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三菱マテリアルが多機能形ショルダカッタ「APX3000」に深切り込み用カッタボディを追加

 三菱マテリアル 加工事業カンパニー(カンパニープレジデント=中村伸一氏)は、このほど多機能形ショルダカッタ「APX3000」に深切り込み用カッタボディを追加し、販売を開始した。

 多機能形ショルダカッタ「APX3000」は、切削シミュレーション技術を用いたインサート形状により、ランピング加工をはじめとした、3次元加工に対応することで、さまざまな加工形態を可能にした多機能工具。外周刃に複数のインサートを配列した深切り込み用カッタボディを発売することで使用用途の拡大を図る。

 多機能形ショルダカッタ「APX3000」深切り込み用カッタボディの主な特長は、以下の通り。

 ① カッタボディのバックメタル量が大きく、高い剛性を実現。
 ② 大きなすくい角により、切削加工時の熱発生を低減。
 ③ 外周刃に複数のインサートを配列することにより、シャンクタイプは28 - 55mmの切り込み量を実現。

 シャンクタイプΦ20 - 40mmは9アイテム、アーバタイプ Φ40、50mmは2アイテムとなる。

標準価格
・APX3KR2004SN20S028A:90,900円
・(代表型番)APX3KR4018SA42M055A:164,000円
・APX3K-050A20A046RA:196,000円
(いずれも税抜価格)

DMG MORI AG監査役議長に森DMG森精機社長が就任 

 DMG森精機(社長=森 雅彦氏)の子会社であるDMG MORI AG(以下、AG社)が5月4日に開いた株主総会にて、DMG森精機社長の森 雅彦氏がAG社の監査役会議長に選任された。毎年5月にドイツ・ビーレフェルトで開催されるAG社の株主総会は、今年で116回目を数える。今回は議決権の約88%を占める、およそ450名の株主様が参加し、本議案は圧倒的多数により承認された。 2009年に協業を開始し、2016年8月にはAG社の株式を76.03%取得後、ドミネーションアグリーメントを発効し、技術・経営の両方で統合を進めてきたが、2009年11月よりAG社の監査役を務めてきた森社長が議長へ就任することは、2社の統合の歩みを象徴する大きな節目となる。 AG社の監査役は、株主によって選出された6名、社員によって選出された6名によって構成される。 取締役会を含む決議は監査役会承認を経て得られるもので、その議長に就任するということはDMG MORIグループ全体が統一の意思を持ち、さらに世界最大の工作機械メーカとして進む上で非常に大きな意味を持つ決定といえる。

アマダがIoTソリューション「V-factory」の本格展開を開始 ~中小企業の板金工場向けに提供を開始~

 アマダ(社長=磯部 任氏)は、中小企業の板金工場向けのIoTソリューション「V-factory」の本格展開をこのほど開始した。

 「V-factory」は、マシンの運用・保守の状態をリアルタイムに見える化する基本のWebアプリケーション「My V-factory」、およびオプションの保守サービス「IoTサポート」から構成されている。顧客は、「My V-factory」と「IoTサポート」を利用することで向上における課題を顕在化させ、生産効率向上のための対策を講じることができる。

●「My V-factory」特長
 ・生産実績からマシンの実稼働状況、不稼働要因、材料・エネルギーの消費量などの生産工程にかかわるデータが確認できる。
 ・PCに加え、スマートフォン等の携帯端末から、いつでも、どこからでも情報を確認できる。
 ・生産管理者から現場のオペレータまで生産工程にかかわる全ての従事者が同時に「My V-factory」を閲覧できる。
 ・Web画面は視覚的に分かりやすくユーザビリティに優れている。

