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11月分超硬工具主要統計
超硬工具協会がまとめた11月分超硬工具主要統計は以下の通り。【超硬合金重量】490トン(前年比135.4)。【超硬工具生産量】切削工具189億7100万円(前年比145.8)、耐摩工具32億1700万円(同111.9)、鉱山土木工具億1500万円(同118.6)、その他工具億8400万円(同159.7)、焼結体・工具18億1100万円(同146.3)、合計251億9800万円(同139.7)。【輸出入】輸出64億4600万円(前年比136.0)、輸入37億8600万円(同147.3)。【超硬工具出荷額】切削工具183億6400万円(前年比137.8)、耐摩工具30億7200万円(同111.7)、鉱山土木工具7億7200万円(同118.4)、その他工具3億4000万円(同105.6)、焼結体・工具18億4200万円(同148.1)、合計243億9000万円(同133.3)。【刃先交換チップ】生産2553万1000個(前年比159.9)、出荷2519万8000個(同148.1)。
世界最大級の新エネルギー展「新エネルギーWeek」を開催
リード エグジビション ジャパン が3月2日(水)~4日(金)の3日間、東京ビッグサイトで世界各国から2,100社が出展する世界最大級の新エネルギー展、「新エネルギーWeek」を開催する。構成する展示会は以下の通り。【世界最大】第7回 国際 水素・燃料電池展 ~ FC EXPO ~【日本最大】第4回 国際 太陽電池展 ~ PV EXPO ~【世界最大】第2回 国際 二次電池展 ~ バッテリー ジャパン ~【日本唯一】第2回 太陽光発電システム施工展 ~ PV システムEXPO ~【日本最大】第1回 エコハウス&エコビルディング EXPO【日本最大】第1回 国際 スマートグリッド EXPO【新エネ向け】第2回 新エネルギー業界向け 量産 試作 加工技術展の7展。世界の最新技術・製品が一堂に集まるこの展示会は世界中の専門家らの注目を集めており、13万5千名の来場者数が見込まれている。
年頭所感(日本機械工業連合会/日本産業機械工業会/日本工作機械工業会/日本工作機器工業会)
「『外需の内需化』は我が国の新たな成長に欠かせないファクター」
●日本機械工業連合会 会長 伊藤源嗣
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様におかれましては、お気持ちも新たに新年を迎えられたことと存じます。
年頭にあたり、平素より日本機械工業連合会にお寄せ頂いております皆様の暖かいご指導とご支援に対し、心より御礼申し上げます。
さて、我が国の経済は、アジア新興諸国の成長や政府の経済対策効果などで緩やかな回復が続いてきましたが、大幅かつ急激な円高の進行、海外経済の減速、経済対策効果の一巡などにより、生産や輸出が鈍化するなど、先行き不透明感が広がっています。昨年7-9月期の国内総生産(GDP)は、実質で前期比1.1%増、年率換算では4.5%増となり、4四半期連続のプラス成長を確保したものの、10-12月期は一転してマイナス成長が懸念されており、政府には景気を底割れしないよう、緊急経済対策や22年度補正予算に盛り込んだ即効性のある事業を早期に実施して頂きたいと思います。
近年、我が国を巡る経済社会環境は、急速な少子・高齢化による人口減少が進む一方、新興諸国も加えたグローバル競争の激化、低炭素化社会への対応など、困難な課題に直面し、世界での我が国の経済的地位も低下が続いています。これらの困難を乗り越え、将来に亘る我が国経済の持続的成長を確保するには、企業が積極的な研究開発の推進や新規事業分野の開拓などに努め、国内外において産業活動をより活発化していくことが必要、不可欠であります。しかし、我が国企業はグローバル競争を行ううえで大変大きなハンディを負っております。我が国は、法人税率が世界最高水準にあり、経済連携協定では近隣諸国に遅れを取り、温暖化対策コストは高まり、労働規制も強化に向かい、加えて、史上最高値に迫った限度を超える円高の進行です。これらが是正されないとすると、企業の海外流出を余儀なくし、雇用を減少させ、我が国のものづくり基盤の衰退をも招きかねません。政府には我が国企業が対等な条件で海外企業と競争を行うことができるよう、国際水準の事業環境整備を早急に進められることが喫緊の重要政策と考えます。
我が国は輸出主導型経済で成長してまいりました。人口減少時代を迎え、海外需要の重要性はますます高まっています。「外需の内需化」は我が国の新たな成長に欠かせないファクターであります。欧米の先進諸国市場が成熟する中、新興国や途上国市場には計り知れない将来性があります。特に、我が国にとって世界の成長センターであるアジアの新興諸国の存在は重要で、その関係強化は不可欠であります。積極的な貿易、投資の振興を図り、我が国の優れた社会・生産インフラ等の輸出により相手国の経済発展に貢献することにより、我が国の将来の成長を確保することができると考えます。一方、韓国はEUとの自由貿易協定(FTA)締結に続き、先月、米国とのFTA締結交渉に合意し、協定発効後は韓国の価格競争力が強化され、我が国の対米貿易は大きな影響を被ることが懸念されています。現在、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加が検討されていますが、政府におかれては国益という「全体最適」の視点で早急に決断され、交渉に参加してアジア太平洋地域を中心に経済連携協定を一層強力に推進して頂きたいと思います。
新興国や途上国への対応への取組みとして、当会はインド、東欧のルーマニアとウクライナ、昨年はベトナムとシンガポールへ視察団を派遣し、政府機関、業界団体、機械関連企業を訪問して各国との関係強化を図ってまいりました。今年2月には、今後の投資・市場先として期待される旧ユーゴスラビア地域のクロアチア、セルビア等への訪問を予定しております。
我が国経済はデフレの長期化など困難な状況が継続していますが、我が国産業の大黒柱である機械業界はそれを乗り越え、日本経済の先を切り開いて行かねばなりません。近年の新興諸国の追い上げは目を見張るものがありますが、我が国が世界をリードする産業分野は未だに少なくはありません。中でも、「省エネ」と「環境」の分野は今後も世界的な需要の伸びが大いに期待されており、我が国企業は世界レベルの技術を更に高め、新製品・新技術をいち早く開発して、世界市場に送り出すことが重要です。併せて、開発した製品や技術を知財で守り抜く事業戦略の構築も必要となってきます。また、グローバル競争に勝ち抜くには、単に新製品や新技術の開発だけにとどまらず、生産技術、プロセスなどあらゆる分野でイノベーションを果たし、自らを高度化していくことが重要と考えます。
日本機械工業連合会では、我が国機械工業の競争力を維持、発展させていくための課題に鋭意取り組んでおります。本年も、将来を担う技術系人材やグローバル人材の育成方策、レアメタル等資源制約に対応する材料再資源化の調査研究、R&D戦略と知財・標準化戦略を事業戦略に組み込んだ技術戦略、機械の安全・安心のシステム構築に関する研究など、我が国機械業界の企業経営にとって密接なテーマでの調査研究を進めるとともに、税制面での改善や外需拡大支援策の推進など機械業界の事業環境改善に向けた要望や政策提言などを進めて参ります。
最後になりましたが、皆様には大変厳しい事業環境が続く中、ご苦労が多いことと存じますが、日本機械工業連合会は、新たな時代に求められるニーズに対応し、皆様と産業界の利益のために誠心誠意努力を続けたいと存じます。皆様の一層のご活躍とご健康を心から祈念申し上げます。
「活力ある経済社会の構築に向けて」
●日本産業機械工業会 会長 日納義郎
平成23年を迎えるにあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年のわが国経済は、新興国経済の好調さを背景として外需を中心に年前半までは緩やかに持ち直しつつありました。しかしながら、長引く先進国経済の低迷や急激な円高の進行、エコカー補助金やエコポイントなどの景気対策が一段落したことから秋以降の景気回復の勢いは鈍化し、足踏み状態となっております。
私ども産業機械業界の昨年の受注も、年初より外需の増加や製造業の需要の持ち直しなどから、リーマン・ショック直後の激しい落ち込みを底として緩やかな回復が続いたものの、秋以降、一部の機種には減速傾向が見られるなど、本格的な回復を示すまでに至っておりません。
本年も産業機械業界には、厳しい受注環境が続くものと思われますが、これを乗り越えるためには、我々自身もさらなる自助努力が必要です。ものづくりの原点である技術力をさらに強化するとともに、魅力ある製品・サービスをお客様に提供し、国内外で新たな需要の創出や市場の拡大などに引き続き努めていくことが、この厳しい経済状況を克服し、活力ある経済社会の構築に繋がると確信しております。
