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「1兆7000億円を目指す」 日本工作機械工業会が賀詞交歓会を開く

 日本工作機械工業会(会長=飯村幸生 東芝機械会長)が1月11日、都内のホテルニューオータニで賀詞交歓会を開いた。

「世界の工作機械産業を巡る環境は大きな技術的変革期を迎えている」

あいさつする飯村会長
あいさつする飯村会長
 あいさつに立った飯村会長は、「昨年5月の定時総会で発足した新体制のもと、前期に引き続き、委員会活動をはじめ順調に展開することができた。心よりお礼申し上げる」と日頃のお礼を述べたあと、「2017年の世界経済は前年を上回る成長を示し、拡大局面を辿った。しかしながら世界各地域で地政学的リスクも不安視されており、これに起因した急激な為替変動の可能性も懸念される。現在の世界は先進国で構成するG7や、これを広げたG20といった国際協調体制が機能しにくくなった、いわばGゼロの時代を迎えている。保護主義的な気運の広がりも懸念される。私どもの自助努力の及ばない外部的要因のリスクにより不透明感が見え隠れしている状況下といえる。」と内外情勢について触れ、「このような情勢下にあっても世界の製造業はこれを相殺してなお余りある状況であり、未来への投資を着実に進めている。」と景況感について感想を述べた。

 2017年の工作機械受注額については、「年初から内外需ともに総じて順調に推移した。年間受注額は暦年修正見通し、9月に修正を行っているが1兆5500億円程度を上回り、2007年に記録した過去最高である1超5900億円をも超えて1兆6000億円をゆうに達したものと見込まれる。」とした。

 2018年の受注額見通しについて、「世界の市場環境は総じて好調に推移するものと見込まれるが、先述のとおり地政学的等のリスクを内包した、好調ながら脆弱な展開になると予想される。内需については、ものづくり補助金をはじめとする政策の後押しもありIoT関連需要による半導体分野への投資や、自動車の環境対応や電動化に、自動運転に関連した投資の盛り上がりが見込まれる。自動化ニーズを背景としたロボット等、各種自動機器の生産需要もさらに高まると思っている。外需については、10年間で1.5兆ドルの減税法案が承認された米国で、製造業の国内回帰に伴う投資や、大型インフラ投資が見込まれる。欧州では、リーマンショック以降停滞していた投資の顕在化やインダストリー4.0への対応需要が期待をされる。中国では、中国製造2025を受けた高度化投資や、自動車のEVシフトに関連した投資が出てくると考えている。」とし、これらの背景を踏まえて、2018年の日工会受注額は、「1兆7000億円の見通しとしたい。業界各社におかれては、受注獲得に向け鋭意邁進していただきたい。」と力強く述べた。また、賀詞交歓会に先立って臨時理事会を開催し、適正な下請け取引の推進と、取引先の生産性、付加価値向上を支援するための自主行動計画を審議し、了承したことを報告した。

 飯村会長は工作機械業界を取り巻く環境の変化についても、「世界の工作機械産業を巡る環境は大きな技術的変革期を迎えている。」とし、「様々な繋がりによって、新たな付加価値の創出や、社会課題の解決を目指す、我が国のコネクテッドインダストリーズをはじめ、ドイツのインダストリー4.0、アメリカの インダストリアルインターネット、中国の中国製造2025などIoTを活用して、スマート・マニュファクチャリングの実現を図る取組みが、世界各国で競われている」と話した。「3次元積層造詣装置の技術も、積層プロセスの選択肢広がり、実用化の段階に入ってきている。自動車の電動化の進展や、航空機産業の成長に伴う難削材需要の増加によって需要構造面でも大きな変化が展望される。生存競争では、強い者が勝ち残るとは限らない、環境変化に適応できたものが生き残れる、とはよくいわれるところである。工作機械業界各社におかれては、ユーザーニーズに応えた製品、技術を積極的に市場投入して市場投入することにより、この環境変化をビジネスチャンスに結びつけていただきたい」と期待を込めた。

 今年の日工会に活動については、「環境変化に対応し、将来にわたって日本の工作機械の国際競争力を強化しあっていくための方策を積極果敢に展開していきたい。」としたうえで、日工会が2012年に取りまとめた“工作機械産業ビジョン2020”で中期的視点から課題として抽出されたわが国工作機械産業が対処すべき、(1)JIMTOFの求心力の強化、(2)産学官連携の強化、(3)標準化戦略の強化、(4)人材の確保・周知策の徹底――の4つの課題を深化発展させるとした。