●「My V-factory」提供価値
 ・顧客は「My V-factory」の利用により、マシンの運用状況を把握できるだけではなく、工場の現場における課題を顕在化させることができる。
 ・現場における課題は「生産にかかわる無駄の削減」という管理面、「マシンの能力を最大限に生かす」という運用面の2つの視点から分析が可能。
 ・それにより、顧客自らが工場全体の生産効率向上のための対策を講じることができる。
 ・さらに、効果を「My V-factory」によって速やかに検証することができ、PDCAサイクルをより効果的にまわすことができる。

●「My V-factory」利用方法
 マシンから情報を収集する通信機器「V-factory Connecting Box」を1工場に1台設置し、アマダのNC装置付きマシンとネットワークで接続するだけで「My V-factory」を利用できる。費用は工場ごとの個別見積。

■「IoTサポート」について
 「IoTサポート」は、マシンの能力を最大限に活用するための保守サポートで、「My V-factory」の利用により顕在化された顧客の課題に対する施策としてより充実したサポート機能を提供するオプションサービス。
「IoTサポート」概要
 (1)マシンが予期せず止まることがないようにする「障害回避サポート」
 (2)不足の自体で停止が生じた時に迅速に対応する「早期復旧サポート」
 (3)マシンのアラームを分析し、運用改善を提案する「運用改善サポート」

 「IoTサポート」の特長は、顧客の問い合わせ窓口となり、遠隔監視と遠隔診断によりサポートする「IoTサポートエンジニア」と顧客へ直接サポートに出向く「オンサイトサービスエンジニア」の連携により、顧客のマシンを手厚くサポートする。なお、この費用については機種ごとの個別見積となる。

「My V-factory」と「IoTサポート」の概念図

オーエスジーが製品価格改定

 オーエスジー(社長=石川則男氏)が、超硬製品の主原料であるタングステンの世界的な需要の急速な高まりでタングステンの原料価格の高騰が続いている。またハイス製品にも原材料として使用されるコバルトの電気自動車市場の成長を見込んだ電池材料としての需要が急速に拡大し、原料価格が高騰しているうえ、副資材・物流等の諸経費の上昇が続いていることから、同社では製品の安定供給とサービスの維持・向上を図るために価格改定を行う。対象製品(2018年6月1日受注分より)・ハイスタップ(SKSを含む):5~10%・超硬タップ:10%・ハイスドリル:10%・ハイスエンドミル:15%・超硬エンドミル:10%・超硬ドリル:10%・ねじ切り丸ダイス:15%・インデキサブルツール:10%・転造工具:10%

天青会 新会長に宮城島エムアイモルデ社長

 日本金型工業会東部支部の若手経営者の会である天青会が5月11日、東京の上野精養軒で第6回定時総会を開催した。議事では平成29年度事業報告、同決算報告並びに監査報告、役員改選、新年度事業計画などについて審議が行われ、いずれも承認された。 本年は役員改選期であり、新会長に宮城島俊之 エムアイモルデ社長が新会長に就任した。 宮城島会長は懇親会のあいさつの中で、「今年度のテーマとして挙げているのは新真価値創造。新の前に“真”をつけている。われわれは価値をつくって金型にのせ、それを皆様に使って頂く。金型業界が厳しい中でも新しいものを模索していこうということを、皆様は既にやられていらっしゃるが、悩んだり迷ったりした中で生まれてきたものがなんなのか、ということをテーマにして活発な議論をしていきたい。」とテーマに込めた思いを述べた。

HANNOVER MESSE 2018 / CeMAT 2018が盛況のうち閉幕

 4月23日~27日までの5日間、ドイツ・ハノーバーにて産業技術・製品が一堂に会する世界最大のB to B専門展示会「HANNOVER MESSE 2018(ハノーバーメッセ)」が、
開催された。今年はイントラロジスティクスとサプライチェーン管理に関する世界有数の展示会である「CeMAT2018(セマット)」と初めて同時開催し、二展合わせて、約5,800社(前回:6,500社)が出展、約21万人(前回:約22万5,000人)が来場した。