特に、グローバリゼーションが一段と加速する中、わが国が持続可能な経済成長を実現するためには、アジアを始めとした海外市場へ積極的に展開することにより、新しい経済成長の形を構築していく必要があります。また、わが国の優れた社会インフラ等の輸出により、相手国の経済発展や環境保全、地域の構成に貢献していくことも益々重要になっていくものと考えます。
他方、昨年12月にはCOP16が開催され、わが国政府の粘り強い交渉により京都議定書の単純延長という最悪の事態は回避されました。しかし、地球温暖化を防ぐためには、主要排出国や新興国、途上国も参加する新たな枠組みの構築が不可欠であるとともに、地球規模での低炭素社会の構築に全世界が取り組みを加速していく必要があります。
政府におかれましては、わが国のみならず世界経済が環境保全と両立しながら成長・発展していくため、わが国の優れた新エネ・省エネ・環境保全分野の技術とサービスの普及促進に向けた支援制度の拡充をお願いしたいと思います。
また、グローバリゼーションが加速する中において、諸外国に比べ遅れ気味のEPA・FTAの締結を強力に推進され、わが国産業界の国際競争力強化に繋がるビジネス環境を確保していただくことを期待しております。
私ども産業機械業界も、技術革新や技術結合などの推進により高度な技術やサービスを生みだし、高品質で信頼される製品と高い技術力を提供し、わが国産業の競争力強化と地球環境保護に貢献する所存です。
年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
「有為な人材の確保・育成事業の総仕上げに注力」
●日本工作機械工業会 会長 中村健一
平成23年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年の工作機械業界を振り返りますと、外需主導の回復傾向が鮮明となり、直近11月までの受注額累計は、前年同期比2.5倍の8,798億円と、大幅に増加しました。このうち、内需は、緩やかに上向きつつあるものの、製造業が大幅な円高に苦しんでいることもあり、依然として設備投資は低水準にあると言わざるを得ません。今後、日本の産業構造が大きく変革していく中で、工作機械業界としては、同じ問題を抱える他の機械産業とともに知恵を出し合って、諸課題に取り組む必要があると感じております。
他方、外需については、アジアを中心とした新興国市場が旺盛な需要を示し、とりわけ、中国は外需の中で38%、受注全体でも26%と高いシェアを持つに至りました。受注全体に占める外需比率は7割近くにまで伸長しています。
もう一つ、昨年10月から11月にかけて開催したJIMTOF 2010では、総来場者数が前回比で2割程度減ったものの、来場するお客様は、従来以上に真剣な眼差しで設備導入を検討しておられたことなど、実りのある展示会となり、今後の受注も期待が持てるものと感じています。加えて、会期中に開催した恒例の「工作機械トップセミナー」には、全国63校の大学・高専等から過去最高となる455名の学生が参加するなど、人材確保・育成の面でも大きな成果がありました。
本年の工作機械受注については、引き続き新興国市場を中心とした外需主導で総じて堅調に推移するものと考えておりますが、まだまだ懸念材料もあり、具体的な受注額に関しては見通し難い状態であることから、先ずは一兆円台を目標に業界を挙げて頑張っていきたいと思います。
このように受注環境が少しずつ好転する中、わが工作機械産業では、引き続き技術面において世界をリードし、日本はもとより世界の産業界に貢献する自覚と使命感を持って、今後の成長・発展に向けて各般の事業を展開していく所存であります。
特に本年は、これまで業界を挙げて取り組んできた、有為な人材の確保・育成事業の総仕上げに注力します。具体的には、毎年の業界イベントとして広く定着した学生対象の「工作機械トップセミナー」について、工作機械の重要性や素晴らしさを学生達に理解してもらうという当初の目的に加え、企業と学生の有意義なファーストコンタクトとして活用できるよう、さらに拡充・強化したいと考えます。加えて、「工作機械の教育用映像」を本年中に完成させるほか、工作機械の設計理論と実務の有機的な結合を図るべく、業界の若手エンジニアを対象とした「工作機械の基礎講座」を本年1月に開講するなど、産学の間に存在する知識やスキルのギャップを補完していきたいと考えます。
また、長期的視点に立って、今後大きな成長が見込まれる新興国市場のニーズに即した製品の開発・供給を推し進めるとともに、同市場において日本の工作機械メーカーが自由かつ公平な競争ができる環境の整備に努めていきたいと考えます。
このほか、次世代に向けた技術開発の切れ目ない前進、環境問題への積極的な取り組み、次回JIMTOFに向けた対応などにも傾注していきます。
本年も関係各位には、ご指導、ご鞭撻とさらなるご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、平成23年が皆様にとってさらなる飛躍の年になることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
「モノづくりの強さの源泉である“ハイクオリティ”を忘れてはならない」
●日本工作機器工業会 会長 寺町彰博
あけましておめでとうございます。年頭に際し、所見を述べさせていただきます。
昨年は、各国が実施してきた景気刺激策の効果による個人消費の持ち直しが企業収益の改善に寄与し、設備投資に波及するなど、世界経済は2008年秋以降の低迷からの回復の動きが見られました。
そのような中、世界経済には大きな構造変化がもたらされました。一つは消費国の変化です。従来の先進国に代わり中国をはじめとする新興国が世界の消費を牽引する構図が明らかとなりました。そしてもう一つは生産国の変化です。歴史的にも消費地すなわち需要地に生産が育つのは必然であり、新興国が消費国のみならず、生産国としても存在感を増してきました。
新興国での消費と生産が増加する中、日本企業からボリュームゾーン(最も量が売れる価格帯)への対応という言葉が発せられる機会が増えたように感じます。確かに現在のボリュームゾーンである低価格帯への対応は非常に重要です。しかし現状を意識するあまり品質を疎かにしてしまっては、経済の発展と共にボリュームゾーンが上がった時点で競争力を喪失することになりかねません。従って、我々は日本のモノづくりの強さの源泉である「ハイクオリティ」を決して忘れてはならないと考えます。また日本には「ホスピタリティ」という強みがあります。これは、相手の期待するものを察して行動することであり、私たち日本人が徹底して教育されてきたことです。そして、ハイクオリティとホスピタリティによって付加価値が向上した製品を、飽くなき生産性の追求とともに生産することで、私たちは顧客にとっての「リーズナブルプライス」を実現してきました。この「ハイクオリティ」「ホスピタリティ」「リーズナブルプライス」の3つが、日本のモノづくりの強さの源泉にほかならないと考えます。
今後私たちは、新興国が中心となった新たな世界経済の枠組みの中で競争に打ち勝っていく必要があります。さらに、昨年の中盤以降、為替が円高基調で推移するなど、日本の製造業にとっては逆風が吹いています。しかしながら、自らの強さの源泉を認識し絶えず磨き続けていけば、日本の製造業は引き続き世界の製造業の発展を牽引していくことができると信じて疑っておりません。
当工業会といたしましても、会員の皆様とともに熱い気持ちを共有し、日本の製造業の発展に寄与できますよう、積極的な活動を展開してまいる所存です。
会員の皆様、関係者の皆様におかれましては、舵取りの難しい環境下ではございますが、引き続きお互いに協力し合い、共に発展してまいりましょう。
最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
年頭所感(日本小型工作機械工業会/日本工具工業会/超硬工具協会/日本金型工業会)
「チャンスは誰にも公正に訪れる」
●日本小型工作機械工業会 会長 長瀬幸泰
新年あけましておめでとう御座います。平素は日本小型工作機械工業会に一方ならぬご厚情とご支援を賜りまして誠に有り難う御座います。
リーマンショック以来、当工業会では元気が出る委員会をもうけて各種勉強会や、100年に一度(め)のモノづくりコンテストなど様々な施策を実行して参りました。工業会内外の多くの皆様のお力添えのおかげで所期の目的を達成させて頂いております。チャンスは誰にも公正に訪れると感じております。ただし、それは懸命に考え、行動をした人のみに対してです。当工業会の会員企業も的確に変化に対応をすることにより活路を見いだしております。