 具体的には、本年の工作機械最大のイベントであるJIMTOF・Tokyo2018を国際性豊かに開催すべく間断なく万全な準備をすすめる。今回のJIMTOFは11月初めに東新展示棟を含めた東京ビッグサイト全館を使用して開催する。テーマは、コネクテッドインダストリーズの構想を念頭に“つなぐ”をキーワードにして最先端の工作機械技術、製品を世界に発信していく。併せて全国から学生を招待する“工作機械トップセミナー”や最先端のものづくりを紹介する企画展示をはじめ、社会一般の工作機械産業への認知度向上を促す施策を展開する。技術分野については、産学官が連携して、研究開発や国際標準化に関する戦略的活動を展開し、その成果については会員企業に対して幅広く情報提供に努める。

 人材事業では、少子高齢化に対応した人材確保策の展開に加え、専門領域の多様化に対応した人材育成や研修事業についても体制づくりを進めていく。

 飯村会長は、「当会では、市場調査、国際、経営、環境、輸出管理等多くの委員会・研究会で事業を展開している。これらの活動を通じて、業界に共通する付加価値の高い情報を発信していきたい。また、2021年に創立70周年を迎えるが、これに向けて、技術や需要構造、国際競争環境の変化に対応した2020年代の、我が国工作機械産業の、新たな展望を描いていかねばならない。本年は、その戦略策定に向けて、IoTに関連する技術分野や自動車の電動化といった需要構造分野の情報収集を進め、2020年代の、工作機械業界の戦略を策定するための体制整備に着手していきたい」と将来の工作機械業へ向けて意気込みを示した。

「2018年は大きな変革とチャレンジの年」

 

経済産業省 多田 製造産業局長
経済産業省 多田 製造産業局長
 来賓を代表して多田明弘 経済産業省 製造産業局長が、あいさつをした。
 あいさつの概要は以下の通り。

 「全体として好調な業況の中で新しい2018年に将来を見据えた次の一手、次の次の一手を着実に打っていく年にしたいと願う。政府全体としては生産性革命、人づくり革命を柱に、先般の補正予算、投資予算、税制改正といった新メニューをつくっている。ぜひ皆様方にはこれらを有効に活用していただき、将来に向けた投資をお願いしたい。一口に投資といっても、皆様方の業界に関係ある設備投資もあるが、研究開発投資、人材投資、様々な次の一手の幅があろうと思われる。現在、製造業を取り巻く状況は、デジタル革命、地球環境、温暖化の問題、さらには自動車業界を巡る様々な問題など環境変化が伴っているとこであり、次の一手は何が正しいのか、は非常に難しいところであろう。こうした中でわれわれが提案しているのはコネクテッドインダストリーズの考え方である。単独の会社のみ、ひとつのリソースだけで全ての問題の解決を望んでいくのは難しいかもしれない。同時にIoT、AIの世界の中で、新しいデータの蓄積、ビッグデータの存在が出てきている。これらをどう活かして競争力に繋げていくのか。私は工作機械業界について、ずいぶん前からハードとソフトと一体となった様々な開発を進めている先端的な業界だと思っている。まさに新しい工作機械を伴ったサービスを世界に発信していただきたい。こうした中で工作機械業界の発展もあり、マザーマシンを使っている日本の製造業あるいは世界の製造業全体の底上げになっていくと信じる次第である。

 TPP11も日EU・EPAもある。早期の発行に向けて対外交渉もしっかりやっていく。併せて最近懸念が高まっている中国の輸出管理においても懸念が実際のものにならないよう、国際ルールを逸脱したものにならぬようしっかりと関係国と連携して対処していきたいと考えている。

 2018年は大きな変革とチャレンジの年にしていただきたい。
 実は年末に本屋に立ち寄ったところ、ある経済誌の表紙が目に止まった。表紙には日本語と英語があったが、日本語では“日本人よ、まだまだクレイジーさが足りない”と書いてあった。時間がなかったのでそのまま立ち去ったが、推察すると、日本の産業・社会、あるいは国民といってもいいかもしれないが、これまでの成功体験に基づいて従来の延長線上で少しずつ良い改善をしていくことはうまくいったが、突然アッと驚かせるような取り組みがやや少ないのではないか。それをクレイジーさが足りないという表現がいいかどうかは私には分からないが、私は当たらずとも遠からずかな、と思っている。これまで成功のベースとなってきた様々な前提や諸条件をもう一度疑ってかかってみる。これが本当に5年後に本当に同じようになっているだろうか。そういったことをぜひ考えていただけたらと思う。

