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ロボット統計受注・生産・出荷実績(2016年10~12月期)

 ロボット工業会がまとめた2016年10~12月期のロボット統計受注・生産・出荷実績は次のとおり。受注(10~12月期) 受注台数は、対前年同期⽐+26.3%の43,453 台となり、5四半期連続でプラス成⻑。また、2016(平成28)年4〜6 ⽉期を超え、四半期ベースで過去最⾼値となった。受注額は、同+12.3%の1,468 億円と2四半期連続でプラス成⻑となった。(年間) 受注台数は、対前年⽐+13.4%の156,794 台となり、4年連続でプラス成⻑。また、前年を超え、年間ベースで過去最⾼値となった。受注額は、同+3.9%の5,661 億円と4年連続でプラス成⻑となった生産(10〜12 ⽉期) ⽣産台数は、対前年同期⽐+21.6%の40,139 台となり、14四半期連続でプラス成⻑。また、前期をさらに更新して、四半期ベースの過去最⾼値となった。⽣産額では、同+10.4%の1,375 億円となり(資料1)、2四半期連続でプラス成⻑となった。(年間) ⽣産台数は、対前年⽐+10.3%の152,702 台となり、3年連続でプラス成⻑。また、前年を超え、年間ベースで過去最⾼値となった。⽣産額は、同+2.7%の5,466 億円と3年連続でプラス成⻑となった。 昨年2016 年(会員+⾮会員)の年間⽣産額(出荷額)は、引き続き国内での需要増に加え、⽶国での更なる景気拡⼤と製造業回帰による堅調な伸び、中国での減速経済の中にあっても⾼い⾃動化投資意欲、さらに欧⽶におけるインダストリー4.0 などIoT を通じた産業⽤ロボットへの関⼼の⾼まりなどがあり、対前年⽐3%増の7,000 億円超となる⾒込みである。 当初は、7,500 億円を⽬標に据えてきたが、ロボット産業も円⾼など為替変動の影響を受け、ほぼ前年並みではあるが2007 年以来9年ぶりの7,000 億円台になることが⾒込まれる。 また、今年2017 年は、対前年⽐7%増の7,500 億円と過去最⾼値になる⾒通しである。現状のように為替が安定すれば、世界的な設備投資増加と⼈⼿不⾜の解消にロボット導⼊が不可⽋である状況からロボット需要は益々⾼まると⾒られる。出荷 国内は年間を通じて好調で、2016 年は100 億円を下回る出荷⽉はなく、23 ヶ⽉連続で100 億円を上回っている。それを⽀えているのが⾃動⾞産業向けで、電気機械産業向け需要の鈍化をカバーした。 海外市場は、欧州向けで伸び悩みが⾒られたが、堅調な⽶国向けと中国向けの回復によって、2016 年12 ⽉には年内3度⽬の輸出台数の過去最⾼値を更新した。(10〜12 ⽉期) 総出荷台数は、対前年同期⽐+20.8%の41,357 台と、14四半期連続のプラス成⻑となった。また、前期をさらに更新して、四半期ベースで過去最⾼値となった。 総出荷額では、同+11.6%の1,439 億円となり、2四半期連続でプラス成⻑となった。 国内出荷台数は、同+4.3%の8,565 台、国内出荷額は、同+4.6%の399 億円となり、ともに13四半期連続のプラス成⻑となった。 輸出台数は、同+26.0%の32,792 台となり、14四半期連続でプラス成⻑になるとともに、2016(平成28)年4〜6 ⽉期を超え、四半期ベースで過去最⾼値となった。また、輸出台数が初めて3 万台となった。 輸出額では、同+14.6%の1,040 億円となり、3四半期ぶりにプラスに転じた。(年間) 総出荷台数は、対前年⽐+9.5%の152,570 台と、前年をさらに更新して、年間ベースで過去最⾼値となった。総出荷額は、同+4.9%の5,546 億円となり、ともに3年連続でプラス成⻑となった。 国内出荷台数は、同+10.3%の35,815 台、国内出荷額では、同+9.7%の1,666 億円となり、ともに3年連続でプラス成⻑となった。 輸出台数は、同+9.2%の116,755 台となり、4年連続でプラス成⻑になるとともに、前年をさらに更新して、年間ベースで過去最⾼値となった。 輸出額では、同+3.0%の3,880 億円となり、3年連続でプラス成⻑になるとともに、前年をさらに更新して、年間ベースで過去最⾼値となった。国内出荷内訳(10〜12 ⽉期) ⾃動⾞産業向けは、対前年同期⽐+11.8%の3,083 台となり、5四半期連続でプラス成⻑となった。出荷額は、同+10.4%の134 億円となり、6四半期連続でプラス成⻑となった。 電気機械産業向けは、対前年同期⽐で、▲3.4%の3,083 台となり、出荷額は、同▲3.0%の121 億円で、ともに2四半期ぶりにマイナスに転じた。電⼦部品実装⽤や⼀般組⽴⽤が不調であった⼀⽅で、FPD ⽤と半導体⽤が伸⻑した。(年間) ⾃動⾞産業向けは、対前年⽐+25.8%の13,497 台、出荷額は、同+19.3%の569 億円となり、ともに3年連続でプラス成⻑となった。 電気機械産業向けは、同▲4.8%の9,823 台となり、3年ぶりにマイナスに転じた。出荷額は、同▲3.1%の485 億円で、2年ぶりにマイナスに転じた。電⼦部品実装⽤や⼀般組⽴⽤は年間を通じて伸び悩んだが、FPD ⽤と半導体⽤は好調に推移した。今年に⼊っても好調が継続すると⾒込まれる。輸出内訳(10〜12 ⽉期) 溶接⽤は、対前年同期⽐で▲5.7%の8,222 台となり、5四半期連続でマイナス成⻑となった。出荷額は、同▲9.5%の217 億円となり、4四半期連続でマイナス成⻑となった。中国向けは堅調であったが、欧⽶向けが伸び悩んだ。 電⼦部品実装⽤は、同+31.0%の2,092 台となり、2四半期連続でプラス成⻑となった。出荷額は、同+21.9%の330 億円となり、6四半期ぶりにプラスに転じた。電機向けの主要⽤途である電⼦部品実装⽤は、中国向け、欧⽶向けともに前年同期を上回った。(年間) 溶接⽤は、対前年⽐で▲2.7%の40,304 台となり、2 年連続でマイナス成⻑となった。出荷額は、同▲11.4%の820 億円となり、3年ぶりにマイナスに転じた。中国向けは堅調であったが、欧⽶向けはマイナスに転じた。 電⼦部品実装⽤は、同+3.3%の8,364 台、出荷額は、同+0.2%の1,324億円となり、ともに2 年ぶりにプラスに転じた。電機向けの主要⽤途である電⼦部品実装⽤は、中国、⽶国向けで前年を上回ったが、欧州向けは伸び悩んだ。 輸出は、⽶国が堅調に推移し、中国向けに回復感が⾒られた。また、2015 年まで好調であった欧州向けの需要が失速したが、2016 年後半になって回復の兆しが⾒られる。