更に世界情勢の大きなチェンジとシフトが加速度的に進む中で、今年度より会員企業の総意により日小工改革委員会を立ち上げ、自らの改革に取り組むことにいたしました。グローバルで大きな流れの中にある様々な個別且つ長期短期の課題を抱えながら経営をされている会員企業が明るく日々の企業活動をするために一助をなす事のできる工業会で有り続けたいと考えております。また、新たな魅力ある会員企業の参加が可能な仕組みの採用も積極的にはかりたいと考えております。
日本のモノづくり企業が共通に抱えている課題としては製品輸出や海外進出と技術・生産拠点の流出の違いがない交ぜになっており、製品の輸出には規制がかかっているが技術の流出には歯止めがきかない。あるいは、本社は日本に残るが生産拠点の大半は海外にという構図ができかねない状況です。これは何よりも国や企業が人を大切にしないこともその一因であるとも考えられます。単なるものづくりから感動と誇りの持てる魂を込めたことづくりへの意識転換が重要であると思います。つくる人と販売する人と購入する人の良い関係が永く続くためには人の関わりの重要性を再認識、再構築することが不可欠です。顧客満足から感動へ概念のシフトも求められると思います。
本年も皆様の倍旧のご支援を頂きますようお願い申し上げますと共に本年が皆様にとって輝かしい年になりますように衷心より祈念申し上げます。
「大転換期への対応力」
●日本工具工業会 理事長 石川則男
2011年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
2008年後半に世界経済を危機に陥れた世界同時不況は、昨年は欧州金融不安とドル安に形を変え不透明さは継続したものの実体経済は回復の道のりを歩みました。牽引車は新興国、特にアジア地区の経済発展であり、一部の産業では過去最高の業績が見込まれています。
一方、当工業会を取り巻く環境は、自動車のハイブリッド化とEV化が進んだこと、またパソコン、携帯電話等のネット端末化が進み、それぞれの部品構成と生産方式に大きな変化が見られました。自動車では電動モータが増加する中、中国が輸出制限を行ったレアアースがモータ用の磁石には欠かせないことが広く知れ渡り中国のみに依存するリスクが問われました。IT製品ではハードディスクユニットが搭載されないIT機器および、タッチパネル方式の入力端末が飛躍的に増加すると共に、部品の生産方式も射出成形部品が減少し機械加工部品が増加するなどの変化をもたらしました。また円高が企業の海外生産を後押しし、特に主力の顧客グループである自動車産業の海外移転が進んだことにより、工具メーカーにとっても、製品群においても、外需を取り込んだ企業と内需に依存した企業に大きな差が出ました。このような状況下、大転換期にある主要顧客層に対応すべく工具メーカーも変化に対応する力が求められており、技術力の分野では熟練の技術を伝承可能な生産技術に転換することが挙げられます。新興国メーカーの技術的な追い上げは現実のものとなりましたが、日本の工具メーカーが持っているノウハウはものづくりにおいても、顧客のアプリケーションに対応することにおいても一日の長があります。しかしながらそのノウハウも一部の熟練者に依存する形に留まっていては技術の伝承が難しいばかりか、次世代の技術に転用する財産をみすみす失ってしまうことになりかねません。勘とコツに頼らない体系だった技術への転換の努力を怠らないようにしたいと思います。また製品開発の分野では、超精密、高能率、環境対応型の製品に注力することが挙げられます。高付加価値製品の開発は、将来の成長には不可欠です。また顧客開拓では医療、エネルギー、宇宙航空、ITなど当工業会の持っている卓抜した技術を活かすことが出来る顧客層を、内外を問わずに広げることが重視されます。日本工具工業会としてはアジアでの見本市および展示会に出展したいものの、単独出展に躊躇される会員を募り、複数企業が共同出展できるような企画に取り組みたいと考えますので、会員各社のご意見を丁寧に伺いたいと思います。
また、昨年、当工業会の英語名をTHE JAPAN SOLID CUTTING TOOLS’ ASSOCIATIONに変更いたしました。略称はJSCTAのままですがSはSMALLからSOLIDのSに変更いたしました。SOLID TOOLは再研磨を行い、何度も研ぎなおして使用するものです。将来、再研磨事業を行っておられる企業にも多数ご入会いただき、工具素材にこだわらないアフターサービスを含んだソリッド工具の工業会として発展したいというのが当工業会の方向です。
最後に皆様の一層のご発展を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。
「パラダイムシフトはチャンス」
●超硬工具協会 理事長 倉阪克秀
謹んで新年のお祝いを申し上げます。
昨年を振り返りますと、世界経済は、欧米では失業率の高止まりや信用収縮による景気停滞の長期化が進み、中国などの新興国では欧米市場の低迷による輸出の減速や投機資金流入によるバブル懸念、日本においては、デフレ基調長期化や恒常的な円高により、内需は総じて低調に推移しました。一方、政治外交面でも日米、日中関係の悪化、北朝鮮問題など、不透明感と不確実さが世界を覆った一年でありました。
さて政治経済とも閉塞感のある日本ですが、国内の産業は、農業を含め非常に難しい立ち位置にあります。パラダイムシフトが急速に進展、新興国の台頭と低価格・巨大市場の出現、技術の流出、また当協会に大きな影響を持つレアメタルをはじめとした資源問題の中にあって国内製造業の「縮み」が懸念されます。
当業界の超硬工具出荷高は、09(平成21)年度2,035億円でした。本年度は円高が続き回復が遅れておりますが、08年度と同じレベルの約2,800億円の見込みです。これは、07年度比78%に相当します。07年度と比較すると中国を主とした東アジア向け輸出割合が、07年度が59%、10年度上期68%と大幅に増加しているのが特徴です。生産面を焼結重量の推移で見てみますと、07年度通年では516トン/月、08年度上期517、08年度下期299、09年度通年310、10年度上期450、10年10~11月487トン/月です。円高の影響により金額ベースで07年度比78%ですが、物量ベースでは94%まで回復していると言えます。
昨年日本は、レアアースの調達が滞るという大きな問題に直面しました。当協会の製品の主原料のタングステンはレアメタルであり、原料として輸入しているAPT(WO3)の10kg当たりの価格が、高騰しており300ドルを突破しています。このタングステンの原始埋蔵量は620万トン、可採埋蔵量は290万トンと推定されています。この7割近くが中国に賦存しています。一方、中国政府は、輸出許可枠を毎年2~3%削減しており2011年は、前年比マイナス300トンの15,700トンに決定し、資源の統制をさらに強めており、当協会にとって非常に大きな問題となっています。
さて、冒頭に述べたように日本の製造業は「縮み」とも言える厳しい環境にありますが、これを打開、再生し国内製造業の復権を図ることが必要です。その方策としては強い産業のさらなる強化、国内に残すべき技術と製品を世界トップレベルへ押し上げるとともに、これらを生産するマザー工場の充実を図ることが重要です。この中にあって当協会の多数が関与する切削加工を取り上げると、試作を含め多品種少量生産に適しており、そこに技術革新の方法とその活路を見いだせると考えます。
パラダイムシフトは、資源にも大きな変化をもたらしました。タングステンの安定調達と大規模なリサイクルの仕組み作りは当協会にとって従来に増して重要な活動となっています。行政とともにスクラップの回収、低コストリサイクルの実現に取り組んでまいります。一方、タングステンの依存度を減らし、脱タングステンの材料開発が必要です。材料開発は、日本製造業の優位の一つですが、エコ・軽量化による加工対象物の非鉄・非金属化に伴いさらにその要求は、高まっていくものと考えます。このようなパラダイムシフトを逆にチャンスと捉え、日本が強いこの分野を活かすことが重要と考えます。
リーマンショックを乗り越えたものの、新たな厳しい環境を迎えておりますが、本年も一層のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げるとともに、皆様のご多幸とご発展を心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。
「明るい希望が湧いてくる年に」
●日本金型工業会 会長 上田勝弘
謹んで平成23年の新春を御祝い申し上げます。