 会場では、機械学習、AI、産業ITプラットフォーム、eモビリティのためのパワーグリッドの拡大、ロボットと無人システムの活用を始めとする、サプライチェーン全体における共通のキートピックを実現する製品・ソリューションが展示された。

 次回の会期は2019年4月1日(月)~5日(金)、パートナーカントリーはスウェーデン。

2018年4月分工作機械受注総額は1,630.6億円 日工会 

 日本工作機械工業会がこのほどまとめた2018年4月分の受注実績は以下の通り。2018年4月分工作機械受注総額は、1,630.6億円(前月比△10.8% 前年同月比+22.0%)となった。6カ月連続の1,500円超。過去3番目の高水準で、4月としての過去最高額。旺盛な国内外需要が継続。1,000億円超は18カ月連続。 内需は685.1億円(前月比△9.3% 前年同月比+35.8%)で、リーマンショック以降では、前月に次ぐ2番目の高水準。自動車や半導体関連を中心に好調持続。外需は945.5億円(前月比△11.9% 前年同月比+13.6%)で、6カ月連続の900億円超で、4月としての過去最高額(従来:2014年4月 870.3億円)。主要3極とも前月から減少するも高水準の受注が継続。 昨年末意向、非常に高い水準が継続。今後も堅調に推移するものと期待。他方、各種海外リスクや部品調達難に関連した動きなどを注視。

4月分内需

685.1億円(前月比△9.3% 前年同月比+35.8%)。・2カ月連続の600億円超。リーマンショック以降では前月に次ぐ2番目の高水準。・前月比3カ月ぶり減少。前年同月比15カ月連続増加。・前月の反動で前月比減少も、国内需要は自動車関連、半導体関連を中心に好調持続。① 一般機械  252.3億円(前月比△10.0% 前年同月比+25.5%)  うち金型   24.1億円(前月比△10.7% 前年同月比+4.8%)② 自動車   235.8億円(前月比△11.6% 前年同月比+31.8%)  うち部品   166.2億円(前月比+3.0% 前年同月比+33.6%)③ 電気・精密 92.0億円(前月比+5.8% 前年同月比+88.6%)④ 航空機・造船・搬送用機械 21.7億円(前月比△9.2% 前年同月比+41.3%) 

4月分外需

945.5億円(前月比△11.9% 前年同月比+13.6%)・6カ月連続の900億円超。高水準持続。・前月比2カ月ぶり減少。前年同月比17カ月連続増加。・北米が前月に次ぐ過去2番目の高水準となるなど、主要3極とも高水準の受注が継続。①ア ジ ア:461.2億円(前月比△15.8% 前年同月比△0.2%)・東アジア:367.0億円(前月比△17.1% 前年同月比△0.6%)〈韓 国〉 35.0億円(前月比△19.6% 前年同月比+10.6%)〈中 国〉304.5億円(前月比△15.2% 前年同月比△2.3%)・その他アジア:94.2億円(前月比△10.2% 前年同月比+1.7%)〈インド〉36.5億円(前月比+33.9% 前年同月比△32.7%) ②欧 州:191.7億円(前月比△7.8% 前年同月比+22.7%)〈ド イ ツ〉47.6億円(前月比+1.2% 前年同月比+48.9%)〈イタリア〉30.6億円(前月比+2.4% 前年同月比+30.9%) ③北   米:277.3億円(前月比△4.5% 前年同月比+35.9%)〈アメリカ〉251.8億円(前月比△4.5% 前年同月比+35.9%)〈メキシコ〉 15.8億円(前月比△44.2% 前年同月比+12.6%)

2017(平成29)年 ロボット年間統計まとまる

説明をする冨士原専務理事
説明をする冨士原専務理事
 日本ロボット工業会がこのほど2017(平成29)年 年間受注・生産に関する確定及び平成30年見通しについて5月23日、都内の東京プリンスホテルで会見を開き、発表した。なお、この統計は会員企業42社と非会員企業14社の合計56社による実績である(サービスロボットは調査対象外)。

