ニュース
DMG森精機が国内テクニカルセンタを移転・新設
DMG森精機は、このほど関西地区における国内テクニカルセンタ(TC)を移転・新設した。これまで3ヶ所に開設していたテクニカルセンタを、6ヶ所へ拡充することにより、営業及びサービス担当者の移動時間を削減し顧客対応をさらに迅速化する。
各テクニカルセンタの住所は以下のとおり。
■大阪テクニカルセンタ
住所:〒550-0013
大阪府大阪市西区新町1丁目13-3 四ツ橋KFビル 4階
TEL:06-6534-5060 / 06-6534-5061
FAX:06-6534-5062
■奈良テクニカルセンタ
住所:〒639-1183
奈良県大和郡山市井戸野町362番地 DMG森精機(株)奈良事業所内
TEL:0743-53-2191
FAX:0743-53-1735
■京都テクニカルセンタ
住所:〒600-8216
京都市下京区西洞院通り塩小路上ル東塩小路町608番地9 日本生命京都三哲ビル 5階
TEL:075-354-8271
FAX:075-351-5161
■滋賀テクニカルセンタ
住所:〒522-0073
滋賀県彦根市旭町1番24号 TANAKA BLDG 2nd 2階
TEL:0749-26-8700
FAX:0749-26-8701
■姫路テクニカルセンタ
住所:〒670-0961
兵庫県姫路市南畝町2丁目53番 ネオフィス姫路南 3階
TEL:079-226-2815
FAX:079-284-1500
神戸テクニカルセンタ
住所:〒650-0032
兵庫県神戸市中央区伊藤町119 三井生命神戸三宮ビル 9階
TEL:078-392-0315
FAX:078-392-0136
「NaITOならではの専門性を磨く」NaITOが新年賀詞交歓会を開催
NaITO(社長=南雲文彦氏)が1月7日、東京・京王プラザホテルで新春賀詞交歓会を開催した。
新年のあいさつに立った南雲社長は、「昨年設立60周年を迎え、多くの仕入れ先様のご協力のもと謝恩セールを実施し、およそ200社のお得意様先とより深い関係を築き上げることができました。また、現在、情報発信機能を目的として、省エネ環境や物流をテーマにしたパンフレットを作成して全国の販売店様へPRを行っているところです。昨年は計測分野を育成する第一歩として専門部隊を立ち上げました。海外展開については、新たに中国の上海に藤中工具を合弁で設立しました。インドネシアについては長期出張対応で現地調査を含む営業活動を展開しています。価格だけの商売は続かない。独自の特長を多く持つことが必要で商品知識、レスポンスなど、NaITOならではの専門性を磨いて特長的な展開をしていきたいと思います」とあいさつした。
続いて田中啓一日立ツール社長が、「学生が欧米の学校に行くようになりました。ところが9割以上が海外の大学を卒業しても日本の企業に就職する。アジアの中で自国に戻ってくる数が多いのは日本人と聞きました。これは良い意味で日本の特長でありましょう。ところが別の見方をすると、海外との交渉ごとでは現地の経験がものをいいます。グローバル化を目指す企業としては、人材問題を真剣に取り上げ、この日本が世界で勝負できるような人材育成も必要かと考えています」と述べ、乾杯の発声を行った。
コマツが中型ハイブリッド油圧ショベル「HB205LC/HB215(LC)-2」を新発売
コマツ(社長=大橋徹二氏)は、2013 年10 月から販売しているオフロード法2011 年基準に適合した中型ハイブリッド油圧ショベルHB205-2 型の系列拡大としてHB205LC/HB215/HB215LC-2型の3 機種をこのほど発売した。これまでは標準機にしかなかった砕石現場や砂利採取作業などのハードな現場に最適な+10 仕様であるHB215(LC)-2 を新たにラインナップに加えるとともに、HB205LC-2 は従来価格を据え置く。ユーザーに選択する幅を拡げることで、国内累計導入台数1000 台を超えたコマツハイブリッド油圧ショベルの更なる普及促進を目指しとしている。
新発売のHB205LC/HB215/HB215LC-2 は、NOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質)の排出量を大幅に低減し、日本(特定特殊自動車排出ガス2011 年基準)・北米(EPA Tier4 Interim)・欧州(EU Stage3B)の排出ガス規制をクリアした新世代エンジンを新たに搭載している。加えて、機体のメインバルブ・油圧回路のロス低減、大容量高効率油圧ポンプや高効率作動油の採用等を行い、燃料消費量を当社従来機に比べ5%低減した。また、落下防止用ハンドレールの新採用により、点検・整備中の落下を防ぐとともに、新採用のID キーにより機械の盗難リスクを軽減し、安全性を高めている。械モニタには鮮明で見やすい高精彩7 インチLCD モニタを採用し、エコガイダンス等の表示により省エネ運転のサポートも行う。
さらに新車購入時に自動的に付帯される、国内で初めてパワーラインの保証延長と無償メンテナンスを取り入れた、新たなサービスプログラム「KOMATSU CARE(コマツ・ケア)」の提供により、トータルライフサイクルコストの低減と長時間稼働に貢献する。
12月分工作機械受注総額は1077.4億円 日工会
日本工作機械工業会がまとめた12月分の受注実績は以下の通り。2013年月12月分工作機械受注総額は、1077.4億円(前月比+5.9%・前年同月比+28.1%)となった。受注総額は外需の増加が寄与し、4カ月連続の1000億円超。2013年最高額で前年同月比は3カ月連続の増加と回復が継続。外需は今月の増加要因を除いても、概ね緩やかな回復基調。内需も一服感がみられたが、回復傾向は継続。今後は海外経済や国内の各種政策、消費税前後の動きを注視。【12月分内需】367.2億円(前月比△11.7% 前年同月比+41.8%)。■内需総額・前月比2カ月ぶり減少、前年同月比6カ月連続増加。・2カ月ぶりの400億円割れだが、5カ月連続で350億円超と堅調。・回復のすそ野が広がりつつある中、着実な回復の動きが継続。① 一般機械 149.4億円(前月比△12.9% 前年同月比+52.1%) うち金型 23.4億円(前月比△16.4% 前年同月比+63.5%)② 自動車 116.1億円(前月比△14.5% 前年同月比+63.5%) うち部品 81.7億円(前月比△18.5% 前年同月比+41.9%)③ 電気・精密 32.2億円(前月比+3.4% 前年同月比+52.0%)④ 航空機・造船・搬送用機械 17.0億円(前月比△35.2% 前年同月比△5.9%) 【12月分外需】710.2億円(前月比+18.1% 前年同月比+22.0%)。