そして我々のビジネスにどのような変革をもたらすのかということも視野におきながら、当工業会の設立理念の一つである「調和と発展による世界への貢献」に応えるべく、会員会社の製品、サービスを通じ、市場が求める新たな価値を提供し続けたいと考えています。
また、当工業会では、①良き企業市民として社会への貢献、②ステークホルダーとの共存共栄、③公正・透明な競争と適正な取引の推進、④世界の一員としてのグローバル化の推進、⑤安心・安全の追求と人間中心の経営の志向、⑥環境保護、省エネルギー、省資源の推進、⑦新しい商品および分野の開拓の7項目からなる「経営パラダイム」を策定しており、「共生と競争」のもと、本年も引き続きこのパラダイムの実現に向け、活動を推進してまいります。
最後になりましたが、本年がみなさまにとりまして良い年であること祈念し、新年の挨拶といたします。
「日本の製造業の国内回帰となるのか注目したい」
●日本工作機械販売協会 会長 冨田 薫
皆様 新年明けましておめでとう御座います。
健やかに新春を迎えられた事と、謹んでお慶び申し上げます。
旧年中は当協会に対し一方ならぬご厚情と暖かいご支援を賜り有難う御座いました。あらためて御礼申し上げますと共に本年も引き続き宜しくお願い申し上げます。
昨年を振り返ってみますと日本人として誇れるうれしいがニュースが多くありました。
まず1995年以降、20年にわたってラグビーワールドカップで勝利なしの日本チームがエディー ジョーンズ監督の下、2015年イングランドワールドカップで惜しくも予選突破は出来なかったのですが、強豪南アそしてサモア、アメリカを破り3勝を挙げ、私の様なラグビー素人でも本当に興奮した試合でありました。また2015年ノーベル賞は大村 智氏に生理学、医学賞、梶田 隆章氏に物理学賞が授与されました。そして和食は2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、2015年5月1日から10月31日までミラノ市で開催された食の万博では日本館が一番人気であったとの事であり日本食が世界でポピュラーな料理になりつつあります。更にこの度展示デザイン部門で「金賞」を受賞したとのことです。果して今年は、日本人がどの様な活躍を世界でしてくれるのか楽しみです
さて、円安(1ドル=120円位)の定着とTPPの批准(2016又は17年)といった経済環境に於いて今年は日本の製造業の国内回帰となるのか注目したいと思います。
昨年の日本の工作機械の総受注額は、(一社)日本工作機械工業会の年初予測値1兆5500億円には少し届きませんでしたが、内需は政府、県各市町村の設備投資に対する補助金交付効果により約6000億円近くになりました。ここ5年間の内需平均は約4000億円でありますので2015年の内需は補助金特需と思われます。日本の工作機械の受注を中期的(10年スパン)に見ると、私見では外需が2兆円を超える一方、内需は景気変動により2000億円~4000億円台に落ち着くのではないでしょうか。
今後の工作機械の方向性につきましては、次の三点を挙げたいと思います。
第1点として、工程集約と工程分散です。この分野では特にヨーロッパメーカーが先行していますが、5軸加工機、ターニングセンタ―、ギヤースカイビング機等の工程集約型の機械が多品種少量ワークに向いているので今後の伸びが期待されます。一方工程分散は自動車部品共通化等によりワークの大量生産に向いた30°立型マシニングセンターの連結や量産専用機の使用が増加すると思われます。
第2点として、3Dプリンター、ハイブリッドマシンです。複雑部品試作、少量生産には金属生産3Dプリンター及びレーザーマシン等を組み合わせたハイブリッドマシンの普及が予測されます。
第3点としてI o T ( Internet of Things) への対応です。好むと好まざると工作機械とインターネットが連結し各種情報のやり取りが盛んになります。工場内機械稼働状況の見える化やリモート機械故障修理等がまず普及と予測されます。
日工販としましては、本年もメーカー様、関係諸団体様、関係官庁様との連携を密にして工作機械業界の発展に貢献してゆきたいと思います。