「今年は昨年を上回る明るい兆し」日本工作機械工業会が賀詞交歓会を開く

 日本工作機械工業会(会長=花木義麿氏)が1月10日、都内のホテルニューオータニで賀詞交歓会を開催した。あいさつに立った花木会長は、「年初から原油価格の暴落、6月には英国のEU離脱決定により金融市場が大きく動揺し、円高が急激に進行した。11月の米国大統領選挙でトランプ氏が当選し、その後為替が大きく円安に転じるなど社会、経済、政治が激しく揺れた1年だった。ものづくりを巡る動きでは、世界各国においてIoT技術を高度に活用し、新たな生産体制を構築する取り組みが進んだ1年だった。この生産革新の動きが顕著に表れていたのが、昨年11月に開催したJIMTOF2016だった。出展各社からIoTを活用し、工場全体の生産を最適化したスマートファクトリー、高度な自動化、無人化やAIを搭載したスマートマシン、切削加工と積層造形加工を融合したハイブリッドマシン等々、高度なソリューションや製品が多数展示され国内外の来場者から大きな注目を集め、工作機械トップセミナーや国際工作機械技術者会議、企画展示など併催行事なども大きな成果を挙げることができた。来場者総数は過去最高を記録し、計14万7000人余となった。世界最高レベルの技術ショー、国際ショーとしてJIMTOFの存在感を示すことができた」と日工会の活動に触れたあと、昨年の工作機械の市況について、「内需はものづくり補助金や設備投資減税など政策の後押しもあり堅調に推移した。外需は中国の経済の停滞により設備投資が減速し、また、その他、アジア市場も停滞した。欧州市場は比較的底堅く推移したが、大市場の米国は前年比減少した。この結果、2016年の日工会受注額は、1兆2000億円台半ばになったと思われる。昨年8月に修正した受注見通しの1兆3000億円を幾分下回る見込みであるが、6年連続して1兆円を上回ることができた。厳しい経営環境ではあったが、一定の成果を残すことができ、世界における日本の工作機械のプレゼンスの高さが反映されたものだと評価をしている」と述べた。