■外需総額・前月比は2カ月ぶりの減少だが、15カ月ぶりの700億円超。・前年同月比は2カ月連続の増加。・アジアでスポット受注が見られたほか、主要3極全てで前月比増加。① アジア:322.2億円(前月比+38.2% 前年同月比+19.5%)・東アジア:249.4億円(前月比+53.0% 前年同月比+26.3%)〈中国〉:206.9億円(前月比+53.0% 前年同月比+31.9%)・その他アジア:72.7億円(前月比+3.7% 前年同月比+0.8%)〈タ イ〉:33.7億円(前月比+29.2% 前年同月比+33.0%)〈インド〉:14.6億円(前月比△19.4% 前年同月比+13.7%)② 欧州:145.2億円(前月比+7.8% 前年同月比+37.1%)〈ドイツ〉:41.6億円(前月比△8.7% 前年同月比+106.1%)③ 北米:224.7億円(前月比+0.1% 前年同月比+16.3%)〈アメリカ〉:198.0億円(前月比+5.4% 前年同月比+19.8%)
11月分超硬工具主要統計
超硬工具協会がまとめた11月分超硬工具主要統計は以下の通り。【超硬合金重量】450トン(前年比104.2)。【超硬工具生産額】切削工具189億1500万円(前年比111.2)、耐摩工具30億3800万円(同97.4)、鉱山土木工具7億2400万円(同113.7)、その他工具4億1500万円(同94.1)、焼結体・工具18億6800万円(同114.7)、合計249億6000万円(同109.3)。【輸出入】輸出88億7200万円(前年比134.8)、輸入46億6900万円(同119.5)。【超硬工具出荷額】切削工具201億2900万円(前年比120.6)、耐摩工具29億9100万円(同98.1)、鉱山土木工具7億7000万円(同110.3)、その他工具3億9500万円(同108.8)、焼結体・工具22億100万円(同130.5)、合計264億8600万円(同117.7)。【刃先交換チップ】生産2584万2000個(前年比103.6)、出荷2735万7000個(同120.5)。
年頭所感(経済産業省製造産業局産業機械課/日本機械工業連合会/日本産業機械工業会)
「果敢にチャレンジする企業を応援」
●経済産業省製造産業局 産業機械課長 須藤 治
平成26年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
昨年末、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略のアベノミクスの「三本の矢」により、我が国経済は着実に回復しつつあります。本年は、こうした動きを確実な成長軌道へつなげていくために「民間投資を喚起する成長戦略」を推し進め、長期にわたる低迷から復活に向けて歩み始めた我が国製造業の振興を強力に進めたいと思います。
昨年12月に成立した産業競争力強化法には、成長戦略の確実な実行を図るため、企業の技術力や創意工夫を生かした新たな規制改革の道筋を創設する「企業実証特例制度」や「グレーゾーン解消制度」、事業再編の促進等の諸制度が盛り込まれています。また、民間投資活性化等のための税制として「生産性向上設備投資促進税制」の創設、「中小企業投資促進税制」の拡充を措置いたしました。
本年4月には消費税率引き上げが予定されており、増税後の反動減も懸念されているところですが、こうした影響によって景気の腰折れやデフレ脱却に向けたチャンスを逃してはなりません。そのため、上記の各種支援策を講じて国内景気の下支えや、果敢にチャレンジする企業を応援してまいります。
また、アジアを中心とする新興国の成長を取り込み、日本の優れた技術を世界に提供していくことも重要な課題です。そのため、最先端のインフラシステム輸出や国内外の企業の連携等による海外展開を後押しすべく、関係部署とも連携しながら、トップセールスや海外進出のための環境整備等を積極的に実施してまいります。
一方、中長期的な視点に立つと、我が国は高齢化や労働力人口の減少、エネルギー供給不安といった諸課題に囲まれており、課題先進国であるという状況に変わりはありません。こうした中、世界中の国々は、日本が如何に対処するのか注目をしています。そのため、今後ともこういった課題を解決していくと同時に、新しいビジネスをいかに創出していくのかということが益々求められています。
その一例として、昨年6月に閣議決定された日本再興戦略には、当課が厚生労働省とともに進めている「ロボット介護機器開発5カ年計画」が盛り込まれています。今や団塊の世代が65歳以上となり、今後10年間で日本の総人口に占める高齢者の割合は30%に達します。そのため、介護を巡る様々な課題に対して有効な手段を講じていくことが急務となっています。今後こうした課題解決の一端をロボット技術が担うとともに、関連するロボット産業がさらに発展するよう、各種施策を実施してまいります。
産業機械課は、これからも皆さんの生の声を聞き、それを産業政策に反映させていきたいと思いますので、良いアイディアやお困り事があったら、気軽にお声を掛けてください。
最後になりましたが本年が皆様方にとって更なる飛躍の年となりますよう祈念いたしまして、新年の挨拶と代えさせていただきます。
「今年は正念場の年」
●日本機械工業連合会 会長 岡村 正
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様におかれましては、お気持ちも新たに新年を迎えられたことと存じます。
年頭にあたり、平素より日本機械工業連合会にお寄せ頂いております暖かいご協力とご支援に対し、心より御礼申し上げます。
さて、第2次安倍政権が誕生して1年が過ぎましたが、アベノミクスによる円安や株高、財政出動、さらに米国を中心とする世界経済の回復もあって、我が国経済は漸く立ち直り始めております。昨年7-9月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は、4四半期連続してプラスとなり、今後も成長率の回復が予想されています。企業業績は改善傾向にあり、有効求人倍率は増加し、鉱工業生産や個人消費も堅調に推移しております。今後はこの景気回復の動きを如何に民需主導の持続的な回復へと繋げていくかが重要であります。