最後となりますが、皆様の益々のご多幸とご健勝を祈念申し上げて、私の年頭のご挨拶とさせて戴きます。
「今年こそ、たわわな実をつける年」
●日本金型工業会 会長 牧野俊清
平成28年の新春を迎えるにあたり、謹んで会員の皆様、関連官公庁、関連業界の皆様にお慶び申し上げます。
2008年9月のリーマンショック、円高、2011年3月の東日本大震災が、日本経済を苦しみ続けました。特に円高は2007年6月1ドル124円だったのが、2012年2月には76円と高くなりましたが、アベノミクスによって昨年は120円前後で安定しており、12月は123円を超えています。金型の国内回帰も一部始まっています。
リーマンショック後に金型生産額は一時6割と厳しい状態でありましたが、微増が続き、8割までに戻しています。型種、需要業界の違いもあり、会社によって、業績は様々のようですが、機械統計では、鍛造専業金型がリーマンショック前の約2倍であり、ゴム専業金型が昨年の1.8倍、大型プレス専業金型も活況です。
昨年は、日米豪など12ヶ国による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の大筋合意と韓国・台湾の参加表明があり、COP21による温暖化対策の進展、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題、ISによるテロと空爆と大きなニュースが続きました。また、安倍内閣では、経済成長のため法人税の低減と、(金型も含まれる)設備投資の増加を方向づけようとしています。
2016年の干支(えと)は丙申(ひのえさる)です。昨年は乙未(きのとひつじ)で、木が土に対して将来のため根を張るため、思い通りには行かないイメージだったそうですが、今年は、陰陽五行では、十干の丙は陽の火で「明らか」という意味があり、十二支の申は陽の金で、「樹木の果物が熟して固まっていく様子」という意味であり、これまでの努力が形になっていくという期待が持てる年だそうです。 事実、この前の丙申は、60年前の1956年(昭和31年)で、神武景気と言われた時期です。今年の日本経済の発展と、金型業界の好況を、切に祈るものです。
一昨年3月、日本金型工業会で「新金型産業ビジョン」の作成をしました。①技術力、②営業力(発信力)、③新分野への展開と付加価値向上、④海外市場とグローバル展開、⑤人材(経営者・社員)がキーワードですが、今年こそ、たわわな実をつける年ではないかと思います。
昨年、国際金型協会(ISTMA)の総会に、オブザーバー参加された方から、教えていただいたのですが、ドイツの金型研究機関の調査では、金型の技術力は、1番ドイツ、2番日本、3番スイス、4番韓国、5番カナダであり、市場規模では1番中国、2番アメリカ、3番日本、4番ドイツ、5番韓国だそうです。我々日本の金型は、品質、納期、価格において世界トップレベルの技術と技能を有しているものと自負しておりますが、それは決して金型メーカーのみによるものではなく、金型材料・工作機械・熱処理・表面処理など日本が誇る世界一の周辺産業の支援によるものでもあります。技術力面では、ドイツがインダストリー4.0として取り組んでいますが、日本においては、産(金型業界+顧客+賛助会員を初めとした金型周辺産業)・官・学(大学・研究所)がさらに協力することにより、世界トップレベルを維持しなければなりません。
日本金型工業会は、現在、会報・ホームページのリニューアル等、サービスの拡充を進めております。真に全国組織としての工業会を目指し、金型シンポジウムを一昨年の九州地区、昨年の北陸地区に続き、本年は東北地区で第3回として開催を計画しております。全国からのご入会が増え、金型業界がより活性化することを期待しております。
緊急事態が続く今年においても、繰り返しになりますが、会員、賛助会員、顧客、経済産業省素形材産業室始めとした監督官庁、学会の大きな応援により、この難局を、「元気な業界」として乗り越えていきたく思う所存でございます。皆様のご理解ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせて頂きます。