 冨士原 寛 専務理事の説明によると、2017(平成29)年は、受注・生産・出荷の実績は、受注は23万5,268台(前年度比+27.8%)、金額は9,447億200万円(同+27.8%)となった。生産は、23万3,981台(同+34.0%、金額は8,776億5,700万円(同+24.8%)のいずれも大きな増加となった。特に受注は初の9,000億円を突破する伸びを示した。
 

業況について
 2017年の年間集計結果は、国内需要が堅調であったことに加え、輸出はそれ以上の大幅な伸びを示した。会員と非会員を含めた年間受注額は対前年比27.8%増の9,447億円、生産額は同24.8%増の8,777億円とそれぞれ過去最高となった。

受注
受注台数、受注額ともに前年比でプラス成長、過去最高となった。
・受注台数(台) : 235,268(前年同期比+29.2%) 5年連続のプラス
・受注額(億円) : 9,447(同+27.8%) 5年連続のプラス

生産
生産台数、生産額ともに前年同期比でプラス成長となった。
・生産台数(台) : 233,981(前年同期比+34.0%) 4年連続のプラス
・生産額(億円) : 8,777(同+24.8%) 4年連続のプラス

出荷
各項目ともに前年同期比でプラス成長となった。国内出荷台数、総出荷台数は四半期ベースで過去最高。
・総出荷台数(台) : 233,386(前年同期比+32.9%)4年連続のプラス
・総出荷額(億円) : 8,956(同+25.1%) 4年連続のプラス
・国内出荷台数(台): 49,171(同+25.8%) 4年連続のプラス
・国内出荷額(億円): 2,462(同+11.6%) 4年連続のプラス
・輸出台数(台) : 184,215(+38.5%) 5年連続のプラス
・輸出額(億円) : 6,494(+31.1%) 4年連続のプラス

国内出荷内訳
●自動車産業向け
・国内出荷台数(台) : 14,650(前年同期比+1.0%) 4連続のプラス
・国内出荷額(億円) : 654(同+0.5%) 4年連続のプラス
●電気機械産業向け
・国内出荷台数(台) : 18,707(前年同期比+34.5%) 3年連続のプラス
・国内出荷額(億円) : 977(同+27.1%)

輸出内訳
●溶接用
・輸出台数(台): 41,321(前年同期比+29.3%)5四半期連続のプラス
・輸出額(億円): 1,031(同+24.1%) 5 四半期連続のプラス
●電子部品実装用
・輸出台数(台): 12,418(前年同期比+47.9%)2年連続のプラス
・輸出額(億円): 1,904(同+43.3%) 2年連続のプラス

【レポート】INTERMOLD2018(大阪)で注目した点はココだ! 

オープニングの様子
オープニングの様子

 4月18日(水)から4 月21 日(土)までの4日間、インテックス大阪で「INTERMOLD2018/金型展2018」(主催:日本金型工業会、テレビ大阪)ならびに「金属プレス加工技術展2018」(主催:日本金属プレス工業協会)が開催され、多数の来場者で賑わいを見せた。

 今回、目玉製品とともに豊富なコンテンツを提案していたことに時代の流れを感じた。将来を考慮した拡張アイテムも豊富で、加工の幅がより広がる工夫があった。また、各社のアピール動画が進化しているのも見逃せない。立体的な画をみせることで、簡単に仕組みを理解してもらえるよう、動画にかなり注力している様子が分かった。

 注目各社の最新動向をレポートする。

 (アマダマシンツール、イスカルジャパン、イワタツール、オーエスジー、オークマ、OKK、岡本工作機械製作所、キタムラ機械、ジーベックテクノロジー、大昭和精機、ダイジェット工業、DMG森精機、ナガセインテグレックス、日進工具、ブルーム-ノボテスト、牧野フライス製作所、三井精機工業、三菱日立ツール、ヤマザキマザック、碌々産業)