 2017年の見通しについては、「本年の世界経済で注目されるのは米国の経済政策だと思われる。今月20日にトランプ新政権が始まるが、新大統領は国内のインフラ投資の拡大に注力する姿勢を打ち出している。しかし、TPPからの脱退も明言しており、環太平洋圏における経済連携の強化には不透明感が漂っている。ものづくりにおいては世界各国で生産革新が加速し、高付加価値が工作機械の高度なソリューションへのニーズは一段と高まると見込まれる。本年の経済環境に不透明感はあるが、総じて世界経済、日本経済は好転していくものと期待される。このような中、日本の工作機械は競争力を活かして受注を拡大していける環境が整ってきていると見ている」としたうえで、2017年の日工会受注額は、「2016年より10%ほど上回る1兆3500億円の見込み」とした。

 また、「世界各国でものづくりの革新が進む中、高付加価値マシン、高度なソリューションへのニーズは底堅いものがあるうえ、円安での投資マインドが引き上げられる。海外市場においても日本製品の価格競争力が高まっていくと見込まれる。国内では、ものづくり補助金や減税措置など投資促進策が継続され、市場喚起が期待される。米国においてはインフラ投資の拡大や規制緩和、減税期待などにより設備投資が回復に向かうと見込まれる。欧州では政策革新が精力的に進まれる中、日本のスマートマシン、スマートファクトリーの提案等、これにより昨年を上回る受注が見込まれると思う。アジアにおいても産業の高度化に向け、高付加価値マシンのニーズは底堅く推移すると見込まれる」と明るい見通しを示した。