〈年頭所感〉DMG森精機/オーエスジー/日立建機
「全世界においての市場シェアを拡大」
●DMG森精機株式会社 取締役社長 森雅彦
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、日本においては補助金政策が呼び水となり、老朽化した設備の高精度多軸化への更新需要がさらに高まりました。為替が比較的安定して推移したこともよい材料となりました。世界の各地域においては、10月頃までは順調に推移してきた需要動向も、欧州でのテロなどによる情勢不安、石油価格下落などが先行きの不透明感を強め、現在は踊り場的な状況にあります。
当社は、2009年から業務・資本提携してきたDMG MORI AGと、2015年4月より連結グループとなり、合わせてIFRSの適用と決算期の変更を行いました。これまでDMG MORIとして、販売・サービスや製品開発を共同で行ってきましたが、さらに決算書においても一体となったことを社会や投資家の方にお見せすることができるようになりました。連結グループ化により、お客様との信頼関係や社員の一体感がより強まることを期待しています。
7月には、伊賀事業所に世界最大となるグローバルソリューションセンタを新規開設し、それに合わせて開催した伊賀INNOVATION DAYS 2015では多くのお客様にご来場いただき、大変盛況な展示会となりました。
1月に、奈良に新設したターンキー工場が稼動します。自動車を中心とするお客様のグローバル展開に迅速にお応えする体制を強化してまいります。また、ターンキー工場の完成により、全世界の工場のフロアスペースとしては18,000台が確保でき、建物の設備投資としては完了しました。本年は連結ベースでの社員の教育や米国におけるセールス・サービス会社の革新によって、2020年ビジョンにある売上高6,000億円の達成を目指してまいります。①共同開発により統合が完了した製品そのものにおける品質、②お客様仕様の周辺機器とオプションの品質、③組み込みソフトウェア品質の改良、を徹底的に行います。また、規模を生かしたサプライヤーとの新たな取り組みにより原価低減を継続します。このような取り組みで、為替変動や地政学的リスクの増大により、需要不透明感が高まる中で全世界においての市場シェアを拡大していきたいと考えております。
本年も、世界中のお客様に、優れた品質の製品を最善の納期とサービスでお届けすべく、努力して参ります。変わらぬご支援、ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
「高水準の投資継続」
●オーエスジー株式会社 代表取締役社長 石川則男
2016年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年の日本経済はアベノミクスの第3の矢が、消費税増税の停滞感を打ち破るには力不足の感もあり、伸び悩みました。それに加えて7月以降の中国経済の失速がアジア諸国の足を引っ張る形となり、日本ばかりか世界経済も強い足取りとは言えない1年となりました。しかしながら昨年12月16日に行われた米国FRBのゼロ金利解除は、米国経済の回復の強さの表れと受け止められ、好意的に捉えられると共に、2016年は世界経済の回復の年になるのではとの期待感を生みました。日本経済も企業業績の改善、賃金の持ち直しの効果が徐々に表れ、ゆるやかながらプラス方向に進むことに違いありません。
そのような中、当社は中期的な展望に基づき、自動車産業、航空機産業向けの超硬工具事業の増産を図るために2016年も高水準の設備投資を継続いたします。特に日本で生産を行う高付加価値製品の能力を20%増強します。海外でも、メキシコ、インド、タイといった新興国への投資も継続し将来の需要増に備えたいと思います。不透明な時代ですが、スピードこそが対応力と考え、スピード経営を実践する2016年にしたいと決意を新たにしております。
最後になりますが、日本経済の益々の発展と皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。