工作機械編

 アマダマシンツールでは、デジタル電動サーボプレス「SDE 2017 GORIKI」が高剛性仕様になって新登場! 多工程順送金型を搭載可能にしたスライドエリア、センターギブフルガイド構造が特長。高剛性ソリッドコラムフレームで加圧時のフレームの伸びを抑圧し、耐偏心荷重特性を高めることで板鍛造や高張力鋼板などの高付加価値型性や高精度加工に対応する。プレスマシンの見える化とマシンと連動する金型管理システムも実演し、“工程改革”を提案していた。

 切削・ミーリング加工能力の強化と、効果的な工程集約ができる広い動作範囲を実現して誕生したオークマのインテリジェント複合加工機「MULTUS U3000」は、あらゆる方向から柔軟な加工ができるマシンとして注目が集まった。ミーリングが多い複雑形状部品に最適な広い加工範囲と、高剛性コラム移動式構造の採用しY軸全域で強靱な削りをアピール。また、広いB軸旋回範囲240°、C軸の高精度位置決め0.0001°制御で高精度と高能率加工の両立を実現していた。

 OKKは、納入実績10,000台以上を誇るベストセラーシリーズ機である“VM/Rシリーズ”から「VM53R」が展示されていた。各送り案内面は角型すべりガイドを踏襲し、精度と剛性を揺るぎないものにしている。一般部品加工からチタン等の難削材加工まで対応する心強い1台だ。また環境熱変位補正ソフトスケール「Cube」は、マシンに実装されたセンサから得た温度変化情報をもとにリアルタイムで加工点の変位を補正する。このVM53Rには標準採用だった。

 岡本工作機械製作所が展示していた精密平面研削盤「PSG63SA1」は、上下送り最小送り量0.1ミクロンからの高精度設定。水回り部分にSUSを使用している心遣いがたまらない。高剛性構造、新しくなったタッチパネル、自動ドレス機能を有する高度な機能と性能に注目が集まった。また、非磁性体のチャックは、使用面積以外を密閉する必要がなく、ラクラクなのが嬉しい。

 展示会初出展のマシンを出して盛況だったキタムラ機械。5軸制御立形マシニングセンタ「Mycenter-4XT」は、試作品加工から量産まで広範囲の加工が可能で、高出力・高トルクの35馬力40番主軸でパワフルなのに省スペース設計。旋回テーブルの両端にはフラットテーブルが付いており、バイス取り付けや長尺物加工に最適だ。独自の制御装置「Arumatik-Jr」を搭載し、10.4インチの画面で従来の5倍の演算処理速度とスマホ感覚の簡単操作を実現している。

 DMG森精機は、第三世代を迎えた5軸加工機のエントリーモデルである「DMU50 3nd Generation」を展示。多くの来場者が足を止めていた。加工エリアは従来機と比較して78%拡大、早送り速度は40%も向上している。傾斜角度も従来と比べ28%拡張し、加工現場の生産力&経済効果アップを押し出していた。なお、同社ではWeb会員の募集を行っており、金属加工に役立つ豊富なコンテンツとサービスが得られる。

 ナガセインテグレックスの高精度成形平面研削盤「SGE 520 Zero3」は、日常的な平面・成形加工からコンタリングや砥石成形まで高度な研削条件まで簡単に設定できるうえ、オプションで複合形状研削やマルチパーツ研削にも対応するという使い勝手の良いマシンだ。上下軸に高剛性直動転がり案内を採用し0.1ミクロンのNC指令値に対し高い追従性を実現している。剛性・精度ともにワンランク上の加工を目指す方に人気を博していた。

 清潔感溢れる牧野フライス製作所は、中・小物金型やプレス金型、もちろん部品までも幅広く対応するワイヤ加工機「U6 H.E.A.T」を展示。表面粗さ3ミクロンを3回の加工回数で実現する。荒加工から真直性の高い加工もできるのが嬉しい。加工物や治具との干渉を気にせずに加工ができるのも特長だ。ワイヤ放電加工用のCAMシステム「WIZ」は、シミュレーションで干渉、コア処理、加工形状を確認できる。