「第四次産業革命の波に向かう前提条件が整った」

 続いて糟谷敏秀 経済産業省製造産業局長があいさつをした。挨拶の概要は次の通り。

 「賀詞交歓会の出席者数と景気と比例しているのではないかと思うときがあるが、景気は底堅く推移している表れではないかと期待を込めている。昨年の受注状況は対前年比で減少するということが続いたが、世界経済は全体的に緩やかな回復が期待されている。今年は経済の好転による世界的な需要拡大や円安により工作機械業界が上向いていくことを期待する。経済産業省としても設備投資を後押しするための補助金や税制による支援策を引き続き実行し内需を喚起していく所存である。昨年11月に開催されたJIMTOF2016で、限られた時間であったが拝見させてもらい非常に感銘を受けた。工作機械の高精度化、また、加工工程の集約化が進んでおり、1台の機械で切削も積層造形も合わせ行うとことをはじめとして、各社の技術力の素晴らしさを感じることができた。また、工具の出展も様々あり、切削工具ひとつとっても実に奥深く、具体的にお伺いすることができた。JIMTOFでは過去最多の来場者数を記録したとのことだが、まさにこれはわが国の工作機械業界の高い期待の表れではないか。今後の受注増にも必ずや貢献するものだと感じている。また、今回のJIMTOFでは、工作機械同士が繋がり、データのやりとりができる技術的基盤が整ったということを実感した。各社の先進的な取り組みを拝見し、第四次産業革命の波に向かう前提条件が整ったと感じた。他方、各調査によると、世界の工場内設備機器が約5800万台あるらしいが、このうちネットワークに繋がっているのが8%という結果を拝見した。今後は既存の機器を含めレトロフィットでさらに繋がる機械を増やしていくことが必要になる。また、単に繋がるだけではなく、繋がって共有することによって得られたデータをどうやって有効活用していくのか、ということが問われる年になるだろう。デジタル化の進展を背景に製品やサービスのライフサイクルが非常に短くなっている。世界中の先進的な企業は他社の後追いでは利益は上がらないので、ないものを生みだそう、見えないものを見よう、という全く新しいビジネスモデルを創り出すことにしのぎを削っている。こうした中で大切なのは、第一にスピードであり、第二に減点主義ではなく失敗を許容した試行錯誤であり、第三に競争と協調の使い分けである。言い換えれば協調領域の最大化であり、オープンイノベーションである。また第四時産業革命はデータに価値があるが、データを集める仕組みがまだまだ出来上がっていないというのが正直なところであろう。自社の製品を拡販するために、他社の製品と差別化して壁をつくって囲い込もうとする限り、なかなかデータを集約するという仕組みを構築するのは難しいのではないかと感じている。ものの販売という既存のビジネスモデルを時には否定してかからないとサービスソリューションから収益を上げる新しい大胆なビジネスモデルは生まれないのではないか。ぜひ皆様方にはこうした攻めの取り組みを果敢に進めていただきたいとお願いをしたい。また攻めと同時に重要な技術を守る産業安全保障やサイバーセキュリティへの対策、これには改めて万全を期していただきたい。繋がるとリスクは増えるので、サイバーセキュリティの対策をこれまで以上に本腰を入れていただけるとありがたいと思っている。経済産業省は第四時産業革命をチャンスに変えていくために工作機械に焦点を当てたインターフェースの協調領域の整備やセキュリティ対策に取り組んでいく。取り組みの成果は3月のハノーバで開催されるCeBIT(セビット)でなんらかの形で発表させていただきたいと考えている。引き続き、第四次産業革命への皆様方の取り組みの加速を全力を挙げてサポートする」。

【注目】小千谷の技能の高さに注目! 21人が国の技能士検定に合格 ~テクノ小千谷名匠塾~

「技術レベルが高水準のまま維持できる」ことが地域の強みと小千谷の魅力を説明。
「技術レベルが高水準のまま維持できる」ことが地域の強みと小千谷の魅力を説明。
 昨年、国の技能検定合格者が発表されたが、小千谷鉄工電子協同組合(理事長=木村敬知 第一測範製作所社長)からは34人が合格し、このうちの21名は同組合が運営しているテクノ小千谷名匠塾の出だ。しかも平成28年度前期技能競技大会受賞者(新潟県内)のトップ3はこの名匠塾が総ナメしたという快挙を成し遂げた。

 新潟県内でも小千谷市は特定分野で高いシェアと技術力を持つ企業が豊富であることが有名であり、特筆すべき点は、「小千谷の製造業はリーマンショックが起きる前も起きた後も現在も従業員数の変動がない」ことにある。これは、この地域が基礎体力のある優良企業が多いことを示しているに他ならない。

 団塊世代の退職や熟練技能者の減少により技術力の低下や技能の伝承が危ぶまれている現代において、これらの課題に対応する組織がテクノ小千谷名匠塾だが、この塾は小千谷地域の製造業界を将来牽引していく人材育成のための機関でもあり、現在、汎用旋盤、NC旋盤などの工作機械ごとに実技・学科を学び、国家技能士の資格習得を推奨している。今回の合格発表で設立してから現在までの技能士合格者数は145人となった。小千谷鉄工電子協同組合・事務局の櫻井貴将氏は、「技能士が増えて熟練技能者から後継者への技能継承がスムーズに行けば、小千谷の技術レベルが高水準のまま維持できることに繋がります」と地域の底力をアピールする。

 最近では産官学連携の「おぢや・しごと未来塾」が「おぢやモデル」として注目されているのも見逃せない。これは中学生に仕事をPRするという画期的な企画で、“鉄は熱いうちに打て”とのことわざにもあるとおり、人材育成への並々ならぬ熱意が伝わってくる。これらの取り組みについて櫻井氏は、「子どもたちには鉄工業界に限らず、仕事に対しての職業選択について早めに興味をもってもらいたいという木村理事長の思いもあって、地元企業の魅力を示して理解を深めようと努力をしています」と子ども達への情報発信も強化すると説明をしてくれた。