「期待以上の商品やソリューションなどを提供」
●日立建機株式会社 執行役社長 辻本雄一
あけましておめでとうございます。2016年の年初にあたり一言ご挨拶申し上げます。
昨今の世界経済は、北米や国内のマクロ経済状況は比較的堅調なものの、中国経済の減速や資源価格の下落による資源国や新興国経済の減速、また、世界各地で発生しているテロや感染症など地政学的リスクも拡大しており、先行き不透明な状況が継続しています。
建設機械市場をみると、国内では排ガス規制前の駆け込み需要の反動減、中国の需要の大幅減速、インドネシアをはじめとする東南アジアなど新興国市場の低迷、さらには鉱山機械需要のさらなる減速などがあり、また、好調だった北米や欧州の需要にも陰りが出るなど非常に厳しい状況となっています。
このような中、新しい年2016年を迎えましたが需要回復の兆しは見えず、さらなる減速も予想される状況です。
しかし、10年20年の長い目で見れば、建設機械市場は必ず回復し発展していくものと確信しています。一方、市場のグローバル化はますます進展し、それに伴い、お客様や地域のニーズはますます多様化していくものと思われます。
日立建機グループは、需要減速の状況の中、まずは足元をしっかり固めるとともに、日本をはじめグローバル市場において、お客様や地域のニーズを的確に反映し、製品開発、販売、サービス、レンタル、中古車事業等、建設機械ビジネスのバリューチェーンすべての分野を強化していきます。また、日立グループ各社ともさらに連携を深め、あらゆるシーンでお客様の期待以上の商品やソリューションなどを提供してまいります。
最後になりましたが、2016年が皆様にとって平和で穏やかな明るい年であることを祈念しまして年初のご挨拶とさせていただきます。
三菱マテリアルが高送り加工用ラジアスカッタ「AJXシリーズ」難削材加工用にブレーカを拡大
三菱マテリアル 加工事業カンパニー(カンパニープレジデント=鶴巻二三男氏)は、高送り加工用ラジアスカッタ「AJXシリーズ」の難削材加工用にブレーカを追加し、このほど販売開始した。
高送り加工用ラジアスカッタ「AJXシリーズ」は、高能率加工の一つ低切込み高送り加工において、発売開始以降ご好評を博していることを受け、難削材とされるチタン合金・耐熱合金の加工用に、発売中のシャープな切れ味を持つ「JLブレーカ」のカッタ径30mm未満のサイズと、耐欠損性が良い「FTブレーカ」と「JMブレーカ」を追加するに至った。
「JLブレーカ」「FTブレーカ」「JMブレーカ」の主な特長は以下のとおり。
① 「JLブレーカ」は主切れ刃の角度を難削材加工仕様に最適化し、シャープな切れ味で低抵抗を実現、難削材加工の第一推奨。
② 「FTブレーカ」は上面がフラットな形状で切れ味と耐欠損性をバランスよく両立させ、幅広い被削材、加工形態に対応する。
③ 「JMブレーカ」は刃先すくい角を大きくし、「JLブレーカ」よりも刃先強化されている。「FTブレーカ」よりも切れ味重視タイプで突出し量が大きい場合などに最適である。
・標準価格:750円~1,330円
(代表型番) JOMT06T216ZZER-JL (MP9120) 750円(税込価格 810円)
JDMW120420ZDSR-FT (MP9130) 1,160円(税込価格 1,253円)
JDMT140520ZDSR-JM (MP9120) 1,330円(税込価格 1,436円)
航空機部品及びエネルギー分野での大径・シャフトワーク加工に最適な大型精密CNCターニングセンタ「NLX 6000」が登場! DMG森精機
DMG森精機が、高剛性・高精度CNC旋盤NLX 6000シリーズの心間2000タイプであるNLX 6000|2000の販売をこのほど開始した。NLX 6000|2000は、多種多様なワークに対応する3種類の主軸をラインアップしており、航空機部品及びエネルギー分野での大径・シャフトワーク加工に最適な大型精密CNCターニングセンタである。