過去20年間、幾度となく経済対策や構造改革が行われてきたにも拘わらず、デフレの重圧から脱却できず、閉塞感に包まれてきた我が国経済に漸く薄日が差してまいりました。我が国を巡る社会経済環境には今なお課題が山積しておりますが、アベノミクスで世界が注目するこの時期を逃すことなく、政府、企業、国民が一丸となり、諸課題の解決に全力で取り組み、我が国経済を快晴へと導くための一歩とせねばなりません。その意味で今年は正に正念場の年になると言えましょう。
とりわけ政府の役割は重要です。喫緊には13年度補正予算等により切れ目のない公共投資で景気を下支えしていただく必要があります。また、「成長戦略」に盛り込まれた政策を早期に、確実に実行していただくことが大変重要です。規制緩和や企業支援等の効果により産業活動が活発化して景気回復が更に拡大し、雇用や消費の拡大という経済の好循環に繋がります。
少子高齢化が進展する中、社会保障費は増加を続け、国の借金は1,000兆円を超えており、持続可能な社会保障制度の構築と中長期的な財政健全化の早期実現も欠かすことができません。その一環として今年4月より実施される消費増税は国民に負担を課すものでありますが、政府には国民の理解を得られるよう、皆が安心できる社会システムを可能な限り早期に構築していただく必要があります。
ここ20年間、我が国の事業環境は欧米や新興国に比べて相対的に劣化してきた感がありますが、最近に至って円高の是正、FTA、TPPなど自由貿易協定交渉の推進、経済成長と両立できる温室効果ガス削減目標の再設定など、事業環境改善のための努力が積極的になされております。今後は、法人実効税率の引き下げや研究開発支援の拡大など税制改正、原子力発電所の再稼働も含めた電力供給の安定化、優秀な人材育成への取組みなど、国際水準の事業環境の整備に向けて、更なる実行をお願いしたいと存じます。
勿論、東日本大震災からの復興は最優先の課題であります。震災発生から1,000日が過ぎましたが、未だに復興途上の地域や企業は少なくないと聞いており、被災地の復興に向けて可能な限りの対応策が講じられることが必要です。
我々機械工業界では厳しい経営環境が長らく続いてまいりましたが、イノベーションや合理化など懸命な企業努力に加え、産業政策の後押し効果もあって、漸く業績改善傾向が出てまいりました。今後も緩むことなくイノベーションを進め、新技術開発、付加価値創出、生産性向上に努めることにより企業体質を強化していかねばなりません。また、メーカーの知見やシーズを活かして新たな需要を創出するとともに、変化する市場の需要動向を的確に捉えて成長分野を取り込むなど自らの構造改革が進めることも必要と考えます。
機械工業界としては、我が国産業の中核としての意識をもって、この大事な時機に政府の折角の施策を生かしつつ、今後の日本経済の繁栄の礎を再構築していこうではありませんか。
日本機械工業連合会では、我が国機械工業の競争力を維持、発展させていくための課題に鋭意取り組んでおります。本年も、技術の流出防止や世界製造業のパラダイムシフトへの対応調査、理数系グローバル人材の育成・教育調査、機械の安全対策や標準化調査等に加えて、産業用省エネ機器や先進ロボット等の表彰など、会員各位の企業経営にとって密接な事業に取り組むとともに、税制面での改善方策など機械業界の事業環境改善に向けた要望や政策提言などを行って参ります。また、会員講演会、セミナー、シンポジウム等を適宜適切なテーマを選択して開催し、機械業界への最新情報の提供に務める所存です。
昨年は我が国経済の回復とともに、会員各位の事業環境にも漸く改善の兆しが見られ始めと思われ、更なる景気の回復を期待し、気持ちも新たに今年をお迎えのことと存じます。
日本機械工業連合会は、新たな時代に求められるニーズに対応し、皆様と産業界の利益のために誠心誠意努力を続けたいと存じます。
皆様の一層のご活躍とご健康を心から祈念申し上げます。
「日本企業の生産性向上を目指すために」
●日本産業機械工業会 会長 佃 和夫
平成26年を迎えるに当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、歴史的な円高の是正、株価の上昇、企業収益の改善等、アベノミクス効果等により経済環境は大きく改善されましたが、設備投資に力強さが見られない等製造業の回復の勢いは弱い状態にあったため、景気の方は緩やかな回復に留まりました。一方で、TPP交渉への参加や2020年の夏季オリンピック・パラリンピック招致決定等は、経済の先行きに対する期待感を高めました。
我々産業機械業界の平成25年度上期の受注は、受注総額がリーマン・ショック前の7割弱という水準ですが、ようやく明るさが見え始めました。内需は製造業からの需要に力強さを欠いたものの、非製造業と官公需が牽引する形となり、2年ぶりに前年を上回りました。また、外需も主力のアジアに加え、中東、北米、ロシア東欧からの受注が増加したことにより、2年ぶりにプラスへ転じました。
さて、今年の経済環境については、国内では4月の消費税率8%への引き上げに伴う成長率の鈍化が懸念されますが、産業競争力強化法や5.5兆円規模の経済対策等により、引き続き緩やかな景気回復が続くものと期待されます。また、明確でなかったエネルギー政策については、原子力発電を重要なベース電源と位置づける等、成長戦略との整合性が図られ、今後の経済活動の安定化に繋がるものと思われます。
一方、海外については、内閣府が昨年12月に発表された「世界経済の潮流」によりますと、世界のGDP成長率が昨年の2%台半ばから今年は3%程度へ伸びると予測されております。
こうした中、わが国が景気回復を本格化させ、デフレ脱却を確実なものにできるかどうかは、この1年が正念場になると思われます。景気は回復しつつありますが、財政対策に依存するばかりでなく、日本経済を自律的で安定的な成長軌道に乗せていくためには、民需が主導する回復基調に繋げていく必要があります。特に、製造業の競争力強化は今年の最重要課題であり、設備投資や事業再編に関する税制優遇等、わが国産業の活性化に資する支援策が盛り込まれた昨年末の経済対策等を有効に活用し、我々民間が機動的な設備投資や構造改革等に取り組むことが益々重要になっております。
また、日本経済がグローバル化のメリットを活かして持続的な成長を実現していくためには、TPPを始めとする経済連携の推進、イノベーションの強化、企業の持つ強みの組み合わせ等によって、わが国産業の競争力を高め、世界市場の競争環境の変化にも柔軟に対応していく必要があります。
このため、我々産業機械業界も、東日本大震災により被災された地域の経済社会の再生に引き続き取り組むと共に、高水準で付加価値の高い技術や製品の提供により、日本企業の生産性の更なる向上、社会インフラの整備、国際競争力の強化に取り組んでいく所存です。併せて、ニーズの高まるエネルギー・環境分野の技術に磨きをかけ、地球規模でのエネルギー問題への対応や二酸化炭素の排出量削減等に貢献して参ります。