 3つお願いしたいことがある。1つ目はスピードあるアクション。答えが分かりにくい、何が勝ち筋か分からないからといって議論ばかりをしてアクションが伴わなければ前に進まない。2つ目はこれまでの前提を疑ってかかった大胆な挑戦。3つ目は、事業にはそれぞれ歴史がある。個性ある経営をお願いしたい。

 日本の製造業について、様々なことがいわれているが、私は創業の精神に思いを致して先人達が奮闘した歴史に最大限の敬意を払いながら、新しい時代でなにが求められているのか、なにが売れるのか、と正面から取り組み、新しい提案をすることができれば日本の製造業、工作機械業界の将来は必ずや明るいものになるだろうと信じている。」

「市場ニーズに新たなソリューションを提供し続けたい」日本建設機械工業会が賀詞交歓会を開く

あいさつする平野会長
あいさつする平野会長
 日本建設機械工業会(会長=平野耕太郎 日立建機 社長)が1月10日、都内のシェラトン都ホテル東京で賀詞交歓会を開いた。

 あいさつに立った平野会長は、「この会場に入ってきて最初に皆様の顔つき、話されている言葉のトーンが昨年とずいぶん違うと感じた。昨年は米国トランプ政権の本格な始動、西欧主要国や日本での選挙、中国共産党大会の開催、北朝鮮問題など政治や地政学的な変化が多くあったが、世界経済の動向は比較的穏やかな状況だった。」と振り返り、昨年の建設機械の需要について、「一昨年と大きく様相を変え、ほとんどの地域で増加に転じた。当工業会がまとめている建設機械出荷金額統計を見ても、1月から11月の累計で、国内は対前年比7%増、輸出は29%増、合計で19%増という喜ばしい結果となった。」と話した。

 今年の建設機械世界需要の見通しについては、「引き続き好調を維持するものと予測しているが、業界を取り巻く状況はさらに変化していくものと考えている。社会やお客様の環境、安全、生産性の向上に対する要望はより具体的になっており、IoT・ICTやi-Constructionなどの情報技術や最新技術を活用した顧客ニーズに対応した製品、サービスの提案が必須となっている。当工業会は会員各社の製品、コンポーネント、部品、サービスを通じ、このような市場ニーズに新たなソリューションを提供し続けたいと考えている」とした。

 また、重要な活動分野として、①東日本大震災や一昨年発生した熊本地震、②昨年の九州北部豪雨災害の復興への貢献、環境・省エネルギーに対する対応、③会員各社のグローバル展開の支援、④i-Constructionなど新しい技術への対応など、これらの4点に注力することを述べ、「今年も引き続き取り組んでいく」と力強く述べた。

「コネクテッドインダストリーズの伝道者として他の業界に影響を与えていただきたい」世耕経済産業大臣

世耕経済産業大臣
世耕経済産業大臣
 来賓を代表して世耕弘成経済産業大臣が、「皆様の業界に経済産業大臣が出席するのは史上初とのこと。皆様の業界は積極的・果敢に設備投資を行い、海外展開を行っている。イノベーションを推進し、ITをフル活用していただいている。このような業界と経済産業省がしっかりと連携していくことがアベノミクスの成長戦略上、非常に重要であるとの思いから今回足を運ばせていただいた。」と今回の出席に至った経緯を述べ、「建設機械業界の国内海外とも数字が伸びているというのは素晴らしいことであり、しっかり国内に投資をしていることは本当にありがたいことだと思っている。」と感謝の意を表したあと、経済産業省の取り組みについて、「ソサエティ5.0を実現するため、産業界の取り組みとして、コネクテッドインダストリーズの考え方を打ち出している。日本の製造現場、サービスの現場、あるいは建設の現場には様々なデータが豊富にある。それをできる限り共有し、ビッグデータとして活用することにより、日本の製品やサービスの品質をさらに向上させて世界に打ち勝っていこう、という考え方である。」ことを示した。

 「しかし建設機械工業会の皆様はすでに実行に移していただいている。ICT建機を軸にし、設計者、施工現場、管理者がデータで繋がり、そして生産性、省エネ、安全性の向上などに取り組んでいただいている。ぜひ皆様にはコネクテッドインダストリーズの伝道者として他の業界に影響を与えていただきたい」と期待を込めた。