 三井精機工業は、広範囲な砥石自動切りこみストロークを実現した高精度ジグ研削盤「J350G」を展示。砥石自動切込み(U軸)は、-3~+50mmの広範囲なストロークを実現したことが特長だ。このストロークはあらゆるジグ研削盤の中でも最大を誇る。遊星回転で穴径の異なる穴を加工する際には、1本の砥石で小さな穴から大きな穴まで連続で自動加工することができる。なお、安全性を強化した全体カバーを標準装備している。

 11年振りにヤマザキマザックが出展! 今回は、回転2軸を有する同時5軸立型マシニングセンタにAM技術を付加し、工程集約を実現した「VARIAXIS j-600/5X AM」が展示されていた。同社は金属積層と切削加工を組み合わせて金型を製造する方法の特許権を保有しているという強みがある。同社が持つ金型補修並びに溶接造形技術を“プログラマブル”に自動化できるのも特長のひとつ。ワークの表面を違った材質で肉盛りしたり、金型補修に広がりをみせるマシンだ。他にも金型メーカーの期待に応えたハイエンド5軸加工機「UD-400/5X」もあった。
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http://seizougenba.com/node/9842



 碌々産業は、ホカホカの新製品である「Vision」を展示していた。優位性は、マシンの汎用性だ。φ16エンドミルによる重切削から鏡面仕上げまで1台で加工できるということは、わたり加工をできるだけ少なく出来る、ということ。加工機の状態や設置環境を監視し表示、蓄積して見える化の充実を図った「M-Kit」を搭載し、加工現場の高精度化を安心サポートする。



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http://seizougenba.com/node/9873

切削工具・周辺機器編

 イスカルジャパンは、最先端自己拘束式、ヘッド交換式穴あけ工具の「SUMOCHAM(スモウカム)」を一押し展示。切削力がヘッド把握力を増加させて安定加工を実現するという画期的な最新デザインが特長。機上で簡単に工具交換が可能であり、一度のセットアップで以降の位置決め不要というメリットがある。また、ヘッド交換式では圧倒的に豊富なヘッドレパートリーがあるのも見逃せない!

 “トグロンシリーズ”でお馴染みのイワタツールは、精密位置決め面取工具「トグロン シャープSP」を展示。この工具はバリやビビリが少なく、面祖度が綺麗であるという特長を持つ。先端近くまでの角度を保証し、1本で複数径の面取を同品質・最高の面祖度に仕上げてくれる。同社では最近設備を増強し、トグロンファンの期待に応えるべく生産能力もアップ! 今後の展開も要注目だ!

 今回出展企業の中で新製品が最も多かった印象を受けたオーエスジー。様々な製品の中で注目したのは、同社の人気製品「A-TAP」の性能を引き出すためのタップホルダ「SynchroMaster」。独自の一体型構造が特長だ。突発的な折損を防止し、タップ寿命を延ばすというメリットが受けられる。また、今回、同社のグループ会社プロデュースで完全オーダーメイド工具の新ブランド「Q3」も展開していた。現状は同社西部営業部のみ取り扱いとなっている。こちらも要注目だ!

 バリ取りの自動化を推奨しているジーベックテクノロジーで注目されたイベントといえば「金型研磨コンテスト」だ。会期中、大きな盛り上がりをみせ、挑戦者があとをたたなかった。今回は、製品の展示はもちろんだが、バリ取りや研磨の自動化等について相談を受け付け、個々の悩みに応じた解決策を提案していた。バリ取りの効率化に貢献する内容が豊富だった。

 大昭和精機の新製品はメガチャックをさらに追求し、究極のコレットチャックと言わしめた「メガUPEチャック」(把握範囲:φ3~φ10)を展示。この製品のキモとなるのは、独自の自動芯出し機構内蔵“ダブルアクションナット”。これにより安定した振れ精度を実現している。「高精度から『超高精度』へ。」というキャッチコピーも振れ精度に自信があるBIGならでは! 