政府におかれましては、TPP等の経済連携、法人実効税率の引き下げ、規制緩和等を一層強力に推進していただきたいと思います。
同時に、わが国企業の活力を発揮させるため、新興諸国を中心に急拡大する社会インフラ市場の開拓や中小製造業の海外ビジネス活動の支援等、国際展開戦略を着実に実施していただくことを期待しております。
年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますと共に、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
年頭所感(日本工作機械工業会/日本工作機器工業会/日本精密機械工業会)
「“産学官連携”の強化と“標準化戦略”の強化に注力」
●日本工作機械工業会 会長 花木 義麿
平成26年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
昨年の工作機械市場は内外の経済回復に伴い、緩やかな回復が進みました。国内では、いわゆるアベノミクスによる経済対策や、円高修正と海外景気の持ち直しに伴う輸出型産業の収益改善により、設備投資が大きく回復に向かいました。
海外では、米国は堅調な工作機械の需要が続き、欧州は一般機械、航空機などからの需要が回復基調を辿りました。しかし、アジアでは中国やアセアン市場が弱含みで推移しました。この結果、昨年の工作機械受注額は1兆1千億円強になったと見込まれます。
マクロ経済を見ると、欧米の政府債務問題やアジアを中心とした新興国経済の成長鈍化の懸念など、一部にはリスク要因があります。しかし、自動車や航空機の需要増加、資源開発やインフラ関連への投資拡大等にともない、世界における工作機械の潜在需要は増加していくと見込まれます。
このような背景を踏まえ、本年は業界として昨年の受注額を大きく上回る水準を目指して参る所存です。これに向けては、日本が世界をリードしている複合工作機械の高度化や知能化技術の追求、また、難削材・新素材加工への対応など、得意とする技術分野で、一層の差別化を進めていかなければなりません。
一方、販売・サービス面では、ユーザーの生産性向上や技術革新のためのソリューション提案力の強化、また、日本が誇る迅速かつ丁寧なアフターサービスの提供を全世界に展開していく必要があります。
一昨年、当工業会で取りまとめた「工作機械産業ビジョン2020」では、我が国工作機械産業が中長期的な視点で対処すべき諸課題として、①産学官連携の強化、②標準化戦略の強化、③JIMTOFの求心力強化、④人材の確保・周知策の強化、等を掲げました。本年はこれらの課題に対し、当工業会関係者が一丸となって取り組んで参ります。
特に、従来、業界全体として必ずしも十分には手がつけられなかった 「産学官連携の強化」と「標準化戦略の強化」に注力していく所存です。
本年は2年に一度のJIMTOF 開催年にあたります。JIMTOFの第一回開催から50年を経て、新たな半世紀の第一歩となるJIMTOF・Tokyo 2014が10月30日から6日間の日程で開催されます。業界各社の最新技術を世界のユーザーに発信するとともに、広く一般の方々にも「ものづくり」のすばらしさを感じていただける展示となるよう、「JIMTOFの求心力強化」への諸準備を進めて参ります。
日本の工作機械業界として、世界のものづくり産業の繁栄に貢献すべく、これら諸活動に鋭意取り組んで参りたいと存じます。
関係各位には、ご指導、ご鞭撻と一層のご協力を賜りますようお願い 申し上げます。
平成26年が皆様にとって、さらなる飛躍の年になることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
「わが国製造業の強みは“ハイクオリティ”、“ホスピタリティ”、“リーズナブル・プライス”」
●日本工作機器工業会 会長 寺町彰博
あけましておめでとうございます。
年頭に際し、所見を述べさせていただきます。
昨年は新興国の経済成長が減速しましたが、先進国に牽引され世界経済は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら南欧諸国における経済不安や米国の財政協議難航による政府機関の停止、中国経済の停滞など、世界経済は未だ不安定な要素をはらんでいることを改めて認識させられた1年となりました。
一方、日本に目を転じますと、新政権発足後の日本経済への国内外からの期待感が高まる中で、2020年の東京オリンピック開催の決定など、久しぶりに明るい光がさした年でもありました。
さらに政府の各種の施策が打ち出されるとともに為替が円安方向に推移する中で、国内の設備投資に対する期待感も高まるなど、我々の製造業にとっても明るい材料がありました。
しかしながら、我々製造業を取り巻く環境を見た場合に楽観的になってばかりはいられません。リーマンショック以降の不安定な外部環境においてもアジアメーカーをはじめとした新興メーカーは着々と力を伸ばしており、セットメーカーのみならず、我々部品製造業も厳しい競争に晒されているからです。
このような環境において、我々はその強みを見直すとともに、環境が変化する中で、さらにその強みを磨いていかねばなりません。日本の製造業の強みは「ハイクオリティ」、「ホスピタリティ」、「リーズナブル・プライス」であり、その3つのバランスであると考えます。
「ハイクオリティ」とは市場にあわせて機能は選別しつつも、最高品質の製品を提供し続けることです。「ホスピタリティ」とは、相手の期待するものを察して行動するおもてなしの心です。そしてそれらをお客様から見て安いと感じられる価格で提供することが「リーズナブル・プライス」です。
昨今の食品虚偽表示の問題はこの3つのバランスを欠いてしまった残念な結果かと思いますが、決して対岸の火事として傍観するのみではならないと考えております。我々部品製造業もアジアメーカーとの競合時代にあり、この3つを成り立たせることは容易ではなくなってきているからです。しかしながら、どれ1つ犠牲にすることなく、バランスよく実現していくために、これまで以上に知恵を絞り、ツールを駆使して魅力のある製品を提供し続けなければなりません。そして、それができれば日本の部品製造業が世界の製造業の発展を引き続き牽引していくことができると信じて疑っておりません。
従いまして、当工業会といたしましても、会員の皆様とともに強い信念を共有し、日本の製造業の発展に寄与できますよう、積極的な活動を展開してまいる所存です。