NLX 6000|2000は、主軸貫通穴径Bタイプ(Φ185 mm)・Cタイプ(Φ285 mm)・Dタイプ(Φ375 mm)の3種類の主軸タイプに、それぞれ2軸旋削仕様、MC仕様、Y仕様があり、合計9バリエーションをラインアップしている。大径主軸と広い加工エリアを活かし、最大加工径Φ920 mm、最大加工長さ2,000 mmの大径・長尺ワーク加工に最適な機械。高剛性なベッドや徹底した熱変位制御など難削材の重切削加工に対応した機能や装備を搭載しており、大径・長尺ワークの高速・高精度加工を実現する。
NLX 6000|2000の特長
① 高剛性
機械構造には、FEM解析によるねじり剛性のシミュレーションを行うなど、難削材の重切削加工を支える強固な構造体を作り上げた。X・Y・Z軸にすべり案内を採用し、振動減衰性と動剛性の向上を実現している。また、X軸にはΦ50mmの大径ボールねじを採用し、送り剛性を高めている。高剛性な構造により、超重量級のワークをパワフルに加工する。
最大工具取付け本数12本の刃物台には、モータを刃物台内部に組み込んだBMT®(ビルトインモータ・タレット)を採用(MC仕様・Y仕様)し、発熱や振動を最小限に抑制しており、従来機の刃物台に比べてミーリングの加工精度が向上している。また、ミーリングの切削能力は、40番テーパのマシニングセンタと同等以上の性能で、回転工具主軸の最大トルクは117 N・m(10% ED)。主軸ではベルトレス駆動のモータ一体型採用の強固な機構により、標準仕様で出力45/37 kW、トルク7,021 / 12,069 / 12,082 (B / C / D) N・mと従来機の高出力・高トルク仕様を上回る能力を実現した。
③ 高精度
加工精度に大きな影響を与える熱変位制御として、主軸用モータやビルトインモータの周囲にオイルジャケット冷却を設け、温度上昇を抑制している。主軸台やZ軸ボールナット周辺の発熱源についても冷却システムを設け、徹底した熱変位制御により、長時間でも安定した高精度加工を実現する。マグネスケール社製のABS 磁気式リニアスケールを搭載し、高精度な位置決めを効果的に実現するダイレクトスケールフィードバックシステムをオプションで装備可能。磁気式リニアスケールは、光学式よりも耐振動、耐衝撃性に優れ、工作機械に不可避な結露や油汚れなどの影響も受けにくく、厳しい環境下でも分解能は0.01μm と高い精度を誇る。また、磁気式リニアスケールは、一般的な工作機械の構造体に使用されている鋳鉄と同じ線膨張係数を有し、温度変化のある環境下においても、取付けられた工作機械と同様の熱変位を示すため、非常に安定した加工精度を保つ。
ユーザーニーズを徹底分析して、保守性という視点から作業効率の向上やメンテナンスのしやすさなどを考慮した設計を行い、新たに搭載した振れ止めクイックチェンジシステム(オプション)は、段取り換えの作業を大幅に改善しており、従来は約8時間かかっていた交換作業を約0.5時間で実現し、段取り換え作業時間を大幅に短縮した。ドア開口部は2,600mmと広く確保し、段取り作業における作業性が向上している。また、チャック上部のカバーには工具突き出し用のポケットを設けて、干渉を未然に防止する。メンテナンスを考慮して、油冷却装置や油圧ユニット、エア機器類などを集中配置している。各部の点検も容易に行え、常に最善の状態で稼働できるので、生産性向上に大きく貢献する。
⑤ 省エネルギー
環境への負荷低減とランニングコスト削減のため、省電力機能と各機構を高速化させる設計を行っている。省電力機能では、消費電力が小さいLED機内照明など低消費電力部品の採用や、加工負荷に応じてクーラント吐出量を調整する機能、待機系統の動力をしゃ断する機能など、自動運転中の省電力機能を強化している。また、各機構を高速化させる設計を行い、Mコードの最適化や固定サイクルの動作時間短縮機能などを開発し、サイクルタイムの短縮を実現している。このような工夫により、例えば15年以上使用されている買い替え時期がきた同社の旋盤と比較して、年間約31%(*1)の消費電力量削減となる。なお、省電力設定と省電力効果の見える化は、CELOSの省エネアプリケーションで操作・確認ができる。
(*1)同社の2000年製旋盤「SL-603BMC/2000」と最新の「NLX 6000BMC | 2000」を比較した場合。