会員の皆様もここ数年来の厳しい環境に耐えしのぎ心新たに新春を迎えられた事と存じます。リーマンショック以来、大手企業の業績は回復の軌道に向かっており、業績好調の決算を発表している企業数も増えておりますが、中小企業は回復はおろか廃業倒産の連鎖が続いております。我々金型関連産業も必死になって営業を続けているものの、先の展望がはっきりしておりません。
自動車、家電、電子機器の産業は、大きなマーケットであるインド・中国を中心として東南アジアでし烈な価格競争を展開しており低コスト第一主義の調達を強化しており、本来日本で発注されていた金型も海外現地へ発注され、日本の金型関連需要は減り続けております。
日本の投資を活発化し雇用の増大、景気浮揚を促進する為、菅総理を中心として昨年9月より4回にわたり官邸で「国内投資促進円卓会議」が行われ、私も金型工業界代表として中小企業施策に対するきめ細やかな専門会議の開催を要求致しました。法人税率5%引き下げも行われる様ですが、利益の出ない業界や赤字の出ている会社には無縁です。今は国を挙げての需要創出が最大の問題です。我々企業も戦術、戦略を根本的に見直しながら脱兎の如く明るい希望が湧いてくる年になる様に会員の皆様と頑張る事を念願しております。
年頭所感(日本冷凍空調工業会/日本フルードパワー工業会/日本ベアリング工業会/日本工作機械輸入協会)
「省エネに関する日本の技術力・製品は世界のトップ水準」
●日本冷凍空調工業会 会長 有馬秀俊
年頭にあたり謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、皆様より当工業会に対し格別なるご指導、ご鞭撻、ご支援を賜り、心より厚く御礼申し上げます。本年も宜しくお願い申し上げます。
平成22年を振り返って
平成22年の世界経済を振り返りますと、中国・インド・ブラジルなどBRICsを中心とした新興国や資源国が力強い経済成長を遂げる一方、日米欧の先進国ではギリシャ財政危機に端を発した欧州の金融不安が世界的に影響したことや年末には欧州の財政不安が再燃したこともあり、世界全体として本格的な経済回復基調に至りませんでした。
日本経済においては7月から急激な対ドル円高基調となり、11月1日には15年ぶりに80円21銭の最高値を付け、年末でも80円台前半の円高水準という大変厳しい年となりました。こうした円高基調や、世界的な経済危機の影響による需要の低迷、またレアアースを始めとした資源の価格高騰等は、産業界に大きな影響を与えました。
こうした環境下、当工業会におきましては、昨夏の猛暑及び政府のエコポイント政策によりエアコン需要は、前年度を大幅に上回る成績を上げることができました。エコポイント制度の付与ポイントが半減する12月を目前にした11月の駆け込み需要により暖房シーズンのエアコンも大幅に需要が喚起され、生産体制の増強が継続しております。
以上の状況の中、上半期の生産・出荷額は前年を上回る実績となりました。
具体的には、上半期の生産額は9,171億円(前年比107.8%)
同じく出荷額は 1兆235億円(前年比109.3%)
となりました。
国内における製品別出荷状況を当工業会の自主統計ベースで見ますと、は家庭用エアコンが515万台(115.8%)、業務用エアコンが37万台(112.4%)、家庭用ヒートポンプ給湯機が27万3千台(111.6%)、カーエアコンが245万5千台(119.9%)と二桁の伸びとなっています。
また冷凍冷蔵ユニットが1万7千台(103.2%)、冷凍・冷蔵ショーケースが13万3千台(104.0%)と堅調に推移しましたが、ガスエンジンヒートポンプエアコンは7千台(82.9%)と苦戦をしました。
輸出につきましては、1,811億円、(123.2%)となり、全体的には経済危機の影響を大きく受けたものの、堅調に推移しました。
平成23年を迎えるにあたって
平成23年の世界経済は、新興国の経済成長に牽引される形での海外需要の回復等を背景に景気持ち直しが期待される一方、朝鮮半島の政治的な不安定、欧州の財政不安の再燃、米国の景気の先行き不透明感が市場を揺さぶる要因としてクローズアップしています。日本国内においては世界経済とリンクする円高基調による生産拠点の空洞化の懸念、エコポイント制度の終了等、景気を下押しするリスクの存在にも留意する必要があります。
当工業会においても今後の動向を慎重に見守りながら事業運営を推進することが必要であると考えています。
当工業会では近年冷媒をめぐる様々な課題が顕在化しています。
これらの課題を踏まえ、23年度は当工業会としては以下の3点を重点施策にしていきます。
Ⅰ.温暖化影響をめぐる冷媒問題の適切な対応
Ⅱ.事業のグローバル化対応
Ⅲ.性能検査にかかわる新財団の設立
Ⅰ.温暖化影響をめぐる冷媒問題の適切な対応
日本はオゾン層保護のためのHCFCの転換は世界に先がけてほぼ終了しましたが、HFCの大気排出による地球温暖化問題が大きな課題としてクローズアップされてきました。
昨年11月メキシコのカンクンで開催された気候変動枠組み条約COP16>におけるポスト京都議定書の延長の動きや国内における法規制等によっては当工業界の事業は、大きく影響を受けることは必至であり、必要に応じて業界としての主張を各方面に働きかけて参ります。
具体的には、下記に示した項目について取組んで行きます。
(1)冷媒漏洩対策と低GWP冷媒の検討
「HFCの責任ある使用原則」の精神に則り、行政の協力を得ながら、使用時の冷媒漏洩を削減し、整備時・廃棄時の冷媒回収の向上を図ります。
一昨年より始めた「冷媒の見える化」を継続推進し、ユーザーへの周知活動を幅広く行うことによって、回収量向上に向けた実行性ある具体的取組を引き続き推進していきます。
昨年秋には冷媒漏洩対策のためのガイドラインを制定し公表しましたがこれらの具体的な実現に努めていきたいと思います。
現在HFCに代わることができる理想的な冷媒の開発は実現していませんが
HCFC、HFC代替として様々な新冷媒が提案されています。
何れも、温暖化影響の大きさ、安全性、性能面で課題が多くあります。工業会としてはこれらを総合的に検討し、将来に向けた代替技術の可能性を積極的に追及していきます。
(2)ヒートポンプ機器・省エネ機器の開発と普及拡大
ヒートポンプの性能は既に実用上の限界に近づきつつありますが、さらなる省エネを進めるためには新しい概念やシステムの開発が必要であり、業界あげて開発に取り組んでいきたいと思います。
また我が国の冷媒転換の経験を生かし、発展途上国におけるHCFCからの転換等について協力して参ります。
ヒートポンプ技術は温暖化防止の重要な技術の一つですので、これらの国際的な普及拡大にも力を入れていきたいと思います。
Ⅱ.事業のグローバル化対応
一昨年の世界的な経済危機の影響を受けてから冷凍空調機器の需要は完全に回復したとは言いがたい状況ですが、長期的に見ると、経済成長が旺盛なアジアを中心に世界市場の拡大が期待でき、2020年の冷凍空調世界市場は現在の2倍の規模にもなると予測されます。冷凍空調分野は、我が国の産業として有望な成長株であります。
特に省エネに関する日本の技術力・製品は世界のトップ水準にあり、環境対応もあいまって世界各国のニーズに十分応えられると思います。ヒートポンプ技術で世界の先端を走る日本の業界は世界市場で大きな存在感を示すことが可能です。
冷凍空調事業のグローバル化が進んでいるため、今後ますます国際的な連携が重要と考えています。欧州等の各種規制の強化や各国の規格等の制定に対していち早く適切な対応が必要であり、欧州事務所での活動をさらに拡大していきたいと思います。また各国の工業会と連携した運営をすることで事業の継続的・安定的な発展に寄与して行くとともに、環境問題についても、「モントリオール議定書締約国会合 公開作業部会」や「ICARHMA(冷凍空調工業会国際評議会)」や「日中韓工業会会合」などの参加メンバーとの交流を通して、国際的な連携、貢献を図って参ります。
Ⅲ.性能検査にかかわる新財団の設立
当工業会の検査検定事業は第三者的機関による製品性能保証という役割を担っており、30年以上の歴史があります。その間、市場の拡大と製品性能の向上等に果たした役割は大きなものが有ると考えています。
昨年度は4月にパッケージ・GHPの新試験設備が竣工し、23年度よりGHPも本格的に検定制度導入をおこないます。更にはヒートポンプ給湯機の検定制度の構築とそれに伴う新設備導入を計画しています。
また、冷凍空調機器の性能評価の一層の透明性・公平性に配慮することが、社会的に強く要請されている状況を鑑み、性能検査を行う新財団法人を今年4月に設立予定です。新財団法人は、当工業会から業務委託を受けて性能評価及び認証を行う第三者機関となります。この新財団法人は公平且正確な性能情報を提供し、我が国の冷凍空調産業の発展と国民生活の向上に貢献していくことを目的として活動をして行きます。