 「昨年末には日・EU EPAが最終合意に至った。またTPP11も閣僚レベルの合意は終わり、最終的な調印に向かって交渉をしているところである。こうした多国間の自由貿易協定を質の高い内容で結ぶことによって皆様方のビジネスチャンスを広げたいと思っている。安倍政権では質の高いインフラ輸出を積極的に進めている。アジア各国、アフリカ、ロシアなど質の高い道路や鉄道、港湾、工業団地など日本の展開力でつくっていきたい。当然、質の高いインフラをつくるためには建設機械が必要であり、皆様のビジネスチャンスにしっかりと繋げて参りたい。すでに安倍政権になってからは9兆円も受注高を増やしており、このように安倍政権と皆様方の業界と連携するテーマが豊富にある。一層情報交換をしながら、皆様方業界の発展に繋げていきたい。」と力強く結んだ。

 大橋徹二 副会長(コマツ社長)が乾杯の発声を行い、宴もたけなわのころ散会した。

「成長と分配の好循環のため第4次産業革命に対応した設備への転換を」日本産業機械工業会が賀詞交歓会を開く

あいさつする佃会長
あいさつする佃会長
 日本産業機械工業会(会長=佃 和夫 三菱重工業 相談役)が、1月10日、都内のホテルオークラ東京で賀詞交歓会を開いた。

 あいさつに立った佃会長は、「正月早々株価が連日上がっている。消費、設備投資等も昨年後半から順調に伸び、良い新年を迎えられたと思う。昨年を振り返ると経済面では、わが国のGDPが7月から9月に7四半期連続のプラス成長となるなど、海外経済の拡大を背景に輸出や生産が伸び緩やかな景気回復が続いた。今年もこの傾向が続くといわれている。通商面ではEUとのEPA交渉が合意する、TPP11の大筋合意ということで大きな前進がみられた年だと思う。」と昨年を振り返り、不安要素として、北朝鮮をはじめイランとサウジアラビアの中東問題、保護主義的な動きやスペインの独立運動などを挙げた。

 産業機械業界の2017年度上半期の受注について、「内需・外需とも増加し、上半期としては3年振りにプラスへ転じた。機種によって差はあるが総じて見れば明るさが増している。」と述べ、今年については、「わが国の成長力を底上げし、多くの人たちがその成長を享受できるという成長と分配の好循環を確立していく必要があると思われる。そのためには多くの産業が第4次産業革命に対応した設備への転換を心がけ、人工知能、ロボット、IoTなどを活用したイノベーションの実現に取り組み、生産革命と人づくり革命の推進により、少子高齢化や人口減少で縮小が懸念される国内市場の消費や投資の機会を広げ、新たな需要の創出、拡大に繋げていくことが重要だと考えている。」とした。

 

経済産業省 多田製造産業局長
経済産業省 多田製造産業局長
続いて来賓を代表して、多田明弘 経済産業省製造産業局長が、「日本経済は明るさを取り戻している状況と思われる。こうした中、生産性革命、人づくり革命を柱として民間をサポートする考えである。2018年は将来を見据えた次の一手をしっかりと行動に移していくという年にしていただきたいと願っている。経済産業省としてはコネクテドインダストリーズといったコンセプトを打ち出しているが、予算、税制といった様々な政策支援のメニューを予算・税制改正案に盛り込んでいる。今年はTPP11、EPAは実質可決ということになっている。2018年は大きな変革に向けての動きをつくる年になっていただけたら、と思っている。」とあいさつした。

「国内外から信頼される業界を目指して日本経済を支えていく」 日本工作機械輸入協会が賀詞交歓会を開く

あいさつする中川会長
あいさつする中川会長
 日本工作機械輸入協会(会長=中川貴夫 シーケービー 社長)が1月10日、都内の第一ホテル東京で賀詞交歓会を開いた。
 
 あいさつに立った中川会長は、「輸入工作機械は日本の近代化や工業化の基盤をなすものであり、当協会はその発展と推進において貢献してきた。今後もグローバル時代における日本人のものづくりを支えるため、一層の努力をしていく」と意気込みを示したあと、昨年の工作機械の輸入通関実績に触れた。それによると、2017年の工作機械の輸入通関実績は、約890億円となった。一昨年の2016年から約4%減となった。本邦通関ベースの数字であるため三国間貿易の場合はカウントされない。「業界各社の好業績からみて、三国間貿易分が増加したものかと推測している。」と述べた。