 超精密で厳しい品質管理を当たり前のように行い世界中から高い信頼を得ている企業が密集している小千谷地域の強みは、こうした人材育成の取り組みや情報交換を地域で行うことにある。各企業が競争意識を刺激しあうことで互いに切磋琢磨できる環境がこの地域にはあるのだ。櫻井氏は、「汎用品の生産が海外にシフトしている中でも、日本で頑張っている企業が小千谷に集中しています。知識と技術・技能を身につけ、継承していくことは、国際競争力に打ち勝つことにも繋がります」と話す。

 ところが、こうした元気の良い一方で、ちょっとした悩みもあるとのこと。
 「受講希望者が増加する反面、講師の数が足りないのです」と櫻井氏。現役で働いている熟練技術・技能者は日常の業務で多忙らしく、退職者などに声をかけて講師を確保している状態だ。櫻井氏は、「受講希望者を今以上に受け入れたいのですが、講師が足りず対応が困難な曲面もあり、加えて財政難もあります。現在、数値制御旋盤の人気も高いのですが、人数的に講師の対応ができない時があり、悩ましい限りです」とのこと。

 日本の技術が永続し伸びていくためのヒントがテクノ小千谷名匠塾にある。決して派手ではないが、こうした地道な活動は、日本の発展に大きく貢献しているといえよう。テクノ小地谷名匠塾から今年度もどれだけの技能士合格者が誕生するか楽しみだ。

「営業マンの教育活動に注力」日本工作機械販売協会が賀詞交歓会を開く

 日本工作機械販売協会(会長=冨田 薫氏)が1月10日、東京・港区の第一ホテル東京で新春賀詞交歓会を開催した。

 新年のあいさつに立った冨田会長は、「昨年から世の中が違った方向に動いているように感じる。イギリスのEU離脱、トランプ氏が1月20日に大統領に就任する等など、ポピュリズムや保護貿易主義が拡がりつつあるのが気になっている。工作機械の受注について今年は政府の様々な施策もあり、また円安やJIMTOF効果により日工販としては昨年以上の内需の数字を挙げていきたい。また、JIMTOFで拝見した新しい機械についての感想だが、自動車部品加工のモジュラーマシンが非常に格好良くいい機械が出来たと感じた。また低価格の5軸、複合加工機が出ており、これが普及するのではないか。大型の航空機加工の高速マシニングセンタも良い方向にいくように思った。金属の3Dプリンタと組み合わせたハイブリッドマシンも大変面白く、また、ギア加工のスカイビングは今後楽しみである」と述べ、日工販の今後の活動については、教育の活動に触れた。その中で冨田会長は「IoTで販売がインターネット化されると無味乾燥な人間はいらなくなる。われわれとしてはお客様に提案力や問題の解決力を備えた営業マン育成の一助になれば、と教育活動に注力し、お客様と心のこもった付き合いができるような営業マンを育てていきたい。また、メーカーの方々とは工場見学会や新製品等の情報交換を行う」として、絆を強めたい旨を示した。

 続いて、片岡隆一 経済産業省製造産業局産業機械課長が、「昨年に引き続き経済の好循環を固める年になることを祈念したい。現在、英国の話から米国、ロシア、と思わぬところでリスクになりかねない、市場を大きく揺るがしかねない様々な話があるが、米国で新しく大統領になられる方の掲げられるマクロ経済政策のお陰で、為替の影響等もあり、皆様方にとって外国での需要という意味では決して悪い事でもない。昨年の秋に開催されたシカゴでのIMTSに出展された皆様の話によると、熱気を感じることができた、と聞いた。また11月にはJIMTOFもあり、国内外の多数のメーカーが出展され、IoTを見据えた新しい機械、例えば3Dプリンタとのハイブリッドマシンや、繋がった上で機械制御をしっかり行っていくという取り組みを多数拝見することができた。皆様方の努力がIoT時代を切り開く原動力だと思っている」とあいさつした。