新財団法人の海外活動としては昨年に引き続き中国やベトナムの新興国に対する性能評価基準策定評価方法等の積極的な支援を行っていくと共に、欧米の性能検査機関とも将来の相互認証の実現に向けた交流を行って参ります。
「HVAC&R JAPAN 2012展」の開催準備
平成24年2月14日から4日間東京ビッグサイトにおいて第37回冷凍・空調・暖房展が開催されます。今年は開催準備の年となります。
本HVAC展では「あらゆる温度の未来が見える」をキーワードとし、当工業会の取扱製品が、あらゆる温度帯に対応できることや世界をリードする日本の高度な技術及びその技術力を背景とする新製品を発表・展示することで、世界に類をみない展示会を目指しています。
展示と同時に基調講演、企画セミナー、施設見学並びに当工業会の情報発信コーナー等の併催行事の実施により来場者数を増やし、出展者と来場者の新たな交流の場とすべく企画検討して準備してまいります。関係企業の積極的な御参加を期待しています。
今後の業界の活動方針について
我が国の基幹産業のひとつでもあります冷凍空調工業会の生産品は、ヒートポンプ技術を核に家庭から業務用における様々な生活環境の快適さを実現するとともに、食品の流通・保存に係わる冷凍冷蔵やカーエアコン分野、先端医療現場まで我々の生活には無くてはならないものであります。
また、ヒートポンプ技術の効率向上と用途の拡大は、世界的な課題の温暖化防止対策の大きな力になりうるものであり、更なる市場拡大と環境に配慮した高効率機器の開発や普及にも積極的に取り組んで行きます。また、機器の製造に大きく影響を及ぼすレアアース等の資材調達に関する問題は行政機関とも連携をとりながら、適切に対応するつもりです。
一方、これらの優れた商品を消費者の皆様に安心してご使用頂けるように、製品安全に係わる設計品質の更なる向上や、分かりやすい適切な性能表示の改善などに努めてまいります。
そして、長年培ってきた技術を活かし当工業会が今後とも発展し続け、社会から信頼される機関としての評価を高めるため、より一層の透明性や情報提供等へなお一層の努力を続けてまいりたいと存じます。また、世界的に認知される工業会を目指し、国際的な連携も深めて行きたいと考えております。
皆様方の尚一層のご支援と、関係省庁、関係団体、会員各社そして報道機関の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
「“省エネ技術”の提供は喫緊の課題」
日本フルードパワー工業会 会長 宮内壽一
新年明けましておめでとうございます。
平成23年の年頭に当たり一言ご挨拶を申し上げます。
昨年のわが国を取り巻く経済環境を見ますと、リーマン・ショック後のG7やG20参加諸国による緊急経済対策の実施によりアジアとりわけ中国やインド等を中心とする新興諸国の経済環境に明るさが戻り景気は回復基調で推移しました。こうした経済環境の好転はわが国の製造業界に旺盛な外需の需要をもたらし、一昨年後半からは多くの業界で外需を主体とした受注の急回復が見られました。一方国内を見ますと、エコカー補助金やエコカー減税さらにはエコポイント制度の導入等内需拡大策を背景に市場は明るさを取り戻し景気は全体的に堅調に推移してきたといえましょう。こうした状況を反映して7-9期までの実質GDPは4四半期連続してプラス成長を遂げましたし、株式市場も昨年9月の中間決算では多くの企業が増益傾向を示す等経済環境は明るさに包まれておりました。
しかしながらここにきて外需を支える為替の「円相場」がドルやユーロに対し急騰しており、加えてエコカー補助金の廃止やエコポイント制度の縮減等内需拡大策の終了に伴う反動減が見込まれる等景況感は厳しい状況にあるといえます。このため日銀は一段の金融緩和策の導入に踏み切りましたし、また、足踏み状態にある景気を下支えする補正予算が成立し、新成長戦略、公共投資等によりGDPを押し上げる効果があり、経済状況も好転すると思いますが、その持続力には不安も感じられます。一方、海外も米国の超金融緩和策は新興国のバブルの誘発懸念等を抱えており、また、EUの財政・金融不安等の問題もあり、内外の経済環境は厳しいものが予想され、先行きの不透明感の払拭までには至っておらず、今後の景気の推移には国内外とも慎重に対応する必要があると考えております。
ところで、私どもの業界動向ですが、昨年11月に5年振りにISOの国際会議を開催し成功裏に終了しました。また、一昨年来の需要業界の回復に支えられ出荷動向は回復基調に入りましたが、ここにきて一部に鈍化傾向も見られること等から円滑な補正予算の執行や平成23年度予算の年度内成立等適切な経済政策の実施が望まれるところです。
本年は、私どもフルードパワー業界にとつて3年振りとなります「第23回油圧・空気圧国際見本市(IFPEX2011)」が7月に開催されます。フルードパワー機器は、わが国の「モノづくり」を支える機能商品を提供する大きな役目を担っており、最新の技術や新製品を展示したいと考えております。また、今回も「水圧コーナー」を設置し、「駆動する水圧技術」を目玉に展示を予定しております。一方、急速に進展するわが国経済のグローバル化は、フルードパワー業界にもその対応を求めており、海外マーケットへの展開や高い地球温暖化対策目標の設定等から「省エネ技術」の提供は喫緊の課題です。会員各社の一層の対応をお願いする次第です。フルードパワー業界は「モノづくり」を支える重要な産業でありますし、今後とも大きな成長が期待されております。こうしたなかで業界としては、健全な競争と協調のなかで共に発展してゆくことが望まれます。
各需要業界の皆様方には更なるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げ新年のご挨拶とさせていただきます。
「日本経済の発展に貢献できるよう挑戦を続ける」
●日本ベアリング工業会 会長 本間博夫
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
わが国経済は、リーマンショック以来回復過程を辿ってきましたが、直近の動向をみると、設備投資に持ち直しの動きがみられる一方、輸出、生産が弱含んできており、雇用も厳しい状況にあり、景気は足踏み状態であります。
このような経済情勢の中、先行きについては、新興国での回復などがあるものの、円高やデフレの影響など懸念材料も多く、依然として不透明といわざるを得ない状況です。
一方、ベアリング産業の動向をみますと、昨年の1月から10月までの生産額は前年比40%以上の高い伸び率を記録しました。月別の実績についても、10か月間連続で前年実績を大きく上回り続けております。しかしながら、これはリーマンショック後の大幅な落ち込みの反動増としての性格が強いものと考えられます。
平成22年度の生産額見通しは、6,200億円から6,500億円、前年度比2割弱の増加としています。上述の先行き動向を勘案しますと、年度後半(昨年10月~今年3月)は依然厳しい環境下にありますが、この目標を達成し、更には少しでもピーク時の実績に近づけるよう、本年も踏ん張り、ベアリング産業が引き続き拡大していけるよう、努力してまいりたいと存じます。
昨今の世界的規模での経済構造の変化を受けて、経済環境はめまぐるしく変動しています。こうした時代に、ベアリング産業が着実に発展を遂げていくためには、経営全般にわたる改革を推進することが不可欠であります。業界各社は、このための弛まぬ努力を続け、「ものづくり」の根幹をなす重要な機械要素産業として、需要業界のニーズに適切かつ迅速に応えてきていると思います。
当工業会としては、こうした業界各社の努力を念頭におきつつ、業界の発展と地位向上のため、ひいては社会貢献のため、今年もさまざまな取組みを行ってまいります。特に次のような取組みを推進していきたいと考えております。
まず、国際関係では、世界ベアリング協会(WBA)と当工業会独自での偽造品対策に関する取組みです。
WBAにおいては、偽造品対策や環境保護の分野でのグローバルな視点からの協力に引き続き努力してまいります。
これとは別に、当工業会が従来から独自に取組んでいる偽造品対策については、昨年から、上海ジェトロのIPG(知的財産権研究グループ)内に設置した、ベアリング・ワーキンググループによる取組みに重点を置いております。これにより、一層、効率的かつ迅速な取組みができるようになってきており、今年もこうした政府機関や他団体との連携事業に力を入れることで、更なる成果を挙げていきたいと考えております。
他方、米国との間の通商問題については、一昨年、WTOにおいて、米国が実施している計算方式である「ゼロイング」は廃止すべきとの決定がなされています。これに基づき、現在、WTO上の手続きについて、経済産業省はじめ日本政府が対応を進めてきておられます。我々としては、これに最大限協力してまいります。こうした対応が実を結び、WTOの決定に基づき米国が一刻も早くゼロイングを完全に廃止することを願っております。