 また、昨年9月にドイツ・ハノーバーで開催されたEMO2017について、「約13万人の来場者を数えた。当協会からも42名からなる視察団を組み大変有意義なミッションとなった。」と感想を述べたあと、「今年はIMTSへの視察団を予定している」とし、参加を呼びかけた。また、「当協会では2月7日から9日にかけてパシフィコ横浜でテクニカルショー2018に出展する。会員企業10社が共同出展し世界の特長ある輸入機並びに周辺機器を紹介するという新たなチャレンジをする。」と述べ、本年開催されるJIMTOFについても、「当協会会員企業の世界の超一流の技術・製品が出展され、社業ひいては業界の益々の活性化に導かれることが期待される。2020 年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、カウントダウンが始まった。わが国は世界で最も信頼される国のひとつである。当協会でも、国内外から信頼される業界を目指しものづくりを通じて日本経済をしっかりと支えていく。」と意気込みを示した。

経済産業省 片岡 産業機械課長
経済産業省 片岡 産業機械課長
 続いて来賓を代表して、片岡隆一 経済産業省 製造産業局 産業機械課長が、「工作機械はものづくりの原点。日本がものづくり大国になる過程において、もとは輸入から始まった。今となっては世界に冠たる工作機械の製造国であり輸出国でもあるが、国内メーカーだけではつくり込めない、世界の最先端の機械を入れ、それが日本のものづくりを底上げし、ものづくり大国を支えているという好循環を続けている。アベノミクスがはじまって5年間、名目GDP56兆円増の中で、設備投資は海外のみならず国内もしっかりと歯車が回り始め、世界的も好調である。海外の良い工作機械を日本に紹介し、日本のものづくりのアップグレードにぜひ貢献していただきたい。特に日本は少子高齢化が進んでいる。こうした中で自動化・ロボット化などの需要が高まってくると思われる。一方で日本の屋台骨を支えている自動車産業も大きな時代の変革である。EV化、電動化の流れの中でも、足元の景気の良さとは別に中期的な課題としてものづくりの変革の方向性を見極めていかなければならない。」とあいさつをした。

 乾杯の発声はイタリア大使館貿易促進部のルイジーナ チローネ氏が行った。宴もたけなわのころ散会した。

「重要な点は教育にある」日本工作機械販売協会が賀詞交歓会を開く

あいさつをする冨田会長
あいさつをする冨田会長
 日本工作機械販売協会(会長=冨田 薫 トミタ社長)が1月11日、都内の第一ホテル東京で賀詞交歓会を開いた。

 あいさつに立った冨田会長は、「昨年を振り返り、トランプ政権が本格的に始動し、地政学的にいえば世界的にも摩擦があったのだが、北朝鮮問題については今年も注視したい。日本国内では安倍政権が再任され、強い政権ができた。株価も高くなり安定し、一般経済でいえば今年1年、良好ではないだろうか。工作機械業界については史上最高の暦年の受注額だと聞いた。本年についていえば、年末から年始にかけて多くの中小企業を訪問したが、仕事が出ているな、という感想を持った。今年も内需については日工販の努力にもよるが6000億円を目指して頑張りたい。」と意気込みを示した。

 また、昨年開催された東京モーターショウについて触れ、「驚いたことはコンセプトカーが展示されていたが、運転席には誰もいない。乗っている人たちは皆さんで話をしているうちに目的地に行くということで、EVでありレベル4であり、カーシェアリングを視野に入れたコンセプトカーだと思われるが、2030年くらいに先進国ではこうした自動車が走っているのではないかと感じた。日工販としても自動車の将来には非常に興味がある。」としたうえで、「自動車以外の産業にも目を向けていかなければならない。半導体、建設機械、医療分野、航空機産業などにも注力していかなければと思う。」と述べた。

 日工販の役割について、「重要な点は教育である。SE教育をはじめ、お客様の要望が非常に高くなっていることもあり、レベルの高い営業マン教育の一助になれば良いと思う。また、情報の提供も重要であり、補助金、税制改正、PL保険等の情報を提供していきたい。各分野の専門家に依頼をして講演会を開催し、メーカーの新製品勉強会や工場見学会、メーカーの営業マンとの情報交流会を積極的に実施し、より連携を深めていきたい。」と力強く話した。

経済産業省 片岡産業機械課長
経済産業省 片岡産業機械課長
 続いて来賓を代表して、片岡隆一 経済産業省 製造産業局 産業機械課長があいさつをした。この中で片岡産業機械課長は、「担当する賀詞交歓会にいくつか出席しているが、皆様方の表情は明るい。半導体、建機関係も好調だが、昨年は、それらをつくり出すためのマザーマシンは動きが大きく出た1年だったのではなかろうか。おそらく受注額はリーマンショック前の時を超えて史上最高になったのではと思われる。皆様は販売を担当されているが、各種教育セミナーに注力されている。最近の展示会でも、IoT時代にあって様々なものが高機能化、多機能化している印象を受けるが、そういったものを実際、クライアントのところに届けて、しっかりと使ってもらうには、日工販の会員各社の皆様方、さらには営業の最前線で活躍されている皆様方の努力と腕にかかっている。まさに底支えがあって業界全体の取り組みが動いている。今後もますます期待したい。」と声援を送った。