 花木義麿 日本工作機械工業会 会長があいさつをした。この中で花木会長は、「昨年の工作機械を取り巻く環境は、年初早々から原油価格が暴落し、また、6月には英国のEU離脱問題もあり金融市場が大きく揺れた。こうしたことから急速に円高が進んだこともあった。しかし、11月にトランプ新大統領が決定されたことにより、一転して円安が進んできたことから、昨年はまさに世界の政治、経済、社会が激動した年だった。工作機械業界はこうした厳しい経済状態の中で1年を通じて月あたり1000億円台で推移していた。これで6年連続して1兆円を超えており、これも日工販の皆様の多大なるご支援のお陰だと感謝申し上げる次第である。本年の見通しは、トランプ新政権が誕生する米国をはじめとして世界経済には不透明感があるが、本年も受注を伸ばしていけるのではないか、と思っている。ものづくりの世界ではドイツのインダストリー4.0等、生産革新が世界で進められている中にあって、優れた付加価値の高い工作機械や高度なソリューションといったニーズはますます強まってくる。日本においては円安を背景として製造業における製品競争力が高まると思っている。こうしたことから製造業における投資マインドも高まってくることに加え、政府のものづくり補助金や減税措置等で需要が喚起されてくるだろう」と明るい見通しを示した。

 乾杯の発声を中川貴夫 日本工作機械輸入協会 会長が行った。宴もたけなわの頃、散会した。

「初心に戻って日本を学ぶ研鑽を」日工作機械輸入協会が賀詞交歓会を開く

 日本工作機械輸入協会(会長=中川貴夫氏)が1月11日、都内の第一ホテル東京で賀詞交歓会を開催した。

 中川会長は、「輸入工作機械は日本の近代化や工業化の基盤を成すものであり、当工業会はこの発展と推進において貢献してきた。今後もグローバル時代における日本人のものづくりを支えるため、一層の努力をしていく所存である」とあいさつをしたあと2016年の工作機械輸入通関実績について触れた。中川会長は、「昨年の工作機械の輸入通関実績は約950億円となった。一昨年の1100億円から約14%減となった。この理由は為替が円高に振れたこと、大手輸出型の企業が設備投資を躊躇したことが推測される。昨年11月に開催されたJIMTOF2016では、14万7000人を超える来場者を迎え、JIMTOF史上もっともグローバル化された展示会となった。今後はこれを足がかりとした営業活動に邁進されることを期待する。今年は9月18日から23日までの6日間、ドイツハノーバにおいてEMOが開催される。激動の国際政治情勢の中、予測がつかない年となりそうだが、好転することを期待して当協会では恒例の視察ミッションを予定している。私ども貿易商は海外パートナーとの関係において信用に次いで重要なことは日本らしい、ということである。自国のことを知らない貿易商は相手から見て、なんの魅力もない。当協会では初心に戻って日本を学ぶ研鑽をしていきたいと年頭に思うところである」と述べた。

 来賓を代表して片岡隆一 経済産業省製造産業局産業機械課長が、「工作機械は日本のものづくりや、第四次産業革命を根底で支える非常に重要なものである。この工業会は60年を超える長い歴史を刻まれているが、工作機械というと元は輸入から始まったと感じている。輸入される工作機械をみると、経済発展あるいは技術の革新はもちろんのこと、日本の工作機械メーカーの発展に応じて変わってきているとは思うが、工作機械が輸入されるということは、国内で製造する方々のつくっているものでは足りない部分が補われるということかと思われる。補われることによってますます日本の製造業の多様性や競争力の強化に大きく貢献されている。まさに長年の輸入の拡大、貿易を通じた各国相互関係の増進に寄与されており、改めて協会の皆様のご尽力に経緯を表する所存である」とあいさつをした。