最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
「日本の“ものづくりの土壌”を絶やさない工夫が必要」
●日本精密機械工業会 会長 長瀬幸泰
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、日精工の活動に格別のご支援を頂きまして誠に有り難う御座います。
決められない政治からの脱却は、様々な軋轢を国の内外に生みだしながらも進み始めております。本年は、いよいよ、それらの決め事が国民の真の幸福に繋がるか否かの正念場
を迎えようとしております。肝心なのは、どれだけの時間軸でその結果や成果を評価するのかということではないでしょうか?目先の変化や、不利益にとらわれてばかりでは、どんな良い政策、対策もその効果を発揮することなく、目まぐるしく変化せざるを得ません。
また、どんな政策も完璧なものなどあり得ないということを理解して、如何に良い効果を得られるように運用するかの知恵が必要だと考えます。企業活動においても市場の変化に企業ごとに適切に対応がなされていると思いますが、リーマンショック、東日本大震災後の生産拠点の海外流出も、日本の「ものづくりの土壌」を絶やさない工夫が必要であると思います。
一度荒れ果ててしまった土壌を元に戻すのに必要な労力を想像するとき、海外生産と同時に今、日本でやっておかなければならないことを着実に実行されておられるエクセレントカンパニーがいらっしゃることに勇気を頂いております。
設備投資と人材の育成という車の両輪を常に等速で回転されておられる企業です。和食が世界無形文化遺産に登録された様に「日本のものづくりの価値観」を製品とともに世界に発信していくことが重要だと思います。
本年も日精工の活動に倍旧のご支援を賜りますよう、御願いを申し上げます。
年頭所感(日本工具工業会/超硬工具協会/日本工作機械輸入協会)
「地球環境を考える」
●日本工具工業会 理事長 堀 功
みなさま明けましておめでとうございます。ご家族共々すばらしい2014年の新年を迎えられたことと思います。
昨年は年初からアベノミクスが経済に与えた影響が非常に大きく、過度な円高の是正により輸出環境も好転し、大幅に業績が好転された企業が多かったのではないでしょうか。
工具工業会はどうかと振り返りますと、2013年3月に工具工業会の生産・出荷は底を打ち、4月以降は順調に生産・出荷が回復してきています。平成25年度末の生産額も1,000億円を超える見通しで明るい話題と言えるでしょう。
さて、年頭所感につきものなのは2013年のニュースの振り返りです。まずは昨年5月13日~16日まで超硬工具協会との協業により、日本で初めての「世界切削工具会議」を開催し世界22カ国から240名を超える参加がありました。
「おもてなし」の精神をいかんなく発揮し成功裏に終えることが出来ました。世界各地から参集した同業の方々と有意義な会話、新たな出会いがあったものと思います。このような大きな会議を主催する力があることを各国代表に実感してもらうことで、世界における日本の工具メーカーのプレゼンスは必ずや向上するものと思います。
また、昨年は天候不順が続き大雨洪水そして大型台風が大量発生しました。
山口、島根、京都、山形、伊豆大島と被災された方々は大変お気の毒なことだとお見舞い申し上げます。また、フィリピンを襲った風速90m/秒の台風は想像を絶する被害をもたらしました。
気象学者は、地球温暖化の進展が海洋温度を押し上げ、大量の水蒸気が上昇気流に乗って大型台風が多発し、また、局地的な大雨をもたらしていると報告しています。確かに、昨年夏の気温の高さは尋常では無く、昔学校では日本は温帯に属すると習いましたが、もはや亜熱帯ではないかと思う次第です。ヒートアイランド現象の進展で、東京の気温は既に100年前の沖縄の温度であるとの報告もあり、まさに亜熱帯になっています。
増え続ける自動車が排出するCO2の増加、増え続ける自動車の生産活動がもたらすエネルギーの消費増など、まさに、我々人類の生産活動の増大が異常気象の元凶を作り出しているのかもしれません。
私達工具工業会では、以前より環境委員会を設置し、毎年環境に対する取り組み、特に、排出CO2の削減、廃棄物の削減を強力に推し進めるとともに、会員相互の啓蒙活動を行っています。
私達が製造している切削工具は、生産活動を支える重要な要素技術であり、加工時間の短縮、工程の短縮、長寿命な工具などで加工エネルギーの減少に向け各企業が切磋琢磨しています。
日本は世界の中でも省エネが最も進んだ国家であり、加工技術の分野からも日本の技術で世界貢献ができると思っています。CO2排出を縮減し地球温暖化にストップを掛けるべく、本年も世の中の役に立ちたいと考えています。また、CO2削減を事業のドメインとして考えることで、商品開発の考え方も変化し、新たなビジネスモデルを構築するチャンスが訪れるのではないかとも思います。
私達日本工具工業会の取り組みは世界の中においては小さな一歩かもしれませんが、小さな一歩を世界規模で始めれば、それが大きな前進につながるものと信じています。
今年は午年です。午(馬)の視野は350°と前も後ろも見通せると言われています。我々人間は全方位で見通すことは困難ですが、少しでも馬の持つ視野の広さを持ち、今年を頑張ることをお誓い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
「『淡々と』の心でモノづくり、人づくりを」
●超硬工具協会 理事長 増田照彦
今年は「淡々と」生きたいものだ、と願っています。
「淡」白で、「淡」色で、「淡」水魚はあわい。「淡麗」だってビールではなく発泡酒。「交淡如水」は欲望が薄いさまを表しています。
でも、ようく漢字を眺めますと、火が重なって炎がめらめらしています。そして海、池、河、波、湖、沼、沢、渚など「さんずい」は水。つまり、意気軒昂、意欲十分の内なる熱情と水を打ったような冷静さが同居しています。どんなときでも平常心。どんなときでも感情に流されない。どんなときでも執着心がない。おれがおれがの我がない。水と火とくると、いわゆる神々の世界にも通じる。
茶道の世界では、味の甘い・苦い・渋いを偏味と呼ぶらしい。人間もまだまだ甘い(若い)ところから成長して、渋さが出て一人前となります。そしてその偏味の渋さを突き抜けた無の味が、なんとも言えない至極の味であり、そのことを「淡」と呼ぶそうです。淡白な味はいつまでも好まれますし、本当の美味しさは淡い味の中にある、と。
ほうら、だんだん「淡」のファンになってきましたでしょう?