 黒ヒゲ危機一髪ゲームなどを盛り込み、来場者を楽しませる工夫に溢れていたダイジェット工業の注目製品は高精度版「QMマックス」。これは従来タイプよりボディバランスを向上させ、5軸加工・複合加工にも対応しているのがポイントだ。インサートはH級をラインナップ、多刃使用により高能率加工を可能にしている。また、本体は切りこみ角度(3°、5°)を付けたタイプもあり、3軸加工機でも傾斜角度の付いた複雑形状加工が可能。

 “NS TOOL”といえば日進工具。敷居が高いと思われがちなPCD工具も活用すれば鏡面加工がすんなり出来る――ということを体感できる「PCDトライアルキット」を展示。鏡面加工にトライしたい方向けのお試しキットである。同社のPCDボールエンドミルと、NCプログラム、加工材料(ELMAX 59HRC)が入っている。加工後の工具とワークを観察・測定して報告してくれるというから頼もしい限りだ。

 ブルーム-ノボテストは、マウスクリックで計測可能なフォームコントロールソフトを使って機内で簡単にワーク検査ができることをアピール。ワークが自由曲面でも標準的な形状でも問題ない。こうした装置は、マシニングセンタと測定機間の移動や保管時間が減少する、あるいは削除されるので、時短というメリットが生まれ、生産性がアップする。素早いプロセスチェックは今の時代に欠かせない!

 洗練されたお洒落なブースで目立っていた三菱日立ツールの注目したい製品は金型加工用ヘッド交換式エンドミル「EHXエンドミルシリーズ」だ。「超硬」+「超硬」=「高精度・高剛性」の2面高速という、ソリッド工具と刃先交換式工具の長所を融合させた金型の深掘り加工に適したツーリングシステムだ。ヘッドとホルダの締結面をオール超硬とすることでソリッド工具に近い剛性を確保、多彩なヘッド交換もでき、経済性に優れている。

 

【注目】11年ぶりにマザックがINTERMOLDに! 「UD-400/5X」は金型メーカーの期待に応えたハイエンド5軸加工機だった! 

来場者も興味津々
来場者も興味津々
 今回、11年振りにINTERMOLDに出展したヤマザキマザック。金属積層造形技術を融合したハイブリッド複合加工機「VARIAXIS j-600/5X AM」や、ワンチャッキング全加工を可能にした「INTEGREX iシリーズ」とともに、金型や超精密加工に特化したハイエンド5軸加工機「UD-400/5X」が登場した。

 このマシンは精密加工や金型加工のニーズに対応すべく、高速・高い応答性を追求している。完全左右対称の門形構造やベース・コラムに採用したミネラルキャストや軸芯冷却付き45000min-1高速主軸など、徹底した発熱・振動対策を施すことで、長期にわたり安定した超精密加工を可能にしたうえ、同時に金型加工で求められる自由曲面の高速加工に着目した制御技術やソフトウェアの開発と改良を推進。同社が蓄積した技術を惜しみなく投入したこのマシンは、高い生産性と優れた加工面品位を実現するものとして、華々しく展示されていた。

 マザックが金型に特化したマシンを投入―――! ということもあって、多くの来場者が「UD-400/5X」の前で足を止めていた。マシンのスペックを確認しているのを拝見して、話題性の高さが理解できる。