日工会 飯村会長
日工会 飯村会長
 業界を代表して飯村幸生 日本工作機械工業会会長が、「昨年のわが国の工作機械業界は、地政学的なリスクが内包されていたが、それを相殺する以上の勢いが内外需にあった。年初には若干の出遅れ感があったのだが、9月以降1400億円以上の数字が続いた。11月には1585億円という史上初めて月間1500億円を超えた。昨年の年間受注額は2007年が今までの最高額1兆5900億円だったが、それを超える数値になると確定ではないが現時点の情報ではある。回復は拡大基調に移ってきているという状況であると思われる。業種別に見ると、半導体製造装置や中国のEMS発現等の増加が目立つが、分析をすると各国、各業種が自立的に悪いところがなく、安定した受注が続いたのが実感である。バランスのとれた受注内容であった。これもひとえに日工販の会員の皆様の営業活動のお陰だと感謝申し上げる次第である」と感謝の意を表した。

 乾杯の発声を野中治孝 日本工作機械輸入協会 副会長(ゴーショー社長)が行った。宴もたけなわのころ散会した。 

 

「専門力を強化し、きめ細やかなサービスの提供に注力」 NaITOが新年賀詞交歓会を開く

あいさつをする坂井社長
あいさつをする坂井社長
 NaITO(社長=坂井俊司氏)が1月9日、東京・京王プラザホテルで新春賀詞交歓会を開催した。

 新年のあいさつに立った坂井社長は、「昨年はトランプ政権の発足によって経済不安があったが、実体経済は米国も堅調が続き、中国も順調に景気が回復。また欧州も予想以上に景気回復のスピードがアップした。わが国においても昨年は急速に良くなったと皆様も感じられていると思う。機械工具商の業界もやっと上向いてきたと仰る経営者も増えてきた。」とあいさつし、今後のビジネススタンスについてスライドを見せながら説明をした。

 それによると第三四半期の損益状況は、売上高前年同期比350億200万円、経常利益は5億9900万円となった。通期業績予想は売上高453億円、経常利益8億8000万円としている。

 坂井社長は、2014年度の活動報告の中で、専門力の強化を挙げ、商品知識、レスポンス、対応面で独自の特長を持ち、取引先の信頼を得たと説明、専門販売員研修、商品知識研修の実施や、地域密着、対面営業について市場に基づいた提案やきめ細やかなサービスの提供を展開したと話した。また、今後の予定として、北東北支店と西東京支店の2カ所を移転するとし、今年も引き続き情報発信機能の強化に注力すると述べた。

 海外展開については、海外岡谷鋼機メカトロ部との協業について、岡谷USAへ出張ベースでセールスを派遣した。海外拠点(インドネシア)への社員が出向し、インド・インドネシア地域では新規顧客の開拓にあたっている。また、支店長の短期海外研修も行った。
 
 2017年度方針として、①専門力強化、②地域密着、対面営業、③情報発信機能の強化、④積極的な海外展開を挙げた。

 大平 博 ユニオンツール社長が乾杯の発声を行った。宴もたけなわの頃、散会した。

【受講者募集中】三菱マテリアルの「切削アカデミー2018」開催日程が決まる

 三菱マテリアル 加工事業カンパニー(カンパニープレジデント=鶴巻二三男氏)は、切削工具ユーザーに向けて、技術者育成を目的とした切削工具メーカーならではの体系的な研修を開催している。 2016年度6月より開催している「切削アカデミー」は、初心者から熟練技術者まで延べ400名以上が受講しているセミナーだ。切削加工の実務経験がある人も受講し、『講義後に実演をすることにより理解が深まった』、『実際の現場での問題点が解決できた』など高い評価を博している。同社では、「切削加工に関する全般的な知識を深め、さらなる切削加工マスターを目指す方にはご注目いただきたい研修です。」とコメント。 今回は、初心者・基礎・応用コース、トラブルシューティングコース・難削材加工・切削抵抗解析などの専門コースといった、切削加工の技術者のお悩みに応える多彩なコースを東日本テクニカルセンター(埼玉県)と中部テクニカルセンター(岐阜県)の2施設で、実施する。 同社では、「2018年度より各コースを段階的に受講することにより、コースごとに特化した内容を効果的に学習し、理解を深めていただくことと致しました。つきましては、基礎コース→応用コース→専門コースを一貫してご受講いただくシステムと致しましたので、ぜひ、この機会に基礎から応用、専門コースまでご受講いただき、知識と技能の習得にお役立てください。」と述べている。