そんな『淡々と』の心でモノづくり、人づくりを、協会でも会社でも個人でも目指す年にしませんか。
平成25年度の超硬工具協会の改正需要見通しは通期で3000億円を見込みました。対前年8.8%増と縁起のいい数字が並びます。当協会で3000億円を超えたのは2005年~2007年の3年だけ。輸出の好調と自動車関連好調に支えられて、久々の3000億円超。それでもピークの2007年と比べればまだまだ84%。そんなときにも『淡々と』。
超硬工具の主原料であるタングステン(APT)は2005年くらいまでは100ドル程度でした。それが一気に3倍の価格に。その後、高値安定になり、2010年秋には再び高騰し5倍圏まで。その後、やや軟弱になったり強めになったりで、不安定。基本的に中国の価格支配にあることから、やりきれなさがつのります。そんなときに資源循環型社会の推進のためにもスクラップのリサイクル活動で解決できるかもと『淡々と』。
自動車、航空機、エネルギー分野、インフラ整備による輸送網の拡大などで工具の需要は今後、中長期的にも拡大します。世界市場に販路を展開するグループ、見事なマーケティングでニッチリッチを謳歌するグループ、価格勝負のグループなど切磋琢磨が熾烈に続くでしょう。そんなときに日本の巧の技を活かした先進技術開発、カスタマイズ化と標準化、そして自らの競争力を信じて『淡々と』。
本年は会員各社の成果発表の場としてJIMTOFが開催されます。
人は心で生きるもの 舞いたる衣に 光浴びつつ
さあ、新たな一年に向けて淡々と歩きだしましょう。
「力強い内需が盛り上がることを期待」
●日本工作機械輸入協会 会長 千葉雄三
平成26年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、当協会の事業活動にご支援・ご協力を賜りまして誠に有難うございました。
昨年は政府による相次ぐ景気対策、株高、超円高の是正等、私共を取り巻く情勢は著しく改善された1年でありました。しかしながら工作機械業界全般の受注及び販売の実績は業界の期待に届くものではありませんでした。これには種々の要因があると思いますが、私共輸入工作機械及び機器に携わる者にとっての最大の関心事であります内需に関しては、需要者に依然として設備投資に対する懐疑観があった為と私は考えております。即ち、需要者は継続した成長に対し未だ不安感を持っていたということではないでしょうか。
しかし、日本工作機械工業会殿の統計をお借りして言うならば、昨年後半以来内需は増加傾向にあります。これをもって、需要家の投資マインドが強い方向に転化したと言い切れるのかどうかは議論のあるところでしょうが、私としましては是非そうであって欲しいと願わずにはいられません。また、これも尚早であるかも知れませんが、年初から東京オリンピック2020に向けた力強い内需が盛り上がることも切に期待しているところです。今秋のJIMTOF2014が起爆剤になればとの思いもあります。
今年は、9月8日(月)から13日(土)まで、米国、シカゴにて「IMTS2014 」が開催されます。 当協会では今年も恒例の輸入促進ミッションを派遣いたします。新しい工作機械の需要分野とされるエネルギー・医療・環境対応・航空宇宙関連産業における加工方式に対応した、優秀な工作機械が多数展示されております。多数の皆様のご参加をお待ちしております。
最後に皆様にとって、今年が最良の年となりますように祈念いたしまして新年のご挨拶とさせていただきます。
年頭所感(日本建設機械工業会/日本フルードパワー工業会/日本金型工業会)
「豊かな社会の実現に向け、環境・省エネルギーなど社会的要請に積極的に取り組む」
●日本建設機械工業会 会長 竹内紀行
新年あけましておめでとうございます。
昨年の国内の建設機械需要は、公共投資・民間投資の増大、震災復興需要、さらには排出ガス規制の生産猶予機関終了に伴う旧規制機の駆け込み需要等により、大幅に伸長しました。その反動から、本年は一定の買い控えが出ることが想定されますが、堅調な建設投資や震災復興の本格化等により、機種によって異なるものの、全体としては高いレベルの需要を見込んでおります。
今後も、小型クラスの2011年排出ガス規制対応機の生産猶予期間終了や2014年排出ガス規制の導入等が控えており、建機業界としては、この先数年が正念場となります。最新の排出ガス規制対応機の普及促進に努めることはもとより、会員各社の不断の努力により建機産業力を強化していくことが重要であると考えております。
一方、海外需要は、北米向けの需要が堅調に推移するものの、資源開発国向けのほか、アジア、欧州向けが減少しました。本年には、こうした傾向も底を打ち、緩やかに回復すると見込んでいます。
こうした需要環境のもと、豊かな社会の実現に向け、環境・省エネルギーといった社会的要請に積極的に取り組むとともに、環境負荷低減技術やICTといったさまざまな最新技術の導入を推進し、より効率的かつ利便性の高い製品・サービスの提供に努めていきたいと考えています。
さて、当工業会では、設立理念として「調和と発展による世界への貢献」ならびに「共生と競争」を掲げ、さらに①良き企業市民としての社会への貢献、②ステークホルダーとの共存共栄、③公正・透明な競争と適正な取引の推進、④世界の一員としてのグローバル化の推進、⑤安心・安全の追求と人間中心の経営の志向、⑥環境保護、省エネルギー、省資源の推進、⑦新しい商品および分野の開拓の7項目からなる「経営パラダイム」を策定しております。本年も、この理念・パラダイムの実現に向け、建設機械産業を取り巻く変化に柔軟かつスピード感覚をもって活動を推進してまいります。
本年が、皆様にとりまして、健康で幸多き一年となりますよう祈念し、新年の挨拶といたします。
「企業は社会の公器としての公正さも求められている」
●日本フルードパワー工業会 会長 脇 憲一
新年明けましておめでとうございます。平成26年の年頭に当たり一言ご挨拶を申し上げます。
「東日本大震災」、それに伴う東電の「福島第一原発事故」の発生から早くも3年の歳月が過ぎようとしています。昨年の11月に30~40年の長期戦を覚悟しなければならない廃炉に向けた未知との闘いが漸く始まりましたが、国内外の技術と英知を結集し、あらゆる手立てを尽くし、国も全力を挙げて支援し、復旧・復興が加速されることを願って止みません。
さて、昨年の我が国の経済環境を顧みますと、所謂「アベノミクス」は円安や株高を齎らし、昨年の11月に内閣府が発表した月例経済報告でも、「国内景気は緩やかに回復しつつある」との基調判断が示されています。実際に、円安による輸出環境の改善という追い風に加え、公共投資による押し上げ効果、消費増税による駆け込み需要などの内需の回復で上場企業の平成25年4~9月期の経常利益(連結)は前年同期に比べ42%増加し、平成26年3月期も前期に比べ28%増加すると予想されています。