ISOの関係では、現在、TC4(転がり軸受専門委員会)の組織再編について議論が行われており、新たなTC4組織において、日本がSC(分科委員会)の幹事国を担当するという提案が動いています。今までの日本の、そして当工業会のISOにおける貢献が高く評価された結果といえます。実現の運びとなれば、日本としてはベアリング分野での初めての幹事国就任となり、画期的なこととなります。これは、日本にとって有意義な活動を推進し、国際貢献を果たすために、大きな意味を持つこととなります。今年もこうした動きに適確に対応していく所存です。
また、喫緊の課題である地球環境対策では、当工業会は従来から日本経団連の環境自主行動計画に参画し、産業界の一翼として責任を果たすべく積極的に取組み、京都議定書の目標達成に向けて努力を続けております。今年も引き続き地球温暖化対策等の目標達成に向けて、業界全体で努力してまいります。また、来たるポスト京都議定書に向けても検討を深めてまいります。
更に、中小会員企業に対しては、「中小企業若手経営者の会」を軸として、政府の施策を迅速に情報提供するとともに、これに対する会員の疑問点や要望をリアルタイムで経済産業省に連絡し、会員による施策活用の円滑化を図ってまいりました。引き続き、中小企業経営にとって有意義な情報の提供や意見交換の場を設けて、皆様のご努力を支援してまいりたいと考えております。
日本ベアリング工業会は、今年も、こうした多方面にわたる取組みを強化し、各課題の解決に向けて、積極的に活動してまいります。
現在、世界経済は大きな地殻変動にみまわれており、とりわけ近年、中国などの新興国が目覚ましい経済発展を遂げております。こうした新興国の産業は、日本の「ものづくり産業」にとっては、大きなチャンスであると同時に、新たな競争相手にもなっております。
こうした中、「ものづくり」の分野を広く支えるベアリング産業の担う役割はますます大きなものとなってきていると思います。ベアリング産業として、日本経済の発展に貢献できるよう挑戦を続けるとともに、日本の「ものづくり産業」の拡大のため一層の努力を続けていく所存ですので、関係各位の引き続いてのご指導・ご支援を心からお願い申し上げます。
最後になりましたが、本年の皆様方のご多幸を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
「円高基調は輸入工作機械にとって絶好の追い風」
●日本工作機械輸入協会 会長 千葉雄三
平成23年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、当協会の事業活動にご支援・ご協力を賜りまして誠に有難うございました。
平成22年の日本の工作機械業界はリーマン・ショックによる世界的不況から、大幅な急回復を継続しました。
日工会の発表によれば、昨年11月の工作機械受注額は前年同月比で約2倍となる967億円に達し、年初に予想した年間受注額6,000億円を大幅に上回る9,500億円程度になったようです。また、70%近くにまで拡大した外需だけでなく、内需にも回復傾向が出てきたと報告されています。
国産工作機械の受注が急回復した反面、輸入工作機械の統計数値にはまだ受注回復の兆しはありません。
昨年1年間のドライエッチングマシンを除く切削型工作機械の輸入額は、1月から10月までの輸入通関金額累計から予測して、前年比約4.4%増の300億円程度になったと思われ、過去最高であった平成18年の輸入額770億円から61.0%減少したことになります。
もちろん、通関申請による統計数値をベースにしており、輸入工作機械の場合、受注から通関申請までが長期間になることから、実際の受注回復が統計数値に反映されるまでのタイムラグを考慮する必要があります。
一方で、測定機器・コンポーネント機器・工具・ホルダー等の周辺機器の受注は、順調に回復しました。
昨年の9月には、米国シカゴで開催された「米国国際製造技術展IMTS2010」へ、例年のように輸入促進ミッションを派遣し、各国の工作機械工業会およびメーカーとの交流を図ってきました。
10月には「JIMTOF2010」が開催され、当協会の会員企業が世界中から最先端の技術と優れた品質の工作機械と周辺機器を出展いたしました。
今年は、9月19日から「EMOハノーバ2011」が開催されます。主催者の発表では昨年12月現在での出展企業は1,200社を超えて、リーマン・ショックの影響から急速に回復しつつある工作機械の需要環境を安定的にするチャンスにしたいと期待されています。
今年も恒例の輸入促進ミッションを派遣して、最新技術を活用した工作機械と周辺機器を発掘することにしていますので、多数の皆様にご参加いただきたいと思っております。
平成21年には、日本が27年間続けていた工作機械生産高世界一の座から、中国、ドイツに次いで3位に転落しました。 一方、輸出高では、日本はドイツに次いで2位ですが、輸入高では世界17位となっています。
輸出高1位のドイツは輸入高でも3位で、日本と比べてバランスがよろしいと思われます。
最近の円高基調は我々の輸入工作機械にとっては絶好の追い風となります。
今後とも工作機械の輸入拡大を図ることによってバランスのとれた業界の発展に寄与し、日本のものづくりに貢献できるように努力していきたいと考えておりますので、相変わりませぬご支援を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
厳しさの続く市場環境において、当協会は新しい工作機械の需要分野とされるエネルギー・医療・環境対応・航空宇宙関連産業における加工方式に対応した、優秀な輸入工作機械と周辺機器を発掘してその導入を図ると同時に、海外メーカーと一体になったサービス体制を構築することによって、各ユーザーが安心して輸入工作機械を使用できるように努力していく所存です。
最後に当協会の会員各位ならびに業界関係者の皆様にとって、今年が最良の年となりますように祈念して新年のご挨拶とさせていただきます。
年頭所感(日本電気工業会/日本建設機械工業会/日本包装機械工業会)
「途上国や新興国の旺盛なインフラ需要に期待」
●日本電機工業会 会長 北澤通宏
新年、あけましておめでとうございます。
皆様方には、お健やかに新年を迎えられたことと、お慶び申し上げます。
会員並びに関係省庁・関係団体の皆様方には、平素より、日本電機工業会に格別のご支援とご厚情を賜り、厚くお礼申し上げます。
平成23年の年頭にあたり所感の一端を申し上げ、新年のご挨拶に代えさせて頂きたいと存じます。
昨年のわが国経済は、政府の緊急経済対策や産業界の懸命な努力により、企業業績は順調な回復をみせ、生産、輸出、設備投資や個人消費の状況も持ち直すまでに至りました。しかしながら、昨年後半から年末にかけては、生産、輸出の伸びに鈍化傾向が見えはじめ、高い失業率や円高基調の継続が更なる景気回復の足かせとなり、総じて景気は踊り場局面に入ったといわざるを得ません。
一方、今年の景気でありますが、様々な懸念材料を抱える状況から、色々な見方があると思いますが、米国経済の低調な推移と欧州の財政不安等により、少なくとも本年の前半は、こうした景気の低迷が続くものと思われます。本年後半にわが国経済が、どれだけ自律回復ができるか注目されるところであります。今後、新興国の成長活力を取り込みながら、これを自らの経済の活性化に繋げ、早期に回復に向かっていくことを期待しております。
こうした状況の中、上期の私ども重電分野の生産状況は、世界同時不況の影響により落ち込みの大きかった汎用品の輸出の大幅増加により、また、白物家電分野の国内出荷額は、夏の記録的な猛暑に加え、家電エコポイント制度の後押しにより、共に二桁を上回り好調に推移しました。
今年は、電力用機器が堅調に推移する見込みですが、昨年後半からの汎用品の輸出停滞、白物家電のエコポイント制度終了後の反動などから、重電、白物家電共、伸び悩みが懸念されます。今後の動向をしっかり見極め対応して行かなくてはならないと認識しております。電機業界は、様々な課題を抱えております。本年もJEMAは、これらの課題解決に向けしっかりと取り組んで参ります。
まず、地球温暖化対策であります。本年は、京都議定書の第一約束期間の4年目を迎えます。JEMA を含む電機・電子 4 団体は、自主行動計画によりCO2排出量削減を着実に推進しております。2009年度は、実質生産高CO2原単位が90年度比で43%の改善となり、2008年度に引き続き、2年連続で目標の35%改善を達成しました。
ご承知のとおり、昨年暮れのCOP16では、先進国と途上国の思惑の違いが鮮明となり、ポスト京都、2013年以降の温室効果ガスの削減をめぐる具体的な協議は、再び先送りとなりました。本年のCOP17は、日本にとっては正に正念場となります。政府におかれては、すべての主要排出国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築に向け、軸ぶれのない粘り強い国際交渉を進めて頂くよう強く要望致します。