コース及び開催日程

*東日本TC=東日本テクニカルセンター、中部TC=中部テクニカルセンター■初心者コース(1日)切削加工の種類、切削工具の呼称など、切削加工職場で使われる言葉を学び、実際の加工も体感する。<対象者>切削加工作業経験の無い初心者向け。<日程( )内は場所>・4月17日(中部TC)・4月20日(東日本TC)・5月15日(中部TC)・5月18日(東日本TC)■基礎コース(2日)切削加工の種類、被削材と切削工具の基礎知識を学び、切削条件の計算式を習得する。<対象者>切削加工作業経験2年以上程度の人向け。<日程>・5月24、25日(東日本TC)・9月13、14日(中部TC)■応用ターニングコース(1日)旋削加工の詳しい知識や工具選定について学ぶ。切削作業職場で適切に工具が使用されているか判断する能力、一般的な工具損傷の基礎知識とその対策を身に付ける。<対象者>基礎コースを修了した人で切削加工作業に従事しており、被削材の基礎知識、旋削工具の基礎知識、切削条件計算能力を有する人向け。<日程>・7月13日(東日本TC)■応用ミーリング・ドリリングコース(2日)転削加工の詳しい知識を体系的に学ぶ。切削作業職場で適切に工具が使用されているか判断する能力、一般的な工具損傷の基礎知識とその対策を身に付ける。<対象者>基礎コースを修了した人で切削加工作業に従事しており、被削材の基礎知識、転削工具の基礎知識、切削条件計算能力を有する人向け。<日程>・8月23、24日(中部TC)■ターニング トラブルシューティングコース(2日)旋削加工で課題となる切りくず処理の考え方、工具損傷の原因と対策について学ぶ。<対象者>基礎コースを修了した人で切削加工作業に従事しており、被削材の基礎知識、転削工具の基礎知識、切削条件計算能力を有する人向け。<日程>・6月8日(中部TC)■難削材加工コース(1日)難削材加工の基本的な考え方と、実用的な加工を学ぶ。<対象者>基礎コースと応用コースを修了した人で切削加工作業従事者の人向け<日程>・7月24日(東日本TC)・8月3日(中部TC)●受講料コースごとに設定。▼お申し込み方法:下記WEBサイトより申し込むこと▼http://carbide.mmc.co.jp/solution/purpose/education/training/academy【所在地】東日本テクニカルセンター:埼玉県さいたま市大宮区北袋町1丁目297番地(加工技術センター内)中部テクニカルセンター:岐阜県安八郡神戸町横井1528-1(岐阜製作所内)

【告知】OKKが「東日本」、「中部・西日本」のプライベートショーをそれぞれ開催

 OKK(社長=宮島義嗣氏)が「東日本プライベートショー」を2月15日(木)~16日(金)まで、「中部・西日本プライベートショー」を3月1日(木)~2日(金)まで、それぞれ開催する。

東日本プライベートショー

 
 東日本プライベートショーの注目どころは、「IoTシステム」。日常点検にタブレットを活用、機械のQRコードを識別して点検プログラムを起動する。日常点検のデータがサーバーに記録、点検カ所のカメラ撮影を行うことでか空点検の抑制と故障予兆の記録が期待できるというIoTシステムによる保守支援や、古い機械も含めて工場全体の稼働状況も監視することで生産性効率アップを狙う仕組みだ。

 また、「WinGCM」の体験コーナーを開設。対話型NC自動プログラミング機能の優位性である双六画面方式の簡単操作を紹介する。分かりやすい案内図はNCプログラムを知らなくても簡単に加工プログラムを作成できるとして注目されている。スマホのような操作性もGood。

 他にも機械に実装されたセンサから得られる温度変化情報をもとに機械構造からなる立方体の変形を推定し、リアルタイムで加工点の変位を補正する環境熱変位補正“ソフトスケールCube”も要チェックだ。

●出展予定機種
・立形マシニングセンタ「43R」
・立形マシニングセンタ「VM53R」
・5軸制御立て形マシニングセンタ「VC-X500」
・立形マシニングセンタ「VC51」
・立形マシニングセンタ「VM660R」