このように、新興国の景気減速などで下方修正した企業もありますが、企業全体では業績回復が鮮明になってきています。然し、先行きは海外景気の下振れが国内景気を下押しすることも懸念されていますので、民需の回復力には未だ不安が残され、「輸出や生産が拡大して企業収益も改善し、設備投資や雇用が増加して賃金も上昇する」という成長サイクルが確立されつつあるとは言い切れません。このような懸念を払拭し、民需主導の景気回復を本格化させ、成長の恩恵を企業から家計に波及させるためには、財政出動や金融緩和などの各種政策だけではなく、成長戦略の第2弾、即ち日本の立地競争力を高める法人税の実効税率引き下げに加え、企業の投資を促す設備等投資促進税制の創設、研究開発税制の拡充・延長などの「税制の改革」、雇用条件を柔軟に設定できる労働法制などの「規制の緩和」、そして関税を撤廃することで広域・多国間の自由化を促進するだけではなく、開放することで日本の産業を強化・再生する構造改革にもつながる環太平洋経済連携協定(TPP)の締結などを始めとする「通商政策の転換」が必要であります。同時に、昨年の10月に閣議決定された消費税増税による反動減を緩和するための5兆円規模の対策とともに、消費税の円滑且つ適正な転嫁を確保するための実効性のある対策も不可欠でありますが、これらの諸施策の早期の実現と確実な実行を大いに期待するところであります。
ところで、昨年は著名なホテル、レストラン等の虚偽表示で消費者の信頼を裏切り、日本が世界に誇る「おもてなし」を揺るがせる不祥事が相次ぎました。経営者は「意図的に表示を偽って利益を得ようとした事実はない」と釈明していますが、価格競争が激化する中で企業の本来の目的や公正さを忘れ、目標の利益を達成しようとする余り、安価な食材を使いながらも、故意にメニューの表示を偽ったとしか誰の目にも映りません。
企業は常に利益の最大化を追求していかなければなりませんが、利益は企業にとって人体の血液のようなものであり、存続し成長していくためには欠くことのできないものであります。然し、利益は飽くまでも目標であって目的ではありません。二宮尊徳翁は「経済なき道徳は寝言である」と述べている一方、「道徳なき経済は罪悪である」とも述べていますが、企業は利益だけを追求するのではなく社会の公器としての公正さも求められています。
中国の戦国時代の著名な儒学者であった荀子の「義を先にして利を後にする者には栄えあり、利を先にして義を後にする者には辱めあり」という名言がありますが、これは正しい理念で経営に当たれば、利益は自ずとついてくるということを示しています。
フルードパワーは社会の「安全」や「安心」などの一翼を担う重要な産業であります。このフルードパワー産業に携わる企業は、変化が激しく混沌として先行きが不透明な状況にあっても、品質を重視するなどの変えてはならない普遍的な価値を「義」として守りながら、時代や社会の求めに応じて変えるべきものは革新し、新たな付加価値を持続的に創出することで長期的な成長を実現し、公正さにも配慮しながら企業価値を高めることで顧客、従業員、取引先、株主、被災した地域など、より広範なステークホルダーの要請に応え社会に貢献していくという本来の目的を希求していく使命と責任があります。利益に囚われ過ぎ本来の目的や公正さを失えば、企業は必ずや社会からの信頼を失墜し存亡の危機に直面することになります。
最後になりますが、本年(平成26年)は午年であります。「人間万事塞翁が馬」の諺のように、先行き何が起きるかを予測できたとしても、それが「いつ」起きて「どう」転ぶかを予想することは殆ど不可能であると言っても過言ではありません。日本フルードパワー工業会の会員各社様には、厳しい現実に確りと向き合い、環境を冷徹に見つめ、不測の事態に備えながらも内部留保を厚くするだけではなく、投資すべきものは投資し、健全な競争と協調のなかで共に成長・発展し、雇用の増加や賃金の上昇などを齎す本格的な景気の好循環に寄与することが望まれています。
これを実現するためには、各需要業界の皆様方のご支援が必要不可欠でございますので、更なるご協力を切にお願い申し上げ新年のご挨拶とさせていただきます。
「緊急事態が続く今年も“元気な業界”として乗り越えていく」
●日本金型工業会 会長 牧野俊清
平成26年の新春を迎えるにあたり、謹んで会員の皆様、関連官公庁、関連業界の皆様にお慶び申し上げます。
‘08年9月のリーマンショック、円高、‘11年3月の東日本大震災が、日本経済を苦しみ続けておりました。特に円高は’07年6月1ドル124円だったのが、政治の無策か大震災後も続き、’12年2月には76円と163%も高くなりました(対中国135%、対韓国196%)。日本製品が6割も高くなったのです。各国の物価上昇率との差異があるにせよ、日本のものづくりの競争力が落ちるのが当然です。その結果、自国通貨ベースのGDPは、’12を’07と比較すると、日本93%、中国198%、韓国131%、米国112%となってしまいました。幸。アベノミクスによって経済環境は好転しつつあります。昨年は103円くらいに戻しており、製造大企業は高収益を得始めています。
金型業界においては、金型の昨年10月までの1年間の生産額は、一昨年とほぼ同様ですが、リーマンショック前2007年の7割と緊急事態が続いております。型種、需要業界の違いもあり、会社によって、業績は様々のようです。機械統計では、鍛造専業金型がリーマンショック前の1.7倍であり、大型プレス専業金型も現在活況のようです。
大企業の新製品開発が円高・大震災等により停滞していたかもしれませんが、好業績をあげられたことにより、顧客は、その利益を新製品開発(金型発注)、価格見直しに振り向けていただきたく思います。2020年の東京オリンピック招致の決定もあり、今年の金型業界、製造業界、日本経済が良いことを期待します。
昨年3月、経済産業省で「新素形材産業ビジョン」が作成され、工業会でも「新金型産業ビジョン」の作成を、3月完成を目処に進めています。金型業界の将来を担い、将来のあり方に最も影響される、若手を中心に議論をしていただいており、金型業界に密接に関与されている有識者の応援もいただき、皆様にお役にたつものになると確信しております。
「新金型産業ビジョン」として、①技術力、②営業力(発信力)、③新分野への展開と付加価値向上、④海外市場とグローバル展開、⑤人材(経営者・社員)等が検討されています。
日本金型工業会は、事務局員数が昨年より少なくなりましたが、東京・名古屋・大阪の3事務所にて、ウエブ環境の活用による役割分担した一体化を進め、会報・ホームページのリニューアル等、サービスの拡充を進めており、会員も若干ではありますが増加しております。また、さらに新たなご入会が増えることを期待しております。