 乾杯の発声はHolger Wittichドイツ機械工業連盟 日本代表事務所代表が行った。宴もたけなわの頃、散会した。

「i-Constructionで業界共通課題の解決に努めていく」日本建設機械工業会が賀詞交歓会を開く

 日本建設機械工業会(会長=辻本雄一氏)が1月11日、都内のグランドハイアット東京で賀詞交歓会を開催した。あいさつに立った辻本会長は、「昨年は様々な出来事があった。UKがEUから脱したり、米国では次期大統領が決まったりと、そのたびに為替が大きく振れた。まだまだ厳しい状態が続いているが、インド、中国、東南アジアでは回復の兆しが見られ、明かりが現時点では見えてきたのではないかと感じている。こうした中、昨年は国内外で多数の自然災害が発生し、各地で大きな被害が出た。被災地の復興においては、機械の供給や保守・メンテナンス等様々な役割が期待されている。われわれも社会基盤の維持や整備への貢献を最優先に対応していく。今年も米国の新政権の動向等先行き不透明な状況は続くと予想されているが、われわれ業界を取り巻く環境も変化していくものと考える。このような中、当工業会では持続可能な社会の実現に向け、環境、省エネルギー、安全といった社会的要請に積極的に取り組むとともに情報通信技術をはじめとする様々な最新技術の導入を推進し、より高品質で利便性の高い製品やサービスの提供につとめ、ひいては安心・安全な建設施工に貢献していく。特に昨年度からは国交省を中心として推進しているi-Construction(アイ コントラクション)に関して建設機械メーカーの立場から普及促進に際して業界共通課題の解決に努めていく所存である」と述べた。

 続いて来賓を代表して、糟谷敏秀 経済産業省製造産業局長が、「世界経済は緩やかに回復をしていくと考えており、住宅の着工やインフラ投資の増加を通じて建設機械の需要が上向いて欲しいと強く思っている。建設機械業界は担い手の高齢化や人口減少に伴う労働人口の不足が課題となっているが、そうした状況の中、生産性向上によってこうした課題を乗り越えていくということが大事である。建設機械業界においては従来からi-Construction等ITを活用した建設機械の高度化に取り組んでいただいている。昨年国交省で直轄の公共事業について自主方針を定められたことを受けてi-Constructionの市場拡大が今後さらに加速していくのではないか、と期待している」とあいさつをした。

「足元の経済状況は悪くない」NaITOが賀詞交歓会を開く

 NaITO(社長=坂井俊司氏)が1月6日、東京・京王プラザホテルで新春賀詞交歓会を開催した。

 新年のあいさつに立った坂井社長は、「今年のスタートは昨年末からの円安、株高の曲面で迎えることができた。昨年より少し明るい状況ではないかと思っている。1月20日の米国トランプ次期大統領就任後の外交や通商に不安はあるが少なくとも足元の経済状況は悪くない。米国国内の製造業を回帰させよう、産業構造を変えて雇用を創出する動きは米国の景気の上昇、ひいては世界経済に良い影響を与えるのではないか。こうした状況の中で弊社は中期経営計画“信鮮力2016”を終えようとしている。今年からは新たに2020年までの4年間の中期経営計画を策定中である。」とあいさつし、今後のビジネススタンスについてスライドを見せながら説明をした。

 それによると第三四半期の損益状況は、売上高前年同期比▲0.9%の324億2200万円、経常利益は▲14.4%の5億3400万円となった。通期業績予想は売上げ高431億円、経常利益6億9000万円としている。

 2014年度の活動報告の中で、坂井社長は、専門力の強化を挙げ、商品知識、レスポンス、対応面で独自の特長を持ち、取引先の信頼を得た。具体的には①専門販売員研修、商品知識研修の実施、②専門力発揮の場として商品セミナーを積極展開、③産業用多関節ロボットのデモ機を購入、得意先の展示会、ユーザーでの実演PRを実施した。また、地域密着、対面営業についても、市場に基づいた提案、きめ細やかなサービスを提供した。また、情報発信機能の強化についても“バリ新戦力(信鮮力)”未来のヒントはここにある”をテーマにJIMTOFへ出展したことを報告した。
海外展開については、海外岡谷鋼機メカトロ部との協業について、岡谷USAへ出張ベースでセールスを派遣した。(備はメカトロ部、消耗品はNaITOが受注)。海外拠点(インドネシア)への社員が出向し、インド・インドネシア地域では新規顧客の開拓に注力した。また、支店長の短期海外研修も行った。
 
 2017年度方針として、①専門力強化、②地域密着、対面営業、③情報発信機能の強化、④積極的な海外展開を挙げた。

 石井 健 京セラ 取締役機械工具事業本部長が乾杯の発声を行い、宴もたけなわの頃、散会した。

DMG森精機が創業地・本店所在地の奈良大和郡山市で「DMG MORIやまと郡山城ホールのオープニングセレモニー」を開催

 DMG森精機(社長=森雅彦氏)が、ネーミングライツを取得した「やまと郡山城ホール」が、本年1月1日より「DMG MORIやまと郡山城ホール」として名称が新しくなったことを記念し、1月5日にオープニングセレモニーに出席した。