電機・電子 4 団体は、次期行動計画についても、2013年からのポスト京都を睨んだ日本経団連の「低炭素社会実行計画」に参画し、ライフサイクル的視点による温室効果ガスの排出削減、途上国の排出削減に対する国際貢献、更には革新的技術の開発を推進して参ります。地球温暖化対策に大きな期待が寄せられている私ども電機業界は、原子力発電の推進や火力発電の高効率化、再生可能エネルギーの普及拡大、また、白物家電や変圧器のトップランナー機器をはじめとする省エネ機器の開発と普及促進といった、エネルギーの需要と供給の両面からCO2削減に貢献して参りたいと存じます。
また、電機業界は、政府の新成長戦略に掲げられていますインフラやシステム輸出にも大きく関わっております。昨年、官民挙げての協力が実り、長年培ってきた安全で信頼性の高い日本の原子力発電技術が高く評価され、わが国がベトナムの原子力発電プロジェクトの建設パートナーに選ばれました。これは、原子力事業の国際展開を切り拓く、極めて意義深い画期的な出来事であります。電機業界としても、原子力事業に携わる電力会社、メーカーの方々、そして政府関係者の皆様の長年にわたるご尽力に心より敬意を表するものであります。
更に原子力事業のみならず、海外の送電網、高速鉄道などの社会インフラ整備についても、今や国家的ビジネスの様相を呈しており、官民一体となって資金面や制度面などで基盤整備を進め、途上国、新興国をはじめとする旺盛なインフラ需要を取り込むことができるよう、期待するところであります。
わが国のみならず世界各国は、低炭素社会づくりに邁進していくことになります。世界各国でニーズの高まっているグローバルレベルでの原子力発電の推進と共に、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの普及拡大をはじめ、火力発電の高効率化、UHV送電やスマートグリッドによる高効率送配電の推進にも、各国のニーズに的確に対応しながら、わが国電機産業のもつ優れた技術力と高品質のものづくりで、グローバルレベルでビジネスの拡大を図りつつ、CO2削減にも貢献して参りたいと考えております。
わが国には世界に誇れる優れた技術や製品を有しております。グローバル市場において、わが国が優位性を保つためには、日本が持つ最先端技術の戦略的な国際標準化が極めて重要であります。JEMAは、こうした国際標準化につきましても、より一層積極的に取り組んで参りたいと思います。
さて、米韓FTAが合意に至ったのをはじめ、世界的に2国間の経済連携が進む中、わが国でもTPPや主要貿易国とのEPA・FTA締結など、経済連携を強化する動きが活発化しております。様々な意見があることは承知しておりますが、私ども電機業界は、グローバル市場で他国に遅れをとること無く、更なる国際競争力を高めるために、TPPやEPAの締結を拡げ、世界の経済的な枠組みの中に強固な基盤を築き、省エネ、環境、製品安全といったわが国の持つ優れた技術や高品質な製品を地球規模で浸透させて参りたいと考えております。その他、製品安全はじめ取り組むべき多くの課題に対してもしっかり対応して参りたいと存じます。
JEMAは、昨年の通常総会で「一般社団法人」への移行を決議致しました。その後、原課の経済産業省 産業機械課をはじめ各方面のご助言も頂きながら、内閣府への認可申請を済ませております。本年はいよいよ「一般社団法人」に移行する予定であります。新生JEMAに求められる使命と役割を皆様と共に果たして参りたいと存じます。
現下の電機産業を取り巻く環境は依然として厳しく、先行きの不透明感は残っておりますが、会員の皆様と一丸となって、しっかりと電機産業の発展に邁進して参ります。
最後になりましたが、この一年の皆様方のご発展と一層のご活躍を祈念致しまして、私の新年のご挨拶とさせて頂きます。
「技術に磨きをかけて世界で大きく飛躍することを確信」
●日本建設機械工業会 会長 野路國夫
新年明けましておめでとうございます。
昨年の世界の建設機械市場は、各国の継続的な景気刺激策により、中国を中心とするアジア諸国や中南米などの新興国の需要が高い水準で推移し、再び成長局面へと転じました。その一方で、先進国の需要回復の動きは緩やかなものにとどまっています。日本においては、昨年の前半より需要は上向いているものの、直近のピークである2007年の半分以下の水準であり、公共投資の減少も続いたことから、引き続き厳しい状況でありました。また、為替が米ドル、ユーロ、人民元に対し大幅な円高で進んだことも、輸出売上げの多い当業界にとっては逆風となりました。
本年は、新興国の需要が底堅く推移し、これに米国の景気回復が加わっていけば世界の建設機械市場は緩やかに成長を続けていくのではないかと予想しています。このような市場環境のもと、わが国の建設機械の技術は世界のトップの水準にありますので、会員各社が環境・安全などの観点からさらに技術に磨きをかければ、世界の中で大きく飛躍していくことが可能であると確信しております。
さて、日本建設機械工業会は、昨年、創立20周年を迎えました。この大きな節目に際し、当工業会が掲げる設立理念「調和と発展による世界への貢献」ならびに「共生と競争」は不変としつつも、建設機械業界を取り巻く社会・経済情勢が大きく変動していることを踏まえ、以下の7項目からなる経営パラダイムを新たに策定しました。
①良き企業市民としての社会への貢献
②ステークホルダーとの共存共栄
③公正・透明な競争と適正な取引の推進
④世界の一員としてのグローバル化の推進
⑤安心・安全の追求と人間中心の経営の志向
⑥環境保護、省エネルギー、省資源の推進
⑦新しい商品および分野の開拓
この新しい経営パラダイムに基づき会員各社がお互いに切磋琢磨しつつ、一方で連携を強めることにより、建設機械業界の更なる発展のみならず、実り豊かな社会の実現に貢献してまいります。また、本年は、工業会の公益法人改革に向けた取組みを具体的に進めてまいります。
最後になりましたが、皆様にとって、より良い一年になりますように祈念いたしまして、年頭のご挨拶といたします。
「世界の需要産業は“メイド・イン・ジャパンの包装機械”を求めている」
●日本包装機械工業会 会長 生田芳規
新年あけましておめでとうございます。
昨年のわが国の経済は、家電エコポイントやエコカー減税・補助金などにより一部の業種においては個人消費の持ち直しも見られ、年後半からは緩やかな回復基調が続いてまいりましたが、産業全般については経済対策の遅れによる生産の減少、投資マインドの停滞、また、急激な円高とEUやアメリカ経済の停滞などに起因する輸出の減少等々、先行きに不安感を残したまま推移いたしました。この様な状況を打破すべく、我が国政府は昨年6月に「元気な日本」復活を旗印に新成長戦略を立ち上げ、その中で様々な中小企業対策が実施されておりますので、一日も早く「元気な日本」になることを期待しているところです。
我が国の“ものづくり”を担う一般機械工業は、平成21年度の生産高が対前年度比で28.9%減少し、9兆8,638億円という非常に厳しい結果となりましたが、我が包装機械産業におきましても国内需要の低迷、輸出の大幅な減少によって、二年連続でマイナス成長に陥りました。しかしながら、平成22年度の包装機械産業の景況は徐々に回復の傾向を見せはじめ、平成21年度実績を3%前後上回る3,800億円程度となる見込みです。
今日、我が国包装機械産業は新興国の追い上げもあり、国内外で厳しい競争を強いられておりますが、我が国包装機械メーカーの技術開発力、製品性能は世界屈指のレベルにあり、メンテナンスについても他の国にはないきめ細かさを有しておりますので、世界中の需要業界から“メイド・イン・ジャパンの包装機械”が求められております。
日本包装機械工業会としては、これらの優位性を最大限に活かし、国内にあっては需要業界からの多品種少量生産化、少子高齢化、省資源化、安全・安心・衛生化等々の多様なニーズに的確に対応した付加価値の高い包装機械の開発・提供に努めるとともに、海外にあっては輸出相手国・地域によって異なる慣習に対応した製品の提供に努め、“ものづくり”を核として、人材の確保・育成、技術研究、国際化等を推し進め、「チームジャパン」の一員として直面する諸々の課題を打破し、我が国包装機械業界の安定・発展を図る所存ですので、関係各位のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