緊急事態が続く今年においても、会員、賛助会員、顧客、経済産業省素形材産業室始めとした監督官庁、学会の大きな応援により、この難局を、「元気な業界」として乗り越えていきたく思う所存でございます。皆様のご理解ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせて頂きます。
年頭所感(DMG森精機/オーエスジー/日立建機)
「工作機械の新しい価値と無限の可能性を追求していく」
●DMG森精機 取締役社長 森 雅彦
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、TPP交渉参加、消費増税決定、2020年東京五輪開催決定など、日本の今後を方向づける出来事が数多くありました。
そのような中、当社も10月1日に「株式会社森精機製作所」から「DMG森精機株式会社(以下、DMG森精機)」へ社名を変更しました。同じく、2009年より業務提携しております「GILDEMEISTER AKTIENGESELLSCHAFT」も「DMG MORI SEIKI AKTIENGESELLSCHAFT(以下、DMG MORI SEIKI AG)」に社名を変更し、協業関係を加速させ、「DMG MORI」ブランドのさらなる強化を図っています。
9月にドイツ・ハノーバーで開催されたEMOでは出展企業中最大のブースを設け、新操作盤「CELOS」を搭載した新デザインコンセプトの機種15台を世界初披露しました。
協業効果に加え、欧米での受注環境好転、円高是正にも後押しされ業績が改善しました。
本年は、「DMG MORI」の日本でのグローバル本社と位置づける東京ソリューションセンタと、スイス・チューリッヒにも同様にヨーロッパにおけるグローバル本社の開設を予定しているほか、ロシアでウリヤノフスク工場の稼動も予定しています。(名古屋本社は、従来どおりDMG森精機の本社としての機能を維持します。)また、IMTS・AMB・BIMU・JIMTOFなど世界最大級の国際工作機械見本市も控え、世界中のお客様へ、製品・サービス・イノベーションをお届けするため、DMG森精機とDMG MORI SEIKI AGでの共同開発と相互生産体制をさらに強化します。特に共同開発においては、外観だけでなく部品においても共通化を進め、原価低減を行います。
「DMG MORI」として企業活動を続けていくためには、これまで以上に広い知識と視野を持ち、多様性を受け入れて互いに理解を深め、ともに努力することが必要です。少なくとも2020年までの中長期的視点に立ち、個人の目標を定めそれに向かって成長しなければなりません。具体的には、営業・開発・製造各分野におけるDMG MORI SEIKI AGとの交換研修を推進します。また、今後の当社を担う人材育成のため、20代から30代の若手社員に対する研修を特に強化します。
本年も、世界中のお客様に、最適な製品を最適な納期とサービスでお届けするべく、工作機械の新しい価値と無限の可能性を追求してまいります。
本年も、変わらぬご支援、ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
「ステップアップへの投資」
●オーエスジー 代表取締役社長 石川則男
2014年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
日本経済は円高是正と株高によって輸出企業を中心に業績が回復してまいりました。また市場での購買意欲も高まり、明るい年頭を迎えることが出来たことを大変喜ばしく思います。しかしながら4月の消費税の増税、今後のTPP交渉の行方、一向に改善しない日中、日韓関係など不透明な要因も数多く、特に中小企業にとっては景気の改善感は乏しく国内の製造業の空洞化の影響をまともに受けています。
このような状況下、オーエスジーは機械加工の普遍的なニーズは時間短縮にあると考え、より高能率な加工を実現する製品とサービスを総合的に提供してまいります。消費者のニーズは多様化が進み、この傾向はグローバルに拡大しています。部品、ユニットの共通化は進んでも最終的には顧客のニーズが最優先される時代です。多様化に応えるモノづくりとは新技術導入による高能率化と、種々のデータの解析力に裏付けされた信頼のモノづくりであると考えます。2014年は日本企業が世界市場でステップアップする飛躍の年です。当社もステップアップのための投資を国内外で増やし世界のモノづくりに貢献したいと考えます。目標は高く、世界一の穴加工用切削工具メーカーを目指します。
最後になりますが、日本経済の益々の発展と皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。
「激しい競争に打ち勝っていくため自己変革を図る」
●日立建機 執行役社長 辻本雄一
新年あけましておめでとうございます。2014年の年初に当たりご挨拶申し上げます。
昨年2013年の世界経済は、アベノミクスによる日本経済の回復や低迷していた中国経済に改善の動きが見られるものの、資源価格の下落や為替の影響により、東南アジアやインドなど新興国経済に陰りが見られました。建設機械市場を見ると、日本市場は震災の復興需要や排ガス規制に対応した前倒し需要も一部あり好調に推移し、低迷していた中国の需要も4月から緩やかな回復傾向にあります。一方、資源価格低迷に対応した鉱山会社の投資抑制により、マイニング機械需要が大幅に減速するとともに、東南アジア、インド等新興国の建設機械需要には減速感があります。
このような状況の中、新しい年2014年を迎えましたが、世界経済は依然として不透明で、建設機械需要も大きく回復することは期待できません。しかし、中長期的には今後も成長していくことは間違いないと思っています。一方、グローバルな競争環境は年々激しさを増していきます。
世の中や環境は急速に変化しており、市場のグローバル化に伴い、我々建設機械市場でもお客様や地域のニーズはますます多様化しています。
我々日立建機グループは、この激しい競争に打ち勝っていくため、変化に柔軟に対応できる体制に自己変革を図るとともに、製品、販売、サービス等、建設機械ビジネスのバリューチェーンすべての分野において、お客様のニーズを的確に反映し、良い製品、良いサービスを提供してまいります。
干支では昨年は巳年、今年は午年です。巳年と午年は干支の中間に当たり、巳年は新たな命が芽生える新生の年、午年は状況が変化する反転の年といわれています。日立建機グループもお客様視点での価値創造のため種々施策をスピード上げて推進し、さらなる飛躍を図っていきたいと思います。
最後になりましたが、2014年が平和で明るい年であることを祈念しまして、年初のご挨拶とさせていただきます。