 玉井宏明DMG森精機 副社長と佐藤壽雄 同常勤監査役、上田清 大和郡山市長、遊田直秋 大和郡山市議会議長の4名によるテープカットが行われた。

 上田市長は、「市民一人一人が舞台に立てるホールとして、今後もパートナーであるDMG森精機と協力し、上質な文化を発信していきたい。また、提言を受けている美しい街づくりについても推進したい」とあいさつをした。郡山南幼稚園の園児によるお祝いの演奏が披露されるなど、地域の方に親しまれているホールであることを象徴するオープニングセレモニーとなった。

 同社では、「今回のネーミングライツ取得により、DMG MORIやまと郡山城ホール設備の維持・向上の一助となり、さらに地域の方に愛され、さまざまな文化が発信されることを期待しております。今後もDMG森精機は、地域社会への貢献および連携を継続してまいります」としている。

◆ネーミングライツ概要

愛称 : DMG MORI やまと郡山城ホール
金額 : 合計100,000,000円 (年額 10,000,000円)
期間 : 2017年1月 1日から10年間
経緯 : DMG森精機は1948年(当時:株式会社森精機製作所)に、大和郡山市に創業。奈良第1工場やグローバルパーツセンタなどの重要拠点を配置し、約600名で事業を行う。奈良県及び大和郡山市で、地域との連携を深め貢献していきたいとの考えから、今回のネーミングライツ取得に至る。

不二越新社長に薄田賢二氏が内定

 不二越(社長=本間博夫氏)が、このほど開催した取締役会で薄田賢二常務の社長昇任を内定した。2月22日開催の定時株主総会後の取締役会で正式に決定する予定。

薄田賢二(すすきだけんじ)氏

 昭和30年1月生まれ。
 同52年4月 不二越入社、平成17年7月 経営企画部長、同22年2月取締役経営企画部長、同26年2月 常務取締役経営企画部長 コンプライアンス推進担当 法務担当。

タンガロイが超多刃PCDフライスカッタ「TungSpeed-Mill」(タングスピード・ミル)を新発売

 タンガロイ(社長=木下聡氏)は、このほど、多結晶焼結体ダイヤモンド(PCD)インサートを使用した超多刃フライスカッタ、“TungSpeed-Mill”(タングスピード・ミル)の発売を開始した。

 縦置きインサートを採用した超多刃PCDフライスカッタ「TungSpeed-Mill」は、超多刃のカッタである。インサートは、カッタの径方向からネジによってクランプされる設計であり、従来の仕様に比べインサート座がコンパクトとなることから、カッタの超多刃化を可能にした。そのため、非常に高いテーブル送り速度で加工が可能であり、同社が提唱する、「倍速切削」を実現する工具の一つである。

 インサートは、1コーナタイプ、2コーナタイプ、長切れ刃タイプの3種類を標準設定し、非鉄金属の粗加工から仕上げまで幅広く対応する。

 ボディには、正面振れ調整機構が組み込まれており、優れた加工面を実現する。工具径の標準ラインナップは、シャンクタイプがφ25mmとφ32mm、ボアタイプがφ50~φ125mmが設定されている。また、アーバ一体型等の特殊形状カッタも製作可能である。

特長
① 超多刃仕様のPCDカッタで、非鉄金属の高能率加工に最適。
② ボディには軸方向の振れ調整機構が組み込まれており、仕上げ加工にも対応。
③ 多様なインサート形状を標準設定しており、多様な用途に対応。
④ アルミと鋼のハイブリット設計でボディの軽量化を実現。

主な形番と標準価格
■ボディ
・TPYP12M063B22.0R1071,000円(税込み76,680円)
・TPYP12J100B31.7R16154,600円(税込み166,968円)

■インサート
・YPEB12X3-1A01R-DDX1608,030円(税込み8,673円)
・YPEB12X3-2A01R-DDX16013,200円(税込み14,256円)
・YPEB12X3-FP02R-DDX16011,800円(税込み12,744円)
 全アイテム:ボディ10形番インサート11形番