本年10月に東京ビッグサイトで当会主催の2011日本国際包装機械展(ジャパンパック2011)を開催いたします。同展はアジア地区最大の包装機械展として内外からその開催が待たれていますが、今回もご出展各位ならびにご来場各位にご満足いただくための様々な新基軸を用意しておりますので、関係各位のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
最後に、関係各位のご健勝とご発展をご祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
年頭所感「“グローバル・ワン”を目指す」 森精機製作所 取締役社長 森雅彦
新年明けましておめでとうございます。
工作機械業界を取り巻く状況は引続き厳しいものがありますが、受注環境は着実に改善傾向にあり、日本工作機械工業会の受注額は2009年12月から前年同月比増を継続しております。円高の長期化に対しては懸念をのこしつつも、市場は少しずつ拡大し明るい兆しが見えてまいりました。
当社におきましては、販売実績累計28,000台のベストセラー機の「Nシリーズ」をさらに進化させた「Xクラス」を発表し、CNC旋盤・立形マシニングセンタ・横形マシニングセンタ・複合加工機それぞれに新製品を取り揃えました。「Xクラス」は時代の要求に応えるべく、市場ニーズを反映し、既存製品を多角的に分析することで、機械剛性や省エネ対応、安全規格などにおいて高いレベルで製品化を実現しました。
独GILDEMEISTER AG(以下、ギルデマイスター社)との協業に関しましては、昨年は米国、インド、シンガポール、フィリピン、マレーシア、ベトナムで販売・サービス提携を開始し、新機種開発、部品の供給、ファイナンス等の分野においても提携を推進しております。また、昨年9月に米国シカゴで開催された「国際製造技術展(IMTS)」、10月に開催された東京での「日本国際工作機械見本市(JIMTOF)」では、ギルデマイスター社と共同で出展し、目標を上回る受注を頂きました。
さて、本年は、第2次中期経営計画「PQR555」を締めくくるにあたり、お客様へより最適な商品・サービスをご提供するために、俯瞰的な発想から更なる製品品質の向上や人材育成に注力を図り、経営体質の強化に取組んでまいります。
日本製の工作機械の不良率は10%程度、新興国製の工作機械の不良率は50%程度といわれています。外観では日本製と新興国製の見分けをつけることが難しくなっている今日において、配線・配管にいたる細部まで品質を高めて差別化を図るようにします。また、当社の輸出比率は7割を超え、最近は世界の複数の拠点で機械を導入し、サービスを計画されるお客様が増加傾向にあります。グローバルに展開するうえで社員のコミュニケーション能力の向上は必須であり、今まで以上に社員の英語力の向上を図ります。また、英語のみならず、社員の能力向上のために教育に力を注ぎます。私たちは「切削加工に関わるものづくりのことなら、まず森精機に相談しよう」と世界中で思って貰えるような存在、すなわち「グローバル・ワン」を目指すために、社員ひとりひとりの知恵やマナーを高め、チームワークを重視し、切磋琢磨してまいります。
本年も、変わらぬご支援、ご愛顧を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
GECITECH(ジェシテック)社が販売代理店・パートナー企業を募集
GECITECH(ジェシテック)社が新製品の日本販売代理店・パートナー企業を募集している。同社はヨーロッパ・アメリカを中心に、食品/医薬品/化粧品/化学品向けフレキシブルホース及びそれらの各種継手を製造・販売する専門メーカー。その顧客には、ダノン、ファイザー、ネスレ・ウォーターズ、武田薬品、ユニリーバといった大手企業が名を連ねている。今回、プラチナ処理を施した新しいシリコンホース「GSI 75」を発売する。この製品は自動化されたクリーンルーム内で製造され(写真右)、また国際規準に準拠している。特に医薬品・飲食料品・化粧品・化学薬品等の送出、調合、計量、振動吸収での利用に最適。【主な特徴】・素材:スムース・ホワイトシリコン(NTタイプ)あるいはナチュラルシリコン(NTPタイプ)・ 補強:ステンレス製テキスタイル・ダブルスパイラルをシリコンに埋め込んで補強・ 標準製造長さ:5.7m(±2%)・ 利用温度範囲:-60℃~+180℃・ 適用規格:NT & NTP: FDA 21CFR – 177 2600、BgVV Type II、USP Physicochemical 661、Cytotoxicity test NTPのみ: Hemolysis、Européene Pharmacopée 3.1.9.、USP class VI問い合わせはEmailでyuji.konno@gecitech.jpまで。
「アジア型技術セミナー2010inThailand」 技術協力の調印式を行う 型技術協会
型技術協会(会長=トヨタ自動車 常務役員)が11月25日~27日の3日間、「アジア型技術セミナー2010inThailand」を開催し、技術協力の調印式を行った。今回のタイ訪問では型技術協会関係者と一般参加者が現地参加者を含め140名が参加。タイ政府、タイ金型工業会と型技術協会合同の技術セミナーや企業見学を行った。
平成22年度新機械振興賞の受賞者が決定
機械振興協会(会長=庄山悦彦氏)がこのほど平成22年度の新機械振興賞の受賞者を決定した。今年度は23件(うち中小企業6件)の応募の中から経済産業大臣賞1件、中小企業長庁長官賞1件、機械振興協会会長賞3件が表彰される。
この賞は、従来の機械振興協会賞(昭和40年度創設)と中堅・中小企業新機械開発賞(昭和45年度創設)を統合し、平成15年度に発足したもので、今回が第8回目にあたる。
表彰対象は、独創性、革新性および経済性に優れた機械工業技術に係る研究開発およびその成果の実用化により新製品の製造、製品の品質・性能の改善または生産の合理化に顕著な業績をあげたと認められる企業等および研究開発担当者である。
表彰式は来年2月24日(木)、東京プリンスホテルマグノリアホールにて午後3時から行われる。
経済産業大臣賞「省エネ小型低圧ダイカストシステム」
デンソー/東洋機械金属/宮本工場所
日本のダイカスト加工は高い品質、大型設備での大量生産コスト競争力をあげてきたが、設備が大きくグローバル展開しにくい、多くのエネルギーを必要とするといった課題があった。本ダイカストシステムは加工プロセスに踏み込み、従来、鋳巣をつぶすために高い圧力が必要であると言われてきた圧力を1/2にしても同等の品質が得られる小型システム化に成功し、従来の概念を書きかえる可能性のある新製造技術として確立した点が高く評価された。
中小企業庁長官賞「廃塩ビ壁紙リサイクルシステム」
アールインバーサテック/東京都立産業技術研究センター
塩ビ壁紙廃材は年間10万トン発生しているが、大半が焼却処理あるいは埋め立て処分となっているのが現状である。廃塩ビ壁紙の資源化に向け、10ミリ角程度に細かくする前処理装置、塩ビ樹脂とパルプに分離する高速遠心叩解機による微分化装置、混在している樹脂粉とパルプふぁいばーを遠心力、気流などを利用して分離する分離装置を開発し、従来困難とされていた廃塩ビ壁紙の「塩ビ」と「紙」を分離し、亮素材のリサイクルを可能にした点が高く評価された。
財団法人 機械振興協会会長賞
「多柄たて糸準備システム」 片山商店/村田機械/桑村繊維/兵庫県立工業技術センター
消費者の個性化・多様化が進み、生産現場では某大な数の織物の試作による、高コスト・長納期が問題になっている。この問題を解決するために、確実に糸と糸をつなぎ合わせる技術の確立、たて糸整経工程での糸の身長差によるばらつきの除去、糊付け工程に必須の5段畦取りの自動化、作業中の人為ミスを防ぐ技術の確立等により、従来不可能であった1回の段取りで、複数柄の記事を折ることができるシステムを実現した点が評価された。
「自動路面描画装置」 技工社/アクト
人が道路路面へ表示する文字・記号などの作図を行っていた作業を自動化する路面描画装置を開発した。本装置は、路上におかれた2本の基準ポールに路面描画装置からレーザーを照射させ、距離と角度で地震の自己位置を認識し、作図エリア内にCADデータで指定された位置に図柄を作図する業界初の装置であり、広範囲の路面に十分な精度で描画を行う実用的な技術に仕上げている点が評価された。
「瞬時起動アイドリングストップシステム」 マツダ
信号待ちなどでエンジンを止めるアイドリングストップは、消費改善に効果があるものの、再始動に時間がかかり普及しなかった。この問題を解決するためエンジン停止時に筒内掃気およびピストン停止位置制御を行い、再起動時にエンジン内部に燃料を直接噴射し爆発させて、主に燃焼力により再始動させる方式を開発した。その結果、これまでの再始動システムに比べ、約半分の0.35秒でエンジンを始動させることができるアイドリングストップ技術を実用化し、普及させた点が評価された。