《新NC N830搭載機》
・立形マシニングセンタ「VM76R」
・立形マシニングセンタ「VB53」

期間:2018年2月18日(木)10:00~17:00 → 16日(金)10:00~16:00
会場:OKK東京テクニカルセンター
(さいたま市北区日進町3-610)

中部・西日本プライベートショー

 こちらも東日本プライベートショーと同じく「IoTシステム」やプログラム支援技術が注目どころ。高能率加工を実現すべく、主軸ロードメータの値が一定になるよう自動的に送り速度オーバライドを制御する“高能率制御技術 ソフトAC”が過負荷による工具折損防止と切削効率の向上に役立つところを紹介してくれる。

 また、①OKKのものづくりへのこだわり、②ソフトスケールCube、③新アプリケーションなど――のセミナーも実施し、加工品質・加工能率向上のためのノウハウを知ることができる。加工実演も豊富にあり、得意の重切削加工でも生産効率アップにつながるデモも見所だ。工具・ホルダーメーカーなどの協賛メーカーも多数出展しているので、来場者のニーズに応えた加工現場を包括的に見学することができる。

●出展予定機種
・立形マシニングセンタ「VM43R」
・立形マシニングセンタ「VM53R」
・立形マシニングセンタ「VM660R」
・立形マシニングセンタ「VB53」
・グラインディングセンタ「GC53R」
・5軸制御立形マシニングセンタ「VC-X350」
・5軸制御立形マシニングセンタ「VC-X500」
・横形マシニングセンタ「MCH5000R」

期間:2018年3月1日(木)10:00~16:00 → 2日(金)10:00~16:00
会場:OKK猪名川製造所
(兵庫県伊丹市北伊丹8-10)

三菱マテリアルがヘッド交換式エンドミル「iMXエンドミルシリーズ」に曲面刃付きアイテムを追加発売

 三菱マテリアル 加工事業カンパニー(カンパニープレジデント=鶴巻二三男氏)は、ヘッド交換式エンドミル「iMXエンドミルシリーズ」のスクエアヘッドとラジアスヘッドに曲面刃付きアイテムを追加し、このほど販売を開始した。

 ヘッドとホルダの締結面を全て超硬製とすることで、ソリッド工具に近い剛性を発揮する「iMXエンドミルシリーズ」は、多彩なヘッド交換が可能で経済性に優れ、高精度・高剛性・高能率加工の実現により高い評価を博していることを受け、同社では、スクエアヘッドとラジアスヘッドに曲面刃付きアイテムを追加し、シリーズの拡充を図るとしている。

 刃長の後端側にRを設定した曲面刃により、複数回の側面加工(肩削り加工)時のパス間に発生する段差を低減することがスクエアヘッドとラジアスヘッドの曲面刃付きアイテムの主な特長となっている。

標準価格(いずれも税抜価格)
・IMX12S3HV12009  EP7020:11,800円
(代表型番)・IMX16S3A16012 ET2020:16,200円
・IMX20C4HV200R05020 EP7020:24,400円
・IMX25C12HV250R10025  EP7020:44,000円

日立建機がPATブレードでの3Dマシンコントロール機能を実現するミニショベルシステムを開発

3Dマシンコントロール PADブレードによる施行
3Dマシンコントロール PADブレードによる施行
 日立建機(社長=平野耕太郎氏)は、このほど運動場の施工および生活道路などの小規模舗装工事における整地などでの活用が期待されるPAT ブレード仕様機において、複雑な動きをするPAT ブレードの3D マシンコントロール機能を実現するミニショベルシステムを開発した。

 運動場の施工および生活道路などの小規模舗装工事における上層路盤の整地は、PAT ブレード仕様のミニショベルや、モータグレーダ、ブルドーザなどの建設機械を使用して施工されているが、その施工には、オペレーターの高い運転技術が必要である。今後、進んでいく日本国内の建設業就労者の減少に伴う熟練オペレーターの減少により、施工量をこなせなくなっていくことが、建設業界では大きな課題となっていることを受け、同社では今回、PAT ブレードの3D マシンコントロール機能を実現するミニショベルシステムを開発した。

 各測量機器メーカーのセンサやコントローラなどの機器を搭載することで、TS 基準局から得た機械の位置情報を基に、3 次元設計データに従ってPAT ブレードをリアルタイムで半自動制御し、施工目標面の仕上げにおいて、効率的な作業が可能となる。従来の建設現場で行われていた検測作業などの作業工程を削減するとともに、整地作業の効率化寄与する。

 今後は製品化に向けたさらなる機能向上と、クラウドと連携したソリューションの開発に取り組んでいくとしている。

PATブレードのチルト、アングル動作