●機械や切削条件、測定時の環境条件などの違いにより、記載の効果が得られない場合がある。
⑥安全性
ISO規格、IEC規格、UL規格、JIS規格など全世界各地域の安全規格に対応している。
仕様
価格は、13,500,000円(NLX6000B|2000)~。
生産台数は4台/月を予定。
アマダが高精度ベンディングロボットシリーズ拡充「HG-1303Rm」・「HG-2204Rh」を新発売 ~加工範囲拡大で充実のラインナップを実現~

写真右HG-1303Rm 左HG-2204Rh
アマダ(社長=磯部 任氏)は、高精度ベンディングロボットシステム「HG-1303Rm」、「HG-2204Rh」をこのほど発売した。同社のベンディングロボットシステムは、これまで小物製品を対象とした「EG-6013AR」、中物製品を対象とした「HG-1003ARs」を発売してきたが、今回新発売の「HG-1303Rm」、「HG-2204Rh」は、これまで以上のワークサイズ、可搬質量に対応している。
「HG-1303Rm」は、リブ・パネル形状の複雑な曲げ加工に対応したベンディングロボットシステムで、最大ワークサイズは2500mm×1250mm、可搬質量は80kg。主な対象業種は、建材、サッシ、通信機、制御盤、トラック・車両、食品機械など。一方、「HG-2204Rh」は、大物・重量物の曲げ加工に対応したベンディングロボットシステムで、最大ワークサイズは4000mm×1500mm、可搬質量は165kg。主な対象業種は、配電盤、外壁パネル、建機などで、従来では2~3 人で加工を行うような重作業の自動化に対応する。
(EG-6013AR の最大ワークサイズは300mm×300mm、可搬質量は10kg。HG-1003ARs の最大ワークサイズは1000mm×800mm、可搬質量は20kg。)
また、ロボットは人間の動作に近い7軸多関節ロボット(6軸+走行軸)を採用。素材搬入・材料のハンドリング・製品搬出を1台で行うことで、複雑化する板金形状の曲げ加工の段取りレス・長時間運転を実現する。
アマダのベンディングロボットシステムは、小物から大物・重量物まで加工可能なラインナップが整い、ユーザーの加工製品に合わせた自動化商品の選択が可能となった。
「HG-1303Rm」、「HG-2204Rh」の主な特長
1.イージーオペレーション
・従来では加工用と材料搬入出用の2 台のロボットと動作プログラムやそれぞれを制御するNC が必要だったが、「EG-6013AR」、「HG-1003ARs」と同様、ロボット・NC とも1 台になり、ソフトウエアも統合。オリジナルのオフラインプログラムにより、ティーチングレスでのプログラム作成が可能。全機種対応可能な専用CAM は、マシン本体、ロボット、周辺装置のプログラムをシミュレーションで確認しながら簡単に作成することができる。
・NC 装置には最新のAMNC 3i を搭載し、システムを一元管理。マルチタッチ式LCD パネルを採用し、スマートフォンのような直感的な画面操作を可能とし、オペレーターの操作性向上に配慮した。
2.安定加工
・曲げ加工時は1 枚目から試し曲げなしで角度出しをサポートする角度センサー(Bi-S オプション)や、金型とワークとのより正確な位置決めを行うため、L 軸方向の2 軸にセンサーを設けるなど、各部にセンシングシステムを搭載。すべてインプロセスでマシン、ロボットへフィードバックすることにより、高精度な安定加工を実現している。
3.加工範囲の拡大
・「HG-1303Rm」は4種類、「HG-2204Rh」は最大6種類のグリッパーが格納可能な自動グリッパー交換装置(AGC)を標準装備。製品形状に応じてグリッパーを自動交換する。
・ロボットは下向き追従や鈍角からの追従が可能。フレキシブルな動作が可能なことにより、加工範囲を拡大する。
仕様
販売価格は、「HG-1303Rm」が8,000 万円(税別)~、「HG-2204Rh」が 1 億円(税別)~。
同社では年間販売目標台数を各10台としている。