中西常務
中西常務
 同社の中西正純 常務執行役員営業本部長(以下中西常務)にこのマシンを開発した経緯を尋ねてみると、「金型を海外メーカーの機械で造っていたお客様がいらっしゃった。ところがそのお客様は、“高価なのにサービスが悪い”と海外メーカーのものに不満があったのです。お客様はよほどお困りだったのだろうと思います。『もし、マザックがこの機械と同じ能力のものをつくってくれれば買います。』と言ってくれたのです。それが開発のキッカケとなりました。」とのこと。また、11年振りにINTERMOLDへ出展したことについても、「金型業界に向けて、新しい提案ができる機械が満を持してできた。極端な話、金型というのは、工夫と知恵に加え、機械があれば出来てしまうのですが、高能率に高品質な金型をつくって経済効果を高めるとなると話は別です。お客様の信頼と利益を確保するためには、高い生産性と優れた加工面品位を実現する機械が必要になります。現在、国内金型メーカーも活力が戻っていますが、この元気な時こそ、品質を確保しながら利益を向上させるための設備投資を真剣に考えるチャンスではないかと考えています。」と強調した。

これが「UD-400/5X」のスペックだ!

 マザックが惜しみなく技術を投入したというこのマシンの気になるスペックだが、回転速度:45000min-1、主軸出力〈40%ED〉:13.8kW(18.5HP)、最大トルク〈40%ED〉:6.9N・m、ツールシャンク形式:HSK-E40。

 加工面粗さを向上し、工具の寿命を延ばすためには、高速回転時の振動を最小限に抑える必要がある。そのため、駆動用ギアを排除し、ビルトインモータ主軸構造を採用している。また、加工の際の悩ましいことといえば発熱による主軸の熱変位だが、主軸軸心及びジャケット部に温度管理した冷却油を循環させることで熱変位を抑え、加工精度変化を防いでいる。さらに、温度管理をした冷却油をボールねじ内部に通すことでボールねじの発熱やサーボモータからの熱影響を抑えるという徹底ぶり。しかも、熱対策はこれだけではない。機械稼働時の発熱による熱変位を抑えるため、ベースやコラムなどの機械構造を左右対称としていた。

 他にも加工時の嫌なことに振動が挙げられるが、この対策には減衰性の高いミネラルキャストをベースやコラムに採用している。これにより、高速動作時でも嫌な振動を抑制してくれる仕組みなのだ。また、低ウェービング、高剛性、高減衰性に優れた転がりガイドの採用によって高い真直性や滑らかな動きが実現し、それが高精度かつ高面品位な加工に結びつく。

 加工にありがちな問題点である、振動、発生熱、バックラッシュ。これらをことごとく解決するために、B、C軸の駆動機構にダイレクトドライブモータを採用している。動力伝達装置をなくすことで高精度、高応答性、高剛性を実現する仕組みだ。また、X、Y、Z、B、Cの全軸に高分解能スケールフィードバック装置を標準装備しており、絶対位置を検出することで、特に熱膨張の影響に配慮した高精度な加工を可能にすることができる。

 様々な新しい要素技術が盛り込んであるこのマシンのメリットは、なんといっても加工におけるトータルコストに貢献することだ。段取り替えなしで多面の連続加工ができるので、生産リードタイムの短縮や段取り替えに伴う誤差の減少にもつながる。また、5軸といえば、テーブルを傾斜させることで、工具の突出し長さを短くすることができるので、工具のビビリを心配することなく安定した加工が可能になる。工具も刃先の良い部分が当たるわけで、機械の性能を充分に発揮しつつ、品質の良い加工はもちろん、生産性を高めてくれるのだ。

 金型に力を発揮する「UD-400/5X」を投入したというマザックファンにとって嬉しいニュースだったが、今年はJIMTOFが開催される年。「マザックは次、なにを展開するのか!?」という読者の期待値も大きいだろう。

高品位と高能率の両輪で生産性を高めるマシンだ。
高品位と高能率の両輪で生産性を高めるマシンだ。
 ―――と思い、JIMTOFでの展開について尋ねてみたのだが、中西常務は「企業秘密です。」と笑いながら、次のようにコメントしてくれた。

 「皆様の期待を裏切らない展示内容になるでしょう。すでに準備は進んでいます。楽しみにしていてください。」

 来年100年を迎えるヤマザキマザックの次の展開がとても楽しみだ!