タンガロイが4コーナ溝入れ加工用工具TetraForceCut(テトラフォースカット)高圧クーラント内部給油用穴付きホルダ「STCR/L-CHP」を発売
タンガロイ(社長=木下 聡氏)は、4コーナ溝入れ加工用工具『TetraForceCut』(テトラフォースカット)に高圧クーラント内部給油用穴付きホルダ『STCR/L-CHP』を拡充し、このほど全国で発売を開始した。
この製品は、内部給油用油穴を備えることにより刃先に確実にクーラント供給が可能で、安定した工具寿命がメリットのひとつである。常圧はもとより高圧クーラント供給にも対応しており、高圧下ではより切りくず処理や切りくず排出に効果が期待できる。
主な特長は以下のとおり。
●内部給油穴を備え、高圧クーラントにも対応。
●安定して刃先にクーラント供給が可能。
●機械仕様によりクーラント導入口を選択できるよう顎下と末端の2か所に設定。
■標準価格
・STCR2525-27-CHP26,900円(税込み29,052円)
・STCL2525-27-CHP26,900円(税込み29,052円)
アイテム数:ホルダ2アイテム。
初年度は700万円の販売を見込んでいる(TetraForceCut STCR/L-CHPシリーズ)。
セコ・ツールズが交換可能で振動を抑制する MDT(多方向旋削工具)ヘッドを開発
セコ・ツールズがこのほど開発した GL 接続を、Steadyline モジュラー防振工具バーシステム対応の多方向旋削工具(MDT)交換可能ヘッド新製品に組み込んだ。
MDT(多方向旋削工具)はGL 接続と Steadyline® バーの統合によって、長い突き出し部を要する用途やビビリのリスクが高い溝加工および旋削加工で卓越した精度と仕上げ面を実現する。
この製品は、GL 接続により、MDTヘッドや他のタイプのヘッドを Steadyline バー上で速く、間単に、正確に交換することができる。一度このバーをセットすれば、システムをリセットせずに工具ヘッドを取り付け・再取り付けできる。特許取得の GL 接続のポリローブテーパ接触面は 2 ポジションが特長で、MDT チップの切り刃を上向きと下向きのいずれにも配置できるため、効果的に切り屑を処理できる。
セコ・ツールズの Steadyline(ステディライン)は、高い効果でビビリを制御する受動的・動的防振システム。受動的とはホルダにエネルギーが伝達されないという意味で、動的とは工具の振動によりシステムに内蔵された防振機能が起動されるということである。この製品は、突き出し部の長い加工を従来の工具より速く加工でき、主軸圧力が小さく、切り屑除去率が高く、部品表面仕上げも滑らかで、寿命の長い工具である。
MDTヘッドには、セコ・ツールズの Jetstream Tooling® クーラント技術も採用されている。Jetstream Tooling は高圧のクーラント供給システムで、切削領域から効率よく排熱して、工具寿命、部品品質、生産性を向上する。クーラントは噴出口まで切削領域に密接して設けられている。
モリテックスが両側テレセントリックレンズ「MTL」シリーズを発売
モリテックス(社長=佐藤隆雄氏)は、両側テレセントリックレンズ「MTL」シリーズの販売をこのほど開始した。同社では、半導体製造装置や液晶製造装置、電子部品実装機、工場のライン監視、製造ラインなどの画像処理関連分野向けに、光源装置や光ファイバライトガイド、マシンマイクロレンズ(MML)、CCTVレンズ、LED照明装置、CCDカメラなどの光学系部品を組み合わせたマシンビジョンシステムを販売し、広く産業界で利用されている。
両側テレセントリックレンズ「MTL」シリーズは、「物体側テレセントリックレンズ」や、その他、数々の光学製品の製造で培った技術を駆使して開発した新たなレンズシリーズ。最新の光学デザインにより、視野の中心から周辺、そして深度内において、“高解像”で、かつ“歪みを最小限”に抑えている。 精度要求の高いワーク形状や寸法測定に適しており、あらゆる用途に対応が可能である。また、照明側でも平行光を照射する専用テレセントリックバックライト照明「MTIシリーズ」を同時に開発した。これらを組み合わせることで最適な計測環境を実現する。
